龍の耳を君に の商品レビュー
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前作を読んだ時、法廷の話がなくて、少し物足りなさを感じましたが、今回は第一話で法廷の話があって満足。そして内容も良かった。第二話も法廷手話通訳をしていたらどうなっていたんだろうと思う。
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主人公は警察でも探偵でも弁護士でもないのに、何故ここまで介入できるのか、途中でそっちが気になりだしてしまって…。前作を読んでいないので、違和感が残ったまま終わってしまった。
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第一作「デフ・ヴォイス」がとても読み心地の良い話でしたので、間を置かす第二作となるこの本を読ませていただきました。 あいかわらず読みやすく明晰なフラットな語り口で、過剰な感動や悲劇をあおることないストーリーが展開されていきます。ミステリとしての意外性、ろう者を取り巻く環境、登場...
第一作「デフ・ヴォイス」がとても読み心地の良い話でしたので、間を置かす第二作となるこの本を読ませていただきました。 あいかわらず読みやすく明晰なフラットな語り口で、過剰な感動や悲劇をあおることないストーリーが展開されていきます。ミステリとしての意外性、ろう者を取り巻く環境、登場人物それぞれの個性の描き方、それぞれのバランスが取れていて、やっぱりとても親しみやすい世界観に浸ることができました。全く知らなかった彼らの世界の一端を少しでも知れたような気がしました。 緘黙症の少年が手話に活路を見出す姿をやさしく見守ってほっと息を吐けるエピソードの一方で、一篇目の証言ではだれもがわかる終盤の「声」の使い方が印象的で、鋭く心に刺さるように思いました。証言者と同じ心情を持ったこと、わかってしまったことは、第一作目の冒頭に感じた感覚と同じものでした。どこか後ろめたく、申し訳ないような思い。けれど、それに引きずられることなく、「ではこれから、何ができるか」を考えていければなと思うのです。 わずかでも、なにかできれば、もっと知れれば、知りたい、と思うようになりました。そういう気持ちにさせてくれた作品でした。
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前作の「デフヴォイス」は、荒井のコーダである苦悩や警察での出来事での葛藤が前半に強すぎたが、今回はそれを超えて、人との繋がりも手話通訳も美和との関係も良くなり読みやすく面白い。龍の耳の話もいい。益岡さんのプレゼントさ…喜ばれなくて英知にくれるってのと、みゆきが刑事課に異動したがるのと、みゆきがやたらイライラしてるのが、ちょっと解せない(笑) 瑠美の離婚は、この後の作品でまた説明?されるのかな、どうなんだろ。
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今作もとてもよかったです。タイトルがとてもいい。作者さんの知識や現状理解がより深まったのでしょう。前作より、聴覚障がい者(あえてこう書きます)の方々の世界がリアルにというか、身近に感じ、より伝わってきました。身につまされるエピソード。当事者でないとわからない気持ち。読み進めながら...
今作もとてもよかったです。タイトルがとてもいい。作者さんの知識や現状理解がより深まったのでしょう。前作より、聴覚障がい者(あえてこう書きます)の方々の世界がリアルにというか、身近に感じ、より伝わってきました。身につまされるエピソード。当事者でないとわからない気持ち。読み進めながら、無理解な現状や偏見に怒りを覚えたり、イライラしたり、悲しくなったり、我が身を振り返ったり。こういう無理解や偏見は、障がい者の方々だけの話ではなく、誰にでも降りかかってくることですよね。 今回、しみじみ思ったのが、社会的弱者はどこまでいっても弱者で、意図せずとにかくトラブルに巻き込まれやすい。情報の貧困からくる貧困。小さなコミュニティ。声を上げることが大切と言うけど、それすらも何かに利用されてしまい、改善に繋がらない。今のコロナ禍もそう。一番手厚く支援をしなければいけないところは、後回しにされてしまう。なんなんでしょうね。本当になんなんでしょうね、この世の中。
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今回も色々と考えさせられた。龍の耳を君にってタイトルも素敵。教育関連の話や学校の認可の話、場面緘黙症など勉強になった。もちろん前作同様ミステリとしても楽しめました。解説も良かった。
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手話通訳士、荒井の物語。 第一作目に続く連作短編集です。 ろう文化と日本手話、聴者の文化と日本語対応手話/日本語発話。 どちらも対応できるものの、どちらにもアイデンティティがない(根ざしている実感がない)という荒井の根底にある不安感が、いまの日本社会の不寛容であったり、善意が翻っ...
手話通訳士、荒井の物語。 第一作目に続く連作短編集です。 ろう文化と日本手話、聴者の文化と日本語対応手話/日本語発話。 どちらも対応できるものの、どちらにもアイデンティティがない(根ざしている実感がない)という荒井の根底にある不安感が、いまの日本社会の不寛容であったり、善意が翻って他者を傷つけたり(あるいはその事を恐れたり)する在り方をよく表しているようにも思います。 発達障害や場面緘黙をもつ子どもと、個々人の特性であるそれらを「親の愛情不足」で片付ける乱暴な論理を掲げる教育家や政治家。 連作ミステリとしても十分に読み応えのある作品ですが、日常ではあまり関わりのないろう者や発達障害などの「障害」をとりまく世界の現実、また家族として暮らす上でのすれ違いやお互いへの思い遣りなど、伝えてくれるメッセージがとても多い作品です。 YAとしても、ミステリとしても、大人が「社会(社会福祉)」を考える本としても、多くの人にオススメしたいと思える本でした。
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今月最後の一冊になるかな。 「デフヴォイス」シリーズの2作目。 手話通訳士の荒井が今回も様々なろう者たちのために奔走する。 あるとき荒井は、恋人のみゆきの娘、小学生の美和の学校の同級生であり、「言葉を話さない」英知に手話を教えることになるのだが、英知はある事件と...
今月最後の一冊になるかな。 「デフヴォイス」シリーズの2作目。 手話通訳士の荒井が今回も様々なろう者たちのために奔走する。 あるとき荒井は、恋人のみゆきの娘、小学生の美和の学校の同級生であり、「言葉を話さない」英知に手話を教えることになるのだが、英知はある事件と大きく関わっていたことがわかる。 荒井が通訳士としての仕事を逸脱してるのでは?と思うシーンがある。 自身も、両親と兄がろう者という環境で育ってきたこともあり、彼らの気持ちに自然に寄り添ってしまうのだ。 その荒井の想い、優しさが私は好きだ。 英知くんはろう者ではないけれど、でも障害を持ちながらも、懸命に生きる少年に、荒井は少しずつ心を解き放たせていく。 荒井と英知くんの、その心を通わせていく描写が好きだな。 1作目よりも個人的に今作の方が好きかも。人と人との関係がより丁寧に描かれている印象。 今、この世の中の状況のせいか、ミステリーを読むのをなんだか避けている。 だけど、このシリーズはミステリーではあるけれど、その中にも人の懸命さ、暖かさを感じる。 そして、自分が普段あまり触れることのない、聾唖のことを少しでも知るきっかけにもなる。 荒井と、みゆき親子の不器用だけど暖かい関係性も見所。今後どうなるか楽しみ。 第3作目ももう手元に借りてる。 早く読みたいなぁ。
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ろうの両親から生まれたが自分は聴者という言わば2つの世界の境界に生きる手話通訳士荒井尚人が主人公のシリーズ第2弾。解説の頭木氏も言う通り単に「未知の世界についての知識が得られるミステリ」に留まるものではなく,ろうの世界に生きる人たちの気持ちを熱く描く。ミステリとしても大変上質だ。
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シリーズ2作目。 手話通訳士の荒井の視点から、彼が関わった3つの事件についてのお話。 ろう者と一括りに言っても、日本手話を話せる人、幼少期の教育により聴覚口話法を習い、口の形から言葉を読み取ったり、言葉を発せられる人・・・。当たり前ですが、育ってきた環境や、聞こえなくなった時期や...
シリーズ2作目。 手話通訳士の荒井の視点から、彼が関わった3つの事件についてのお話。 ろう者と一括りに言っても、日本手話を話せる人、幼少期の教育により聴覚口話法を習い、口の形から言葉を読み取ったり、言葉を発せられる人・・・。当たり前ですが、育ってきた環境や、聞こえなくなった時期やきっかけによって、コミュニケーションの力がこれだけ違ってくるものだと感じ、それがひいては、差別や偏見につながるものだとは。 今回も読み応えがありました。
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