とわの庭 の商品レビュー
タイトルと表紙から、癒し系のほっこりなお話かなぁと思い読み進めていった。 途中から胸がざわざわし始め、この幸せが続いてくれと願いつつ、とわの目が見えていないので、この状況を自分も完全に把握できないことに「本当はどうなっているの?」と不安を覚える。小説なのだから、そもそも文章でしか...
タイトルと表紙から、癒し系のほっこりなお話かなぁと思い読み進めていった。 途中から胸がざわざわし始め、この幸せが続いてくれと願いつつ、とわの目が見えていないので、この状況を自分も完全に把握できないことに「本当はどうなっているの?」と不安を覚える。小説なのだから、そもそも文章でしか判断できないのだけれど。もどかしさを感じながらも、自分もいろんな感覚を研ぎ澄ませて想像して読み耽ってしまった。 生き延びるために、もちろん食料や水も必要だけれど、その人にとっての「光」があるかどうかで違ってくる。とわちゃんは、それを見出すのが上手だ。 母に対する気持ちは、どうしていいのかわからないだろう。世間ではかわいそうな子、ひどい母親と言われるだろうけど、本人たちにとってはいい思い出だってたくさんあった。それを肯定してあげるような証拠を、母のためににそっと心の中に貯めていく様子は、なんて健気なんだろう。 きっと、とわちゃんは運がいい。それは、自分の力でちゃんと引き寄せているのだ。 憎しみはどんどん膨れ上がり、また憎しみを生むけれど、とわちゃんの光によって、運がどんどん引き寄せられている気がした。 ああ、天丼と牛丼が食べたいなぁ。
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個人的に小川糸さんの作風が大好きなんですが、今回もやはり心あたたかい作品でした。 最初はあれ?幸せな家族なのかなと思いきや途中からの異質な感じ。でも驚いたのはとわちゃんが母親を憎んでいないこと。2人の間に愛があったかは分かりませんが少しでもあってほしいなぁ。 目が見えない分匂いや空気で感じ取ろうとするとわちゃんの感性がとても素敵でした。
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ひどい虐待の話。こういう話は、どう読み換えても美しい話には変換できない。 読書感も後味も悪すぎて、題名さえ聞きたくないくらい、感性が合わなかった。
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とわちゃんは優しい、そして強い お母さんを赦し幼い頃の辛い記憶を 封印したり乗り越えるのではなく、抱きながら自分の足で歩き始めたのだから 彼女の魅力は彼女を慕う周りの人達の魅力に通じている。前半と後半では差す光も色彩の豊かさも違って見える。 とわの庭を訪れてみたい…
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繊細な描写が素敵な反面、育児放棄されて以降の描写がエゲツなく居た堪れない気持ちで読んでいて辛かった。 しかし、最終的には最後まで健気なとわに救われた作品でした。
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途中、ホントに糸さんの本かと疑いたくなったけど、やはり糸さんの本だった。過去の境遇は悲惨だけど、生きている今を大事に愛しむ姿勢は読んでいて清々しい。
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とわと母の親子関係、母を待ち続ける場面、母の人間性などは、なかなか衝撃的だった。 草花の香り、ピアノの音色や鳥の鳴き声など世界を全身でキャッチして自分の生きる糧としている十和子が素敵だと思った。世界に直接触れて、些細なものでも丁寧に受け止めて、それらを豊かな感受性で美しいと感じ...
とわと母の親子関係、母を待ち続ける場面、母の人間性などは、なかなか衝撃的だった。 草花の香り、ピアノの音色や鳥の鳴き声など世界を全身でキャッチして自分の生きる糧としている十和子が素敵だと思った。世界に直接触れて、些細なものでも丁寧に受け止めて、それらを豊かな感受性で美しいと感じとる。十和子はとても豊かな心の持ち主だと思う。そしてやっぱり豊かな心を育むのは、あたたかな愛や人の温もりなんじゃないかな。 目は見えなくとも、心の中には鮮やかで豊かな世界が広がっていて、キラキラと星座が輝いている。なんて素敵な心持ちだろう。自分もそんな風に世界と繋がって生きることを忘れてはいけないと思った。 作者の描写はあたたかで優しくて、柔らかいので、読みやすいしこちらも優しい気持ちで読めるので好きだな。 読書を語る描写や、十和子の見ている世界を映し出す多彩な言葉選びがとても良かった。
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どこかお伽話のような、微笑ましいふわふわした親子の空気感が、いつのまにか少しずつ崩れ始める。 障害児の育児放棄…辛い描写も沢山続くが、主人公のとわは周りの力を借りて、何より自分の力を信じて、一歩一歩歩き始める。 目の見えないとわだからこそ、感じられるものの描写が瑞々しかった。
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前半が辛すぎる分、後半の明るさがより際立つ。とわちゃんの前向きな姿に心が揺さぶられる。 これ、これ! 優しくて、元気が出る小説といったら小川糸さん。キター!!
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盲目の少女が母からネグレクトでゴミ屋敷化した家で生活。外部との接触が無いまま母に見捨てられ、尊厳なく生きていく。この部分は読むに耐えられない。 後半はその生活から抜け出し、周りからの温かい手に守られながら、徐々に独り立ちしていく。爽やかな終わり方。
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