口笛の上手な白雪姫 の商品レビュー
表題にもなっている「口笛の上手な白雪姫」は、公衆浴場の片隅で、入浴中のおかあさんから赤ちゃんを預かって子守りをするだけのために存在しているおばあさんのおはなし。 「ただひたすら赤ん坊のためだけに我が身を捧げている」というシンプルながらもそれを全身全霊で成し遂げるおばあさんの潔さと...
表題にもなっている「口笛の上手な白雪姫」は、公衆浴場の片隅で、入浴中のおかあさんから赤ちゃんを預かって子守りをするだけのために存在しているおばあさんのおはなし。 「ただひたすら赤ん坊のためだけに我が身を捧げている」というシンプルながらもそれを全身全霊で成し遂げるおばあさんの潔さと尊さに心を打たれる。 小川洋子の小説はいつもそう。 たったひとつの大事なことを狂信的なまでに守り抜く高潔さがとても美しい。すごくいいよね。
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相変わらず装丁が綺麗すぎる 大切な宝物みたいな感覚になる 小川洋子さんの本はどれも、【物語を読んでいる】という感覚になれる。 現実味がないし、不思議で、幻想みたいな… 物語を読みたい時には小川洋子さんが1番良い。 今回は短編集で、どれもふわっとしてて特別何が起きるとか...
相変わらず装丁が綺麗すぎる 大切な宝物みたいな感覚になる 小川洋子さんの本はどれも、【物語を読んでいる】という感覚になれる。 現実味がないし、不思議で、幻想みたいな… 物語を読みたい時には小川洋子さんが1番良い。 今回は短編集で、どれもふわっとしてて特別何が起きるとかは無くて、どれもちょっと寂しい感じになる物語でした。 「先回りローバ」と「口笛の上手な白雪姫」が良かったかな。
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小川洋子さんの世界観と美しい文章を堪能するにはじゅうぶんな一冊。ほんとうに無駄のない、でもごちゃごちゃしていなくて、ひたすら洗練された文章を書かれる…。「先回りローバ」がやさしくてすきだったなあ。でも、「仮名の作家」も最高に気持ち悪くてよかった。
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「亡き王女のための刺繍」、「かわいそうなこと」が好きだった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「大事にしてやらなくちゃ、赤ん坊は。いくら用心したって、しすぎることはない」。公衆浴場の脱衣場ではたらく小母さんは、身なりに構わず、おまけに不愛想。けれど他の誰にも真似できない多...
「亡き王女のための刺繍」、「かわいそうなこと」が好きだった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「大事にしてやらなくちゃ、赤ん坊は。いくら用心したって、しすぎることはない」。公衆浴場の脱衣場ではたらく小母さんは、身なりに構わず、おまけに不愛想。けれど他の誰にも真似できない多彩な口笛で、赤ん坊には愛された――。表題作をはじめ、偏愛と孤独を友とし生きる人々を描く。一筋の歩みがもたらす奇跡と恩寵が胸を打つ、全8話。
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公衆浴場の脱衣所で働く小母さんは、身なりに構わず不愛想。けれど、他に誰も真似ができない自由自在な口笛で、赤ん坊には愛された。(表題作) 表題作含む全8話を収録した小川洋子さんの短編集。 どれも孤独で密やかな、世界に埋もれてしまいそうなささやかで優しく寂しい話です。 小川さんは...
公衆浴場の脱衣所で働く小母さんは、身なりに構わず不愛想。けれど、他に誰も真似ができない自由自在な口笛で、赤ん坊には愛された。(表題作) 表題作含む全8話を収録した小川洋子さんの短編集。 どれも孤独で密やかな、世界に埋もれてしまいそうなささやかで優しく寂しい話です。 小川さんはともすれば不気味・グロテスク、生々しいととられかねない物事を、綺麗に、さりげなく表現することが特にお上手だと思っていて、今回はそういった表現は多くはないのですが、それでも悲愴さや心の底に沈めた狂気のようなものをやわらかに描いています。 こどもの目線で書かれた話もいくつかあり、こどもの独特の世界観・大人には理解のし辛い特有の理論のようなものが上手く表現されている気がして面白かったです。 また、『乳歯』という話は、迷子になりやすい幼いこどもの事を「君」と表現する特殊な視点で書かれており、何となく藤野可織さんの『爪と目』を思い出しました。 個人的に心に残ったのは、『かわいそうなこと』という話。かわいそうなことリスト、という記録をつけているこどもの話なのですが、小川さんは何となく孤独である事や孤立している事、他と違っている事をかわいそうなことだと認識しているのかなと感じ、個人的にはあまりそれらがかわいそうと感じたことがなかったので不思議な気分になりました。
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世界の片隅で、ひっそりと生きている人たち。 物語の主人公たちのイメージ。 みんなそれぞれ、個性的な習慣や癖などがあって、どうかそのことで世の中からはみだしたりしませんようにと、願いたくなる。 小川洋子さんの作品は、こんな感じの主人公が多いのかな。
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とても綺麗で素敵な物語でした。 特に、『先回りローバ』、『亡き王女のための刺繍』が印象に残りました。全体的にふんわりとした雰囲気で、穏やかな気持ちになれます。
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芥川賞作家・小川洋子さんが紡いだ、メルヘンチックな人のこころ・・・ダイヤル117(時報)の音声とロ-バ(老婆)の記憶『先回りローバ』、涎掛けの刺繍とお針子の回想『亡き王女のための刺繍』、叔母と歌劇レ・ミゼラブルの想い出『一つの歌を分け合う』、廃線の危機にある電車に乗る曾祖父の記憶『盲腸線の秘密』、公衆浴場で赤ん坊の世話をする小母さん『口笛の上手な白雪姫』など、こころ揺さぶる八編の短編集。
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心が温まったり、冷えたり。体温調節が大変だったなぁ、と言うのは冗談で。「仮名の作家」が一番好きでした。映画ミザリーよりももっと、リアリティのある暴走ファンのお話。読み進めると段々雲行きがおや?と怪しくなってきた辺りから徐々に体が冷え始め、最後に哀れみが残った。 表題にもなってい...
心が温まったり、冷えたり。体温調節が大変だったなぁ、と言うのは冗談で。「仮名の作家」が一番好きでした。映画ミザリーよりももっと、リアリティのある暴走ファンのお話。読み進めると段々雲行きがおや?と怪しくなってきた辺りから徐々に体が冷え始め、最後に哀れみが残った。 表題にもなっている「口笛の上手な白雪姫」は、正直解説を読んでもしっくりは来なかった。解釈も受け取り方も人それぞれなので、何が正解かは分からないけれど、無理やり仏法と結びつけ過ぎている様な。正直この手のヒューマンドラマ系の物語に、宗教と言う視点から考察する事には違和感しか感じられなくて。小母さんの過去は全く描かれていない中で、無償の愛という精神だけで赤ん坊のお世話をしている。その考えはちょっと安直過ぎる気がするし。でも彼女の発言の中に我が子を抱いてみたかったのでは?と取れる台詞があったので、何処かに羨望や嫉妬みたいな黒い感情もあったと勝手に思ってる方が人間味が残っている気がした。
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偏愛と孤独を友とし生きる人々を描く、8編の短編小説。 「一つの歌を分け合う」が一番印象的だった。 従兄弟が亡くなってしばらくしてから、伯母が舞台俳優を亡くなった我が子だと思い込み、主人公と一緒に観劇に行く話。 「劇場では誰も泣いている彼女を不思議がったり、奇異な目で見たりしなかった。理由を取り繕う必要はないのだ。伯母は好きなだけ泣くことができた。」 という、帰り道のシーンがよかった。 夫の祖母の葬式のときに、子供を亡くした叔母さんの話を聞いてから、それと重なって思いを馳せてしまった。 「かわいそうなこと」「盲腸線の秘密」も、子供ながらの世界を表していてよかった。
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