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東京藝大 仏さま研究室 の商品レビュー

4.1

53件のお客様レビュー

  1. 5つ

    20

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2021/12/24

仏さまを作る仕事、修理する仕事。そんなことに携わる人たち。今の山の木々が置かれている環境。お寺と檀家さんのこと。信心とは… そして、進路を考えること、家族との関係、人生なかなか順調には行かないよねぇ… いろんなことを一気に考え、疑似体験できるとても素敵な小説です。 芸術家になる...

仏さまを作る仕事、修理する仕事。そんなことに携わる人たち。今の山の木々が置かれている環境。お寺と檀家さんのこと。信心とは… そして、進路を考えること、家族との関係、人生なかなか順調には行かないよねぇ… いろんなことを一気に考え、疑似体験できるとても素敵な小説です。 芸術家になるのに学校は必要なのか?と思うこともありますが、やはり、学問として学ぶことの必要制と大切さも感じました。先人に導かれること、歴史を知ることもとっても大事。それらが全て学びの場で提供される、それが学校というところなんですね。

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2022/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大学名を匿名にせず実名にしていることに大学と学生への愛情を感じる。卒業後の進路を数字で示しているのもこの大学の性質をよく表しているし学費に関してももっと詳しく知りたかった。研究室の性質上芸術家というより技能者養成という感じだが仏像というその他の芸術とは一線をかしている芸術だけに独特の世界が興味深くてよかった。

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2021/12/07

甘酸っぱくはあり、純粋な小説としては月並みと思うけれども、等身大の芸大生・・仏像補修に取り組もうとしている芸術エリートの、対象への向き合い方や、仏像彫刻のウンチクがしっかりと書かれていて、読んでいて楽しかった。

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2021/11/26

二宮敦人著「最後の秘境東京藝大」を以前読んで、こちらも気になってました。 「仏さま研究室」 正しくは、「東京藝術大学大学院美術研究科・文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室」 まさか学生が仏像の修復に関わっているとは思ってなかったので、驚きました! 研究室の四人の学生が「模彫」と...

二宮敦人著「最後の秘境東京藝大」を以前読んで、こちらも気になってました。 「仏さま研究室」 正しくは、「東京藝術大学大学院美術研究科・文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室」 まさか学生が仏像の修復に関わっているとは思ってなかったので、驚きました! 研究室の四人の学生が「模彫」という難題に向き合いながら個々の抱える問題とも同時に向き合い、悩んだり、改めて仏像の奥深さや魅力に気づいたり、友を見て焦ったり、自分も頑張ろうって思えたり…。葛藤しながら頑張る姿にグッとくる。 まさに青春!! 仏像について、修復について知らないことがいっぱいで興味深かったです。 時代を越えて受け継がれてきたもの。そこに込められた想いや長い歴史を感じられる作品。 こういう青春に絡めたロマンを感じられるのは個人的に大好きです。

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2021/11/21

 東京藝術大学仏様研究室の修士4人が各話の主人公として、1年次の冬から2年次の冬までの一つのストーリーが季節ごとに展開されていく。  東京藝大、仏像修復という特殊性が特に目を引くが、本作は小説・物語としての完成度が素晴らしい。期待を遥かに上回る面白さに魅了された。  個人的に...

 東京藝術大学仏様研究室の修士4人が各話の主人公として、1年次の冬から2年次の冬までの一つのストーリーが季節ごとに展開されていく。  東京藝大、仏像修復という特殊性が特に目を引くが、本作は小説・物語としての完成度が素晴らしい。期待を遥かに上回る面白さに魅了された。  個人的には2話目のシゲの話がお気に入り。親の期待から来る重責、すれ違い父と子の互いの気持ち。邂逅のきっかけがシゲとは全く違うタイプの同世代の女の子というのも良い。同じような悩みを持つ彼女へのアドバイスを通じて自身を見直していく。人のことになると客観的に見れるのに自分のこととなった途端に見えなくなってしまうのは実に不思議なことだと思う。  全体を通した、この藝大生たちの悩みは決して特殊なものではなく、誰もが抱える悩みだということ。劣等感、将来への不安、親との衝突。そこに共感できるからこその面白さだと思う。4話目のソウスケに対して一条先生が伝えた「目の前の対象には誠実たれ」(p265)は全てに通じる至言だ。まさに藝大という舞台装置を使った本格派の青春小説だと思う。

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2021/08/13

 藝大に実在する研究室をモデルにしたフィクション  去年、横浜そごう美術館で「スーパークローン展」という催しを観た。法隆寺の釈迦三尊像を3Dで計測し、当時の材料で鋳造し、実物大で再現、そして彫刻、彩色を施すというもの。果てしなく大変な労力を注ぎ込んで完成したそれは、単なるレプリ...

 藝大に実在する研究室をモデルにしたフィクション  去年、横浜そごう美術館で「スーパークローン展」という催しを観た。法隆寺の釈迦三尊像を3Dで計測し、当時の材料で鋳造し、実物大で再現、そして彫刻、彩色を施すというもの。果てしなく大変な労力を注ぎ込んで完成したそれは、単なるレプリカではなく、スーパークローンと呼ばれる。  これを作製したのが、この本の中で「仏さま研究室」と呼ばれている東京藝大の教授と学生のメンバー。登場人物やエピソードは架空の話だけれど、この本の中で語られている仏像模刻のカリキュラムは実際に行われていること。  仏像彫刻の歴史的変遷から、現在の寺院仏閣を取り巻く厳しい環境、檀家と寺の関係性、そして保存、修復における藝大の存在意義。一般にはほとんど知られていない文化財にまつわる蘊蓄あれこれを、軽快な文体で読ませてくれるので、すごくためになるし、面白い。  ノンフィクションにしたら、それはそれで良かったんじゃないか、とも思ったけど、登場する4人の藝大生たちの人生に迷い葛藤する姿が、また良い。  天上天下唯我独尊を貫くのが藝大生らしさなのかと勝手に思ってたけど、そんなことでもない。一丁前に懊悩するし、他人と比べては落ち込むし、挫折しては、また立ち直るという繰り返し。一般人とさして変わらない。(けしてディスってるわけではない)  これは小説にして正解だ。  青春小説としても良い出来だ。  ケチをつけるとすれば、本の表紙が凡庸なところくらいだ。全然この本の面白さを表現していない。

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2021/07/17

仏さま研究室に在籍する4人の大学院生のお話。仏像づくり(模刻)を通じて、それぞれの悩みと成長を描く。タイトルから、もっと荒唐無稽な話なのかと思っていたが、正統派の青春小説だった。 実は、この仏さま研究室、東京藝大に実在するとのこと。物語を通じて、実際の仏像修復の活動や、仏像の歴...

仏さま研究室に在籍する4人の大学院生のお話。仏像づくり(模刻)を通じて、それぞれの悩みと成長を描く。タイトルから、もっと荒唐無稽な話なのかと思っていたが、正統派の青春小説だった。 実は、この仏さま研究室、東京藝大に実在するとのこと。物語を通じて、実際の仏像修復の活動や、仏像の歴史といった知識も学べる。 作者は樹原アンミツとあるが、実は映画監督の三原光尋氏と、ライターの故・安倍晶子氏から成るユニット。と言われれば、確かに人間の内面を扱った作品のわりには、良くも悪くも、小説然としたクドさがない。安倍晶子氏は「メディアファクトリー新書」立ち上げ時からの編集長だそうで、知的エンタメとしての仕上りにも納得。

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2021/07/14
  • ネタバレ

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東京藝術大学大学院美術研究科 文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室、通称「仏さま研究室」では、日々仏像を修復したり制作したりしている。 その「仏さま研究室」の修士生4人の修了制作として仏像の摸刻を巡る物語。 仏像を摸刻してもよいか許可を取ったり、木を探したり、制作過程や制作後の進路だったり、悩みはいっぱい。4人は明るい未来を勝ち取れるのか。 藝大の物語と聞いて奇人変人の方々が出てくるのかと思いきや、青春を謳歌している悩める学生さんのお話だった。夏に学生さんが読む本としてピッタリです。 仏像の知識もさらっと盛り込まれていて仏像の展覧会に行くときがあれば再読したい。

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2021/07/05

ちょっと変わったタイトルだが、東京藝大に実際にある研究室をモデルにした小説である。 研究室の名は東京藝術大学大学院美術研究科・文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室。 無暗と長いが、要するに、仏像などの文化財の保存修復を手掛ける研究室である。 東京藝大というと、芸術家を輩出するところ...

ちょっと変わったタイトルだが、東京藝大に実際にある研究室をモデルにした小説である。 研究室の名は東京藝術大学大学院美術研究科・文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室。 無暗と長いが、要するに、仏像などの文化財の保存修復を手掛ける研究室である。 東京藝大というと、芸術家を輩出するところという印象だが、この研究室は、自らアートを作り上げるというよりは、古い仏像などの模刻(まねて、同じように作ること)や修復を行う、技術者養成の面も大きい。「仏像修理が学べる国内唯一の大学組織」というわけだ。 東京藝大のどこか尖がったイメージからは少々意外にも思えるが、これには訳がある。藝大の前身の片割れである東京美術学校(もう一方は東京音楽学校)の設立は明治時代初めであり、「廃仏毀釈」が叫ばれたころである。だが、日本の古美術が排斥されていくのを恐れた創立者たちは、教授陣に日本画や仏像彫刻・伝統工芸品の職人をあえて多く迎えた。「文化財保護」の礎を築いてきた伝統もまたあるのだ。 彫刻家である籔内佐斗司が教授に就任(在籍は2004年~2021年3月)して、注目が高まった研究室である。 著者・樹木アンミツは、映画監督・三原光尋とライター・安倍(あんばい)晶子の合作ペンネームである。三原が企画を立ち上げて、取材交渉や原案を担当し、安倍が小説化した。 取材は綿密になされている印象だが、本書はノンフィクションではなく、堂々の青春小説である。 主人公らは、保存修復彫刻研究室=「仏さま研究室」の修士2年生4人。この研究室では、修士2年の課題として、自分の好きな仏さまを一体選び、模刻することになっている。 田舎の美術大学から院で藝大にやってきた「まひる」。美術家としては一流になれなかった父への反発を抱いている「シゲ」。天才肌で冷たく見られがちだが実は繊細で煩悶を抱える「アイリ」。体育会系で進路にも恋路にも悩んでいる「ソウスケ」。 個性豊かな4人が、これだと思う仏さまに出会い、模刻を仕上げる中でさまざまに悩み、波風にもまれる。それぞれの物語がオムニバス形式で綴られる。 そんな青春模様の合間に、仏像修復や模刻の手順、寺や檀家との交渉、日本の林業が抱える問題などが丁寧に織り込まれていく。 脇を固めるのは、籔内がモデルであろう一条教授、教授の下で働く牛頭(ごず)・馬頭(めず)先生(もちろん、地獄の獄卒・牛頭馬頭に譬えているだけで、本名ではない)、1つ下で寺の息子の通称「珍念」など。 ディープにがっつり仏像制作の歴史や模刻にまつわる技術的・社会的困難などを盛り込みつつも、彼ら・彼女らが抱える問題は、実に普遍的である。 自分とは何者か。自分はどこを目指しているのか。 修了制作の期間を終え、あるものは軽やかに転身し、あるものは一度すべてをリセットし、あるものは泥臭く地を這う道を選ぶ。 そのすべてがあるいは、彼ら・彼女らが出会った「仏」の導きであったのかもしれない。 仏の像を刻み、それに祈るとは何か。そんなことも思わせるような余韻を残す。 東京藝大の「藝」は「芸」の旧字である。だが実際は、「芸」は本来、「くさぎる」「刈る」を意味し、「藝」は「植える」「増やす」を意味する。むしろ、反対の意味を持つのだという。 「藝」の字を冠する大学で学んだ彼ら・彼女らは、果たしてこの先、「人にいいものを植えたり増やしたり」する人になれるのだろうか。 登場人物の誰彼を心の中で励ましつつ、自分も励まされるさわやかな読み心地。 なかなかの好作である。 <関連> ・『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』 こちらはノンフィクション ・『げいさい』 現役美術家が描く、芸大生・芸大予備校生の青春

Posted byブクログ

2021/06/06
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※このレビューにはネタバレを含みます

これは相当面白い。 藝大の仏像修復や作成を専門とする研究室にいる院生4人が、それぞれの修士課題として、仏像を模刻(絵でいうと模写)する。 実際の仏像からモデルを選び、それと同じものを木から作成するのだ。対象の仏像が当時どのように作成されたかを調査研究し、当時の技法で再現する。 X線撮影や3D計測を使い構造を明らかにする。 モデルの仏像探しの苦労や寺や檀家さんに許可をとるむずかしさ。 材料となる木材を調達する過程で、木を使った仏像にもいろいろな種類や歴史があること 実際に木から彫像していくことの難しさ など、知らなかったことが満載だった。 仏像修復や、時代ごとに仏師の在り方が変わっていった話、などなど、たくさん盛り込まれている これが仏像のドキュメンタリーとして描かれていたら、こんなに引き込まれる読み物にはなっていなかっただろう。 若者(といっても多浪あたりまえの世界)が人生の方向性に真剣に悩みながら仏像と向き合う姿にも引き込まれる。 読後感がすばらしく、読書前後で仏像について仏像知識を大幅に得た自分にも満足である。 これを読んだ後に、 ​東京藝術大学 保存修復彫刻研究室  のホームページをぜひ見てほしい。 モデルとなったであろう先生が2021年3月退官とのことで退官記念オンライン展示により、研究内容が詳細にわかりやすく紹介されている。 ひょえーーーという声が漏れるほど、精緻な調査検討による摸刻と、摸刻を通じた作成時の彫刻方法の考察があり、摸刻というものの重要性が非常によくわかった。

Posted byブクログ