沖縄から貧困がなくならない本当の理由 の商品レビュー
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沖縄旅行へ行った時、本屋さんで目につくところに置いてあったし、予てから関心あるテーマだったので、買いました。 沖縄に対する見方や考察、筆者なりの考えや分析が、大変参考になりました。 (特に「沖縄社会は現状維持が鉄則で、同調圧力が強く、出る杭の存在を許さない」というは参考になりました) また、「他人の関心に関心を持つ」という考えも大いに共感できます。人に無関心な人が増えているように思えるからです。 ただし後半は、事実(ファクト)や数字とエビデンスが薄い中、ご自身の意見や主張を何度も繰り返している為、少し食傷気味になったのが残念です。 誤解を恐れずに自らの意見・考え・主張をズバズバと書いていますが、愛という言葉を多用しすぎている感があり、愛があればなんでも解決できる、とお考えか?と思ってしまいました。 募る思いを伝えたかったのだと思いますが、終盤はヤヤ共感しづらいところもありましたので、1点減点の4点とさせて頂きます。
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新たな発見や、考え方を与えてくれた本でした。 日本国内で見れば、沖縄は「離れたところに孤立してある」島であり、本土と違う歴史や人間性を持っています。 この本を読み進めていくと「これは世界から見た、日本そのものなのではないか?」と感じるようになってきます。 大陸から離れているからこ...
新たな発見や、考え方を与えてくれた本でした。 日本国内で見れば、沖縄は「離れたところに孤立してある」島であり、本土と違う歴史や人間性を持っています。 この本を読み進めていくと「これは世界から見た、日本そのものなのではないか?」と感じるようになってきます。 大陸から離れているからこそ、日本は独特の文化や価値観があってそれがいいように感じていますが、世界から見れば日本は孤立化しているように見えるかもしれません。 グローバルの中で日本がガラパゴス化して孤立していく懸念です。 今は日本で市場が成立してしまうからこそ海外の企業や文化が入りにくい、独特の人間関係など、、 でもいつまでも通用しません。 「沖縄からなぜ?」と筆者が問うたびに「日本はなぜ?」に置き換えて読み説くことができます。 沖縄を他人事だと思っていると、それがいつか日本全てのことになってしまいそうです。
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沖縄県民には是非手に取って欲しい一冊。 米軍基地がある事の“見返り”として国からの援助で作られた施設、観光地の多さに驚いた。 国の過度な支援がもたらした沖縄企業の行末等。沖縄に住んでいても知らない、習わない事を沢山教えてくれた。 県民に対する偏見とも取れる文も多々あったが、 自分や周りと照らし合わせるとどれも妙に納得してしまう。 経済事情だけでなく自己啓発本としても良い作品。 ここまで核心に迫る本は県外出身者である樋口さんにしか書けないであろう。
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内地出身の沖縄在住者としては共感できる部分も多くある一方で、そこまで酷いものではないと感じる部分も多くあった。 日頃接している層が生活が安定している方々であること、若い世代と接する機会が少ないことも共感が弱い要因のひとつだとも感じますが。 一方で共感が弱いながらもひとつひとつの事...
内地出身の沖縄在住者としては共感できる部分も多くある一方で、そこまで酷いものではないと感じる部分も多くあった。 日頃接している層が生活が安定している方々であること、若い世代と接する機会が少ないことも共感が弱い要因のひとつだとも感じますが。 一方で共感が弱いながらもひとつひとつの事象は実感する面もあるため、興味深く読み終えれた。
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リゾートとして最高と思っていた沖縄。その裏側を覗ける本。若者のやる気のなさ、行き詰まり感は、本土の比ではない。そんな中、何とかしたいと、筆者がこの本を、書き起こしてくれている。解決策が明示されているわけではないが、社会を、変えるということについて、考えさせらせる。
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沖縄が抱える問題の根幹的な原因は低い自尊心にあると書かれていた. 自分を愛すことができないから,他人の挑戦や努力を認めることができないと. 補助金などの外的要因が絡んでいることで,自尊心の問題が沖縄では色濃く出ているが,同様の問題は日本でも起きている. 沖縄の問題を知っていく中で...
沖縄が抱える問題の根幹的な原因は低い自尊心にあると書かれていた. 自分を愛すことができないから,他人の挑戦や努力を認めることができないと. 補助金などの外的要因が絡んでいることで,自尊心の問題が沖縄では色濃く出ているが,同様の問題は日本でも起きている. 沖縄の問題を知っていく中で,本土に住んでいる自身の行動や認識を改めて見つめ直すきっかけとなった.沖縄に行きたいな~ ↓の文章が刺さった. > 自分を愛していない人の「心の穴埋め」は時に脅迫的だ. > ・・・ > 自分の思う通りに事が進めば,自分の心の穴が少し埋まるような気がして, > その一瞬だけ安心するが,誰かが自分の意に沿う行動をしなければ, > 心の穴が広がる痛みを感じてパニックを起こす.
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【沖縄人の「自尊心の低さ」が「貧困がなくならない本当の理由」?】 本書の内容は2016年にウェブで発信されて百万人に読まれ、多くのウチナーンチュから共感的な反応を得た、とのこと。 著者は、酒税減免措置によって圧倒的優位を保持し続けたオリオンビールの経営を、補助金頼りの沖縄経済の...
【沖縄人の「自尊心の低さ」が「貧困がなくならない本当の理由」?】 本書の内容は2016年にウェブで発信されて百万人に読まれ、多くのウチナーンチュから共感的な反応を得た、とのこと。 著者は、酒税減免措置によって圧倒的優位を保持し続けたオリオンビールの経営を、補助金頼りの沖縄経済の典型例としてあげる。また、同様に圧倒的シェアを誇るスーパーのサンエーは、沖縄の消費者の消費保守主義の産物だと言う。 買い慣れたものに執着する消費保守主義は、同調圧力の強さと身内主義の現れであり、こうした同調圧力が有能な人材を排除し、沖縄の貧困構造を形成する。 したがって、同調圧力の根底にある「自尊心の低さ」こそが沖縄の貧困の「本当の理由」だと言うのである。そして、相手の自尊心を高めるためには、人の話しを傾聴する姿勢が大切だ、と心理主義的、人生論的な解決策(?)を展開する。 学問的な裏付けの乏しい、文化論的、県民性論的議論が一定程度受け入れられている現状を、上記の本(安里・志賀)は真剣に批判している。(本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会/てんきりん)
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著者は序文で「沖縄は、見かけとはまったく違う社会である」と述べているが、本書を一読して、自分の沖縄観について目から鱗が落ちることが多々描かれていて知的興奮を覚えざるを得ない読書体験となった。 ひとつひとつ取り上げたらキリがないくらい沖縄社会に対する鋭い考察がたくさん記述されている...
著者は序文で「沖縄は、見かけとはまったく違う社会である」と述べているが、本書を一読して、自分の沖縄観について目から鱗が落ちることが多々描かれていて知的興奮を覚えざるを得ない読書体験となった。 ひとつひとつ取り上げたらキリがないくらい沖縄社会に対する鋭い考察がたくさん記述されている本書だが、特に第2章「人間関係の経済」では沖縄社会が本土以上に息が詰まる村社会であることが垣間見れてとても知的興奮を覚えました。 また、貧困が沖縄社会を支えているという本書で描かれている事実はいろいろと考えさせられました。著者は本書の中で人は自尊心が低いままだと向上することが難しいと論じてますが、その考えには自分も強く同意します。自尊心が低い、自分を愛すことができない人間にはよりよい人を育て、よりよい社会を創造・構築することはできない。そのことをいくつになっても自分の心に銘記し生きていきたいと感じさせる単なる文化論・社会考察にとどまらない自己啓発な一冊でした。
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沖縄は謎が多い。 経済成長が続き、活況。しかし県民所得は最下位。 沖縄人は優しい。しかし自殺率、依存症、教員の鬱、不登校は全国の中でも多い。 基地依存度は5%の嘘。軍用地料、軍雇用者所得、米軍への財サービスの提供、の合計は5%だが、沖縄への新興予算、税制優遇、など基地があるゆえの援助は算定外。 オリオンビール、泡盛の税率は安い。オリオンビールの県内シェアは44%。しかし以前は90%だった。泡盛の売上も下がっている。 1995年の米兵少女暴行事件を境に、基地問題が浮き彫りになり、援助が増えた。 1997年に観光振興のために、那覇空港の使用料などが下げられた。第2滑走路の建設、など。 基地依存度は25%~50%にもなる。 所得の低さは非正規の多さによる。43%が非正規。 沖縄は、でき混率、若年出産率、離婚率が全国一。 シングルマザーは若く、賃金が低い非正規にならざるを得ない。那覇の繁華街には、一晩数千円で子供を預かる無認可保育園がたくさんある。 沖縄のコールセンターは、人件費が安い。非正規雇用率が高い。 対症療法は問題解決にはならない。正しく問う。 やる気にさせるのはどうするか、は正しくない。本来はやる気があるはずだ。それを削いでいるのは何か、を考える。 沖縄の根本原因は、日本の根本原因でもある。 クラクションを鳴らせない状態=同調圧力が強い。鳴らすと加害者になる。出る杭の存在を許せない。 お誘いを断れない。模合という頼母子講が残っている。 昇進昇級を望まない労働者=同僚から浮き出たくない。 弱い者いじめではなく、できる者いじめ。なにもしないほうがいい。文句を言う人がいない=優しい社会、に見える。リーダーシップを発揮することの難しさを身に染みている。何もしない部下の方が強い。 定番商品が売れる=選んでいない。自己主張しない。 最上級ではなく、次のクラスの車を買う。 外食は知人の店。昔からの付き合いのある店。地元や知り合いの店を優先する。 不良品でも文句を言わない。 競争が少ないから、他の店に行けない。商品やサービスで差をつけても結果に繋がらない。一流を目指す人は力を発揮しにくい。補助金でスポイルされる=生産性が低いまま。 貧困に支えられている。 イオンは、地場スーパーサンエーに勝てない。メガバンクは琉球銀行に勝てない。4大紙は、沖縄タイムスに勝てない。日経新聞は0.88%。JTBは沖縄ツーリストに勝てない。スカイマークは南西航空に勝てない。キリンはオリオンビールに勝てない。 変わらないことの合理性=保守的な消費者、良い商品でも価格を上げられない。労働生産性は最低水準。人件費を削るが、それに怒らない。低い人件費が企業利益の源泉。身内優先。 経営革新は至難の業。出る杭になる経済合理性が乏しい。有能な人材を排除する仕組み。 都会から帰ってきた沖縄出身者が活躍しにくい。 昇給を望まない、イノベーションに乏しい、現状維持、更なる低賃金を生む。 貧困であることに合理性がある。 自尊心の低さ。利己主義とは違う。できるものいじめによって、能力がある人も発揮できない。部下は上司の呼びかけに対して無意識で無視する。自殺率の高さの原因になる。 「なんくるないさ」は人事を尽くして天命を待つ、の意味から、何もしなくてもOkという意味になった。現状維持が麻薬。 長男問題。失敗が許されない。現状を変えようとしない。沖縄の男性は働かない。長男がダメにしている。女性がクラクションを鳴らせない。 2代目の試練。Bクラス人材は、Cクラス人材を採用しAクラス人材を遠ざける。 男性の未婚率は収入に反比例する。女性は比例する。 サーカスの小象と同じ。抑圧されて表面的には従順だが自己権をを抱えたまま大人になる=自尊心の低さ。 人に関心をもつ、のは、人の関心に関心をもつ、こと。 社会変革はキャンドルサービスのようなもの。一回に付けられるのは一つだが、そのチャンスはたくさんある。 学生が薄暗い教室で電気をつけないのは、とびぬけるのがいやだから。全国的な現象。余計なことはし内容がいい。 沖縄と日本と世界は入れ込構造。沖縄問題は濃縮された日本問題。 労働者の波=労働力不足によって変化が起きる。静かな大津波。 情報の流れが自由になった=2010年頃を境に、沖縄の欠点が浮き彫りになった。 本土化する沖縄経済=経営者が変わってきた。沖縄の既得権者のために獲得した経済援助は、沖縄社会を分解酢つつある。トロイの木馬現象。
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借りたもの。 貧困率が国内ダントツ1位の沖縄の原因を、沖縄社会の“空気”から、内に籠りがちで発展・競争する機運が無いこと、利権でがんじがらめになって身動きが取れなくなっていることを指摘している。だいたい合っていると思う。 これは本州(ナイチャー)にとっても他人事ではない。地方で既...
借りたもの。 貧困率が国内ダントツ1位の沖縄の原因を、沖縄社会の“空気”から、内に籠りがちで発展・競争する機運が無いこと、利権でがんじがらめになって身動きが取れなくなっていることを指摘している。だいたい合っていると思う。 これは本州(ナイチャー)にとっても他人事ではない。地方で既存の利権にしがみつく保守性…言わば“ムラ社会”が原因で衰退の一途を辿っている。 この沖縄の“ムラ社会”気質……人間関係が原因で、沖縄に発展する機運が全く醸造されないと指摘する。 沖縄の経済は、基地経済と国からの(時に過剰な)援助をうけていながら、全く発展していない。 沖縄は過剰な援助を否定しているが、数字的にそれを否定できない。 この援助はそもそも、基地反対運動の火消しという側面がある。 …それらを完全に活かしきれないのは、やはりウチナーにも問題があるのでは? ●非正規雇用が多いこと。 ●沖縄の政治家が貧困の根本解決ではなく、目先の対処療法しかできないこと。 ●地域であれ職場であれ、コミュニティ内での同調圧力…「出る杭は打たれる」ゆえに、リーダーシップを取れる人材が育たない。 ●「NO」と言えない、断れない。(良い方向に導くための改善ができない) ●商品を買うにしても「良いもの」ではなく「いつもの」を買うので、消費者の本当に必要だったもの――商品開発――に繋がらない。 岸政彦『はじめての沖縄』( https://booklog.jp/item/1/4788515628 )でも指摘していたが、沖縄がアメリカ占領下にあってナイチャーでの経済発展から取り残されたと思っているようだが、一番景気が良かったのはアメリカ統治下(50~60年代。米軍需要と復興需要と都市部への人口集中による開発)という事実。 こうした“ムラ社会”同調圧力から、現状維持を強く望むというウチナー。それが沖縄社会を経済的に固定化し、沖縄企業の収益力を安定的に支えている。それは本土企業に対する強固な参入障壁を作り出してきたという。 ……それはつまり、対外的な競争力が鍛えられないという事。 これらの原因をさらに、ウチナー個人の内面にも焦点をあて、ウチナーの自己肯定感のなさを指摘している。 その空気に、上里隆史『マンガ 沖縄・琉球の歴史』( https://booklog.jp/item/1/4309231187 )の歴史観を想起する。17世紀から続く敗戦と外交の失敗による諦念感。 17世紀の「偉大な政治家」と言われる蔡温のような、現代化を図る人材が、ウチナーに再び生まれないのか? また、海に囲まれた沖縄は、本州と違って陸路が無い。 つまり、それだけ移動コストがかかる(船便、空便しか選べない)という地理的に不利な側面がある。 それがより、内に籠りがち(外へ出ていこう、他所と比べてみようという気にならない)な傾向を強めてしまっている気がしてならない。……外から人を迎え入れるのもまた消極的になる。 沖縄の人たちは、沖縄をどうしたいのだろう? 私は一時期、沖縄で生活していた。 なので、頷ける事が多々あった。食べ物が独自で、独自の文化があるのは尊敬に値する。それらはとても素朴だ。 …しかし、裏を返せば排他的で、どこでも同じものしか売っていない。しかもあまり“良いもの”が無い。 …私は“くされナイチャー”に過ぎないが、ポテンシャルがあるのにそれを活かしきれず、何でも「押し付けられた!」「基地のせい!(これは主に米軍に向けている?)」と憤る報道ばかり目に着く沖縄のメディアが不愉快だった。他力すぎる。 あとは地元紹介番組ばかりだったしなぁ…本当に内に籠りがち。
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