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ガーデン の商品レビュー

3.5

69件のお客様レビュー

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2024/09/10

自分のために生きることに疲れたら、物言わぬ何かに愛情を注ぐ__植物との空間は閉ざされた世界だった。植物は強い生命力に溢れているが、登場人物からは生きづらさと心の渇きを感じた。自分の世界という安全圏で生きたい気持ちはとても共感した。

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2024/07/02

発展途上国で過ごした少年時代から植物を偏愛し、他人と深く関わらない編集者の羽野、ある日知り合った理沙子に帰国子女であることを隠す理由を問われたことから関わりを持つようになる。彼女と出会い様々な人の変化を知り羽野の人生観がゆらぎはじめる 小説は植物の描写とともに描かれた様々な登場...

発展途上国で過ごした少年時代から植物を偏愛し、他人と深く関わらない編集者の羽野、ある日知り合った理沙子に帰国子女であることを隠す理由を問われたことから関わりを持つようになる。彼女と出会い様々な人の変化を知り羽野の人生観がゆらぎはじめる 小説は植物の描写とともに描かれた様々な登場人物たちも魅力的、羽野のまわりには羽野を好いているのではと思われる女性が何人か登場し、最初と最後で印象が大きく変わる人が多くてとても強く惹かれました とくに印象的なのはバイトのミカミさん、マスコットみたいなキャラという印象から登場回数を重ねて行くごとに抜け目のないしっかり者であることがわかる。ミカミさんの好きなものに対してのことやお寺でのお願い事のことなど何気ない言葉だったとしても強く印象に残った 他にも様々な女性が登場するが、羽野は変わらないことが幸せなのだと信じて疑わない規則正しく同じリズムで生活し、植物のように悪くなったら葉を切り捨てるような生き方に感動するような人物である。それを冷めてると感じる人もいるだろうが自分はその生き方に賛同してしまう。 子供の頃思ったこと感じたこと、それは自分にとって確かなものだから読んでいて自分を固定してくれるような気持ちになった。だから自分的に最後はそんな同士がいなくなるようで少し寂しく感じてしまいました 全体を通して、描写は読みやすく美しくしい、ページ数もそこまでないのでサクッと読めると思います。ですが人によって羽野に対してイライラされる人もいるかも?それでも登場人物たちが魅力的なのでぜひ読んでほしい小説です

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2024/06/27

千早さんの本読んでみたいなぁと思いながら機会がなかなかなく。大好きな古本屋さんで見つけて、やっとご縁がきた!と思って読了。 読み終わった気分としては、後ろからぶすぶす刺されまくったような気分だ。私の場合は。 読みながら、これまでの全く長くもないけれどもな人生の中であった色々なこ...

千早さんの本読んでみたいなぁと思いながら機会がなかなかなく。大好きな古本屋さんで見つけて、やっとご縁がきた!と思って読了。 読み終わった気分としては、後ろからぶすぶす刺されまくったような気分だ。私の場合は。 読みながら、これまでの全く長くもないけれどもな人生の中であった色々なことが次々と思い出されて、何回も本を閉じかけた。 主人公の羽野が静かに揺さぶられていくのと一緒に揺さぶられた気分だ。羽野さんと私は全く似ていないのに不思議なものだ。

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2024/07/20

「透明な夜の香り」からちょっと気になる作者さん。 「赤い月の香り」が文庫になるまでは既刊をボチボチと読んでいく、の2冊目。 実は1年前にフォローしている方のレビューを読んで、「透明な夜の香り」を読む前からずっと「読みたい」に入れていた。 主人公は、植物を偏愛する30歳を過ぎた独...

「透明な夜の香り」からちょっと気になる作者さん。 「赤い月の香り」が文庫になるまでは既刊をボチボチと読んでいく、の2冊目。 実は1年前にフォローしている方のレビューを読んで、「透明な夜の香り」を読む前からずっと「読みたい」に入れていた。 主人公は、植物を偏愛する30歳を過ぎた独身男性・羽野。 ファッション雑誌の編集をこなし、社内外の付き合いもそれなりにしている彼だが、その心中では『放っておいて欲しい。それが、僕が他人に求める唯一のことだ』と思いながら生きている。 親の仕事の都合で『途上国』の広い庭や畑や小さな果樹園まである家で育ち、その時とその後の経験が彼の人格を形成し、睡眠と植物のためだけにあるという部屋で植物たちを丹精して育てている。 ずっと昔、初めての海外出張で行ったマレーシアで、現地会社へ出向して社長を務めている人の家を訪ねた時のことを思い出した。 正に羽野が住んでいたような環境がそこにはあり、子どもがああいった中で育つと、羽野のような思いに至るのも理解できないこともない。 そうして出来上がった、日常的な人間関係を超越したような羽野の考え方には、結構共鳴するところがあった。 一人でいることは飽きるとか、そういうことではない気がする。一人は基本だ。(P.28) 嫌いとか好きとか、あれが欲しいとか、自分の手の中でする限りは自由じゃない。良い悪いなんてないし、好き嫌いに意味も理由もいらないよ。(P.34) 異性でも同性でも、僕は仕事で同士はいらない。(P.62) 幻滅したくなかったらなにも求めない方がいい。(P.126) 仕方ない、でたいていのことはやり過ごせる。(P.188) 『でも、それじゃ……さみしくないですか』と問われて『さびしくないよ』と言い切るところには、こういう生き方ができるといいよねえと思わすところがある。『僕の感覚は少しずれている』と自覚するように、なんとなく何かが欠落しているようには感じるが…。 そんな彼と関わってくる女性たち。アルバイトのミカミさん、同期のタナハシ、モデルのマリ、バーテンドレスの緋奈、写真家の理沙子。 それぞれに個性的で魅力的な彼女らとの関係性が描かれる中で、羽野の生き方を楽しんで読んでいたが、誰にも手を差し伸べなかった羽野の前から彼女らが消えていった時、羽野が揺らいだのにはやや心外。そういうことをやり過ごして、植物を偏愛する男として通して欲しかったなあ。 “なんとなく何かが欠落している”ところを突かれたわけだが、なんかこういう生き方もいいよねと思ったところもあっただけにちょっと残念。

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2024/05/31

 『女は花なのかもしれない。愛でられたいという本能だけで咲く花。』  植物を偏愛し、自宅に自分だけの庭を持ち、そこに自己の存在肯定を見出す編集者の羽野は、表面だけ相手が望むようにふるまっているだけで、他人に対する意思や望みがない。よって人に傷つかない。また女性の底の知れなさが怖い...

 『女は花なのかもしれない。愛でられたいという本能だけで咲く花。』  植物を偏愛し、自宅に自分だけの庭を持ち、そこに自己の存在肯定を見出す編集者の羽野は、表面だけ相手が望むようにふるまっているだけで、他人に対する意思や望みがない。よって人に傷つかない。また女性の底の知れなさが怖い。一度応じてしまったら、果てのない「感情共有」という欲望に、永遠に応え続けなくてはいけない気がするから。  人が孤独なのも、さびしいのも、当たり前のことで、それは幸福でも不幸でもなく、ただの事実だ。愛情によって、ぴったりと重なるような理解ができたと思えたとしても、それは錯覚に過ぎないのだけれど、その錯覚を求める女性は多い。羽野はきっと、そういう認識で生きている自分のことを尊重してもらいたい。  恋愛感情なしに自分をさらけ出すことの出来ていた相手である緋奈が、温度なく諦めのこもった目を向け、あなたは「不自然だ」と言い放ち、目の前から消える。そこで初めて羽野は自分の臆病さを自認する。こうしてそぎ落とされた己の欲望を直視するところで、物語は終わりを迎える。  『僕は彼女の体温を知らない。彼女の肌も、その奥も。』理性的であることはある種、楽をすることだと思う。完全に正しさに行ききらない曖昧さを手放さない大人は、たしかに危ういけれど、鮮烈な魅力を放つ。どハマりしたくなる何かがある。赤い唇をもつ理沙子に溺れていく、痛々しくも人間らしい羽野の姿を、もっと見ていたいなと思った。

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2024/05/14

植物を愛する羽野は、人間と深く関わるのが苦手で人と常に一定の距離を置いている。どこか周りの人たちを達観して見ているような羽野だったが、実は人の気持ちを何もわかっていなかったことに気付かされるお話。 終盤で緋奈が羽野の生き方や部屋を「不自然だ」と指摘していくシーンには圧倒された。...

植物を愛する羽野は、人間と深く関わるのが苦手で人と常に一定の距離を置いている。どこか周りの人たちを達観して見ているような羽野だったが、実は人の気持ちを何もわかっていなかったことに気付かされるお話。 終盤で緋奈が羽野の生き方や部屋を「不自然だ」と指摘していくシーンには圧倒された。緋奈の言葉が適切で、花が崩れるように羽野の価値観がバラバラと崩れていく感じだった。

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2024/05/10

雰囲気は透明な夜の香りに似ていた。 植物を愛す繊細な男が主人公。 放っておいて欲しい。他人に自分の庭(世界)を侵されたくない。他人とは深く関わりたくない。 序盤から主人公に嫌悪感。 人に、型にはめられることは嫌だけど 自分も大概してますやん…… 自分だけの庭(世界)なんて皆そ...

雰囲気は透明な夜の香りに似ていた。 植物を愛す繊細な男が主人公。 放っておいて欲しい。他人に自分の庭(世界)を侵されたくない。他人とは深く関わりたくない。 序盤から主人公に嫌悪感。 人に、型にはめられることは嫌だけど 自分も大概してますやん…… 自分だけの庭(世界)なんて皆それぞれあるだろうし、自分が生きやすい他者との距離感を見つけて生きていくしかないんじゃないの。 ナルシストで自分の傷に敏感すぎて、 自身が他者につけている傷には鈍感な人だなぁと感じた。 圧倒的な植物の美しい描写。湿気を帯びたストーリー展開はさすが千早さんでした。

Posted byブクログ

2024/04/15

相手の気持ちをわかったような気になってる。相手が求めていそうなことを自分の感情とは関係なしに、答える。まるで植物を相手にしているみたいだ。でも、本人がどう感じているか、どう思っているかなんて本人しか分からない。植物だって一緒だ。本当に理解できているかなんて、人間の驕りでしかない。...

相手の気持ちをわかったような気になってる。相手が求めていそうなことを自分の感情とは関係なしに、答える。まるで植物を相手にしているみたいだ。でも、本人がどう感じているか、どう思っているかなんて本人しか分からない。植物だって一緒だ。本当に理解できているかなんて、人間の驕りでしかない。     主人公は自分だけが被害者のような面をして生きている。相手には透明な膜を張るような、自分だけの庭に逃げ込んだ臆病者だ。相手に与えているようで、自分の殻を破らないだけの安全地帯から一生出てこない。そして、人が離れていく。

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2024/04/01

まさかこんな終わり方をするとは。 創り上げた幸福が 不自然なものだったことに気づかされてからの 崩れ去り方が悲惨だった。 主人公の潔癖気味な性格が気に入らなかったけど なるほどこの性格がこの話を面白くする持ち味だった。

Posted byブクログ

2024/03/29

何が自然で何が不自然なのか。 女性たちの生き方が儚くも美しい。 羽野みたいな男がモテるのちょっと分かる。 この人の庭を私が壊してみたい、と思ってしまう。 そうゆう感覚的なところで惹かれるのかも。

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