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雨の中の涙のように の商品レビュー

3.9

56件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

    20

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2021/05/08

59主人公が沢山の連作小説。最後の最後にサスペンスになるけど、葉介と縁のできたみんなが幸せになってほしい。

Posted byブクログ

2021/05/03

 心に染み入る物語でした。  堀尾葉介は,人気俳優ですが,容姿に恵まれているだけでなく,性格もよく,誰にでも好かれる人物です。  ただ,どことなく,儚げで,心に何か抱えていそうな印象は受けます。  ラストの章でその謎が明らかになりますが,悲劇的な過去が,また「堀尾葉介」という人物...

 心に染み入る物語でした。  堀尾葉介は,人気俳優ですが,容姿に恵まれているだけでなく,性格もよく,誰にでも好かれる人物です。  ただ,どことなく,儚げで,心に何か抱えていそうな印象は受けます。  ラストの章でその謎が明らかになりますが,悲劇的な過去が,また「堀尾葉介」という人物像を形成したのだと思いました。  個人的には,ペット探偵と「堀尾葉介」との話がほっこりします。  作中に出てくる「セント・オブ・ウーマン」は,最後のアル・パチーノの演説が素晴らしい,私も大好きな映画です。この映画のラストを思い出して,思わず涙ぐんでしまいました。  個人的には,「堀尾葉介」と絡んだ登場人物が,他の章でももっと出てきて,より大きな連関の輪がみえる物語になっても素敵だろうなと思いましたが,よい物語を読ませていただきました。

Posted byブクログ

2021/02/16

悲しい苦しいことがあったからこそのこの人の人生なのかも。他人に優しくできるようになりたいものだ。そのためにも心に余裕がないとね。

Posted byブクログ

2020/12/26

さまざまな人たちの人生の断片を描いた連作短編集。人間関係につまずき傷ついて、前に踏み出せずにいる人たち。彼ら彼女らの人生にほんの少しだけ関わる一人の芸能人・堀尾葉介。眉目秀麗で圧倒的なオーラを持ち、誰にでも好感を抱かせる才能と努力の人。人間的に完璧に思える彼に関わることで変化を迎...

さまざまな人たちの人生の断片を描いた連作短編集。人間関係につまずき傷ついて、前に踏み出せずにいる人たち。彼ら彼女らの人生にほんの少しだけ関わる一人の芸能人・堀尾葉介。眉目秀麗で圧倒的なオーラを持ち、誰にでも好感を抱かせる才能と努力の人。人間的に完璧に思える彼に関わることで変化を迎える人たちの姿がとても優しく描かれています。 というと「感動できるいい話」といった印象だし、実際そうではあるのですが。それだけでもなく辛辣で痛々しい部分も多いです。だからこそ優しさが沁みるのでしょうね。そしてすべての物語に関わる堀尾葉介。彼の人生に何があったのか、という部分も大きな謎であり、彼自身がいったいどんな人なのか、という部分にも興味を抱かされます。何もかもを手にした完全な人間のように思えるけれど、きっとそれだけではあの数々の思いやりを見せることはできないのだろうなあ、と最終的には思いました。 お気に入りは「ひょうたん池のレッド・オクトーバー」。一番要になる物語で、そして一番「いい話」ではないのですが。だからこそ印象的でした。そこに続く最終話の「美しい人生」もまた苛烈でありながら、美しい物語です。

Posted byブクログ

2020/12/24

連作短編8編で章ごとに語り手が変わり,堀尾葉介との何らかの接点を描くことで最終章の葉介自身の語りによる「美しい人生」で完結する.彼の抱えてきた哀しみを思うと堪らなくなるが,それでも例えば出会った人からもらったよもぎのお守りなど,幸せを感じた瞬間は時々あったのだと信じたい.映画の名...

連作短編8編で章ごとに語り手が変わり,堀尾葉介との何らかの接点を描くことで最終章の葉介自身の語りによる「美しい人生」で完結する.彼の抱えてきた哀しみを思うと堪らなくなるが,それでも例えば出会った人からもらったよもぎのお守りなど,幸せを感じた瞬間は時々あったのだと信じたい.映画の名場面が重要な見せ場になっていて「セントオブウーマン」をまた観たくなった.

Posted byブクログ

2020/12/21

1人の俳優の幼少期から壮年期までを、かかわってきた人たちの視点から描いた、連作短編集のような長編小説。 容姿端麗で実力派、周囲への気配りも完璧で非の打ちどころのない俳優、という出来すぎの主人公だが、逆に語り手として登場するのは心に傷を抱えてつらい日々を送っている人たちばかり。彼...

1人の俳優の幼少期から壮年期までを、かかわってきた人たちの視点から描いた、連作短編集のような長編小説。 容姿端麗で実力派、周囲への気配りも完璧で非の打ちどころのない俳優、という出来すぎの主人公だが、逆に語り手として登場するのは心に傷を抱えてつらい日々を送っている人たちばかり。彼とかかわったことで一筋の光明が見えてくるという各章のストーリーは、地に足の着いた人たちの苦しみを伴っているため、主人公が嘘っぽくならないところが上手い。 それぞれの話には、観たことのある映画が効果的に用いられていたため、イメージも膨らませやすかった。雨のシーンも印象的。ラスト、本人の語る章だけは、ちょっと甘めかな。

Posted byブクログ

2020/12/10

雨の中の涙のように 遠田潤子さん。 いつもの遠田さんではないけれども、 とても良い滑り出し。 どんどん引き込まれていく。 俳優 堀尾葉介。 容姿端麗で穏やかで謙虚で、努力家。 素晴らしい人。 会ってみたくなる。 葉介に関わる短編。 そして、最終章。 とても良かった。 ...

雨の中の涙のように 遠田潤子さん。 いつもの遠田さんではないけれども、 とても良い滑り出し。 どんどん引き込まれていく。 俳優 堀尾葉介。 容姿端麗で穏やかで謙虚で、努力家。 素晴らしい人。 会ってみたくなる。 葉介に関わる短編。 そして、最終章。 とても良かった。 久しぶりに、星4つ⭐️つけちゃうくらい。 おすすめ本です。

Posted byブクログ

2020/12/05

 どれもこれも素晴らしい物語だった。最後の章を読むまでは。  堀尾葉介というスターと関わりのあった人物のそれぞれの物語。8つの短編集。  どの章にも堀尾葉介は登場して、いかに素晴らしい人物かが描かれていて、堀尾に関わった人物もみな素晴らしい生き方の一歩を踏み出すことができるよ...

 どれもこれも素晴らしい物語だった。最後の章を読むまでは。  堀尾葉介というスターと関わりのあった人物のそれぞれの物語。8つの短編集。  どの章にも堀尾葉介は登場して、いかに素晴らしい人物かが描かれていて、堀尾に関わった人物もみな素晴らしい生き方の一歩を踏み出すことができるようになる。  私も堀尾葉介は純粋に素晴らしい人物だと思っていた。でも、最終章を読んで、堀尾はずっと堀尾葉介を演じていたんだなと思うと切なくなった。  車椅子の生活になり、翼と話している時の葉介はやっと本当の自分になれたんだなと思えた。  この小説のレビューとしては関係のない話になってしまうが、この小説にはたくさんの映画が紹介されている。どれも面白そうで、これから観るのが楽しみだ。

Posted byブクログ

2020/11/11

遠田潤子さん作品の3冊目を読了。いつもの作風をブラックとするならライトグレーな感じ(褒めています)。スター俳優となった「堀尾葉介」が絡む連作短編集。各章のタイトルにもある映画の多くは有名な作品だが少し古くて覚えていない。人生は辛く悲しいだけではなく、前を向いて歩いていけるものだ。...

遠田潤子さん作品の3冊目を読了。いつもの作風をブラックとするならライトグレーな感じ(褒めています)。スター俳優となった「堀尾葉介」が絡む連作短編集。各章のタイトルにもある映画の多くは有名な作品だが少し古くて覚えていない。人生は辛く悲しいだけではなく、前を向いて歩いていけるものだ。優しい内容で是非とも再読したいと思える良書でした。お勧めします。

Posted byブクログ

2022/01/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

十代でアイドルデビューした後に俳優に転身し、圧倒的なスター性を持つ、堀尾葉介。完璧な容姿のみならず、どこまでも謙虚で周囲への心配りをし、演技にも真摯な努力を怠らない。 そんな彼のオーラにふれた人々はみな、少なからぬ衝撃を受け、人生に新しい光が射すような思いになるのだった。 幼い頃から壮年となるまでの堀尾葉介に、さまざまな形で出会った人々を描く短編が9章に、最終章として葉介自身の物語が置かれた連作短編集。 『銀花の蔵』では、個々の出来事は重く過酷でありながら、周囲の人々の優しさを見失わず「へらへら笑って」いた銀花の明るさが作品を照らしていた。 本作では、完全無欠なスターのオーラを持つ堀尾葉介という人物が、さらに圧倒的なパワーで強い光と闇を放つ。 別の作家の作品かと思うような明るい希望に満ちた短編。 けれどその明るさをもたらしてきた葉介…というか、彼のオーラで人生を照らされそれぞれに幸福な方へ歩む人々を、どこか醒めた目で見つめる葉介自身の闇が吐き出された終章に、のけぞる。 けれど、葉介自身が子供の命を救い、不自由な身体になってなお俳優として前に進むというラストに、また驚き。 これまでずっしりと重い長編ばかりだった遠田潤子さんとしては初めての連作短編集という形式であることも手伝って、初めて手に取った人にも十二分に面白く、映画好きな読者にはさらに楽しめると思う。 古くからのファンとしては、驚くほどの変化だけれど… ぐいぐい読まされる力、心理描写の生々しさは変わらず、読書の楽しみが損なわれることは無かった。 この頃、容赦のない悲惨で過激な描写が、ときに過剰に感じる作品が多くなってきたような。 信じられないような現実の事件よりも、小説はさらに衝撃的であろうとするのかもしれないが。 デビュー作から、悲惨な世界をディープに描いてきた遠田作品が、ここにきてふいに明るい方向へ向いたような… 以前は、真っ暗だった世界に一条の光…だったのが、全体の明度が上がった世界で、ごくごく限られた暗いスポットの輪郭が際立つようになった? 色合いは変わっても、コントラストのはっきりした印象的な作品なのに変わりはない。 これまでの作品も、この作品も、良かった。

Posted byブクログ