だから、もう眠らせてほしい の商品レビュー
小説でありながら、筆者が緩和ケア医であることから、実写ではないかというリアル感もあった。 2人の患者と起こる出来事、感情に、真摯に向き合う医師の存在が羨ましくもあり、自分がどう向き合うかも考えさせられた。
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安楽死を願った二人の若き患者と過ごし、そして別れたある夏に何が起こったか――。オランダ、ベルギーを筆頭に世界中で議論が巻き上がっている「安楽死制度」。その実態とは。緩和ケア医が全身で患者と向き合い、懸命に言葉を交し合った「生命」の記録。 私は仕事柄、がんに限らず筆者と同じように「...
安楽死を願った二人の若き患者と過ごし、そして別れたある夏に何が起こったか――。オランダ、ベルギーを筆頭に世界中で議論が巻き上がっている「安楽死制度」。その実態とは。緩和ケア医が全身で患者と向き合い、懸命に言葉を交し合った「生命」の記録。 私は仕事柄、がんに限らず筆者と同じように「死」と向かいあう。だけど診療科の関係で緩和ケアとはほぼ関わらないし、医者の中では遠いところにいる。正直安楽死制度は個人的に必要だと思っている。かといって自分が主治医でその選択権を委ねられたら困るだろうけれど。自分が患者だったらその選択肢がほしいと思うだけだ。だけど、筆者の安楽死をできるだけ減らしたいという思いを抱えながら診療に全力であたる人の考え方は共感できるし、自分も最後まであがく人でありたいなとも思う。それが患者にとって幸せかどうかは、人によるし、全く同じことはできないと分かっている。答えがない中で、社会的にもっと議論が進んでできるだけ多くの人が苦しみから解放される仕組みを目指すしかない。格差を受け入れて制度化するしかないというのは暴論にも聞こえるけど、考え方はみんな違うわけだし一理あるなと思った。
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全員、いつか、必ず死ぬ(なんかそれも覆りそうな気配だけど、現時点では、まだ)。そして、どう死ぬかを決めなきゃならない事態もありえる。だから、哲学者の論考も大切だけれど、みんなが手にとれるポピュラー・哲学みたいな本もあっていい。これは、そういうニーズにうまくはまる本だと思う。 医...
全員、いつか、必ず死ぬ(なんかそれも覆りそうな気配だけど、現時点では、まだ)。そして、どう死ぬかを決めなきゃならない事態もありえる。だから、哲学者の論考も大切だけれど、みんなが手にとれるポピュラー・哲学みたいな本もあっていい。これは、そういうニーズにうまくはまる本だと思う。 医学って、残酷だ。患者にとってもそうだけど、それ以上に、死なせるか死なせないかを決めなきゃならない医師の方の心のケアってどうなってんだろう?あと、遺族のケアは??制度として安楽死が設定されてなくても、尊厳死は(患者の精神力次第では)今の日本でもできる。死ぬ本人はいい。納得ずくだし、後がないから。たぶん。でも、そうさせた医師は?遺族は???疑問が残る。 あと、スイスに行けば安楽死ができる。それは事実だけど、ずいずんと安直な発想なのだとこれ読んで思った。向こうは向こうで裁判とか大変らしい。そして、ケアもけっこう雑だし、英語でタフな交渉もしなきゃならないらしい。じゃあオランダは?ベルギーは?って言ったら、そっちもそっちで「すべり坂」が発生してて、まだその対策は追いついてないらしい。 「欧米」なんてものは、日本人の頭の中にしか存在しない。それをさも尊いもののようにありがたがるのは、もうやめたほうがいい。日本は日本のやり方で行くしかない。安楽死がどうの、っていうよりも、舶来物をありがたがる習慣から変えた方が良さそうだと思った。 そして、QOLの決め手は周囲の人との関わりと経済状況なんだと思った。本書の登場人物のユカさんにしてもYくんにしても、伴侶に恵まれ、医師に恵まれ、地域のシステム(地域の保健室というものがあるらしい)に恵まれている。経済的にもある程度の余裕がある。 究極の贅沢品。 それが安楽死なのかもしれない。
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新聞の書評から手に取った一冊。本の中に出てくる人物の、「患者の民主的な選択肢として安楽死制度はあるべきだが、SNSなどで盛り上がる単純な安楽死賛成派はタチが悪い、日本にはまだその制度を導入する文化的、社会的基盤が整っていない」という意見に同意したい。実際に自分自身や家族が当事者と...
新聞の書評から手に取った一冊。本の中に出てくる人物の、「患者の民主的な選択肢として安楽死制度はあるべきだが、SNSなどで盛り上がる単純な安楽死賛成派はタチが悪い、日本にはまだその制度を導入する文化的、社会的基盤が整っていない」という意見に同意したい。実際に自分自身や家族が当事者とならないと、本当の意味ではこの問題には向き合えないとも思う。緩和ケアの専門医として当たり前のように終末を迎える人々と日々向き合い、上から目線でなく真摯にこのテーマへの考察を与えてくれる著者には感服する。
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オンライン投稿サイト「note」にて、20万PV突破し、ノンフィクション・ノベル化された注目の1冊です。 緩和ケア医の著者が、ある夏に対照的な2人の若い末期がん患者と出会い、別れるまでの期間のさまざまな対話が物語となっています。 折しもALS患者嘱託殺人のニュースがあった中で、注...
オンライン投稿サイト「note」にて、20万PV突破し、ノンフィクション・ノベル化された注目の1冊です。 緩和ケア医の著者が、ある夏に対照的な2人の若い末期がん患者と出会い、別れるまでの期間のさまざまな対話が物語となっています。 折しもALS患者嘱託殺人のニュースがあった中で、注目する1冊です。 どうぞお手に取ってご覧ください。
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安楽死の是非を具体的な患者とのエピソードを元に著者の意見が書かれている。 緩和ケアという選択肢と合法的な安楽死という制度を作るかどうか。 耐え難い苦痛というものは誰観点なのか、身体的/精神的なのか、という安楽死や鎮静薬の投与基準とすることができるのか など新しく考えることが多か...
安楽死の是非を具体的な患者とのエピソードを元に著者の意見が書かれている。 緩和ケアという選択肢と合法的な安楽死という制度を作るかどうか。 耐え難い苦痛というものは誰観点なのか、身体的/精神的なのか、という安楽死や鎮静薬の投与基準とすることができるのか など新しく考えることが多かった。
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身内がふたり強い鎮静からの死を迎えたので、安楽死との違いは何かをずっと考えていたので、理解する材料になった。ただ、強調?したいところを太字にするのはやめて欲しかった。それが気になってしかたなくて嫌な気分になった。ここをしっかり受け止めて欲しいというところなんだろうが、それは読み手...
身内がふたり強い鎮静からの死を迎えたので、安楽死との違いは何かをずっと考えていたので、理解する材料になった。ただ、強調?したいところを太字にするのはやめて欲しかった。それが気になってしかたなくて嫌な気分になった。ここをしっかり受け止めて欲しいというところなんだろうが、それは読み手側でそれぞれ考えるとこだと思うので。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一度読むだけでは腹に落ちなかった。 まずは、所々に出てくる著者の所感について、理解できない。例えば「あぁまた失敗したなと思った」と書いてあっても、どう失敗だったのか飲み込めない。もちろん後に解説もない。 主要登場人物2名の死についても、海を見ながら余韻を残す描写で終わる感じが、小説かよ!とツッコミを入れたくなる。そういうちょっとしたズレが蓄積していくのが、読みにくい。 そして、主題の一つとも言える安楽死と緩和ケアの違いが、本を読んでますますわからなくなった。本では鎮静の適応があるかどうか、医療者で議論している。これは複数の医療者の納得が得られれば、際どい鎮静も行われるということだ。白か黒かの明確な線引きができない。関わる医療者の死生観に委ねられるってこと。緩和ケア、リスクありすぎ。 また、緩和ケア歴10年と称する著者が、あまりに自然体である。分からない言葉を後から調べようと思い、先輩看護師にも積極的に怒られる。(私はこの怒られる場面でも、理由が理解できなかった)確かに日々の現場で提供される医療は、診療報酬がつかないレベルの対応も含めれば、後から後悔するようなことはしょっちゅうだ。だが、ライブ感あり過ぎるというか、ちょっと頼りなさ過ぎやしないか。 著者が対談する相手については、達観しているというのか、問題提起もその解釈も百戦錬磨の言葉が並ぶ。そういった部分で学びが多いことも事実。 ないかもしれない答えを求めて奔走する、道半ばの著者を応援したい。そんな気持ちになった。
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悪い内容ではないが、私は内容を勘違いしていた。 写真家で多発性骨髄腫をかかえる 幡野広志氏、 世界中の安楽死の事例を取材して紹介した 宮下洋一氏との対談だと思っていたが、実際は筆者の抱える患者とのエピソードを紹介され、ご自分の活動内容を看護師の話を交え紹介、がほとんど。 ...
悪い内容ではないが、私は内容を勘違いしていた。 写真家で多発性骨髄腫をかかえる 幡野広志氏、 世界中の安楽死の事例を取材して紹介した 宮下洋一氏との対談だと思っていたが、実際は筆者の抱える患者とのエピソードを紹介され、ご自分の活動内容を看護師の話を交え紹介、がほとんど。 宮下洋一氏の文章が読みたかった、それを期待していた、そういう意味で★ひとつ。 安楽死と緩和ケアの違いが分からない人の入門書にはいいと思う。
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奇しくも安楽死制度を求めて苦しんでいる方のニュースが流れてきた。難病で生きていることが辛いのに、死ぬことすら許されないと。 わたしにはその正解はわからない。死にたいと願うことと、生きるのを終えたいと思うのは似て非なる気もするし。 緩和ケア。安楽死。苦しみながらも生き抜くこと。死に...
奇しくも安楽死制度を求めて苦しんでいる方のニュースが流れてきた。難病で生きていることが辛いのに、死ぬことすら許されないと。 わたしにはその正解はわからない。死にたいと願うことと、生きるのを終えたいと思うのは似て非なる気もするし。 緩和ケア。安楽死。苦しみながらも生き抜くこと。死に方を求めてさまよっている人々に選択できる権利はないのかな? 死に方について深く考えさせられる一冊。
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