口笛の上手な白雪姫 の商品レビュー
先回りローバ、 盲腸線の秘密、が特に好きだった。 特に、秘密の作戦の話は厨二病感が強くて笑った。 今作は特別グッとくるものは無かったが、どれも期待通りの小川洋子ワールドで、心地よかった。
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かわいそうなこと が特に好き。クジラが自分の全体像を見れないことなんて考えたこともなかったし、ツチブタの存在なんて知らなかった。
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表題作を含む8編からなる短編集。 子どもの目線で書かれている話は、あー、子どもってそういう見方をするかも、と思わせられるし、子どもを偏愛する大人が描かれている作品は少しせつない感じがする。 個人的には、想像のなかでローバと話すことで吃音が直った男の子の話を描いた"先回りローバ"にほっこりさせられた。また、"かわいそうなこと"では、自分がかわいそうだと思ったことをノートに書き始めた少年を描いているが、中でも博物館に展示されているシロナガスクジラに対する感想が好き。
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8作の短篇集。小川先生は短篇の名手ですね。 ここの8作はそのどれもが、自分の世界を偏愛する孤独な主人公たちだ。表題作も好きだけど、「亡き王女のための刺繍」「仮名の作家」がお気に入り。「仮名の作家」は怖いなぁ。
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文学として追いかけている唯一の作家かもしれない。そこに共感があったり、学びがあったり、気付きがあったりするわけじゃない。ただただうつくしい文章に浸る、という読書体験。この文学世界をうつくしいと思わせる著者の感性と眼差し、表現力に脱帽。
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短篇集。「亡き王女のための刺繍」「盲腸線の秘密」「口笛の上手な白雪姫」と赤ん坊の神秘性、聖性に触れる作品が多く感じられた。 「一つの歌を分け合う」はレ・ミゼラブルをまた観たくなる言葉の紡ぎ方で作家のちからを感じた。実際に福井さんへ取材したらしい。 「仮名の作家」はさすがの小川先生...
短篇集。「亡き王女のための刺繍」「盲腸線の秘密」「口笛の上手な白雪姫」と赤ん坊の神秘性、聖性に触れる作品が多く感じられた。 「一つの歌を分け合う」はレ・ミゼラブルをまた観たくなる言葉の紡ぎ方で作家のちからを感じた。実際に福井さんへ取材したらしい。 「仮名の作家」はさすがの小川先生。固執、執着からの狂気が見事。途中で共感性羞恥になって読むのがつらかった。共感してはいけないのは承知。 「かわいそうなこと」のシロナガスクジラへの視点が好き。
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人間個人の、存在としての痛々しさに苦しくなりながら読む。 身の回りの出来事や、自分の意識や認知の段階ではやり過ごしていることを豊かに発酵させて、あるいはジャムを作るように煮詰めて書かれているようだ。 痛い。ほんとは生きててずっと痛い。傷が痛む ただ、それを注視していてもどう...
人間個人の、存在としての痛々しさに苦しくなりながら読む。 身の回りの出来事や、自分の意識や認知の段階ではやり過ごしていることを豊かに発酵させて、あるいはジャムを作るように煮詰めて書かれているようだ。 痛い。ほんとは生きててずっと痛い。傷が痛む ただ、それを注視していてもどうにもならないし、日々やらなくちゃらいけないことは積もっていくので傷に向き合っている時間はない。 ところが小川洋子の本を開くと、放置してきた傷がいかに深いか、どれほど化膿が悪化しているか、あるいは多少は癒えているか、などを思い起こさせる。 具体的な被害、加害の話ではないのに。 私はこんなに傷ついていたんだなあ、難しくとも、ひとつひとつの傷をないがしろにせず消毒して化膿止めを塗りガーゼで保護したい。
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自分の世界で丁寧に繊細に生きる人々の8話の短編集 短編はあまり好みではないと思っていたけど、 十分に惹き込まれ充たされた 中でも印象に残ったのは、 仮名の作家 途中から、主人公はまるでストーカーじゃないかと気づきドキドキさせられ 空想と現実が見事に折り混ぜられまるで映画を観てるような気持ちになった 狂気の中にも、儚く美しい描写シーンがありきらきらと光ってる タイトルにもなっている、口笛の上手な白雪姫のお話もとても好き 小母さんと赤ん坊が愛おしい
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小川洋子さんの著作でこのタイトルとなると、期待しかない。 浮世離れしていて、透明感があって、切なくて胸が苦しくなるようなお話もあって…読んでいる間現実を忘れるという意味で、小川さんの本は時々強烈に読みたくなる。 8篇の短篇集。それぞれ短いからさらっと読めるのだけど、その中にワー...
小川洋子さんの著作でこのタイトルとなると、期待しかない。 浮世離れしていて、透明感があって、切なくて胸が苦しくなるようなお話もあって…読んでいる間現実を忘れるという意味で、小川さんの本は時々強烈に読みたくなる。 8篇の短篇集。それぞれ短いからさらっと読めるのだけど、その中にワールドが出来上がっているのがいつもながら流石と思う。 表題作はラストに収録されているのだけど、個人的には前半の5篇がとくに印象的だった。 すべてに共通して、失ったもの、という言葉が頭に浮かびながら読んだ。失ったものを静かに見つめたり、少し執着したり、ひそやかに悲しんだりする。そういう人びとの姿が描かれているように感じた。 小川さんの著作は細かにレビューするよりも実際読んで感じてほしいような気持ちが強いので、さらりと、に留めておきます。
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世界の隅っこでちいさく、でも確かに息をする存在を、丁寧に、丁寧に掬う筆致。「亡き王女のための刺繍」、あるいは表題作のような、抱えきれない不器用な優しさは、あまりにうつくしい。
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