告解 の商品レビュー
少年犯罪や罪と罰について問いかけ続ける著者が、贖罪のあり方を問う長編。 飲酒運転で老女をひき逃げした大学生の主人公。 轢いたのは犬か猫かと思った、信号は青だったと、真実を隠しながら裁判を受け、刑に服する。 出所後、罪に苛まれながらも懸命に生きる主人公に、読者も感情移入してしまう。...
少年犯罪や罪と罰について問いかけ続ける著者が、贖罪のあり方を問う長編。 飲酒運転で老女をひき逃げした大学生の主人公。 轢いたのは犬か猫かと思った、信号は青だったと、真実を隠しながら裁判を受け、刑に服する。 出所後、罪に苛まれながらも懸命に生きる主人公に、読者も感情移入してしまう。 加害者の主人公。彼の恋人。被害者の夫、その息子。 それぞれの視点で、物語が進むうち、不気味に迫るのが被害者の夫。認知症を発症しながらも、加害者を追う目的は何なのか。 ミステリータッチの展開に、頁を繰る手が止まらず、一気に読み終えた。 終幕での、加害者と被害者の夫との会話によって、題名が持つ深い意味がわかる。 読後には、良書を読んだ満足感と、温かな余韻が残った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
薬丸さんの最新作ということで、取り寄せで注文。 しかし、期待値がかなり高かっただけに、 少し質素な内容だったなというのが正直な感想。 aではない君とや友罪などに比べ、読者に優しい平易な文章、投げかけ、構成となっている。エンターテイメントとしてはこれで問題はないのだが、薬丸さんが書きたいものを書けているのか?というのは甚だ疑問だ。編集の横槍があったんじゃないかと疑う程の、薬丸さんらしくない甘い内容だとも感じた。 しかしながら、翔太の事故後の細かな心情描写などは目を見張るものがあるし、認知症である二三久の思考回路などは絶望感漂うものはあった。 ラストは単純なハッピーエンド。個人としてはこれは望まない。過去作と比べてしまい申し訳ないが、評価は限りなく2に近い。 『籬さんは四年十ヶ月服役することになりましたが、それは決して罪に対する償いではありません。』 この言葉は胸を打ったのに、その後の描写でこの名言を否定するような書き方は納得いかない。 世間体に良い内容で、一般には評価が高くなってしまうんでしょうね…。
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おもしろかったです。最初からドキドキしました。運転するものとして常に事故と隣り合わせだと改めて思いました。後半は罪と罰について考えさせられました。拓海くんがいるのによく夕飯とか作れるなあと思いましたが、まあそこら辺はいいでしょう。読後感のいいお話です。埼玉の地名もいいですね。
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飲酒運転によるひき逃げで老女の命を奪い大きく人生が変わってしまった主人公翔太。被害者家族のみならず家族も不幸にしてしまった己を呪う。そんな彼と同じアパートに越してきた老人は…。罪を償うとは? もう一度人生にやり直しの道は広がるのか?
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2020/06/04リクエスト 20歳の大学生、籬翔太は、老女、法輪君子をひき逃げしてしまう。罪を償うプロセスが描かれている。 マガキ、の名字が最後まで覚えられず、何度も何度も最初のページに戻って読んだ。 飲酒運転中、助手席の猫を見た瞬間、何かに乗り上げたように感じた。その...
2020/06/04リクエスト 20歳の大学生、籬翔太は、老女、法輪君子をひき逃げしてしまう。罪を償うプロセスが描かれている。 マガキ、の名字が最後まで覚えられず、何度も何度も最初のページに戻って読んだ。 飲酒運転中、助手席の猫を見た瞬間、何かに乗り上げたように感じた。その辺りからの描写はすばらしい。まるで自分がその体験をしているかのように、息苦しくなる。 ページをめくる手が止まらず1日で読了。 妻を轢き殺された夫、かなりの認知症になってきたのに、最後にあんなにクリアになるのか? そして、籬翔太に対して、そのような気持ちになるのか、自分はきっとならないと思う。 読んでない方は、ぜひご一読を、おすすめします。 どんな状況の人も、何かしら考えること、思うことはあると思う。
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飲酒運転で老女を死なせてしまった青年。実刑判決を受け出所したのちも罪にさいなまれ、前科の枷にとらわれ、それでも人生を取り戻そうとあがく彼の姿は痛々しくてつらいです。もちろんやってしまったことは許されないことだけれど、決して彼が悪人ではないだけに悲痛な思いが胸に刺さります。ふと自棄...
飲酒運転で老女を死なせてしまった青年。実刑判決を受け出所したのちも罪にさいなまれ、前科の枷にとらわれ、それでも人生を取り戻そうとあがく彼の姿は痛々しくてつらいです。もちろんやってしまったことは許されないことだけれど、決して彼が悪人ではないだけに悲痛な思いが胸に刺さります。ふと自棄になって危ない誘いに乗りそうな場面にもはらはらさせられて。 そして事故の原因を作ったと思い詰める彼の恋人。まあたしかに彼女のせいという面もあるけれど、こちらもまた罪悪感を持っているだけに責める気分にもなれず。ただし彼女の彼に対する思いが、完全な罪悪感のみでないというのは救いでした。 一方で、その事故で妻を奪われた老人。彼の意図がなかなかわからず、不気味なものを感じさせられました。認知症を患い記憶が薄れる中で、それでも老人がなそうとしていたことはいったい何だったのか。不穏な雰囲気をたたえた物語は、読む手が止まりません。誰もが悪人ではなくむしろ善人と思えるだけに、どうかこれ以上の悲劇が起こりませんように、と祈りながら読むばかりでした。そしてこの物語の結末は……どうぞ自分で確かめてください、としか。
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心にどすんと重みを残した読後感。 残された被害者家族、加害者、加害者家族のそれぞれの気持ちが本当に重い。 事件自体はその時点で終わるが、その後の人生はずーっと続いていくのだと染み染み思う。 罪の意識に苦しむ加害者と被害者夫の繋がりが話の終盤で温かみが残った。
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あらすじとタイトルにピンと来て即買いに行って読みました。 おもしろい。 最後はちょっと感動しました。 登場人物一人一人の気持ちが想像できて、心が辛くもなりました。 でも、読んでよかった。色々考えを巡らせたいと思います。 勉強の良い息抜きになりました。
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少年犯罪や罪や贖罪を得意とする作家さんならではの一冊。 大学生で20歳の籬翔太は、飲酒していたにも拘わらず、深夜の恋人からの呼び出しに、雨の中、車を運転し、ひき逃げを起こしてしまう。 飲酒、しかも信号無視をしたことから、その場から逃げ、救命措置も行わなかった為、被害者は亡くなって...
少年犯罪や罪や贖罪を得意とする作家さんならではの一冊。 大学生で20歳の籬翔太は、飲酒していたにも拘わらず、深夜の恋人からの呼び出しに、雨の中、車を運転し、ひき逃げを起こしてしまう。 飲酒、しかも信号無視をしたことから、その場から逃げ、救命措置も行わなかった為、被害者は亡くなってしまう。 後日、コンビニの防犯カメラから警察に逮捕される翔太だったが、最後まで信号無視をしたこと、そして人を引いてしまったことは告白しないまま、5年近くの懲役刑を受ける。 出所して25歳になった翔太は、自分の起こした事件のせいで自分の家族がバラバラになってしまったことを知るが、被害者遺族への謝罪の気持ちはなく、自分の貴重な20代の5年間を刑務所で過ごしたことを後悔しながら生きていた。 そんな翔太の前に現れた被害者の夫。89歳となり、認知症を患いながら、彼は翔太に何をしたかったのか? 正直、主人公である翔太の考え方は自分勝手で、どこまで読んでいても腹が立つ。 なのに、周囲はみんな翔太に好意的で、どちらかと言うと違和感しか湧かない。 ただ、被害者の夫である法輪が最後に成し遂げたことについては、胸を打つ。 こういうラストであるのならば、それまでの話がもう少しいい話であれば、素直に良い話だったと言えるのだが、主人公の身勝手さが勝っているので、評価は低めで…
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飲酒運転、轢き逃げ、おこってはならないこと。罪を償うことの大切さ、重荷。その償いは一生かかる。少しのことだからと油断せずに飲酒運転やめましょう。非常に大切なこと愛する家族の1人が居なくなる悲しさをあらわし、命の大切さを感じた。
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