ガーデン の商品レビュー
植物を愛する羽野は、人間と深く関わるのが苦手で人と常に一定の距離を置いている。どこか周りの人たちを達観して見ているような羽野だったが、実は人の気持ちを何もわかっていなかったことに気付かされるお話。 終盤で緋奈が羽野の生き方や部屋を「不自然だ」と指摘していくシーンには圧倒された。...
植物を愛する羽野は、人間と深く関わるのが苦手で人と常に一定の距離を置いている。どこか周りの人たちを達観して見ているような羽野だったが、実は人の気持ちを何もわかっていなかったことに気付かされるお話。 終盤で緋奈が羽野の生き方や部屋を「不自然だ」と指摘していくシーンには圧倒された。緋奈の言葉が適切で、花が崩れるように羽野の価値観がバラバラと崩れていく感じだった。
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雰囲気は透明な夜の香りに似ていた。 植物を愛す繊細な男が主人公。 放っておいて欲しい。他人に自分の庭(世界)を侵されたくない。他人とは深く関わりたくない。 序盤から主人公に嫌悪感。 人に、型にはめられることは嫌だけど 自分も大概してますやん…… 自分だけの庭(世界)なんて皆そ...
雰囲気は透明な夜の香りに似ていた。 植物を愛す繊細な男が主人公。 放っておいて欲しい。他人に自分の庭(世界)を侵されたくない。他人とは深く関わりたくない。 序盤から主人公に嫌悪感。 人に、型にはめられることは嫌だけど 自分も大概してますやん…… 自分だけの庭(世界)なんて皆それぞれあるだろうし、自分が生きやすい他者との距離感を見つけて生きていくしかないんじゃないの。 ナルシストで自分の傷に敏感すぎて、 自身が他者につけている傷には鈍感な人だなぁと感じた。 圧倒的な植物の美しい描写。湿気を帯びたストーリー展開はさすが千早さんでした。
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相手の気持ちをわかったような気になってる。相手が求めていそうなことを自分の感情とは関係なしに、答える。まるで植物を相手にしているみたいだ。でも、本人がどう感じているか、どう思っているかなんて本人しか分からない。植物だって一緒だ。本当に理解できているかなんて、人間の驕りでしかない。...
相手の気持ちをわかったような気になってる。相手が求めていそうなことを自分の感情とは関係なしに、答える。まるで植物を相手にしているみたいだ。でも、本人がどう感じているか、どう思っているかなんて本人しか分からない。植物だって一緒だ。本当に理解できているかなんて、人間の驕りでしかない。 主人公は自分だけが被害者のような面をして生きている。相手には透明な膜を張るような、自分だけの庭に逃げ込んだ臆病者だ。相手に与えているようで、自分の殻を破らないだけの安全地帯から一生出てこない。そして、人が離れていく。
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まさかこんな終わり方をするとは。 創り上げた幸福が 不自然なものだったことに気づかされてからの 崩れ去り方が悲惨だった。 主人公の潔癖気味な性格が気に入らなかったけど なるほどこの性格がこの話を面白くする持ち味だった。
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何が自然で何が不自然なのか。 女性たちの生き方が儚くも美しい。 羽野みたいな男がモテるのちょっと分かる。 この人の庭を私が壊してみたい、と思ってしまう。 そうゆう感覚的なところで惹かれるのかも。
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自分を隠すことでしか自分を守れないのだろうか。 他人の心に踏み込まないことでしか他人を傷つけず生きられないのだろうか。 自分が傷つかないこと、他人を傷つけないことに 腐心をしてひどく大人びた子供のような主人公だった(主人公は30代くらいの男性だけど) 主人公は極端なように描か...
自分を隠すことでしか自分を守れないのだろうか。 他人の心に踏み込まないことでしか他人を傷つけず生きられないのだろうか。 自分が傷つかないこと、他人を傷つけないことに 腐心をしてひどく大人びた子供のような主人公だった(主人公は30代くらいの男性だけど) 主人公は極端なように描かれているが、 自分を守り、他者を傷つけまいとした時、 誰しもこの主人公のようになることがあるだろうと思う 節々に刺さる言葉があり、好きな小説。 個人的には高津さんが好き
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主人公は帰国子女の羽野くん。 植物(観葉植物や南国の草花)を愛し、自宅では沢山のそれらに囲まれて暮らしている。 編集という仕事柄か周りには沢山の女性たちが居るが、華々しい彼女たちとはいつも、一定の距離感を保っている。 いや、女性たちだけでなく、羽野は他者と深く関わらないように生き...
主人公は帰国子女の羽野くん。 植物(観葉植物や南国の草花)を愛し、自宅では沢山のそれらに囲まれて暮らしている。 編集という仕事柄か周りには沢山の女性たちが居るが、華々しい彼女たちとはいつも、一定の距離感を保っている。 いや、女性たちだけでなく、羽野は他者と深く関わらないように生きているように思える。 決して人付き合いが下手なわけではないけれど、 口先だけの褒め言葉や、信念を曲げてまでの軽口はたたかない。 スマートと言えばスマートなのだけど。。。 その場で口にするかは別にして、言いたいことがズバズバとト書きで書かれるのはちょっぴり清々しい。 また、植物の描き方が美しい。 濃密で、こちらにまでむんとする緑の匂いや花の香りが伝わってきそうだ。 けれど、この作品は苦手だった。 以前別のレビューで書かせていただいたことがあるが、私も沢山の植物を育てている。 私がハマっているのは山野草とクレマチスだが、狭いベランダに山ほど同居している。 彼らは正直だ。 弱いようでいて強く、羽野くんの家にある観葉植物や蘭ほど派手さや力強さはないけれど、楚々とした風情のある姿が可愛らしい。 世話をするほど花を咲かせて返してくれる。 それに、植物を沢山育てている方は経験がおありかもしれないが、外出している時でさえ、彼らは私と共に居る。 おかしな感覚だけれど、常に私自身の周りに彼らを感じる。 その点でいうと、羽野くんの感覚に近いのかもしれない。 だから本作で植物描写が事細かにされるほどに、人間が生々し過ぎて、女たちが痛くて、面倒で、苦手に思えたのだ。 自分も女なのにね。 女性特有の、自分自身でも嫌だな…と思う部分が多く描かれていて、なんだか不快感を感じた。 自分も含まれるだろう嫌な部分が際立って感じられて、それなのに物語は淡々としていて、 なんだろ………とにかく苦手だった。 植物が"生"に対して純粋に清潔に描かれている分、余計にそれらを感じることとなった。 でも、それだけ生々しく感じたということは、やはり千早茜さんの作家としての力量なんだろうな。 益々我が家の植物たちが愛おしくなった 笑 それでもラストシーン、あれは羽野くんの僅かな変化を描いているのかしら。。。 羽野くん、植物と生身の人間は違って当然だよ。自身を180°変える必要はないけれど、植物とは違う人間の温度を、少しでも安らぎと捉えられるようになれたらいいね。
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好みの人って、自分がなりたい人だったりするよね。 だから、気が合う人は変わっていくのかもしれない。自分が成長していけてたら。 どこかへ出かけた時に浮かぶ人。 それは心に存在する人かもしれない。 理沙子を思い出した羽野のように。 だとしたら、初詣へ行けない私のことを神社で思い出...
好みの人って、自分がなりたい人だったりするよね。 だから、気が合う人は変わっていくのかもしれない。自分が成長していけてたら。 どこかへ出かけた時に浮かぶ人。 それは心に存在する人かもしれない。 理沙子を思い出した羽野のように。 だとしたら、初詣へ行けない私のことを神社で思い出してくれた2人には感謝。
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【2024年2冊目】 芸術家の話だな〜というのが読んだすぐの感想でした。そして誰もいなくなった、ですね。世界観が強い人ほど、いわゆる月並の日常とはほど遠くて、主人公も、彼の周りにいる彼女たちもそうだったんじゃないかなって。世間一般から見れば変人同士でくくられるのかもしれないけれど...
【2024年2冊目】 芸術家の話だな〜というのが読んだすぐの感想でした。そして誰もいなくなった、ですね。世界観が強い人ほど、いわゆる月並の日常とはほど遠くて、主人公も、彼の周りにいる彼女たちもそうだったんじゃないかなって。世間一般から見れば変人同士でくくられるのかもしれないけれど、中味を紐解いて見ると全員バラバラの方向性を向いていたんじゃないかと思います。誰もいなくなったけれど、きっとこれからも変わらず彼は生きていくし、傍に誰かがいる状況が訪れても、きっと変わらない。芸術家の話だなとカテゴライズすること、なんだか安心するのでそういうことにしようかな。 主人公の彼がずっと凪いでる人だったので、こっちもずっと凪の海を漂うような心地で読んでました。
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お願いごとをすることは、自分にとってなにが大切かを考えるってことなんです。 でも、あの子は結婚に向いていると思うわ。自分を殺すことを愛や喜びと思えるタイプだから けど、の後に続く言葉はなんとなくわかる。人が人に何かを求めている時は、本人が思う以上にあからさまにでてしまっている...
お願いごとをすることは、自分にとってなにが大切かを考えるってことなんです。 でも、あの子は結婚に向いていると思うわ。自分を殺すことを愛や喜びと思えるタイプだから けど、の後に続く言葉はなんとなくわかる。人が人に何かを求めている時は、本人が思う以上にあからさまにでてしまっているものだ。 人の望むことに応えてその場その場をうまくやるだけで、本当はなにがしたいのか見失っていた。でもね、そのくせ実は待っているの。誰かが変えてくれるのを。自分からは決して手を伸ばさないで、真っ白な根で心をぎゅうぎゅうに縛って。
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