ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち の商品レビュー
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おっさんたちへの愛あるいじりを連発していてとても面白かった。 ジェネレーションZの私からすると確かに「ブーマー責め」と呼ばれるように何かと上の世代に対して文句を言うことが多く、このおっさんたちを題材とした本書を書店で見た時に、逆に何故私達はおっさん世代をディスっているのか、彼等をよく知る必要があると思い手に取った。 こんなにも政治や歴史が世代の性格を形作っていることを知れて新鮮な気持ちになれたし、英国の階級事情というか、ワーキングクラスのNHSに対する思いなどについてはなかなか身近に触れることがないため詳しく知れてよかった。 英国の政治や階級事情を著者の経験をもとに身近に感じることができると思います
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面白かったし、イギリスの数十年の流れをよく知ることができる本だと思う。 NHSで見る、労働党から保守党に政権が変わったことで受けた影響。人工授精も無料だったのは驚きだけど、今、癌科の検査ですら何ヶ月も待つ状態ってあり得ない…。日本の医療制度は運営がギリギリなのかもしれないけど、...
面白かったし、イギリスの数十年の流れをよく知ることができる本だと思う。 NHSで見る、労働党から保守党に政権が変わったことで受けた影響。人工授精も無料だったのは驚きだけど、今、癌科の検査ですら何ヶ月も待つ状態ってあり得ない…。日本の医療制度は運営がギリギリなのかもしれないけど、本当にありがたいって思った。 ブレグジットに関しても、知らないことだらけだった。EUへの拠出金を、NHSに回せるって言ってたんだね。 地べたの生活って著者は書いてるけど、人との付き合いが温かいなあって思う。ここに出てくるおじさんたちに、親近感がわくよ。
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著者の住むロンドン近郊、イングランドの中年群像としてユーモアたっぷりに書かれたもので、帯にも『愛すべきおっさん』等の文言が書かれている。しかし、読後感はしっかりルポルタージュだ。緊縮財政の下、切り捨てられた福祉政策は労働者に自助を求め、格差が拡大している。友人関係を中心とした労...
著者の住むロンドン近郊、イングランドの中年群像としてユーモアたっぷりに書かれたもので、帯にも『愛すべきおっさん』等の文言が書かれている。しかし、読後感はしっかりルポルタージュだ。緊縮財政の下、切り捨てられた福祉政策は労働者に自助を求め、格差が拡大している。友人関係を中心とした労働者階級にインタビューを重ねたルポルタージュとした印象だった。
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おっさん、オバハンたちをイジってる文章の方がやっぱりイキイキしていて、少年たちを扱った前著を読んでいた時に感じていた居心地の悪さの正体が分かったような…
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おっさんたちのことを書いているけれど、そのおっさんの家族、パートナーの様子も描かれ、ああ日本でもこういうことが起こっているんだろうなぁと思った。 白と黒、あっちとこっちでパッキリ分かれるものでもないのに、ついステレオタイプに考えてしまう罠にハマらないようにしたいし、ハマっていた...
おっさんたちのことを書いているけれど、そのおっさんの家族、パートナーの様子も描かれ、ああ日本でもこういうことが起こっているんだろうなぁと思った。 白と黒、あっちとこっちでパッキリ分かれるものでもないのに、ついステレオタイプに考えてしまう罠にハマらないようにしたいし、ハマっていたら気づけるといい。 でもやっぱり、団塊の世代に対して、この厳しい状況から逃げきれて羨ましい...とは思ってしまうなぁ。
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英国人が働かないというのもはや幻想だ。英人材開発研究所(CIPD)が、1021社、460万人の英国人従業員を対象に行った調査で、2010年には「体調が悪くても出勤する」と回答したひとは26%だったのに対し、最近の調査では約3倍の72%に増加している。こうした変化は、体調が悪くても働かなければならないというプレッシャーを感じる人が急増していることを示す。(p.69) 菊地成孔が『レクイエムの名手』(亜紀書房)収録の忌野清志郎追悼文の中で、清志郎の歌を聞いて「(前略)ワタシは全身全霊が泣き果てて、泣いて泣いて、この曲がおわるまえに、幸福で死んでしまうのではないかと思いました」と書いているのは、たぶん「君が僕を知っている」という曲のことだろう。 何から何まで君がわかっていてくれる 僕の事すべてわかっていてくれる 上から下まで全部わかっていてくれる これは人間どうしの関係じゃないだろう。人間は言葉をしゃべるからぼろッとボロが出て、「ほらわかってくれてないじゃないか」「君は僕のことなんか何もわっかっていない」みたいな口論になり、疑いや憎悪が生まれる。が、犬は喋ることができないから、僕の事すべてわかっていてくれる、上から下まで全部わかっていてくれる、などという自分勝手な人間の妄想を押し付ける対象になれる。 そして犬が本当に偉いのは、そんな人間の勝手な妄想を受容して生きているところだ。 こんなことは人間にはできない。よく思うが、西洋の絵画で天使が小さな生物として描かれているのは、あれは人間の子どもというわけではなく、犬のことなんじゃないだろうか。(p.141) 以前スマホで写真を撮るのが嫌いだったスティーヴが、さいきんやたらとデュークの画像を送ってくるので、うちの親父にもたまに転送している。すると親父も、お返しで柴犬の写真を送ってくるので、これもまたスティーヴに転送する。 地球のこちら側とあちら側に住むおっさんとじいさんが、わたしを介して愛犬通信を送りあっている。ふつうだったら知り合うはずもない男たちが、人生の寒い冬の季節に、互いの同居犬の画像を送りあい、遠い国で微笑みあっている。 やっぱり犬たちには、どうしたってかなわない。(p.142) あなたの世界は あなたが残してきた すべての小さなものたちに過ぎない 夏の日はなかなか沈まない。もうそんなに長い時間は残されていないのかもしれないが、まだまだどうしてまぶしい光がわたしたちの世界を照らしている。すべての小さなものたちを。(p.184) だいたい「楽しんだあいつらは許せない」とか「わがまま」とか、モラル的なことを理由に人々が特定のグループをバッシングしだすときは、社会全体に余裕がないときだ。そんなときはだいたい、お金がないから楽しいことは我慢しなさい、なんにつけても節約・倹約し、自分の身の丈に合わないことは諦めて生きていくことが、一番の美徳です、と言い聞かされている陰気な時代だ。これを一言でいうと、「緊縮の時代」という。 人種差別や排外主義だって緊縮財政と大きくリンクしているということが、近年、欧州ではさかんに指摘されている。「自分より得をしている気がする者」を全力でぶっ叩きたくなるのが緊縮時代の人々のマインドセットだとすれば、そのターゲットは外国人にも生活保護受給者にもシングルマザーにもなり得るのであって、「いい時代を生きたベビー・ブーマー世代」もその一つの形態に過ぎない。(p.221) 労働者階級に「白人」をつけたり、それを文化的階層として吹聴したりするのは、貧しい階級は分断してお互いに喧嘩させておけば政権や政治に怒りが向かわなくていい、という為政者の知恵なのかもしれず、こういうのはむかしから「DIVIDE & RULE」と呼ばれている。ならば労働者階級は「UNITE & FIGHT」(おー、いい感じに韻も踏んでいるじゃないか)である。 労働者の立場が弱すぎる時代に求められる新しい労働者階級の姿とは、多様な人種とジェンダーと性的指向と宗教と生活習慣と文化を持ち、それでも「カネと雇用」の一点突破で繋がれる、そんなグループに違いない。(p.239)
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イギリスの話ではあるが、地べたから見た様々なおっさんたちの人生模様が描かれている。著者の周りの人物がほとんどなので圧倒的にリアル。おっさんたちのダメなところも微笑ましい。読むと、いろいろあっても頑張って生きようという気になってくる。
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軽妙な語り口で語られるおっさんのお話で、グイグイ読み進めた。けど、これは著者の周辺にいる方がこう面白い人ばかりだから描けるのだろうな。 第2章の解説編を読むと、イギリスも日本も世代で分けると同じような感じだけど、ブレグジットが与える世代間の分断みたいなものはイギリスならではという...
軽妙な語り口で語られるおっさんのお話で、グイグイ読み進めた。けど、これは著者の周辺にいる方がこう面白い人ばかりだから描けるのだろうな。 第2章の解説編を読むと、イギリスも日本も世代で分けると同じような感じだけど、ブレグジットが与える世代間の分断みたいなものはイギリスならではという感じがした。 あと若者がアルコールを摂取しない、というのも日本と同じだけど、イギリスのパブで労働法は生まれたというだけあるのでここは死守してもらいたい気がする。 あと、イギリスの書籍の高さに驚いた。確かにこんだけ高かったら公共図書館は絶対必要だ。
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いや〜!面白かった。 イギリスの現状が分かる本です。 EU離脱、競走激化社会、緊縮財政の成れの果て、イギリスの紳士の国、ハリーポッターを生み出した国という良いイメージが崩れた。 揺り籠から墓場までの医療体制が、信じられないほど崩壊しているのは衝撃を受けた。日本の医療体制の今後も心...
いや〜!面白かった。 イギリスの現状が分かる本です。 EU離脱、競走激化社会、緊縮財政の成れの果て、イギリスの紳士の国、ハリーポッターを生み出した国という良いイメージが崩れた。 揺り籠から墓場までの医療体制が、信じられないほど崩壊しているのは衝撃を受けた。日本の医療体制の今後も心配になる。 印象に残った文章 ⒈ ウーバーは悪しきグローバリズムの象徴 ⒉ もともとは貧富の差や人種の違い、国籍などに関係なく、すべての人を平等に無料で治療するという美しい理念で発足したNHSが、人々の羨望や増悪や分裂を作り出している現状は皮肉だ。 ⒊ いま英国で売り上げが急上昇している酒が、じつはスパークリングワインなのである。
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EU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての著者解説編。
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