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八月の銀の雪 の商品レビュー

3.9

279件のお客様レビュー

  1. 5つ

    67

  2. 4つ

    123

  3. 3つ

    63

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    3

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2024/08/22

イヤー暑い!!! 体温以上の気温になると聞いただけで、ウンザリとする毎日! そんな時、読んだ本の後ろに本の紹介があり、「八月の銀の雪」と…… どんな本だろうと……と思った! 5話からなる。 コンビニでアルバイトしているベトナム人の女性 グエン。 いつも、失敗しているのか、...

イヤー暑い!!! 体温以上の気温になると聞いただけで、ウンザリとする毎日! そんな時、読んだ本の後ろに本の紹介があり、「八月の銀の雪」と…… どんな本だろうと……と思った! 5話からなる。 コンビニでアルバイトしているベトナム人の女性 グエン。 いつも、失敗しているのか、怒られている。 そんな姿を横目に見ていた堀川は、大学時代のゼミ友達と 再開して仮想通貨に誘われる。 ひょんな事で、メモ代わり使われた紙は、グエンの大事な論文に必要物だった。…… 地球の内核に もう一つの星、銀色に輝く星! そんな中に銀色の森があり、鉄の結晶のかけらが、凍って内核の表面に落ちて来る。 実際はどうなのか、わからないが、この幻想的光景が、絵本から抜け出てくるような錯覚に陥る。 「海へ還る日」 上野の自然博物館! そう、玄関に体長30㍍の鯨! 行った時、写真にも撮った! 内部も、大人が一日遊べる(?)感じがするほど、見たい物に溢れている。 ここに登場する網野先生の方が、いてたら、クジラの歌を聞けたのかな?なんて…想像してしまった。 「アルノーと檸檬」 伝書鳩にまつわる話。 いつも、不思議に思っていた渡り鳥! あの広い海原を方向もわからないだろうし、休む木の枝も無い。 そう思っていたら、渡り鳥は、枝を加えて飛ぶのだと、誰かに聞いた事がある。 ここでは、方向に、地磁気を利用していて方向を察知していると…… テレビで、動物の出てくる動画を見ていたら、カモのヒナを助けた夫婦が、成長したカモを群れに返すため離すのだが、一年後、又、その場所に戻って来るシーンがあった。 カモも、この磁気を察知してイルのだろうか! 「玻璃を拾う」 茶町、から出町柳、よく行った場所が舞台で、最初に出てくる二人の女性の会話! 大阪出身の私には、とても良いテンポで始まる小説である。 しかし、中身は、濃い! 珪藻土の珪藻について語られているが、生き物なのにガラス!?! 初めて知る!!! お風呂のマットに使っているアレ何だよね! 睫から花に……となる事も、なぜか楽しくなる? 「十万年の風」 凧に纏わる話であるが、時代小説で、新潟の三条では、凧でなく、イカと呼ぶと言う話を読んだのを思い出しながら、読み出した。 壮大な仕事の凧あげである。戦争中は、何でも、やってみようと言う気質だったのだろう! アメリカまで風船爆弾を飛ばすと言う策略。 それには、観測データが必要に迫られる。 一方は、このデータでの実験で父を無くした者。 そして、仕事で曖昧な工作の依頼に嫌気がさした男。 凧あげでわかる気象観測! 11/3に吹く偏西風に、未来はどう吹き続けるのだろう。

Posted byブクログ

2024/08/12

わたしは、わたしたちは、何も知らない。 表題作「八月の銀の雪」を含む、 五篇からなる短編集。 読書が苦手な理系の人、 理系が苦手な読書好きの人に、 もちろん、理系で読書好きな人にも、 読んで欲しい本。 全編よかった! ちょっとだけ前向きになれた。 何気ない日常に、科学が関...

わたしは、わたしたちは、何も知らない。 表題作「八月の銀の雪」を含む、 五篇からなる短編集。 読書が苦手な理系の人、 理系が苦手な読書好きの人に、 もちろん、理系で読書好きな人にも、 読んで欲しい本。 全編よかった! ちょっとだけ前向きになれた。 何気ない日常に、科学が関わってくる。 就活で苦戦する大学生。子育てに悩むシングルマザー。古いアパートの立ち退き交渉を任された不動管理会社の契約社員。SNSにあげた写真で裁判沙汰になりそうになった女性。車で福島に向かう途中、浜で揚げられていた巨大な凧が気になり寄り道する男。 これらの登場人物に科学や研究の話が関わってくる。押し付けがましい知識の話ではなくて純粋に興味深かった。科学には純粋な無責任さと重い責任がある。その科学の冷たいイメージに人間らしい温かさまで感じる事ができた。 「八月の銀の雪」 銀の雪が降る音が聞こえる。 「海へ還る日」 広くても淋しくない、繋がっているから。 「アルノーと檸檬」 みんな、帰りたい場所があるんだよ。 「玻璃を拾う」 言葉を超えて、純粋に綺麗だと思った。 「十万年の西風」 科学の責任。誰の責任。

Posted byブクログ

2024/08/07

理系の人の浪漫に触れる短編集。 どの話も、悩み、孤独が付き纏う人が自分の好きを追求している理系女子あるいは男子に出会い、今まで知らなかった世界観に感銘を受ける。 読んでいて、自分もその体験をできた。 読書って素晴らしい。 私の知らないことは無限にある。本を読むことで知らないことを...

理系の人の浪漫に触れる短編集。 どの話も、悩み、孤独が付き纏う人が自分の好きを追求している理系女子あるいは男子に出会い、今まで知らなかった世界観に感銘を受ける。 読んでいて、自分もその体験をできた。 読書って素晴らしい。 私の知らないことは無限にある。本を読むことで知らないことを知ることができるんだな、とソクラテスのようなことを考えてしまった、

Posted byブクログ

2024/07/26

科学の真実と人間の想いが融合した短編集。 地球の中心に積もる、鉄の雪。クジラの歌声。伝書バトの故郷。珪藻アート。十万年の西風。 どのテーマも興味深かった。 こんなにも素敵に科学を言葉で表現できるんだね。 地球って神秘的だなぁ、自然って美しいなぁと胸を打たれた。 それらと、人...

科学の真実と人間の想いが融合した短編集。 地球の中心に積もる、鉄の雪。クジラの歌声。伝書バトの故郷。珪藻アート。十万年の西風。 どのテーマも興味深かった。 こんなにも素敵に科学を言葉で表現できるんだね。 地球って神秘的だなぁ、自然って美しいなぁと胸を打たれた。 それらと、人生や誇りといった、登場人物たちの物語が相まって、読み終えたとき、人間として、そして日本人として生まれたことに、少しの希望をもらえた。 伊予原新さんの他の作品もぜひ読んでいきたい。

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2024/07/12

2021年本屋大賞ノミネート、直木賞候補作 著者のことは何も知らなくて、YouTubeの読書チャンネルを見て興味を持ち、読み始めたもの。 化学と人の優しさがキーとなってくるこの作品は、読む前は"化学"という部分をとっても難しく、理解出来ないのではないかと、...

2021年本屋大賞ノミネート、直木賞候補作 著者のことは何も知らなくて、YouTubeの読書チャンネルを見て興味を持ち、読み始めたもの。 化学と人の優しさがキーとなってくるこの作品は、読む前は"化学"という部分をとっても難しく、理解出来ないのではないかと、思っていた。 だけどかなり分かりやすく優しく盛り込まれていて、雑学としてしまっておきたくなるようなものばかり! そして何よりみんなそっと手を差し伸べてくれるような優しさで、読後はとてもほっこりと爽やかな気持ちになれる(o^^o)

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2024/07/10

ちょい理系の話で難しかったけど ホンワカ温かい話ばっかでした^_^ 戦争の話知らない事まだまだありますね。

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2024/07/07

理学部出身の作者らしい化学要素が詰まった短編集。 文系の私にはちょっと難解な部分もあったけど、一つ一つのストーリーはよくできていて、興味深く読めました。 特に「アルノーと檸檬」がよかったです。

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2024/06/17

短編集。 段ボールメーラーを作れる就活うまく行ってない大学生と留学生の話とクジラの話とレース鳩と珪藻の花を作れる奴の話と偏西風で風船爆弾飛ばす話だった。 どの話もなんかすごい知識がある人が出てきて感心した。 クジラがでかいのは知っていたし、レース鳩というのがあるのも知っていた。 ...

短編集。 段ボールメーラーを作れる就活うまく行ってない大学生と留学生の話とクジラの話とレース鳩と珪藻の花を作れる奴の話と偏西風で風船爆弾飛ばす話だった。 どの話もなんかすごい知識がある人が出てきて感心した。 クジラがでかいのは知っていたし、レース鳩というのがあるのも知っていた。 ただ、第二次世界大戦で日本が風船爆弾を使ってアメリカと戦おうとしていたことは知らなかった。本当かなぁ。 まぁ、どの話もよくできている。ただ、感動には短編じゃ至らなかったな。

Posted byブクログ

2024/06/13

本屋大賞ノミネート作品 短編集はあまり好みではないのだがこの作品は楽しめた どの短編にもメッセージが込められているように思われ考えさせられる場面が多かった

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2024/06/05

 著者作品は二作目。  前作と同じく短編集だ。経歴(神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了)を活かした、科学的蘊蓄、自然の摂理を物語に絡ませながらのハートウォーミングな筆致は相変わらず。  前回読んだ『月まで三キロ』の時のレビューを...

 著者作品は二作目。  前作と同じく短編集だ。経歴(神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了)を活かした、科学的蘊蓄、自然の摂理を物語に絡ませながらのハートウォーミングな筆致は相変わらず。  前回読んだ『月まで三キロ』の時のレビューを見返してみると、「悪人がいないこと」がタマニキズとある。さて、その翌年に出た本作はどうだろうか?  5篇のお話が収まっている。 『八月の銀の雪』は地球の核のお話。鉄の塊の核があり、液体の外核の中に浮かんでいる。鉄の結晶が伸びた樹枝のような森に覆われ、雪のように鉄の結晶が降り積もる。 『海へ還る日』は、クジラのお話。シングルマザーの苦労を、クジラやシャチの群れに存在する親に代わって世話をする育児を終えたメスを例に、現代社会の、都会の殺伐さを浮き彫りにする。 『アルノーと檸檬』、伝書鳩の世界。どこに居ても自分の帰る場所、その方角を認識している鳩の能力。故郷を捨て、家族と絶縁して都会に暮らす不動産デベロッパーの、帰巣本能を刺激する。 『玻璃を拾う』は、ミクロの世界。微生物の珪藻を使ったアートをキッカケに出会うことになる男女の話。関西弁のやりとりに無理がないのは、作者の出自によるものか。 『十万年の西風』。気象にまつわるお話に、原発の放射線廃棄物のお話を絡める。  結果、やはり、これといった悪人は、出てこない。  強いてあげれば『八月の銀の雪』に出てくる大学の知人。怪しげな投資ビジネスに人を勧誘する、その片棒を担がせようとするが、主人公に直接の害が及ぶわけではないので、敵対する存在としての「悪」ではない。 「人間の中身も層構造のようなものだ。地球と同じように。」  と、あるように、その友人にしても、表面的な見た目とは別の内面がある。  科学の小ネタは楽しい。悪くはないが・・・ という短編集。前作ほど夢中になれなかった。

Posted byブクログ