二百十番館にようこそ の商品レビュー
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実家を追い出されたニート達が、人口僅か19人の小さな島で共同生活を始める のんびりとした島の雰囲気とギクシャクしつつも力を合わせて頑張るニートたちの姿に和みつつ、丁寧に描かれる人の弱さと暖かさに心を動かされました。 お産のシーンでは思わず少し涙も…… 後半のミステリ要素と伏線回収も鮮やか! ベタな仕掛けではあるけどすっかり作品の世界観に浸っていたのでしっかり驚かされました
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社会性を欠くニートの話が、楽天的に描かれていて楽しく読めた 実際にありそうな展開で、読みやすい内容でした 主人公たちが集うオンラインゲームは、まるで実在するかのように詳細が設定されていて、魅力のある内容でした
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加納朋子らしい、登場人物に悪い人がいない、優しい再生と巣立ちの物語。 ニート、地方の過疎、出産・育児、別れ、人生の、世界のいろいろな問題点もギュッと詰め込まれていて、ファンタジーっぽいのに地続きであることを感じさせる。 環境が変わることによっても、世界を認知する自分が変わる。世界...
加納朋子らしい、登場人物に悪い人がいない、優しい再生と巣立ちの物語。 ニート、地方の過疎、出産・育児、別れ、人生の、世界のいろいろな問題点もギュッと詰め込まれていて、ファンタジーっぽいのに地続きであることを感じさせる。 環境が変わることによっても、世界を認知する自分が変わる。世界を生き抜くために悪戦苦闘する様は、応援したくなる。 一方で、本当に自分の隣に彼らが居たとき、果たして偏見なしに彼らを応援できるだろうか、という気もするところ、彼らの奮闘ぶりを楽しむだけでなく、読者の側にも寛容さや対話の有無を問われているようにも読めた。
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ニートで、毎日ネットゲームに明け暮れる主人公。 とうとう親に愛想をつかされ、家を放り出され、亡くなった伯父が所有していた館を相続することに。 その館があるのはコンビニも無い小さな小島だった。 物語の中でもネットゲームが大きく関わってきて、今どきの話だなぁ、と。 今の世の中、ネッ...
ニートで、毎日ネットゲームに明け暮れる主人公。 とうとう親に愛想をつかされ、家を放り出され、亡くなった伯父が所有していた館を相続することに。 その館があるのはコンビニも無い小さな小島だった。 物語の中でもネットゲームが大きく関わってきて、今どきの話だなぁ、と。 今の世の中、ネット環境があれば何とでもなるけど、やっぱり人と人との関わりって大事だし、そこから得るものは大きい。そう思える話だった。
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一面に広がる花畑の静けさと美しさと悲しさが、イラストもないのに見えてきた。 こんなラストに落ち着くなんて読み始めには想像もしていなかったけど。 思わず満足のため息をついてしまうような読後感でした。
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人生はままならない。 MARCHのちょい下くらいの大学を卒業し、そこそこやれてる人生だと思っていた俺。 就活で挫折し気付けば20代後半で無職のニート。 そんな主人公が親に追放され暮らす事になったのは叔父が遺産として残した孤島に建つ館。 これは楽しい。 金銭面の不安解消の為...
人生はままならない。 MARCHのちょい下くらいの大学を卒業し、そこそこやれてる人生だと思っていた俺。 就活で挫折し気付けば20代後半で無職のニート。 そんな主人公が親に追放され暮らす事になったのは叔父が遺産として残した孤島に建つ館。 これは楽しい。 金銭面の不安解消の為に始めたシェアハウスに集まった個性豊かなニートの面々。 人口20人足らずの小さな島で暮らす島民達の優しさに心が温まり、ニート仲間と共に気持ちが解れて行く。 オンラインゲームに隠されていた秘密には思わずホロリ。 愛情と包容力が詰まったハートフルな再生物語。
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心温まるいい話でした。 オンラインゲームと現実をうまく繋げれるのか?と思ってましたが、綺麗にまとまってました!(^-^) こんな島に移住したい(^-^)
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ニートが島に集まって、ネトゲーしながらもちょっとずつリアルに戻って行く。 ほどよく軽く、ほどよく良い話でさらさらと読める。 ゲームの中の人物とのつながりも良い感じ。 中高生なら感想文書きやすそー! 良い人ばかり出てきて、島の人たちも優しい。
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良い話だった。就活で失敗し続けた結果、心が折れて実家でネトゲの世界に逃げていた主人公は、両親に追い出され、伯父の遺産である離島の元研修センター(ニートなので二百十番館と名付ける)で暮らすことになる。自己肯定感が低く、打たれ弱い主人公が、それでも少しずつ島のお年寄り(みんなとにかく...
良い話だった。就活で失敗し続けた結果、心が折れて実家でネトゲの世界に逃げていた主人公は、両親に追い出され、伯父の遺産である離島の元研修センター(ニートなので二百十番館と名付ける)で暮らすことになる。自己肯定感が低く、打たれ弱い主人公が、それでも少しずつ島のお年寄り(みんなとにかく優しい。おばあさんは、カウンセラーかっていうぐらい寄り添って優しい言葉をくれる。)との関係を築き、得意のゲームを通して同居人が一人二人と増えて自立していく様子は応援したくなる。二百十番館にもっと人が増えて島が賑やかになると良いな。部屋はまだたくさんありそうだし。猫がたくさんいて、海が綺麗なこんな島で私も暮らしたいと思った。二百十番館の住人となるための五か条は守ります!ゲームはあまりしたことがないけれど。
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主人公は、ごく普通に高校、大学に進学し、ごく普通に就職する…はずだったのだが、ことごとく不採用の通知を受けるうちに、新卒という最強のカードを失い、家に引きこもったままゲーム三昧の日々を送っているアラサー男。 これではまずい、と自分でもわかっている。 だけど、当たり前のように就職できると思っていた自分の何が悪くて現在の状態に陥ったのかがわからない。 これではまずい、と自分でもわかっている。 でも両親は元気に共働きだし、家は持ち家だし、たとえ両親が亡くなっても貯金やら何やらで自分一人くらいは何とか食べていけるのではないか、とも思っている。 そんなとき、あったこともない母の兄が亡くなり、遺産として南の島にある館を贈られた。 手続きのため弁護士とともにその島に赴くと、島の住民17人中60歳以下はひとりという、超限界集落のうえ、館とは使われなくなって久しい研修施設だった。 家に戻ったら売却手続きでも取ろうと思っていたら、実家から彼の荷物がどさどさ届く。 どういうことかと電話しようにも、両親はスマホの番号を変えていた。 弁護士に聞くと、両親は既に引っ越し、行き先は教えないよう言われていると言う。 親に捨てられた! それも、こんな何もないところに! しかもこの負の遺産である館を維持していかなくてはならない! ここから主人公がどうにか生きる力をつけていく話なのですが、この主人公、本当に普通の子なんですよね。 ほどほどの努力で今まで挫折なしに生きてきたから、就活で完全に心が折れてしまう。 みんなが当たり前にできている就職が自分にはできない。 自分は無能。 自分には存在価値なんかない。 だけど、ネットゲームの中では頼れる奴として評価されている。 だからゲームをやめられない。 どこにでもいる当たり前の子が陥る、自己否定の落とし穴。 だけど、やり直すことはできるんだよ、前に進むことはできるんだよ。 自分らしくあるままで。 ということを、ここ最近の加納作品は書き続けているように思う。 自身の闘病経験もあるからなのかな、生きていればどこからでもやり直していいんだよ、と言っているように思える。 ひとりで維持できない館ならシェアハウスにしよう。 自分みたいに世間から外れてひっそりと生きている人たちと。 ってことで『二百十(ニート)番館』となるのであるが、主人公はやり直すつもりではなく、あくまでも現像維持を望んでいるのである。 けれど、自分の食い扶持を自分で何とかするということは、結果的に社会の中に入っていくことになる。 ごくごく自然に、自分たちのペースで社会になじんでいく彼らの基本的なコミュニケーションはやっぱりネットゲームで、それもまた現代的で良いなあ。 ライトオタクの彼らの会話の中には、とても自然にアニメやゲームの小ネタが挟み込まれていて、それを見つけてはにやにやしてしまう私もまたライトオタクなのかも。 そしてポイントは、親は子どもを捨ててなんかいないということ。 連絡を絶つ、世話をしないというのは、ある意味親にとっても辛い選択なのだ。 それを理解した時、初めて人は大人になったと言えるのではないだろうか。
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