木になった亜沙 の商品レビュー
今村夏子の作品を初めて読んだ。 面白い。 世にも奇妙な物語というドラマの素材になりそうな話ばかりだが、日常に潜む非日常や違和感をリアリティを持って描き出す手腕に恐れ入った。
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絶妙にわたし自身の本名に似ているのです。亜沙。 与えるものを誰にも食べてもらえない亜沙と、 何かに当たりたい七未と、腹這いで過ごす真由美、 3つの短編作品が収録されてる。 1作目の『木になった亜沙』は30分くらいで読めた。 『むらさきのスカートの女』を読んで、 ちょっと奇妙な...
絶妙にわたし自身の本名に似ているのです。亜沙。 与えるものを誰にも食べてもらえない亜沙と、 何かに当たりたい七未と、腹這いで過ごす真由美、 3つの短編作品が収録されてる。 1作目の『木になった亜沙』は30分くらいで読めた。 『むらさきのスカートの女』を読んで、 ちょっと奇妙な世界観すきだなぁと思い、今村夏子さん読むの2冊目。 今村夏子さんの物語の主人公って、世間に馴染めないけど地味に細々と日々を生きている女性だったり、奇妙だけどこの世のどこかには存在していそうな人たちが描かれる作品が多いように思う。 不幸とまでは言わないけど、主人公の感情もあまり描かずに、読者の想像次第で悲しくも逞しくも感じられるような主人公が多い気がする。 自分が与えた食べ物に手をつけられないって、 考えれば考えるほどしんどいし悲しいよね。 心が抉られるというか。信用されてない感じがして。 悲しい女の子の話が、いつのまにか ゴミ屋敷に住む若い男性の話になっていた。
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表題作を含む短編3作。挿絵がすごく可愛い。 表題作はストーリー的にも物悲しさは否めませんが擬人化がお洒落な物語だと思いました。 描かれているのは語り手視点の事実のみで、それに対する理由づけもないし、夢なのか現実なのか妄想なのか分からない世界に引き込まれていきます。何もかも明確...
表題作を含む短編3作。挿絵がすごく可愛い。 表題作はストーリー的にも物悲しさは否めませんが擬人化がお洒落な物語だと思いました。 描かれているのは語り手視点の事実のみで、それに対する理由づけもないし、夢なのか現実なのか妄想なのか分からない世界に引き込まれていきます。何もかも明確にされないこのふわっと感がとても魅力があって癖になるのです。
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今村作品はいつもそうなんだけれど、この本は特に、読後感を言語化するのがとても難しい。 主人公はいつも通り、社会から周縁化された不器用な女性(「ある夜の思い出」だけラストは違うけど)。彼女らの人生には最初から抜き差しならないボタンの掛け違えが発生していて、あることを境にそれが顕在化...
今村作品はいつもそうなんだけれど、この本は特に、読後感を言語化するのがとても難しい。 主人公はいつも通り、社会から周縁化された不器用な女性(「ある夜の思い出」だけラストは違うけど)。彼女らの人生には最初から抜き差しならないボタンの掛け違えが発生していて、あることを境にそれが顕在化していく。この過程、今村作品のもはや定石になっている感じ。けれど、今回の短編は、階段を踏み外した先の沼が異次元。割り箸に転生とか、投げつけられたものが何一つ当たらないとか。マジックリアリズム、と言っていいのかどうなのか専門家じゃ無いから分からないけれど、私が「日常」と思っているものと「異界」と思っているものが、あんまりにもシームレスにつながっているから、怖い。でも、ホラーとも違う。エンタメじゃないから。 もっと今村夏子作品が読みたくなった。
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『むらさきのスカートの女』の先を突き進んだらこんな所に行き着いてしまうのか。とか思っていたけど、この人の場合、もう先とか後とかの次元じゃないのかもしれない。恐るべし今村夏子ワールド。今すぐにでも最新作『とんこつQ&A』を確認したい衝動に駆られている。
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やっぱりイマムラーは異世界転生者だと確信を持った作品でしたっw 亜沙は転生して杉の木になっちゃうし、七未に関わる人はムキになって常規を逸した行動するし、腹這いで動き回ってる女に至ってはもうすっかり異世界人。奇想天外すぎて退きました。 最初の2つは、わらしべ長者の逆バージョンを彷彿...
やっぱりイマムラーは異世界転生者だと確信を持った作品でしたっw 亜沙は転生して杉の木になっちゃうし、七未に関わる人はムキになって常規を逸した行動するし、腹這いで動き回ってる女に至ってはもうすっかり異世界人。奇想天外すぎて退きました。 最初の2つは、わらしべ長者の逆バージョンを彷彿させる展開で、どんどん負のスパイダルにハマってバットエンドに向かう中、木になりたいって願うとこが凄いですね。私も甲斐駒ケ岳になりたいって思ったことありますけど。 上手いなあって思うのは、そこからも先どんだけ奇想天外な世界に引きづり込もうと仕掛けてくるんだってとこで、捻れた意識が芽生えてくるんです。思いっきり雑巾絞って一滴残らず水分を吐き出したいとか、瞬きもせず天井のシミみつめてたら、目からレーザーがでて消えるんじゃないかとか爆想してました。 とりあえずこの歪な世界を終わらせたいとゆうかどこかで折り合いつけたいとか、示談交渉じゃないですけど7対3ぐらいで勘弁して欲しいとか、メルトダウンが起こる前に止めて欲しいっ感じでした。 にもかかわらずどんどん盛ってくるから、わんこそば食べてるようで、満腹丸って言いそうでした。 社会から見捨てられたような暮らしぶりをしてる人たちが登場するところも死角からのキラーパスで、当たらないのはボールだけじゃなくこの先の展開もでした。これ以上ボロボロにされたら人でいられなくなりそうでした。 終わり方の好みからすると3番目の話が良かったかな。 それにしても夏子さんかなりいっちゃいましたね。 おーい戻ってこーい。当たれば終われるよっw
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発想がわけわかんなくて面白い。割り箸になって何回も使ってもらえて良かったねと思った。 七未は周りの人間が豹変するシーンが楽しかったけどみじめで悲しくなった。 主人公が真人間になったのが唐突だったけどある夜の思い出が一番好きかも。 全体的にどういう反応すればいいのかわからない短編集...
発想がわけわかんなくて面白い。割り箸になって何回も使ってもらえて良かったねと思った。 七未は周りの人間が豹変するシーンが楽しかったけどみじめで悲しくなった。 主人公が真人間になったのが唐突だったけどある夜の思い出が一番好きかも。 全体的にどういう反応すればいいのかわからない短編集で愉快な気持ちになった。
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私には合わなかった。読んでいて辛くなって、楽しめなかった。でも、辛くなるということは、描写が上手いということ。
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はじめて読んだ今村夏子さんの本でした。 今村ワールド、しんどい。 でも続きが気になってどんどん読み進んでしまう。 独特な雰囲気だなと感じました。
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表紙の不思議で可愛い生物に惹かれて手に取った。 なんとも奇妙な世界に足を踏み入れたなと思って読み進めると、ふっと一線を超えて気づけばズブズブと生暖かい泥の中に目を開けたまま静かに沈んでいって見えないはずのものが柔らかい眼球を通り抜けて網膜に映り込みもう戻れない… 生き辛さや切実...
表紙の不思議で可愛い生物に惹かれて手に取った。 なんとも奇妙な世界に足を踏み入れたなと思って読み進めると、ふっと一線を超えて気づけばズブズブと生暖かい泥の中に目を開けたまま静かに沈んでいって見えないはずのものが柔らかい眼球を通り抜けて網膜に映り込みもう戻れない… 生き辛さや切実な苦しみが得体の知れないものを引き寄せて、いつしか人の輪郭を抜け出していく。その先に手に入れた甘美で艶めきさえ感じる最期には、よかったねと、そっと倒錯した祝福の言葉をつぶやきたくなった。
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