冬雷 の商品レビュー
2017年第1回未来屋小説大賞受賞 そして、初めての遠田潤子さん 孤児であった主人公が、日本海側の小さな町の 大きな力を持つ名家に引き取られることになる その家の跡継として優秀さを期待されて 長編ミステリーです その町の立地、因習 その家の血脈 それらがミステリーに悲しく切な...
2017年第1回未来屋小説大賞受賞 そして、初めての遠田潤子さん 孤児であった主人公が、日本海側の小さな町の 大きな力を持つ名家に引き取られることになる その家の跡継として優秀さを期待されて 長編ミステリーです その町の立地、因習 その家の血脈 それらがミステリーに悲しく切なく許せない といった感情を加えます ミステリー以上に 主人公が孤児であったことを認識して 跡継として忠実な勤勉さで尽くしていく姿 それが、弟の事件が起きるや 親も町もあまりに冷たい仕打ちに苦悶する姿 が、記憶に残ります 本の紹介やあとがきに 「嵐が丘」のような物語という依頼がきっかけだとあります 私の嵐が丘知識は ガラスの仮面の作中劇です しっかり知っていたら、より楽しめたかもしれません
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遠田さんの作品は初めて読んだのですが、凄く読みやすく、感情移入が出来ました。 街と神社という関係。これは切っても切れない、古い村などでは今でも必ずあるのではないかなと思います。代助は一時この街、人を憎んでいたたまれないきもちが凄く伝わってきました。それでも離れた街に戻ってきて、真...
遠田さんの作品は初めて読んだのですが、凄く読みやすく、感情移入が出来ました。 街と神社という関係。これは切っても切れない、古い村などでは今でも必ずあるのではないかなと思います。代助は一時この街、人を憎んでいたたまれないきもちが凄く伝わってきました。それでも離れた街に戻ってきて、真実を探そうとする気持ち。それは紛れもなく、この街、この人達を愛しているからでしょう。 凄く楽しく読ませてもらいました。今後も遠田さんの作品を見ていきたいです。
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まほろば、冬の鉄樹に続いて3作目読了。 著者の孤独の描き方がとても胸にくる。孤独感を描かせたらこの人の右に出る人はいないんじゃないかな。 全く展開の読めない話で翻弄されるが、ずうっと底に流れてるのは「寂しさ」で、主人公だけでなく周りの人々もみんな寂しくて、でも少しづつずれてるから誰もうまくいかない感じが余計に寂しい。 このまま終わるんだなと思ってたのに最後に急に訪れた光が救いだった
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因習村といえばそうかもしれない。いま巷で話題だし。私はそれに詳しくないけど。 普通の人間にはそこまで馴染みがなく、だからどこかファンタジーに見てたものが、終盤畳み掛けるにつれ「ここまでとは」という気持ちになるのが、ファンタジーを越えられたような感覚になってよかった。 ファンタジー...
因習村といえばそうかもしれない。いま巷で話題だし。私はそれに詳しくないけど。 普通の人間にはそこまで馴染みがなく、だからどこかファンタジーに見てたものが、終盤畳み掛けるにつれ「ここまでとは」という気持ちになるのが、ファンタジーを越えられたような感覚になってよかった。 ファンタジーが過ぎるとどこか身を引くような気持ちになるのだけど、代助は始終正しくあろうとし聡く、聡くあろうとするだけの人間だった。彼を囲むものと彼自身の生々しさとのギャップが面白さの一つだと思う。 ミステリー部分も面白かったし、人間関係も非常に満足で終えられた。自分勝手な人間がいるし真っ当なふりして許されざる事を宣う人間もいるけど、そこへわざわざスポット当てて読んでる私たちを執拗に苦しめようとはしないし。まあ。 *** 単行本から文庫本で代助への救いが加筆されたんですか?単行本…鬼畜…?
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重かったなぁ。閉鎖的でしがらみや伝統が人々をがんじがらめにする。子供もその風習などに飲み込まれていってしまう。とても切ないお話でした。最後は少し希望があるのかな、代助と真琴には自分たちの人生を歩んで欲しい。
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大阪で鷹匠として働く夏目代助。ある日彼の元に訃報が届く。12年前に行方不明になった幼い義弟・翔一郎が、遺体で発見されたと。孤児だった代助は、日本海沿いの魚ノ宮町の名家・千田家の跡継ぎとして引き取られた。初めての家族や、千田家と共に町を守る鷹櫛神社の巫女・真琴という恋人ができ、幸せ...
大阪で鷹匠として働く夏目代助。ある日彼の元に訃報が届く。12年前に行方不明になった幼い義弟・翔一郎が、遺体で発見されたと。孤児だった代助は、日本海沿いの魚ノ宮町の名家・千田家の跡継ぎとして引き取られた。初めての家族や、千田家と共に町を守る鷹櫛神社の巫女・真琴という恋人ができ、幸せに暮らしていた。しかし義弟の失踪が原因で、家族に拒絶され、真琴と引き裂かれ、町を出て行くことになったのだ。葬儀に出ようと故郷に戻った代助は、町の人々の冷たい仕打ちに耐えながら、事件の真相を探るが……。第1回未来屋小説大賞を受賞した、長編ミステリ! 町人がよってたかって冤罪でっち上げはあかんだろう。
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鷹にまつわる伝説が残る日本海に面した町の名家に養子にもらわれて来た男の子が、因習に囚われた町に翻弄される。 ただ因習と言い訳しながら、他人を陥れても自分の利益を図るだけ。そして結局は、伝説をなぞるように町が壊れてしまう。
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昔の因習が残る港町が舞台というだけでおどろおどろしい設定だが、作者が描く暗くてどんよりした空気が全編に広がる。そんなに背負い込まなくてもいいのにと思いながらも抜け出せない、振り切れない人々の心情が哀しい。ちょっと強引なストーリー展開もあるが終章でほっとする話に纏まったのは悪くない...
昔の因習が残る港町が舞台というだけでおどろおどろしい設定だが、作者が描く暗くてどんよりした空気が全編に広がる。そんなに背負い込まなくてもいいのにと思いながらも抜け出せない、振り切れない人々の心情が哀しい。ちょっと強引なストーリー展開もあるが終章でほっとする話に纏まったのは悪くない。
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読むにつれ、どんどん物語に引き込まれていく。 自分では逆らうことのできない運命に翻弄されながらも、誠実に生きる大助。 今後の人生をどうか幸せに生きてほしいと願わずにはいられない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
伝統、ならわしの裏側にある昏い御話。 ある小説家のスピーチを舞台にした作品でもありました、冒頭の入りはとても重要と。 本作の入り方はとても好きだが、なんせドロドロ過ぎたのが残念で、少しもったいなさを感じる作品でした。
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