わたしたちは銀のフォークと薬を手にして の商品レビュー

島本理生(著者)

2023/03/06

久しぶりに「当たりを引いた！」と思えた小説。

難病を抱える椎名さんと出会う知世を中心とした物語。
もし自分が出会った人が不治の病だったら。
その病をまるごとひっくるめて好きになれるのか。
女性の強さと、そんな強い心を揺るがす恋を描いた物語。

2023/02/25

　これはもう、かなり大人な恋愛小説ですね。若いカップルの瑞々しさを描いた純愛ものとは全く違います。でも、これ見よがしの熱愛、ドラマチックさ、高揚感もなく、ハイ、ごちそうさまでした！　という印象はありません。ですが、絶対女性ウケすること請け合いの優しい物語だと思います。

　30歳独身OL・知世を中心に、仕事や恋愛・結婚観などの心情がとてもリアルで、感情の揺れが丁寧に表現され、日常の一コマとして落とし込まれています。
　そんな知世が、年上でバツイチだけど親しみやすい椎名さんと食事の逢瀬を重ね、間もなく病気をカミングアウトされ‥。
　病気や彼の過去について、戸惑いながらも食事や旅を通して、椎名さんとの時間を大切に親密にしていきます。

　途中、気の合う友人2人、反りの合わない妹の異性関係の章があり、異性や生き方などの〝人それぞれ感〟が挟められることで、知世の地道で丁寧な生き方が対比・強調され、共感し後押ししたくなる感情が湧き出てきます。
　更には椎名さんの前妻とも希望して話をしながら、自分と2人の在るべき理想像を見付け、形作ってゆく過程の描かれ方が温かく丁寧ですね。

　男女の付き合いやに正解がないのは当然ですし、本書でそれを提示している訳ではありません。でも、人と人とが出会い、2人の関係を形作っていくのは(面倒くさいことも多々あるけれど)やっぱり素晴らしいことだと、改めて感じさせてくれる良質な物語でした。

2023/02/24

仕事で出会ったバツイチで年上の椎名さん。
知世は妹や母親とあまりうまくいってない関係。

椎名さんみたいな考え方が大人な人でなければこんな風に知世とうまくはいかないのだろうな

2人がちゃんと話しができていてうまくいきそう　でも家族の説得は難しいだろうと思ってしまった

2023/02/18

とくべつ何か印象的なイベントがあったとかでなく、想像ができる範囲の日常に、想像を少し外れた事象が起きるような。毎朝飲むコーヒーみたく、少しずつ読み進めるのが楽しみな1冊だった。
知世ちゃんはあまり仕事人間な感じは受けなかったな。椎名さんは2つ目の話くらいから脳内で大沢たかおで再生された。

2024/02/28

とてもきれいな恋愛小説。
物語の序盤で病名が書かれているから認識してはいるものの、それを忘れてしまうくらい平穏な日常や、勝ち組に分類されるような人たちの生活の側面が描かれていたりして、自分以外のひとたちの暮らしってこういう事なんだなぁと。
主人公や椎名さんのように自分も丁寧に生きられる側のひとでいたいと思った。

2023/02/05

一緒に生きる覚悟というのは、
相手がどのような状況におかれようと、
味方でいると確信を持つことなのかも知れない。

2023/01/28

幾つになってもきっと自分探しするんだろうなあ
あんまり上手くいえないけど、心がじんわりと温まるような、そんな物語だった

私もそんな物語だったと人生を振り返った時に言えるような日々を送りたい

2023/01/25

登場人物や設定が同じ短編がいくつも入っている恋愛小説です。
好きで、何度も読みたい本の1冊になりました。
中心的な登場人物が30代の女性で、私自身が30歳になった年に読みはじめたこともあり、共感の嵐でした。
どの人物の感情も私が最近になって感じたことがあるもので、登場人物全員が自分に重なりました。読んでいて、自分のなかの弱い部分や卑しい部分をみているようで苦しくなったり、悩む登場人物を励まして背中を押してあげたくなったり…。とても愛おしい小説でした。
年齢や人生経験が変わってから読むとまた感じ方が異なるかもしれません。
同じく30代の友人にすすめたくなった1冊です。

2023/01/25

表紙が可愛くて購入。
病気という重いテーマを扱ってはいるものの、その暗さばかりに焦点を当てるのではなく、〝恋愛〟で得られる幸せも、大切に描かれていたように思う。小説に出てくる3人の女性の恋愛観や妹の選択などからは、結婚や出産だけに縛られずに生きたいという、現代の個人主義的な生き方がそのまま物語に表れているなと感じた。

2023/01/11

恋愛小説ですごく読みやすい。
30代女子3人の恋愛事情がすごく切実だった。
誰でも訳ありだけど、それを受け入れてもいいぐらい自分が楽しく快適に生活できる人と一緒にいるべきなのかと感じた。