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八月の銀の雪 の商品レビュー

3.9

279件のお客様レビュー

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    67

  2. 4つ

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  3. 3つ

    63

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2023/06/29

生きづらさを抱える人たちが人と出会い学び、自分の人生を模索していく物語だった。地球の内核、クジラの歌、新聞社に飼われていた鳩たち、珪藻でつくられたアート、第二次世界大戦時に日本軍で用いられた風船爆弾…扱われるモチーフは科学的なもので、その説明を聞いてるだけでワクワクする。

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2023/06/28

現時点では伊与原新さんの代表作だろうか。社会的に弱者と思われる人たちに寄り添う理系の物語。よくあるだろう短編集に伊与原さんが得意としている理系の分野を絡ませることで作品に奥行きと持たせている。取り上げる題材がまた面白い。地球の深部だったり原子炉だったり血統書の鳩だったり。自分の全...

現時点では伊与原新さんの代表作だろうか。社会的に弱者と思われる人たちに寄り添う理系の物語。よくあるだろう短編集に伊与原さんが得意としている理系の分野を絡ませることで作品に奥行きと持たせている。取り上げる題材がまた面白い。地球の深部だったり原子炉だったり血統書の鳩だったり。自分の全く知らないジャンルを知ることは楽しいが物語にのせることでそれが倍増される。その手法が成功している確かな例だろう。特に良かったのは表題作。地球深部の声を人間内部の声とリンクさせた世界観はタイトルの通りきらめいて見えた。

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2023/06/23

月まで3キロを読んでからたまに読みたくなる作家さん 今回は自然科学について 人間関係に疲れたら、人のことなんて何にも考えなくてすむ自然の中にふと迷い込みたくなることがあるけれど、こんな本を読むのもいいかもしれない

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2023/06/09
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耳を澄ませていよう。 地球の奥底で、大切な何かが静かに降り積もる音に――。 不愛想で手際が悪い。コンビニのベトナム人店員グエンが、就活連敗中の理系大学生、堀川に見せた真の姿とは(「八月の銀の雪」)。 会社を辞め、一人旅をしていた辰朗は、凧を揚げる初老の男に出会う。 その父親が太平洋戦争に従軍した気象技術者だったことを知り……(「十万年の西風」)。 (アマゾンより引用)

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2023/06/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人生で何かに躓いていたり悩んでいたりする主人公が 科学や自然の知識に触れることで すこし前向きになるという5つ短編集。 完全に悩みが解決するというよりは、 少し心が楽になるような描写だったのが好み。 全体的に心温まるストーリーになっている。 科学のことも、文系の私でも分かりやすいものだった。 特に興味を持ったのは『アルノーと檸檬』に出てきた伝書鳩の話。 実物の鳩は正直苦手なのだけど、鳩(を含む鳥類)のすごさを知ることができた。 伊与原さんの作品を他にも読んでみたい。

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2023/06/07

社会に出たら、いくら自分を実力以上に見せようとしても、化けの皮は必ずはがれる。お前みたいな奴は、不器用でもこつこつ何かをやってきた人間には絶対に勝てない。

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2023/05/17

この方の本は初めて読んだけど、雰囲気が好きだと思った。 短編集。心の深いところで、立ち止まったりどこへも行けなくなってしまった人たちが主人公だった。 そんな主人公たちに、地球の内核だったり、珪藻(微生物)だったり、鯨や凧だったり、そういう、生き物とか自然とかが、寄り添ってくれた...

この方の本は初めて読んだけど、雰囲気が好きだと思った。 短編集。心の深いところで、立ち止まったりどこへも行けなくなってしまった人たちが主人公だった。 そんな主人公たちに、地球の内核だったり、珪藻(微生物)だったり、鯨や凧だったり、そういう、生き物とか自然とかが、寄り添ってくれたり大丈夫だよって言ってくれたりする、そういう印象のお話たちだった。

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2023/05/05

表題作含む5編の短編集。人生を立ち止まってしまった人々が、偶然の出会いから地球・生物・植物などの自然科学を知り、本当に大切なものに気づき、また前に進んでいく。理系の作家ならではのエピソードが面白い。希望にあふれる余韻が清々しい

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2023/04/30

地球の内核、クジラ、伝書鳩、珪藻、風船爆弾と興味深いモチーフの数々。そこに、静かな温度感の人間模様が組みわ合わる。その両面から引き込まれてしまいます。

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2023/04/12

本書に収められている五つの短編のどれもが良く、読後感が爽快で、気持ちを前向きにさせてくれる。人生につまずいたり、悩んでいる主人公たちが、ふとしたことで科学に触れ、それに真摯に向き合っている人を知ることで、自然の奥深さに気づき、目の前の葛藤がうっすらと晴れ上がっていくストーリー展開...

本書に収められている五つの短編のどれもが良く、読後感が爽快で、気持ちを前向きにさせてくれる。人生につまずいたり、悩んでいる主人公たちが、ふとしたことで科学に触れ、それに真摯に向き合っている人を知ることで、自然の奥深さに気づき、目の前の葛藤がうっすらと晴れ上がっていくストーリー展開に深く共感できた。ひとつひとつのテーマはかなり専門的なものであるが、平易な言葉でわかりやすく、ときにくすりと笑わせるような文体が良く、作者の包容力の大きさを感じさせる。こういう小説こそが本屋大賞にふさわしいと思うのだが…

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