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インビジブル の商品レビュー

3.8

70件のお客様レビュー

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2021/04/25

読みづらい。 このレベルの小説ならいくらでもあると思う。大藪春彦賞を受賞するほどの作品とは思えない。

Posted byブクログ

2021/04/18

昭和29年、戦後の混乱が残る大阪を舞台に、連続殺人事件を追う警察官の姿を描いた直木賞候補作。 大阪の無法地帯のような混沌とした様子や、現代とは組織も異なる警察の内情など、時代背景が目新しく興味深く読んだ。 満州開拓団の人たちの運命には胸が痛むが、たまたま前後して読んだ宇佐美まこ...

昭和29年、戦後の混乱が残る大阪を舞台に、連続殺人事件を追う警察官の姿を描いた直木賞候補作。 大阪の無法地帯のような混沌とした様子や、現代とは組織も異なる警察の内情など、時代背景が目新しく興味深く読んだ。 満州開拓団の人たちの運命には胸が痛むが、たまたま前後して読んだ宇佐美まことの『羊は安らかに草を食み』のほうが満州での実情がよりリアルで圧巻だったため、こちらの印象はかすんでしまった。

Posted byブクログ

2021/04/08

敗戦から9年、警察組織が大きく変わろうとしている時代の大阪で相次いで発見された麻袋を頭から被された死体。大阪警視庁の巡査と国家警察から派遣されたエリート警部補が相棒となって事件を捜査していく警察バディもの。 最初から最後までコテコテの大阪弁と土地勘のなさに悩まされたものの、それを...

敗戦から9年、警察組織が大きく変わろうとしている時代の大阪で相次いで発見された麻袋を頭から被された死体。大阪警視庁の巡査と国家警察から派遣されたエリート警部補が相棒となって事件を捜査していく警察バディもの。 最初から最後までコテコテの大阪弁と土地勘のなさに悩まされたものの、それを補って余りある面白さ。ギクシャクしていた2人が最後には無二の相棒のようになっていく過程がいいし、彼らを取り巻く一癖も二癖もある同僚警官たちもなかなか魅力的。 大学で近代史を専攻した作者らしく、時折盛り込まれる歴史的知識がややもすると説明調になって話の流れを滞らせるものの、辛酸を嘗めた満蒙開拓団、弱者を利用し甘い汁を吸い財を成した巨悪、時代が大きく変わる中で翻弄される警察官たちの矜持、と歴史の暗部を描き出し読みごたえも抜群。 小説2作目にして直木賞候補というのも頷ける、切なさと熱量を感じる良作でした。

Posted byブクログ

2021/04/06

昭和29年、新米刑事の新城は初めての殺人事件の捜査を担当。 帝大卒のエリート・守屋と組むことに。 国警と自治警の捜査により事件の真相が明かされていく。 満州へ渡ったある男の物語が悲しい。 「王道楽土」 その男の目に映ったものは何だったのか。 戦後の闇を織り込みながら警察小説として...

昭和29年、新米刑事の新城は初めての殺人事件の捜査を担当。 帝大卒のエリート・守屋と組むことに。 国警と自治警の捜査により事件の真相が明かされていく。 満州へ渡ったある男の物語が悲しい。 「王道楽土」 その男の目に映ったものは何だったのか。 戦後の闇を織り込みながら警察小説として面白く構成されている。

Posted byブクログ

2021/04/02

バディ物としては普通かな。 ミステリー・サスペンス要素も特別強い訳ではない。 ただ、戦後混乱期の大阪の雰囲気や警察組織の軋轢など、独特のエッセンスがあって、それがこの作品を面白くしている。

Posted byブクログ

2021/03/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

直木賞候補作ということで読んでみた。戦後9年、1954年の大阪が舞台。章ごとに満州の話から始まるので、これが本編に絡むんだろうなということから、犯人のめどはすぐにつく。初めて読む作家さんだし、戦後史というか、蹴られるルンペンとか、臭い、汚い街の感じとか、最初すごい読みにくかったけど、一気読みできたので良かった。しかし、これがほんの数十年前の話だというのが信じられない。自治警察というのも知らなかった。今のじいちゃん、ばあちゃんたちはこの時代を生き抜いてきたんだもんなぁ。すごいよ。満州ってほんと何だったんだろうと思う。口減らし。桃源郷。あへん。分かってて麻薬を育てる辛さ。食べていくために、生きていくために。しかし、澤の生命力というか、欲深さがすごい。澤側からの物語も小説になりそうだ。

Posted byブクログ

2022/01/01

終戦から9年の時が経った大阪で連続殺人事件が発生する。3人の被害者は頭部に麻袋を被せられ、腹部を刃物で刺されていた。当時の社会情勢や風俗を巧みに織り込みながら、捜査班の一員となった新米刑事と、東京から出向してきたエリート捜査官の姿を描く“バディ”もの。うまいなとは思うが文章のリズ...

終戦から9年の時が経った大阪で連続殺人事件が発生する。3人の被害者は頭部に麻袋を被せられ、腹部を刃物で刺されていた。当時の社会情勢や風俗を巧みに織り込みながら、捜査班の一員となった新米刑事と、東京から出向してきたエリート捜査官の姿を描く“バディ”もの。うまいなとは思うが文章のリズムが合わず苦戦した。第164回直木賞候補作&第23回大藪春彦賞受賞作。

Posted byブクログ

2021/02/24

直木賞ノミネート作品。 面白かった! 初めて読む作家さんで、こちらがデビュー2作目。 デビュー作も読んでみたくなったよ。 こういう凸凹バディ物って面白いよね。 新城が飄々としてるの好き。 2人の掛け合いが良い感じで、人間性が見えてくると守屋のことも好きになってきて、中判から一...

直木賞ノミネート作品。 面白かった! 初めて読む作家さんで、こちらがデビュー2作目。 デビュー作も読んでみたくなったよ。 こういう凸凹バディ物って面白いよね。 新城が飄々としてるの好き。 2人の掛け合いが良い感じで、人間性が見えてくると守屋のことも好きになってきて、中判から一気読み。 こてこての大阪弁もクセになってくる。 この2人でシリーズ化して欲しいなぁと思ってしまった。

Posted byブクログ

2021/02/21

直木賞候補作だったので読んだ。 昭和29年の大阪でおきた事件を捜査する警察小説。 読み終わってすぐの会話が大阪弁になる。 後書きで作者がとても若いことを知ってびっくりした。 戦後の混乱期はたいへんだったことをここでも学ぶ。 国警官僚の守屋と大阪新米刑事の新城。 良いコンビだった。

Posted byブクログ

2021/02/12

大阪市警視庁という現在から振り返ると見えてこない自治体警察を舞台にしている設定が新鮮でした。戦前の中央集権的権力への反省から生まれた市町村が主体となり運営される「民主警察」が存在した昭和22年から29年の7年間は戦前と敗戦と戦後ののりしろみたいな時代であり、その時間そのものが題名...

大阪市警視庁という現在から振り返ると見えてこない自治体警察を舞台にしている設定が新鮮でした。戦前の中央集権的権力への反省から生まれた市町村が主体となり運営される「民主警察」が存在した昭和22年から29年の7年間は戦前と敗戦と戦後ののりしろみたいな時代であり、その時間そのものが題名のインビジブルの意味なのだと思いました。時代の変わり目であるからこそ表に表出しない様々な秘密や情念や権益や悪が存在していたことに着目した小説です。物語の進行の裏地として進行する犯人のモノローグ、戦前の犯罪的利権を戦後に隠し持つ仕組み、大阪という街に根付く民間信仰、さらには中卒と東大卒という戦前にはありえないバディのそれぞれの親の物語と心の来歴、いくつものインビジブルを組み合わせて、著者は見えない時代を蘇らせました。その中で、自分にとって一番印象的なインビジブルは物語の中盤で現場叩き上げのリーダー格が捜査会議の自由闊達さについて「これはOPPや警邏車と違て目に見えへんもんやが、民主警察っちゅうもんがもたらした側面やないかとワシは思とる。ひとりひとりが己で考えて行動するっちゅうのが民主主義なんやったら、それが捜査員に行き渡っとる」とつぶやく場面。戦後民主主義とかタテマエで語られることが多いと思いますが、やはり戦争に負けたことで手に入れた大切なものだったのだ、と思いました。主人公のふたりだけでなく、暗い表紙に隠された熱い小説でした。

Posted byブクログ