口笛の上手な白雪姫 の商品レビュー
私たちは制限のある空間を生きている。 でも、一人ひとり心の中にこだわりがあり、それに夢中になれることを幸せだと感じる。 その幸せが膨らみ外に飛び出そうとしているのに飛び出せない、いや、あえて封じ込めてしまう自分がいる。 誰もが持っているであろう感情を起こしてくれる短編集でした。
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彫刻や博物館の展示品や声など、普段あまり注目されなそうなモチーフへの深い洞察や想像力に圧倒される。赤ちゃんや子供の描写が特に好き。 人とあまり関わらずにひっそり暮らしていても、生き物やモチーフに対する敬意で瑞々しく生きている。
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小川洋子さんの短編集。私個人的には、ずっとちょっとだけエロチシズムを感じていた作家さんだったのだが、ここ数年の作品には、より閉塞と孤独とが感じられる。嫌ミスの作品でも感じることもあるが、小川作品のそれらは静謐さの中にある。確か日常に比べると少しいびつだったり、独特ではあるのだが。...
小川洋子さんの短編集。私個人的には、ずっとちょっとだけエロチシズムを感じていた作家さんだったのだが、ここ数年の作品には、より閉塞と孤独とが感じられる。嫌ミスの作品でも感じることもあるが、小川作品のそれらは静謐さの中にある。確か日常に比べると少しいびつだったり、独特ではあるのだが。けれども、己の孤独や閉塞を自分のなかの豊かさとして描かれているので、主人公達は孤立せずに社会の中にいるのだ。この姿勢がとても良かった。
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図書館本 短編集。 静謐が伝わる小川ワールド。 先回りローバ カタカナでローバ。 口笛の上手な白雪姫 公衆浴場の脱衣場の定位置にいる小母さん。
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孤独な短編集でした。文庫で再読しました。 世界の端にひっそりといるような人々。 「かわいそうなこと」のシロナガスクジラの描写がとても好きでした。「亡き王女のための刺繍」も好き。 優しいまなざしで寂しいお話たちだな…と思っていたら「仮名の作家」のようなお話があるので今作も油断がなり...
孤独な短編集でした。文庫で再読しました。 世界の端にひっそりといるような人々。 「かわいそうなこと」のシロナガスクジラの描写がとても好きでした。「亡き王女のための刺繍」も好き。 優しいまなざしで寂しいお話たちだな…と思っていたら「仮名の作家」のようなお話があるので今作も油断がなりません。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読んでない、と思ってたけど読んでた。 この方のお話は、同じことが続く日常の大切さとか、突然終わるコトの恐怖とか悲しさとか、そんなのを淡々と静かに書くので地味にくる。 でもまた読みたくなる。そして同じトコロで重くなる。
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小川洋子さんの短篇集。 「先回りローバ」 「亡き王女のための刺繍」 「かわいそうなこと」 「一つの歌を分け合う」 「乳歯」 「仮名の作家」 「盲腸線の秘密」 「口笛の上手な白雪姫」 「先回りローバ」 「亡き王女のための刺繍」 「盲腸線の秘密」 個人的には、この短篇が好きだっ...
小川洋子さんの短篇集。 「先回りローバ」 「亡き王女のための刺繍」 「かわいそうなこと」 「一つの歌を分け合う」 「乳歯」 「仮名の作家」 「盲腸線の秘密」 「口笛の上手な白雪姫」 「先回りローバ」 「亡き王女のための刺繍」 「盲腸線の秘密」 個人的には、この短篇が好きだった。 なにか静かな空気感というか、はかなげな悲しみというか、独特な世界観。 やはり小川洋子さんの短篇だと感じる。
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静かで不思議、そしてなんとなく寂しさが伴う短編集。主人公たちは自分だけの秘密の世界を孤独に、でも毎日しっかりと生きている。そんな感じがしました。 特に好きな作品は、「かわいそうなこと」と「仮名の作家」。思わず泣いてしまったのは「一つの歌を分け合う」。 「かわいそうなこと」は「...
静かで不思議、そしてなんとなく寂しさが伴う短編集。主人公たちは自分だけの秘密の世界を孤独に、でも毎日しっかりと生きている。そんな感じがしました。 特に好きな作品は、「かわいそうなこと」と「仮名の作家」。思わず泣いてしまったのは「一つの歌を分け合う」。 「かわいそうなこと」は「かわいそう」と思ったことをノートに書き溜める男の子が主人公。彼の「かわいそう」の基準が純粋で、少し変わっていて、なんだか可笑しく、可愛らしいというのと、物語の最後に彼が「かわいそう」と思う野球少年から広がっていく思いがとても繊細で、主人公の感受性に共感しつつも、なんだか切ない気持ちになりました。 「仮名の作家」は設定がすごく面白くて、私好みでした。とある小説家のファンの女性で、すごく狂信的な人で、彼女のちょっと普通ではない応援の仕方も怖くて面白い。その小説家に直接感想を言ったり、質問できるイベントに彼女が参加してから、(2人の間には質疑応答しかないのですが)2人の間に生まれる秘密のコミュニケーションがなんだかキュンとします。 「一つの歌を分け合う」はとても美しい物語でした。息子を亡くした伯母さんと劇場で「レ・ミゼラブル」を鑑賞した主人公。ジャン・バルジャンを演じる俳優を「あの子」と呼び、哀しみのあまり亡くなった息子と混同していると心配した主人公の母は監視役として一緒に観劇するように勧めたことがきっかけでした。 本当に伯母さんは息子とバルジャンの俳優を混同していたかどうかは分かりません。混同していたし、そうでないのかもしれません。でも、バルジャンの歌う「私を死なせて、彼を帰して 家へ」という歌詞と伯母さんの流す静かな涙があまりにも美しく溶け合って、一つの劇場のシーンを作り出していて、わたしも泣いてしまいました。 他にも片隅で、自分だけの秘密の世界を一生懸命生きる人のちょっと不思議で素敵な物語があります。リラックスして読書したいときにおすすめです。 また小川洋子さんの作品にはよく赤ちゃんが(なんだか尊く完全で神聖な存在として)登場します。今初めての赤ちゃんを待っているわたしも不思議な縁を感じました。
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ちょっとライト? ここ最近の小川洋子作品、登場人物が登場人物たる気がしてる。 よく喋る、そしてわかりやすい。おとぎ話のような雰囲気がある。
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多彩な口笛で赤ん坊にだけ愛されたおばさん…、表題作をはじめ、偏愛と孤独を友とし生きる人々に訪れるささやかな奇跡を描く全8編。 偏愛は純粋なのか狂気なのか。周囲の環境や存在する時代でその評価は変わってくるように思う。己を突き通すのか他人に合わすのか、偏屈とお調子者の根本的な差は僅か...
多彩な口笛で赤ん坊にだけ愛されたおばさん…、表題作をはじめ、偏愛と孤独を友とし生きる人々に訪れるささやかな奇跡を描く全8編。 偏愛は純粋なのか狂気なのか。周囲の環境や存在する時代でその評価は変わってくるように思う。己を突き通すのか他人に合わすのか、偏屈とお調子者の根本的な差は僅かでしかない。
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