みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 の商品レビュー
システム刷新に、東京スカイツリーの建設費7本分。 この言葉でお腹いっぱいです。 これは、タスクフォース型組織の組織論の話です。 企業の将来の理想の組織に向けて立ち上がったタスクフォース型組織の話です。 まず、タスクフォース型組織によくある予算の取り方の問題。勘定系に限らず基幹...
システム刷新に、東京スカイツリーの建設費7本分。 この言葉でお腹いっぱいです。 これは、タスクフォース型組織の組織論の話です。 企業の将来の理想の組織に向けて立ち上がったタスクフォース型組織の話です。 まず、タスクフォース型組織によくある予算の取り方の問題。勘定系に限らず基幹システムの予算の取りづらさが記載されていて、人ごとではない。 システムは作った瞬間から古くなる。 その古さが、fintechや新店舗業態などの、他の新規事業の実施スピード自体に関わってくるので、まさに、古くても既存の業務が出来たらOKじゃないんですよね。 あと、三行統合したけど、三行マジ仲悪くてシステム統合うまくいかないとか、どれかのシステムに片寄せしたらOKでしょっていうのも、システムがデカすぎてうまくいかず、あるべき論に合わせてフルリプレイスしないと、システムがつぎはぎだらけになって破綻するっていう。 正しいことや、べき論って、政治的には嫌がられるんですけど、未来に向けたら正しいことやべき論が必要なんです。これ、企業の相当でかい未来を全社一丸となってぶち上げてきた、苦難の歴史が書かれた本です。 システム全体を見渡せる人材の不足とか、現場丸投げで重大な障害報告を偉い人が受けるまでに約1日、わかります。
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メインバンクだし、情報系だし読むしかなかろうと言うことで 思ったよりは専門性もなくて軽く読めた 一章は背景でシン・ゴジラの音楽が流れる感じ 全体の概要がざっくり分かり、プロジェクトの進め方も興味深かった 二章は読むだけで胸が痛くなった つらい 三章はとても詳細で当初のことがよく分...
メインバンクだし、情報系だし読むしかなかろうと言うことで 思ったよりは専門性もなくて軽く読めた 一章は背景でシン・ゴジラの音楽が流れる感じ 全体の概要がざっくり分かり、プロジェクトの進め方も興味深かった 二章は読むだけで胸が痛くなった つらい 三章はとても詳細で当初のことがよく分かるし、著者の思い入れも伝わる 主観が多い嫌いはある 章立ての順番は時系列と反対で少し謎 せめて二章三章は逆でもよかったのではと思わなくもない
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日本最大のITプロジェクトで起きた問題が詳細に書かれていて、とても貴重な内容だと思います。特に印象的だったのは、23年間使い続けて老朽化したシステムが大規模障害を起こし、金融庁から改善命令を受けるまで本格的な刷新に踏み込めなかった状況は、プロジェクトの大小かかわらず、色々な現場で...
日本最大のITプロジェクトで起きた問題が詳細に書かれていて、とても貴重な内容だと思います。特に印象的だったのは、23年間使い続けて老朽化したシステムが大規模障害を起こし、金融庁から改善命令を受けるまで本格的な刷新に踏み込めなかった状況は、プロジェクトの大小かかわらず、色々な現場で発生している問題なのではないかと思いました。
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全体の感想としては、大変な苦労してシステムを作りあげたのだなということを思うと、ただただ賞賛しかないです。たぶん語り切れない物語があったのだろうなということは想像に難くないです。 一方で思うのは、こんなにいっぺんにやらないと基幹システム刷新って出来ないもの?ということ。もっと安全...
全体の感想としては、大変な苦労してシステムを作りあげたのだなということを思うと、ただただ賞賛しかないです。たぶん語り切れない物語があったのだろうなということは想像に難くないです。 一方で思うのは、こんなにいっぺんにやらないと基幹システム刷新って出来ないもの?ということ。もっと安全かつ低コストで確実に出来るやり方があるだろうにと思います。(アジャイルに対する過度の期待?) まあしかし、基幹系システムの刷新はコスパじゃない、トップの決断でやるもの的なところは、今まさに基幹系システムのリプレースを提案しようとしている自分にとっては、そうだそうだと言いたくなるし、人が育つという効果もあったようですし、一方、大規模障害のようなきっかけがなければ踏みきれなかったということもあり、経営層の方にはシステムがレガシーになり、負の遺産、果ては崖から飛び降りることになる前に、是非とも読んでもらいたいです。 個別の話としては、SOAやハードのランニングコスト化など、成功しているなと思うこともあれば、メインフレームが残ってたり、コンポーネントごとにベンダ色の入った開発ツールやデータベース製品が使われていたりと、ベンダーの思惑丸出しで、さすがにそれはないでしょということまで色々。Symfowareとか、HiRDBとかどう考えてもクソでしょ。DB2も昔苦しめられた記憶が苦々しいです。マルチベンダーの弊害なのか、あえてベンダーロックインを避けるためにそれを狙ってやってるのか不明ですが、自分がアーキ考えろって言われたら、こういうのは無しですね。 この本、MINORIについて語り尽くして欲しかったのに、半分くらいで社長のインタビューになって、残りは既刊で詳しく触れていた、2011年と2002年の障害の話で埋められていました。つまらないなーということで-1です。 とりあえず業界の人は読んでおいて損はないと思います。
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システム統合についてのナレッジベースとして手に取ると、理解できないだろう。これは日本の旧来のやり方で育ってきた経営者がいかに無能を露呈したかということ、その意見をただ聞くだけのシステムインテグレータなら何年かかっても社風の異なる複数社の「仕事のあり方」を統合などできないということ...
システム統合についてのナレッジベースとして手に取ると、理解できないだろう。これは日本の旧来のやり方で育ってきた経営者がいかに無能を露呈したかということ、その意見をただ聞くだけのシステムインテグレータなら何年かかっても社風の異なる複数社の「仕事のあり方」を統合などできないということをあからさまに示した本(の第三弾)であり、大いなる無駄と犠牲者を生産した失敗の記録である。要は捨てるべき時に捨てるべきものを捨てる決断をする者が「経営者」であるということ。多くの下請けの犠牲の果てに、人1人成人する年月を掛けてようやく形を取ったようなプロジェクトを「成功」とは言わない。
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全体的に考察が浅い。 ITについて網羅的に書いた故の浅さ。 ITには詳しいが「経営者の役割」に詳しくない人が書いたっぽい内容。 そして、主張に対する根拠が弱い、妄想的な考察が多い。 特に2011年の障害が経営の責任ほぼ一辺倒で書かれているのには論理の飛躍を感じる。 もっと組織体質的なところに諸々の原因があるように感じる。 そして、「IT業界のサクラダファミリア」はたしかに完成したかもしれないが、ITという一課題をもぐらたたき的につぶしただけで根本の組織課題は解決していないもやもやを感じるがそこに対して触れられていない。
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20年近くの壮大な話だと考えると心にくるものがある 自分が生きてるうちにここまで巨大なプロジェクトに関わる機会はないかもしれない
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前半は素晴らしい滑り出し。バックグラウンドであったり、ベンダーの状態、システムの状態などとても素晴らしい。中盤のインタビューやその他で情報量が一気に減る気がします。まーでもそれにしてもこのプロジェクトの中なんてこうやって書いてくれなければ絶対全く見れないのでそういう意味でやっぱり貴重。読まないという手はない。
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ブラック企業も裸足で逃げ出すような背筋も凍る凄まじいノンフィクションホラーではないかと前評判だった本。 実際には期待したようなホラーではなかったが、より高次元の絶望をもたらしてくれる斜め上のホラー。 ITシステムを「ズブの素人」がどのように捉えているかを端的に示す本。 この...
ブラック企業も裸足で逃げ出すような背筋も凍る凄まじいノンフィクションホラーではないかと前評判だった本。 実際には期待したようなホラーではなかったが、より高次元の絶望をもたらしてくれる斜め上のホラー。 ITシステムを「ズブの素人」がどのように捉えているかを端的に示す本。 このような考え方では、そりゃうん十万人月をドブに捨てるだろうなというダメなパターンが随所に出てくる。 また、上が無能だと何をやっても失敗するという単純な法則を見事に示している。 技術や学術的に妥当な見解は全くない。根拠も無い時代錯誤も甚しい妄想が沢山出てくる。 赤提灯でプロ野球中継を見て監督の采配に文句つける酔っ払いと同じようなレベル、とでも言おうか。 また、言外から経営者の無知蒙昧やモラルハザードが極めて深刻である事も窺い知れる。 日本のホワイトカラーは生産性が低いとよく揶揄されるが、そのエッセンスが凝縮されたような本だ。本に書かれている事をやれば確実に士気は下がり、生産性が下がり、プロジェクトは炎上し失敗するハズだ。 この本の内容は、正直出版して残す価値があるとは到底思えない。全てがバッドプラクティスの塊の様な本。 唯一価値があるとすると、21世紀初頭の日本の大企業 はこれほど杜撰なマネージメントや酷いモラルハザードの下で劣悪な運営がなされていた、そしてメディアはそれを見抜けない無能である、という歴史的な記録であろう。
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銀行の統合もシステムの刷新も恐ろしい。 表面的には良さそうに見えても、エンドシステムである勘定系がボロボロなのが今のシステムの実態。他業種の介入で、収益が厳しいのに勘定系への投資に踏み切れないのも、分からなくはないが、大規模障害が起こってからだと遅い。他の銀行たちは大丈夫なのか心...
銀行の統合もシステムの刷新も恐ろしい。 表面的には良さそうに見えても、エンドシステムである勘定系がボロボロなのが今のシステムの実態。他業種の介入で、収益が厳しいのに勘定系への投資に踏み切れないのも、分からなくはないが、大規模障害が起こってからだと遅い。他の銀行たちは大丈夫なのか心配になった。
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