木になった亜沙 の商品レビュー
むらさきのスカートで今村夏子さんの世界観にハマり、次に読んだのがこの作品。 世にも奇妙な話が好きな方にもおすすめという声も聞いていたので読んでみた。 3編あり、どれも引き込まれるお話だったが、中でも「的になった七未」が印象的だった。 不思議なお話からどんどん不穏な雰囲気になり、...
むらさきのスカートで今村夏子さんの世界観にハマり、次に読んだのがこの作品。 世にも奇妙な話が好きな方にもおすすめという声も聞いていたので読んでみた。 3編あり、どれも引き込まれるお話だったが、中でも「的になった七未」が印象的だった。 不思議なお話からどんどん不穏な雰囲気になり、七未ちゃんがどうなってしまうのか、知りたくないような…でも読み進めるのを止められないという感じだった。 非現実的な世界観でまるで夢を見ているような全体的にぼやーっとした印象も感じられたが、何故か目覚めてからも忘れることができない、それこそ「夢」のような読後感だった。 今村夏子さんの世界に没入する事のできる作品。
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ふぅふぅー!!!!ブッ飛んでるぜー!!!! なんか、私の想像を越えてる話ばかりだったよー!!!! 木になった亜沙(あさ) 亜沙が作ったものは誰も食べてくれない。だから木になった。 的になった七未(なみ) 物が当たらなければ終われない。ナナちゃん、はやく!! ある夜の思い出 ...
ふぅふぅー!!!!ブッ飛んでるぜー!!!! なんか、私の想像を越えてる話ばかりだったよー!!!! 木になった亜沙(あさ) 亜沙が作ったものは誰も食べてくれない。だから木になった。 的になった七未(なみ) 物が当たらなければ終われない。ナナちゃん、はやく!! ある夜の思い出 這いつくばって生活している男女がある夜、出会う。 「木になった亜沙」は、亜沙が死んで木になり、 割り箸になるの。 「的になった七未」では、何かを投げられる度に、 周りが「ナナちゃん、はやく!!はやく!!」と言うの。 「ある夜の思い出」は、ずっと這いつくばってるの。 てっきりトカゲとかを擬人化した話なのかと思えば ガッツリ人間だった…笑 今村夏子さん、ヤバイねー!! 中毒性のある話ばかりでしたー!!
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これまでと少し違う印象の本。ひとつひとつの物語がこれまでより長い。ファンタジーが強かった。バイオレンスも入ってきて、今村夏子の日常のなかの非日常よりファンタジーな世界だった。でも藤野可織より面白い。ある夜の思い出が一番よかったかなと思う。
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今村夏子は、私たちの忘れたいと忘れないを行き来してる感情を、絶対に忘れさせてあげないのほうに引っ張ってくる作家だと思う。 それが直球で伝わってくる「ある夜の思い出」。 程度の差はあれ、自分にとってのあの夜を、みんな抱えているのではないだろうか。特に、今うまくやれてる風を装ってい...
今村夏子は、私たちの忘れたいと忘れないを行き来してる感情を、絶対に忘れさせてあげないのほうに引っ張ってくる作家だと思う。 それが直球で伝わってくる「ある夜の思い出」。 程度の差はあれ、自分にとってのあの夜を、みんな抱えているのではないだろうか。特に、今うまくやれてる風を装っているあなたなら。ズレてしまう自分を奥に奥に押しやり、普通に生きてるふりがうまくなっている今だからこそ。 あの夜から何十年も経過し、人並みに生活していても、ふとあの夜を探してしまう。 忘れたかったのに、忘れてあげられなかったあの夜をこの作品ですっかり思い出してしまった。
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「木になった亜沙」今村夏子 こちらあみ子を読んでから気になっている今村夏子さん。一度読み始めると一気に読んでしまうタイプの作家さんの本。 今回は、主人公の存在を意識させるような作品群だったように思う。 ちょっと奇妙なシチュエーションと設定で話が進み、確信をつくような、決着が...
「木になった亜沙」今村夏子 こちらあみ子を読んでから気になっている今村夏子さん。一度読み始めると一気に読んでしまうタイプの作家さんの本。 今回は、主人公の存在を意識させるような作品群だったように思う。 ちょっと奇妙なシチュエーションと設定で話が進み、確信をつくような、決着がつくような終わり方はしないのだけれど、心に何かを落としてくる。 それは目に見えない何か。普通、信じるも信じないも受け取るのも受け取らないのも読者次第なんだけど、本が差し出してくれる、結構強めに。 本の世界に遊びに行くと言うより、チラッと覗いてしまったから、手首を掴まれて離してもらえない、そんな感覚を覚えた。そしてそれが癖になってしまう。 新感覚だ。次は何を読もう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今村夏子作品を読んでいこう!の流れで読んだ。今の自分のモードと合っていることもあるのだけど、こんなに毎回心の奥底をギュッとさせられるのは本当にすごい作家なんだなという感想しかない。 本作は短編集で「承認」にまつわる物語が収録されている。SNSの隆盛により現代社会において「承認」は可視化が進み、人生の大きなファクターに最近は躍り出ているわけだけど、著者は徹底的に「承認」されない側の切ない視点を描いていてオモシロかった。表題作では主人公が自分の手でギブするものがテイクされない辛さ、もう1つ収録されている「的になった七未」ではさらに進んで存在の希薄さにまで迫っている。いずれの主人公も自分の存在を社会・世界に知らしめるべくあきらめずにストラグルし小さい子どもが生を全うしようとする姿勢には心打たれる。ドライな文体で辛さの局地まで登場人物を追い込むがゆえに物へと擬態化していくところが切なく感じた。しかもその擬態化がさらっとしているところも乙。あとは芥川賞作品を残すのみ!
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亜沙も七未も、私とは全然違うキャラクターなのに、他人事とは思えない。他者とのコミュニケーションが、こんなにも行き違い、すれ違い、うまくいかない。原因を考えてもよく分からない。思いついた原因は全くの見当違いなのに盲信してしまう… そんな彼女たちを見ていると、身につまされる。胸が痛い...
亜沙も七未も、私とは全然違うキャラクターなのに、他人事とは思えない。他者とのコミュニケーションが、こんなにも行き違い、すれ違い、うまくいかない。原因を考えてもよく分からない。思いついた原因は全くの見当違いなのに盲信してしまう… そんな彼女たちを見ていると、身につまされる。胸が痛い。今村夏子の描く少女に、自分を抉られてしまう。辛い。でも読んでしまう。だから、次の小説までは時間を空けてほしい。傷が癒えるまで待ってほしい。どうせまた読んでしまうから。
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よくわからないけど、なんか好き 狂ってるのか正気なのかわからないけど、すべてどうでもいいじゃんとおもってしまった
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図書館。作者の書く話が好きなので。 どれも奇妙で、でもなぜか純粋さや憐憫があって、本当に変だけれど、面白かった。
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こういうのは苦手だな… 何が書いてあるのかわからない、何が言いたいのかわからない、そんな話。 きっと、どの主人公も人間であることが嫌になったのだろう。 たとえば子どもの頃、何かに傷ついて。 なんとなく、そんなことを想像してみるけれど、心が動くことも何か意識が変わることもない。...
こういうのは苦手だな… 何が書いてあるのかわからない、何が言いたいのかわからない、そんな話。 きっと、どの主人公も人間であることが嫌になったのだろう。 たとえば子どもの頃、何かに傷ついて。 なんとなく、そんなことを想像してみるけれど、心が動くことも何か意識が変わることもない。 こういう「見る人によって感じ方が違うアート」みたいな作品は読んでいて落ち着かない気持ちになる。 すぐに、物語に書かれた意味などを自分なりに解釈しようとしてしまうのは、日本の国語教育の賜物なのだろう。そんな風に自嘲しつつも、この3編の物語の主人公たちは、私には「人間として生きることが難しい人」もしくは「人間として生きることが嫌になってしまった人」なのかなぁと感じられた。 単行本はあとがきがないので全く理解に苦しむことになる。文庫化された暁には、ぜひあとがきを読んでみたい。 先日読み終えた「星の子」のあとがきで、今村夏子さんがどういう物語を書くかの背景みたいなものに、ほんの少しだけ触れていたこともあったので、「これも今村さんが見ている世界なんだなぁ」と素直に思うことにした。
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