海をあげる の商品レビュー
著者は普天間に住み、若年出産女性の調査、辺野古基地建設阻止運動などで活動している琉球大教育学研究科教授です。風俗産業で生きるしかない未成年少女達への支援・調査で彼女らにむけられている眼差しはとても暖かく、関わっても好転しない現実に対するもどかしさが伝わってきます。 その一方で、...
著者は普天間に住み、若年出産女性の調査、辺野古基地建設阻止運動などで活動している琉球大教育学研究科教授です。風俗産業で生きるしかない未成年少女達への支援・調査で彼女らにむけられている眼差しはとても暖かく、関わっても好転しない現実に対するもどかしさが伝わってきます。 その一方で、「ヘイトに加担するAホテルに泊まることはないな」とわざわざ書いたり、3歳娘の迷子から誘拐、不審者の話となって早期の性教育をはじめてみたり、子供をフラワーデモに連れて行ったり、基地の話(政治的な話)になると途端にでてくる押し付けがましい態度といった活動家によくみられる行為が苦手でした。 基地の周りに住む人は抗議せずに沈黙する。筆者は「沈黙させられているひとの話を聞かなくてはならない」といいますが、果たして沈黙させられているのか。関わらないでほしい(とりあえず落ち着いているからかき回さないで欲しい)という思いはないのか。それに対してどのように応えるのでしょうか。
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沖縄の人々が置かれている状況と、本島に住む私たちの沖縄に対するイメージには大きな隔たりがあって、私たちは決して安易な言葉で沖縄を語ってはいけないと思った。私たちの平穏な暮らしは多くの人々の涙と苦しみの上に成り立っているということ、どこか他人事として捉えていて今まで向き合おうとして...
沖縄の人々が置かれている状況と、本島に住む私たちの沖縄に対するイメージには大きな隔たりがあって、私たちは決して安易な言葉で沖縄を語ってはいけないと思った。私たちの平穏な暮らしは多くの人々の涙と苦しみの上に成り立っているということ、どこか他人事として捉えていて今まで向き合おうとしてこなかったこと、色々な思いにさせられた。自分に一体何ができるんだろう。
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沖縄の海に土砂を入れらる事を、憂いてはいても、どれだけ他人事として捉えていたんだろうと、自分が恥ずかしくなった。 何も、わかっていない。 何も、考えていないと改めてわかった。 どれだけの犠牲を払ってもらって私たちはぬくぬくと過ごしてしまっているだろう。 『知らない』ことは最大の罪...
沖縄の海に土砂を入れらる事を、憂いてはいても、どれだけ他人事として捉えていたんだろうと、自分が恥ずかしくなった。 何も、わかっていない。 何も、考えていないと改めてわかった。 どれだけの犠牲を払ってもらって私たちはぬくぬくと過ごしてしまっているだろう。 『知らない』ことは最大の罪。 もっと勉強し、どうしていけばいいのか考えなければと強く思った。
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教育社会学者の上間陽子さん、沖縄普天間基地近くに住みながら未成年の少女たちの支援調査にあたっている。 沖縄戦、その後、今も続く基地の問題は水を汚染し、海の生態系を破壊し、女性の安全を脅かす。 娘の風花との生活を描いている言葉が優しく美しくて、祈りに満ちている。読んいでると泣けてく...
教育社会学者の上間陽子さん、沖縄普天間基地近くに住みながら未成年の少女たちの支援調査にあたっている。 沖縄戦、その後、今も続く基地の問題は水を汚染し、海の生態系を破壊し、女性の安全を脅かす。 娘の風花との生活を描いている言葉が優しく美しくて、祈りに満ちている。読んいでると泣けてくる。 子どもはこんな風に愛されて見守られて育つのだ。だからなおのこと、上間陽子さんが支援調査聴している少女たちの成育環境の過酷さに胸が痛くなる。 これは、全ての少女たちよ、どうか幸せに健やかに育って欲しいという祈りの書だ。 ラストの言葉『静かな部屋でこれを読んでいるあなたにあげる。この海をひとりで抱えることはもうできない。だからあなたに海をあげる。』泣きながら読んでいた私。泣いていていいのか!と改めて姿勢を正された思いだ。
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そこに書かれているのは、幼い娘のこと沖縄のこと女性たちのこと。 社会の違和感に目を向け、人の弱さに寄り添い強さを見守る。泣いて怒り悲しんで笑う。 単に考えさせられたとか、感動したなんて言ってはいけないと思わされた。託されたのは絶望なのだから。
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沖縄の海を想像して何度か涙が出た。 「自分のセクシャルな価値をよく分かり、それを使ってその場の空気を統制しようとする」という言葉が胸に残った。これは当たり前のようにしていることで目の前にあることだったから。
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日常のなかで持たざるを得ない違和感とギャップ、何かを守らなきゃとかどうにかしなきゃ、と大きく動こうと前へ前へという話ではなくて、普通に生きているだけで侵されていく当たり前の景色や暮らしをどうしたら守れるんだろうか、ただ守ることがこんなにも難しいのか、という確かな気持ちの記録があっ...
日常のなかで持たざるを得ない違和感とギャップ、何かを守らなきゃとかどうにかしなきゃ、と大きく動こうと前へ前へという話ではなくて、普通に生きているだけで侵されていく当たり前の景色や暮らしをどうしたら守れるんだろうか、ただ守ることがこんなにも難しいのか、という確かな気持ちの記録があった。助け合う、関わりあうことへの視点と大切にしたい気持ちと。読めてよかった。
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沖縄の未成年の少女達の支援・調査に携わる中で、沖縄の性暴力について書いて来ている著者をこの本で初めて知りました。 性暴力を受けPTSDに苦しむ少女達に寄り添う著者の姿は、調査とかの域を越えて直接的な支援であり大変な苦労、心労を伴う営みであろうと思うが、そうさせるのは著者の社会的理...
沖縄の未成年の少女達の支援・調査に携わる中で、沖縄の性暴力について書いて来ている著者をこの本で初めて知りました。 性暴力を受けPTSDに苦しむ少女達に寄り添う著者の姿は、調査とかの域を越えて直接的な支援であり大変な苦労、心労を伴う営みであろうと思うが、そうさせるのは著者の社会的理不尽に対する強力な怒りからなのでしょう。「何も響かない」の七海の話しの「5年近く性暴力を受けながら、家族を守ろうと思って母親に一言も話さないで生きてきた娘を前にして、なせ施設の職員達は母親の意向を尊重するのだろう。自分の夫が自分の娘をレイプしてきた事を知らない母親には、自分の娘が精神科を受診しようとする理由が分からない。」の件は読んでて辛くなる。 「海をあげる」や「アリエルの王国」の辺野古の海への土砂の投入に対する怒り、絶望感も辛い。
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人と寄り添うということがどれだけ人を支えているのか?作者が自然にしているすべての行為が、勉強になる。人と寄り添うことがどれくらい大変なのか?すべてを、フィルターなしに受け止めることは、どれだけ重いことなのか?作者の絶望が、題名に表れているように、その絶望に何ができるのか?考えさせ...
人と寄り添うということがどれだけ人を支えているのか?作者が自然にしているすべての行為が、勉強になる。人と寄り添うことがどれくらい大変なのか?すべてを、フィルターなしに受け止めることは、どれだけ重いことなのか?作者の絶望が、題名に表れているように、その絶望に何ができるのか?考えさせられる良書です。
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読んでから1ヶ月が経ったけれど、感想が書けない。 「もらった」ことばは、手帳に書き写した。 繰り返し考えないといけないなと思う。 でもそれができるのかなとも思う。
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