海をあげる の商品レビュー
本屋大賞2021年ノンフィクション本大賞受賞ということで手に取った。著者は、若年出産した女性や、風俗業界で働く女性、性虐待にあった女性などの調査をしている琉球大学の教授だが、ノンフィクションというより、筆致はエッセイのよう。家族のこと、保育園に通う娘の微笑ましい話があるかと思えば...
本屋大賞2021年ノンフィクション本大賞受賞ということで手に取った。著者は、若年出産した女性や、風俗業界で働く女性、性虐待にあった女性などの調査をしている琉球大学の教授だが、ノンフィクションというより、筆致はエッセイのよう。家族のこと、保育園に通う娘の微笑ましい話があるかと思えば、父親から性暴力を受けていた女性の話や、沖縄のアメリカ基地の話、辺野古の問題などが語られる。女性の問題は、大学教授として学術的に書いたものではなく、一般向けに読みやすい文章で書いてあるからこそ、却って生々しく、胸に迫るものがある。
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たしかに食べる場面がとても多く印象的な本だった。 上間さんは痛みを知っているからこそ女の子たちの話をこれだけ聞けるのだろうなぁと思った。 私は数年前まで沖縄の基地問題だとかもほぼ知らなかった(今もちゃんとわかっているとは言えないかもだけれど)。2年ほど前に初めて行った沖縄はどこ...
たしかに食べる場面がとても多く印象的な本だった。 上間さんは痛みを知っているからこそ女の子たちの話をこれだけ聞けるのだろうなぁと思った。 私は数年前まで沖縄の基地問題だとかもほぼ知らなかった(今もちゃんとわかっているとは言えないかもだけれど)。2年ほど前に初めて行った沖縄はどこかアジアの外国を歩いているようでその街並みの全てが興味深かったのを覚えている。でも上間さんが暮らす辺野古は軍機の轟音が響き100年かかって完成するのかもわからない基地のために土砂が注がれている。そのことを本土の人々(自分も含め)はどれだけわかっているだろうか。 先の選挙で基地反対派の候補は軒並み落選した。それは基地建設を受け入れることでその代わりのお金が沖縄には支払われるからとも言われている。生活のためのお金のために基地を受け入れる?全く綺麗事ではないことはわかっている。いつも国はお金と引き換えにそういう差別をするのだろう。 そこにあるのはただ悲しみと抱えきれないなにかなのかもしれない。
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12編のエッセイ集、優しい出始めのエッセイから始まるけれど早くも3章目から重く厳しく哀しい現実を読み手に伝えてくる。 未だ行ったことの無い沖縄だが何かにつけ本土の防波堤にされてきた沖縄。 これまでも今もこれからも多分変わる兆しが無い立ち位置へのもどかしさ辛さ嘆き、そして怒りが静か...
12編のエッセイ集、優しい出始めのエッセイから始まるけれど早くも3章目から重く厳しく哀しい現実を読み手に伝えてくる。 未だ行ったことの無い沖縄だが何かにつけ本土の防波堤にされてきた沖縄。 これまでも今もこれからも多分変わる兆しが無い立ち位置へのもどかしさ辛さ嘆き、そして怒りが静かに確かに伝わってくる好著です♪ 遠い他人事みたいな視点しか持たないわたし達を静かに、しかし強く揺さぶる作品で襟を正して読みました。版を重ねていることに納得し共感しています。
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こんな風にやわらかい語り口調で、シリアスな問題を語れる著者は素敵な人なのだろうと思う。 まだ、うまく言葉にできない。 何度も何度も読みかえして、言葉を綴りたい。
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書店で目につき購入しました。 3時間くらいで一気に読むことができ、 読みやすかったです。 沖縄在住ですが知らないことも沢山ありました。 性虐待や基地問題。 沖縄が国に背負わされているもの。 本のタイトルにもなっている「海をあげる」という章の最後の文がとても心に刺さりました。
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図書館で8人待ちだったけれど、予想より早く読めた 一言で言うと、読みやすい本 時々、はっとさせられる文章が出てくる 娘の純粋さが、読みやすくしているな、と 選挙結果で落ち込んでいただけに、読んでよかった
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聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれない。 ・この海をひとりで抱えることはできない。だからあなたに、海をあげる。 →沖縄以外で何年か生活してみてはじめて、"沖縄ってユニークなとこ"と思ったと同時に、"沖縄について全然わかってない"と思っ...
聞く耳を持つものの前でしか言葉は紡がれない。 ・この海をひとりで抱えることはできない。だからあなたに、海をあげる。 →沖縄以外で何年か生活してみてはじめて、"沖縄ってユニークなとこ"と思ったと同時に、"沖縄について全然わかってない"と思った。やっぱ、歴史や世相を学んで、考えることは大切!
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「裸足で逃げる」に続いて、こちらも妻の勧めだ。前作はインタビュー記事ばかりだったが、今回はインタビューを、織り交ぜたエッセイ集という仕上がり。沖縄の目を背けたくなる現実が赤裸々に描かれている。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この本が広く読まれていることに正直驚いた。そして自分のことのように嬉しい。筆者と同じように一度沖縄を出て戻ってきた組。基地や貧困からは離れた場所で育ったけど、青い海だけじゃないことは知ってるし、聞かされてきた。 上間さんの祖母と自分の母が重なってみえたり、ジャーマンケーキが好きなこと、リアルタイムで見てたハンガーストライキ、そうだよねって思うことは多々あったけど、風俗で働く少年少女や、未成年の出産に関しては、遠い話のように感じた。住む世界が分断されていることを思い知らされる。
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沖縄のイメージが変わった。 自分も加害者という意識を持つようになった。 自分なりにできることを考え、実行していきたい。
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