1,800円以上の注文で送料無料

心淋し川 の商品レビュー

3.8

247件のお客様レビュー

  1. 5つ

    35

  2. 4つ

    126

  3. 3つ

    70

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/02/18

6つの短編からなります。心淋し川そばに建つ人生どん詰まりで行き着いて住む長屋の住人のお話です。先が気になりどんどん読めました。

Posted byブクログ

2021/02/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第164回直木賞受賞作品。 初の西條さん作品。 時代小説なのに凄く読みやすい一冊だった。 つかず離れずの長屋の人々の交流がとても心地良かった。 連作がリンクしてくるこの感じ、個人的には大好きな展開。 “はじめましょ”が一番のお気に入りでした。

Posted byブクログ

2021/02/18

相変わらず、死ななくてもいい人が死んだりするけど、最終話で、それまでの各話の主人公たちのその後が垣間見られ、なんとかうまくやっているんだなという救いが見えるのはホッとする。吉さん親子はあまり良い方向が見られなかったけど。今でもこういう親子、いますね…。

Posted byブクログ

2021/02/16

『その川は止まったまま、流れることがない』 『女が本気になるのは、惚れた男のためだけさ。手に入れようと思ったら、我が身を賭けるしかないんだよ』 『誰の心にも淀みはある。事々を流しちまった方がよほど楽なのに、こんなふうに物寂しく溜め込んじまう。でも、それが、人ってもんでね』 第...

『その川は止まったまま、流れることがない』 『女が本気になるのは、惚れた男のためだけさ。手に入れようと思ったら、我が身を賭けるしかないんだよ』 『誰の心にも淀みはある。事々を流しちまった方がよほど楽なのに、こんなふうに物寂しく溜め込んじまう。でも、それが、人ってもんでね』 第164回直木賞受賞作。 心淋し川。閨仏。はじめましょ。冬虫夏草。明けぬ里。灰の男。江戸長屋町の住人がそれぞれ主人公になった6つの短編集。 誰もが心になんらかの淀みを抱えて、ずっと昔からある格差社会を生きていく。

Posted byブクログ

2021/05/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一日一話、じっくりと堪能させて頂きました。 今から何百年も時を隔てた江戸時代の人たちも、きっとこんな風に恋に悩んだり家族の事で頭を悩ませたり、時にはどうしようもないくらいに何かに怒ったり、悔やんだり。 それでも川は静かにゆるゆると呆けたように流れ続けていたのだなあ。 時代を経て今の地図上・千駄木付近に’心川’は現存しないかもしれないが、昔と変わらず私たちを取り巻く’流れ‘は止まる事なく様々な思いを横目に、鈍く饐えた臭いを発しつつも流れる。 四話目「冬虫夏草」の一節「子供のためと口にする親ほど、存外、子供のことなぞ考えてないのかもしれないな」(p156)は茂十を含めた本作に登場する親、ひいては現代の親にも通じる、強烈な一発に感じられた。 奇しくも作中で上手くいっているように見えるのは血の繋がりのない与吾蔵親子だけ、という皮肉に見えた。 読んでよかったです。 3刷 2021.2.16

Posted byブクログ

2021/02/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

連作短編で読みやすい。心が寂しい町なのかと思ったが少しづつ幸せに暮らしている姿が愛おしい。茂十の過去が悲しいけど生き直すためにこれからも心町に尽くしてほしい。

Posted byブクログ

2021/02/14

20210213 うら淋し川、心寂しというテーマに合わせた短編。少しずつ変わればハッピーな話にもなるので少し残念。笑って、美味しい物を食べて、家族で感謝し合う。普通の事ができていた時代。そう言う話を読みたくなった。

Posted byブクログ

2021/02/12

人の醜い性根が明け透けに描かれて気持ちよい。だって自分だってそうなんだもの。そういう人物達の吹き溜り、心町。そんなものを見て見ぬふり、無いものとする今の世に問いかけている物語だと思う。

Posted byブクログ

2021/02/19

デビュー作「金春屋ゴメス」で衝撃的に出会った西條奈加さん。現代物も少しはありますが、概ね時代劇を描き続けてこられました。その底には、時代劇であってもファンタジー大賞でデビューされた資質が生かされていると思われるのです。 ゴメスの設定は奔放でしたが、やや無理もありました。しかしその...

デビュー作「金春屋ゴメス」で衝撃的に出会った西條奈加さん。現代物も少しはありますが、概ね時代劇を描き続けてこられました。その底には、時代劇であってもファンタジー大賞でデビューされた資質が生かされていると思われるのです。 ゴメスの設定は奔放でしたが、やや無理もありました。しかしその意外性がドラマを生みます。 今回は、クライマックスまでの積み重ねが見事で、短編なのだけれど、最後まで気になる伏線がたくさん残されています。 長屋の人たちのことばで語られる人性が滲み入ってくるのですが、塵芥の心川の水底には、常にファンタジーが流れていたように思います。それは生きる希望と言い換えても良い。それこそ西條奈加さんの1番の魅力だと思います。 直木賞受賞、本当におめでとうございます!

Posted byブクログ

2021/02/08

東京十社というものがある。 私が訪れたことがあるのは、日枝、赤坂と深川の富岡八幡宮の3つで、長く東京に住んでいるが神田明神にすら行ったことはない。 未踏十社のうちの1つが根津神社。 『心淋し川』の舞台界隈である。 地図を開く。 なるほど、いわゆる「谷根千」と言われるエリアがそ...

東京十社というものがある。 私が訪れたことがあるのは、日枝、赤坂と深川の富岡八幡宮の3つで、長く東京に住んでいるが神田明神にすら行ったことはない。 未踏十社のうちの1つが根津神社。 『心淋し川』の舞台界隈である。 地図を開く。 なるほど、いわゆる「谷根千」と言われるエリアがそれに当たるのだろうか。 意外にも東京大学のキャンパスが近くて驚く。 それらしき川は見当たらない。 さらに調べてみると、かつては千駄木あたりに藍染川という川が流れていたが、今は埋め立てられたという。 心川がこれに当たるのかどうかはわからないが、埋め立てられたという事実に読後の心がさらに切なくなる。 人間の清も濁も飲み込んで、淀み流れる心川。 そのほとりで貧しくも肩寄せあって懸命に生きる人々。 小指の先ほど灯った希望の火が、また明日をどうにか生きる活力になる。 直木賞受賞作は、なんとも切なく、優しい。

Posted byブクログ