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インビジブル の商品レビュー

3.8

70件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    35

  3. 3つ

    18

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2021/06/12

昭和29年の大阪で代議士秘書の刺殺体が発見された。ほぼ同時に鉄道橋上では代議士と関係のある団体の代表者の轢死体が発見。2つの遺体には共通点があり、代議士絡みという事もあって大規模な捜査本部が設置。大阪市警視庁の若手刑事新城は警察官僚の守谷と組む事になるがこの守谷が旧体制の態度を引...

昭和29年の大阪で代議士秘書の刺殺体が発見された。ほぼ同時に鉄道橋上では代議士と関係のある団体の代表者の轢死体が発見。2つの遺体には共通点があり、代議士絡みという事もあって大規模な捜査本部が設置。大阪市警視庁の若手刑事新城は警察官僚の守谷と組む事になるがこの守谷が旧体制の態度を引き摺ったいけ好かない奴で…。終戦直後の混乱期の熱気がぐいぐい浸透してくる中で新城と守谷の関係が変化していく展開が負けずに熱い。お手本の様な警察小説。拭い切れない戦争の闇がリアルに迫ってくるし、足で稼いだ証拠がきちんと土台になって真相に一気に繋がる展開が最後まで読み応えあった。あと戦後大阪の警察体制等色々為になったし、戦前の満州が絡んで来るので辻さんの「深夜の博覧会」のある箇所が補強されたよ。

Posted byブクログ

2021/06/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まだ,大阪府警でなかった警察の黎明期,大阪の3箇所で同じ手口の死体が発見される.章ごとに挟まる満州の断片と本編がつながっていくのだが,その捜査に一癖も二癖もある警察官たちが民主主義の名の下に頑張ったり頑張らなかったり,嫉妬や足の引っ張り合いなども含めて今の体制となんら変わらない様相が見えて,変わらぬ人間にあきれりしながら読む.国警の東大卒守屋警部補と中卒の刑事新城のコンビがだんだん胸筋を開いていくところが良かった. 警察史としても面白かった.

Posted byブクログ

2021/06/01

国警と自治警察の二人がタッグを組んで、麻袋を被せられて死んでいる殺人事件を説いていく。戦後の警察のあり方について詳しく述べてあり、犯人の描写が少ないかな?感情移入することはできず。

Posted byブクログ

2021/05/19

驚愕のミステリー、というわけではないものの、良質な歴史ミステリーといえる。 戦後9年たった大阪が舞台。主人公新城が所属する地方警察・自治警と、国家警察「国警」。この交わらぬ両者の対立を主眼としつつ、味わい深いバディものでもある。若手と中堅、庶民とエリート、大阪と東京。戦後と戦前...

驚愕のミステリー、というわけではないものの、良質な歴史ミステリーといえる。 戦後9年たった大阪が舞台。主人公新城が所属する地方警察・自治警と、国家警察「国警」。この交わらぬ両者の対立を主眼としつつ、味わい深いバディものでもある。若手と中堅、庶民とエリート、大阪と東京。戦後と戦前。2人には幾重も対比が重なる。  ただし、100点満点というわけではない。減点はミステリーの要素にある。警察は実にリアルに描写されているが、明かされる真相が、アレやアレとなると、既視感がある。そして、アノ事件を連想させる手口。  大阪は実に多様な都市だ。その戦後が泥臭く、リアルに描かれる。大阪弁も伸び伸びと展開され、読むのが楽しかった。勝手ながら、刑事部長の太秦は、俳優の奥田瑛二氏を重ねてみた。

Posted byブクログ

2021/05/15

読み始めて、どうしても言葉が所々兵庫なんよなぁと思ったら気になって、話もそんなに頭に入ってこなかったです。

Posted byブクログ

2021/05/06

本格派ミステリ。徹底した取材力と参考文献の読み込みがリアルな時代背景や人間描写に活かされていた。撒かれた伏線も見事に回収。大阪弁がテンポ良く勢いを感じた。

Posted byブクログ

2021/05/05

守谷がいい。 時代の殺伐感や匂いがあまりしない作品だった。 最初は視点の移り変わりが唐突で少し馴染まなかった。 2021.5.5 62

Posted byブクログ

2021/05/07

55年体制前夜であり、昭和31年経済白書で「もはや戦後ではない」と言われる前の、まだ戦後の荒廃が辺りに漂う昭和29年の大阪を舞台にした連続猟奇殺人を追う「大阪市警視庁」の刑事たちの姿を縦軸に、GHQから強制された民主警察から戦前の内務・警察体制への警察機構転換や、満州でのアヘン栽...

55年体制前夜であり、昭和31年経済白書で「もはや戦後ではない」と言われる前の、まだ戦後の荒廃が辺りに漂う昭和29年の大阪を舞台にした連続猟奇殺人を追う「大阪市警視庁」の刑事たちの姿を縦軸に、GHQから強制された民主警察から戦前の内務・警察体制への警察機構転換や、満州でのアヘン栽培がもたらした波乱盤上の人生の流転を横軸に、見事に人生模様を描き切った傑作ミステリー小説。勿論歴史の勉強にもなった。GW休暇で一気読みさせてもらった。本当に面白かった。装丁の出来も完璧で一家に一冊欲しくなる。

Posted byブクログ

2021/05/03

大戦直後の大阪でおきた連続殺人事件。 満州、シベリアでの出来事が伏線となる。 戦後の大阪の猥雑な雰囲気がいい。 GHQの政策により一時期だけ存在した大阪市警視庁の若手刑事と国警から派遣されたエリート警官の取り合わせもいい味を出している。

Posted byブクログ

2021/05/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まずこの著者の年齢に驚く。 1990年産まれって31歳、その若さでこれだけのものを描ける筆力がすごい。 浅田次郎か宮本輝の小説を読んでるみたいだった。 戦争中の満州時代、戦後の混乱期、大阪での市井の人々の貧しい暮らし、警察内部の改変に伴う抗争。 満州に渡った男の親友も家族も失うことの原因になった男(澤=北野代議士)への復讐物語なんだけど、満州へ渡った伏屋と戦後の警察署の若手刑事、新城と東京から派遣されてきたエリート守屋警部補の(バディものとしても楽しめる) バージョンと交互に展開していく構成も好み。 最後は刺さしてあげたかったけど、罪も重くなっちゃうものね。 結核で先は長くなかったようだけど。 読み応え充分だった。 キーワード 芥子の実畑、アヘン、えべっさん、六法全書

Posted byブクログ