みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 の商品レビュー
どこかで読まねばと思いつつ、ようやく読んだ1冊。幸いというかエンジニアのキャリアの中でこのプロジェクトに関わることはなかったけれど、当時「ブラックホール(=行ったら帰ってこれない)」と呼ばれていたプロジェクトを全体感に立って振り返っていて大いに横展開できる反省点は盗もうと思った1...
どこかで読まねばと思いつつ、ようやく読んだ1冊。幸いというかエンジニアのキャリアの中でこのプロジェクトに関わることはなかったけれど、当時「ブラックホール(=行ったら帰ってこれない)」と呼ばれていたプロジェクトを全体感に立って振り返っていて大いに横展開できる反省点は盗もうと思った1冊だった。やっぱりエラーハンドリングもそうだけど、初動とトップのITへの理解が大切。もし自分が関わることになっていたとしたら、どの辺を担当することになってそこで力を果たして発揮できただろうか、とか思いながら読んだ1冊でした。
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2022年11月22日読了。2002年の三行合併時、2011年の震災義援金受付時の大規模障害を受け進めていた「MINORI」の2019年の改修完了を受け、みずほ経営陣・システムの問題点・歩み・今後への展望などをまとめた本。誇らしげに成果を語る頭取の姿からは、2021年にまたも複数...
2022年11月22日読了。2002年の三行合併時、2011年の震災義援金受付時の大規模障害を受け進めていた「MINORI」の2019年の改修完了を受け、みずほ経営陣・システムの問題点・歩み・今後への展望などをまとめた本。誇らしげに成果を語る頭取の姿からは、2021年にまたも複数の大規模障害を起こすことになる未来は読み取れない…人間てのはどれだけ過ちを繰り返せば学ぶものなのだろうねまったく。とにかく銀行のITシステムについては安易に考えないこと、経営層の責任・コミットを明確にし、全体のアーキテクチャ統括・プロジェクト進捗管理に責任を持つマネージャーを置き、コードレビューやテストに十分な時間と工数をかける、運用の自動化・効率化を図る、などなどどれも当たり前の取り組みなのだが、規模が巨大化すると細かい手抜きが目立ってくるもの、そこは「声を上げる・手を抜かない」という文化が必要になるのだろうけど…それがない組織は衰退するしかないやな。
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2021年のシステム障害前に、日経によって書かれた本書。プロジェクトとしては、壮大で大変ではあったと思うが、引き継ぎ障害を起こしている今読むと、その雄弁な苦労話も虚しく響く。 しかも、肩書などが冗長に感じ、あまり引き込まれなかった。
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2021年一連のみずほ銀行が起こしたシステム障害「前」に書かれた「力作」 今になってはあまりに虚しい内容となってしまった。 2002年、2011年の障害を乗り越えた巨大かつ、しなやかな(障害の極小化)システム、MINORIの完成を日経コンピュータが書いた(書いてもらった?)本。 ...
2021年一連のみずほ銀行が起こしたシステム障害「前」に書かれた「力作」 今になってはあまりに虚しい内容となってしまった。 2002年、2011年の障害を乗り越えた巨大かつ、しなやかな(障害の極小化)システム、MINORIの完成を日経コンピュータが書いた(書いてもらった?)本。 とはいえ、この本が嘘を言っているかというと、そうでもないと思う。それなりにMINORIはベンダーを横断する中で旧行のしがらみを乗り越えてはいる。過去の障害を乗り越える訓練は行っている。 では何が問題であったか。 2022年の今この本を読み返すと、「完璧なシステムができた、次に何をしようか、コスト削減に新たなシステム開発、デジタル化、IT企業との連携」と、MINORI完成後のシステムの運用について述べていない。そして、まさに2021年2月のATM障害は、システム維持のための人材を減らして、デジタル化するための通帳レス口座への移行作業で発生した。経営陣がシステム維持運用に興味がなく、「完璧」なシステムさえできればもうシステムは忘れたいという姿勢が如実に現れている。 「完璧」なシステムはない。「安定」したシステムは何年もさまざまな特殊日、繁閑を経て、カレンダーマジックを乗り越え運用されてはじめて実現する。 日経コンピュータはこの辺わかって敢えて書いたのか、わからなかったのか。本の中身はMINORI礼賛的内容であることが皮肉に聞こえる。
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私は当事者ではないけど、下衆なドタバタ劇を期待してしまって手に取った。コンサルの人が書くようなキレイなまとめに感じた。まあ、そんなに生々しくは書けないのかな。 関わった方に、おつかれさまでしたと申し上げたくなる。 仕事って辛いよなあ。
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システム開発・運用に関わった経験があれば、読み進めるごとにキリキリとした不安な気持ちを感じるリアリティに溢れる良書。 「経営の責任」が伏線となって障害の増幅要因としてヒットする様は出来のいい小説のようでもあり、類似の伏線が実は今の日本に多数転がっているという示唆はホラーのようで...
システム開発・運用に関わった経験があれば、読み進めるごとにキリキリとした不安な気持ちを感じるリアリティに溢れる良書。 「経営の責任」が伏線となって障害の増幅要因としてヒットする様は出来のいい小説のようでもあり、類似の伏線が実は今の日本に多数転がっているという示唆はホラーのようでもあります。 プロジェクトに関わる方は、一度手に取られると良いと思います。
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エンジニア、ITに関わるものとして読むべきと思っていまさら読みました。4000億円とも言われる(スカイツリー7本分)予算を投じて行われた歴史上最大級の開発プロジェクトにおいて、日経コンピュータという第三者の視点から失敗や苦難が描かれています。技術的な問題はもちろんありますが、その...
エンジニア、ITに関わるものとして読むべきと思っていまさら読みました。4000億円とも言われる(スカイツリー7本分)予算を投じて行われた歴史上最大級の開発プロジェクトにおいて、日経コンピュータという第三者の視点から失敗や苦難が描かれています。技術的な問題はもちろんありますが、その背景にあるソフトウェア開発の本質的な複雑性や体制、経営層の意識について課題が提示されています。細かい話は読み飛ばしました。不確実性の高い中で意思設定を積み上げること、用件定義やシンプルなアーキテクチャを志向すること(リスクを的確に捉えること)が重要と感じました。
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みずほフィナンシャルグループは、メガバンク史上初めてシステムを新たに再構築した。MINORIと呼ばれるシステムは、事務作業を大きく削減し、新しい機能を付加させるための開発費用を減らし、オープンイノベーションを促進する事が期待され、システムが寿命を迎える2025年の崖から転落しない...
みずほフィナンシャルグループは、メガバンク史上初めてシステムを新たに再構築した。MINORIと呼ばれるシステムは、事務作業を大きく削減し、新しい機能を付加させるための開発費用を減らし、オープンイノベーションを促進する事が期待され、システムが寿命を迎える2025年の崖から転落しないよう各企業が見習うべき良いケースである。と思われていた。しかし結果は今の通りである笑 不具合続きの今から振り返ると、第1部の成功ケースよりも第2部・第3部の失敗学の方が遥かに有益であるように感じる。そもそも、失敗の原因として「システムのブラックボックス化」「風通しが悪く、責任者への報告が遅れ、対応が後手に回る」「経営陣のIT軽視」が述べられていたが、今回のシステム障害の再発防止報告書にも同様の内容が列挙されており、みずほ自体が過去の失敗から何も学んでいない事がよく分かる。トップが失敗を反省し、リーダーシップを持って再発防止に努めなければ、同様の問題が必ず再発するであろう。「再発防止チーム」みたいな組織をその場凌ぎで作り、放任しているようでは先は無い。 成功を収める企業から学べる事は多いが、再現性に乏しい事が多い。一方で失敗した企業から学べる事は、再現性が強いため、こうしたら失敗するという良い学びを得る事が出来る。多くのケースを吸収し、経営判断を迫られた際に失敗しない様にしたいと感じた。
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"東京スカイツリー建設費650億円 7本分かかった →4000億なかば →35万人月 →ベンダー千社(日本のITベンダの1割) 一次委託先70-80社 ■勘定系システムとは →銀行における預金や融資、振込などの業務を支える情報システム メガバンクの勘定系システムは ...
"東京スカイツリー建設費650億円 7本分かかった →4000億なかば →35万人月 →ベンダー千社(日本のITベンダの1割) 一次委託先70-80社 ■勘定系システムとは →銀行における預金や融資、振込などの業務を支える情報システム メガバンクの勘定系システムは 計1億ステップほど →★絶句、、、 1人のエンジニアが1ヶ月で5-8行 →1000人のエンジニアが10年間開発を続けないといけない量 ■合併や企業統合は100日勝負 と言われる →統合を発表して100日以内に、統合の方針を固め、関係者一同がその方針に沿って進んでいくように、意思の統一を図る必要がある →★ITプロジェクトも一緒かもしれない、最初にその方向に向かっていくことを何度も伝えることが肝心"
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良著。読んでて胸が苦しくなるし、色々な案件がフラッシュバックする。 システム部門がなんとかするのだ、専門家の責務だ。と言って上は歩み寄らず理解しようとしないが、システムの重要さは肥大化する一方。肥大化すれば、作っている最中から腐り始める。進歩の早いITシステムではなおさらだ。 銀...
良著。読んでて胸が苦しくなるし、色々な案件がフラッシュバックする。 システム部門がなんとかするのだ、専門家の責務だ。と言って上は歩み寄らず理解しようとしないが、システムの重要さは肥大化する一方。肥大化すれば、作っている最中から腐り始める。進歩の早いITシステムではなおさらだ。 銀行以外の巨大システムでは、さまざまな手法が提案され採用され、そして棄てられていく。そのように新陳代謝させられる仕組みを模索し続けれられるシステムと、組織風土は銀行に限らず、システムを中心に据えているどんな企業も必要だろう。これは銀行に限らず、基幹システムを軽視している企業に対する警鐘を鳴らす本である。
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