東京藝大 仏さま研究室 の商品レビュー
これは読んでよかった一冊。 われわれ一般人には、東京藝大自体謎の組織なのだが… その中でも超ニッチな、仏像修復を専門とする研究室のお話。 正式名を、東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻修復彫刻研究室という。 その研究室の修士二年の四人の若者の一年が物語となる。 四人の...
これは読んでよかった一冊。 われわれ一般人には、東京藝大自体謎の組織なのだが… その中でも超ニッチな、仏像修復を専門とする研究室のお話。 正式名を、東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻修復彫刻研究室という。 その研究室の修士二年の四人の若者の一年が物語となる。 四人の若者がそれぞれに自分の進む道を見つけようともがくすがたも清々しい。 彼らを時に厳しく、時に温かく見守るスタッフと教授陣。 こういう人間ドラマも、読みごたえがあるが。 でもやはり、修復について、仏像についての話が掘り下げられているところがやはり堪えられない。 定朝から慶派への仏師たちのことも、しっかりインプットできる。 そういう話が、無理なくストーリーに織り込まれている。 それから、中国での修復ブームのことも興味深い。 「我在故宮修文物」というドキュメンタリー、見てみたい。 美術品でもあり、信仰の対象でもある仏像は、人々の暮らしの中にあって意味がある。 長い年月、災害からも戦乱からもそれを守ろうとしてきた人たちがいる。 そうやって残ってきたんだということを改めて思うと、自分の仏像への態度も改まりそうだ。
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知らなかった 藝大の天才たちがこんなに悩みながら作品を作っているとは! (作品でわなく仏さまで作っているのでわなく 模刻させていただいている) ウンチクも面白かったです 仏さまのお姿をスマホで探しながら読みました。
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東京藝術大学にあるという仏像を修復する大学院を舞台に、修士学生たちの青春物語というところ。仏像を模刻するとかで、仏像系の色んな話が出てくるのは面白かったが、青春物語的なところが今一つだったなあ。
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模刻のことがよくわかりました。この小説のなかの「ストーリー」と「ウンチク」との重みの比率は、4:6ぐらいな気がするんですが、ストーリーもなかなか楽しめました。大学生時代のモヤモヤを思い出し、解決が導かれてよかったねと思い、自分もがんばらねばとすこし気を引き締める、そんなかんじです...
模刻のことがよくわかりました。この小説のなかの「ストーリー」と「ウンチク」との重みの比率は、4:6ぐらいな気がするんですが、ストーリーもなかなか楽しめました。大学生時代のモヤモヤを思い出し、解決が導かれてよかったねと思い、自分もがんばらねばとすこし気を引き締める、そんなかんじです。【2022年1月23日読了】
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東京藝術大学大学院美術研究科 文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室のお話。 仏像の保存について研究し、課題は仏像の模刻。 仏教や仏像について学べ、仏像がどのような過程を経て作られているのかもわかる。課題と向き合い、自分の将来と向き合う姿は青春だなぁと思う。 普通の学校と違い、芸術...
東京藝術大学大学院美術研究科 文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室のお話。 仏像の保存について研究し、課題は仏像の模刻。 仏教や仏像について学べ、仏像がどのような過程を経て作られているのかもわかる。課題と向き合い、自分の将来と向き合う姿は青春だなぁと思う。 普通の学校と違い、芸術分野で生計を立てるのは難しい。では何のためにこの道を選んだのか?自分にとっての仏像とは?芸術とは? 「決められなくてもいい。間違うのも、答えを先延ばしにするのも仕方ない。けれど、目の前の対象にはあくまで誠実でないといけない。いったん始めたことからグズグズと逃げたら、自分からも逃げることになる。それこそ行き先がなくなる」という先生の言葉が残った。
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東京藝大大学院の文化財保存修復彫刻研究室を舞台にした連作短編群像劇。 プロローグとエピローグを別にして4章からなる。 * * * * * プロローグからしておもしろい。 文化財保存修復彫刻研究室という舞台を「仏さま研究室」と呼称するだけでいかめしさが消え親...
東京藝大大学院の文化財保存修復彫刻研究室を舞台にした連作短編群像劇。 プロローグとエピローグを別にして4章からなる。 * * * * * プロローグからしておもしろい。 文化財保存修復彫刻研究室という舞台を「仏さま研究室」と呼称するだけでいかめしさが消え親しみやすくなります。 構成もいい。 プロローグから第1章までは親しみやすいまひるが主人公 。以降の主人公を見ると、シゲ 、あいり 、ソウスケ と、性格の屈折度合いが増していき、ハラハラ具合も強くなります。 第4章に至っては大波乱でした。上手い並びだと思います。 また、各章を彩るイベントもいい。まひるとシゲの章のツンデレラブ、あいりの章の歴史ファンタジー、ソウスケの章の自然災害復旧ボランティア。 さらに脇役陣が魅力的です。例えばヤマ場で登場する一条教授の含蓄に富んだセリフにグッときます。その他、講師や助手の面々もいい味を出していました。 人物だけでなく、仏像の修復や彫刻をこれほど興味深く楽しげに描けるということに驚きました。映画監督と編集者の合作とは言え、その力量には、まったく感服するばかりでした。
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目の前の対象にはあくまで誠実でないといかん。いったん始めたことからグズグズと逃げたら、自分からも逃げることになるんや。それこそ行き先がなくなる 仏像の修復や模刻も通して仏像の歴史や藝大の授業について学べた。 現実的な内容なのに一部急にファンタジーが現れたのが残念。 仏像に興味を...
目の前の対象にはあくまで誠実でないといかん。いったん始めたことからグズグズと逃げたら、自分からも逃げることになるんや。それこそ行き先がなくなる 仏像の修復や模刻も通して仏像の歴史や藝大の授業について学べた。 現実的な内容なのに一部急にファンタジーが現れたのが残念。 仏像に興味を持てた。 外国の出土する像ではなく、人々の伝承として祈られながら守られてきたのが仏像で今までの長い歴史でたくさんの人を救ってきたということが新たな気づきだった。
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東京藝術大学で仏像の保存の研究室で、苦闘する院生四人。修士号を取得するには、現存する仏像を選んで、そっくりの物を模刻しなければならない。寺や檀家の意向で3Dのデータをとらせてくれなかったり、木の使い方に苦労したり。 非常に面白かった。何となく観ていた仏像の歴史、技法、造形。ノン...
東京藝術大学で仏像の保存の研究室で、苦闘する院生四人。修士号を取得するには、現存する仏像を選んで、そっくりの物を模刻しなければならない。寺や檀家の意向で3Dのデータをとらせてくれなかったり、木の使い方に苦労したり。 非常に面白かった。何となく観ていた仏像の歴史、技法、造形。ノンフィクションかと思うぐらい詳しい。エンターテイメントとしても、お勉強としても一級品だった。ドラマ化希望。
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東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室 別名「仏さま研究室」 その修士課程2年生の4人の修了製作である模刻のエピソードを中心に、仏さま研究室というものが、また仏像の保存修復とはどのように行われるものなのか、そもそもの修復の対象である仏像とは、それを信仰する...
東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室 別名「仏さま研究室」 その修士課程2年生の4人の修了製作である模刻のエピソードを中心に、仏さま研究室というものが、また仏像の保存修復とはどのように行われるものなのか、そもそもの修復の対象である仏像とは、それを信仰する人にとってどんな意味合いを持つものなのか、が描かれている。 仏像製作の歴史、南都仏師の誕生までのいきさつとか、おタクともいうべき熱い人たちの会話形式で説明されるため、なるほどーと、理解しやすい。 アイリの章、ちょっとスピリチュアル的な展開はどうか・・と思ったが、古より、仏像製作に携わった仏師たちがどのような思いで仏像を造り続けていたのかに思いをはせることが、保存修復だけでなく一般である私たちが仏像を鑑賞する際にも大事なことなのでは・・と思わせた。 あとシゲの章のカヤノキのエピソード、これはちょっと泣いた。
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東京芸大の特殊的な部分が垣間見る事が出来、興味をそそられた。特に美術部門は秘境の様で面白かった。 物語的にいうとちょっと都合良すぎて今一つであった。
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