東京藝大 仏さま研究室 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
これは相当面白い。 藝大の仏像修復や作成を専門とする研究室にいる院生4人が、それぞれの修士課題として、仏像を模刻(絵でいうと模写)する。 実際の仏像からモデルを選び、それと同じものを木から作成するのだ。対象の仏像が当時どのように作成されたかを調査研究し、当時の技法で再現する。 X線撮影や3D計測を使い構造を明らかにする。 モデルの仏像探しの苦労や寺や檀家さんに許可をとるむずかしさ。 材料となる木材を調達する過程で、木を使った仏像にもいろいろな種類や歴史があること 実際に木から彫像していくことの難しさ など、知らなかったことが満載だった。 仏像修復や、時代ごとに仏師の在り方が変わっていった話、などなど、たくさん盛り込まれている これが仏像のドキュメンタリーとして描かれていたら、こんなに引き込まれる読み物にはなっていなかっただろう。 若者(といっても多浪あたりまえの世界)が人生の方向性に真剣に悩みながら仏像と向き合う姿にも引き込まれる。 読後感がすばらしく、読書前後で仏像について仏像知識を大幅に得た自分にも満足である。 これを読んだ後に、 東京藝術大学 保存修復彫刻研究室 のホームページをぜひ見てほしい。 モデルとなったであろう先生が2021年3月退官とのことで退官記念オンライン展示により、研究内容が詳細にわかりやすく紹介されている。 ひょえーーーという声が漏れるほど、精緻な調査検討による摸刻と、摸刻を通じた作成時の彫刻方法の考察があり、摸刻というものの重要性が非常によくわかった。
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最近アートの解説や原田マハの本を読んでいて、自分にはアートは理解できないのかと思っていたところで、橘玲さんのTwitterで紹介されていたので読んでみる 柔らかい文体で読みやすい 登場人物に「東京藝大の人」というイメージにあるエキセントリックさは感じられなかった 話もしてみたこ...
最近アートの解説や原田マハの本を読んでいて、自分にはアートは理解できないのかと思っていたところで、橘玲さんのTwitterで紹介されていたので読んでみる 柔らかい文体で読みやすい 登場人物に「東京藝大の人」というイメージにあるエキセントリックさは感じられなかった 話もしてみたことないけど、そんなものなのかな 仏像の歴史やその素材などについても勉強になった 自分には理解できなくてもアートや基礎研究に公的な援助が必要なことはなんとなくわかる 著者が亡くなっているのが残念
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実在する仏像の歴史などが登場し、それを観に行きたい想いに駆られた。 「仏様と在る暮らし、仏様が寄る辺である暮らし‥」いいなぁ~。 「仏像に功徳があるというのか?‥疫病も絶えず人をおそう。仏はいったい、誰の肩を持っているのだ?」と不動明王の想いを想像した言葉に、驚き考えさせられた...
実在する仏像の歴史などが登場し、それを観に行きたい想いに駆られた。 「仏様と在る暮らし、仏様が寄る辺である暮らし‥」いいなぁ~。 「仏像に功徳があるというのか?‥疫病も絶えず人をおそう。仏はいったい、誰の肩を持っているのだ?」と不動明王の想いを想像した言葉に、驚き考えさせられた。 木に煩悶するシゲと父、材木店の父娘の話に優しさと切なさを感じた。 「あらゆる悪いことはしない、善いことは喜んでしましょう、いつも心を清めて」などなど、仏の教えが伝わった。 学ぶことの多い、素敵な話だった。
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面白かった。 空間把握能力皆無の私には、仏さまがどのようにつくられていくのか、途中からわからなくなったけど、藝大の修士課程所属学生という特殊な環境のなかで、4人の学生のエピソードが綴られ、全体の時間が進んでいく、というのはとても好みの構成だった。 できすぎな展開も出てくるのだけど...
面白かった。 空間把握能力皆無の私には、仏さまがどのようにつくられていくのか、途中からわからなくなったけど、藝大の修士課程所属学生という特殊な環境のなかで、4人の学生のエピソードが綴られ、全体の時間が進んでいく、というのはとても好みの構成だった。 できすぎな展開も出てくるのだけど、それすら心地よく感じるのが不思議。
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藝大生に憧れる。東大より高い倍率。そこで学ぶ個性的で才能ある人々…。この本は東京藝大で仏像の保存について研究する「仏さま研究室」の修了課題・仏像の「模刻」に取り組む学生たちの物語だ。恋や家族との関係、劣等感、進路など様々な悩みを抱えつつ、向き合い乗り越えようとする姿が爽やか。
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すごく読みやすくて面白かった。知らなかった東京藝大のこと、仏像修復のことなど、別に知りたいと思っていた訳じゃないけど、どんどん興味が湧いてきて、読み進めたくなってくる。 上記のただの説明でなく、そこで学ぶ学生たちのドラマもくさくなく描かれている。 珍念さんで続刊出ないかな…。
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東京芸大大学院の文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室の院生たちの一年間。修士修了に必要な仏像模刻に挑む四人それぞれの生き方を通して、このちょっと珍しい研究室と仏像修復の基本を小説で教えてくれる。ノンフィクションで書いても良かったのかも知れないけれど、小説仕立てで読みやすかった。 芸...
東京芸大大学院の文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室の院生たちの一年間。修士修了に必要な仏像模刻に挑む四人それぞれの生き方を通して、このちょっと珍しい研究室と仏像修復の基本を小説で教えてくれる。ノンフィクションで書いても良かったのかも知れないけれど、小説仕立てで読みやすかった。 芸大って、やっぱり不思議な大学だ。
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仏像好きにはたまらない一冊。 良い。本当に良い。色々勉強にもなるし、1人1人が成長していく様が美しい。もうあの頃に戻れないおじさんには胸が熱くなるね。 20年以上前に本気で仏師を志した事を思い出した。ネットもままならない時代だったから、情報どころか応募の仕方も分からず諦めたな笑...
仏像好きにはたまらない一冊。 良い。本当に良い。色々勉強にもなるし、1人1人が成長していく様が美しい。もうあの頃に戻れないおじさんには胸が熱くなるね。 20年以上前に本気で仏師を志した事を思い出した。ネットもままならない時代だったから、情報どころか応募の仕方も分からず諦めたな笑
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東京藝大の通称「仏さま研究室」の修了課題として「模刻」に挑む4人の奮闘記。 仏像といっても、時代・地域により様々な手法があることなど、また材料も多岐にわたることなど興味深かった。 いくらフィクションとはいえ、アンリの夢物語はちょっと微妙。檀家のお年寄りなり、先輩などからの言葉...
東京藝大の通称「仏さま研究室」の修了課題として「模刻」に挑む4人の奮闘記。 仏像といっても、時代・地域により様々な手法があることなど、また材料も多岐にわたることなど興味深かった。 いくらフィクションとはいえ、アンリの夢物語はちょっと微妙。檀家のお年寄りなり、先輩などからの言葉では伝えられなかったのだろうか。 野望に燃えた(笑)珍念のその後は気になるところ。
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未知の世界に足を踏み入れてしまった。 この本を読み始めた当初感じたこと。 しかし、結局は皆んな同じ人間。私のような芸術から遠く離れた人間と同じように悩み、考え、支え合いながら、困難を乗り越えていく。 仏像について詳細に解説してあり、興味深かった。恐らく、自分はそこまで仏様にのめ...
未知の世界に足を踏み入れてしまった。 この本を読み始めた当初感じたこと。 しかし、結局は皆んな同じ人間。私のような芸術から遠く離れた人間と同じように悩み、考え、支え合いながら、困難を乗り越えていく。 仏像について詳細に解説してあり、興味深かった。恐らく、自分はそこまで仏様にのめり込まないけれど、教養の一つとしてかじってみてもいいのかな、と思った次第だ。
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