私をくいとめて の商品レビュー
自分の心に住むAという別人格との対話を通して、三十路おひとり様女子の居心地の良さや生きづらさをほのぼのと描きます。映画版も観ましたが、余分と思えるエピソードがちょこちょこあって、映画版の方が整理されていますね。目をつむって飛ぶような恋愛は三十路にはできなさそう。でも、情がうつる、...
自分の心に住むAという別人格との対話を通して、三十路おひとり様女子の居心地の良さや生きづらさをほのぼのと描きます。映画版も観ましたが、余分と思えるエピソードがちょこちょこあって、映画版の方が整理されていますね。目をつむって飛ぶような恋愛は三十路にはできなさそう。でも、情がうつる、居心地がいいという感情の方が長い結婚生活を過ごすためには、持続性が高いのですよ。
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映画を見て、面白かったので、原作も読んでみました。映画と比較しながら読むのが楽しかったです。 みつ子の心の中に居るAは、魅力的です。優しくて温かくて、でも時々思いもよらないことを言うし、イケイケドンドンとみつ子を鼓舞することもあれば、落ち込んで、どこかに引きこもって出て来なくな...
映画を見て、面白かったので、原作も読んでみました。映画と比較しながら読むのが楽しかったです。 みつ子の心の中に居るAは、魅力的です。優しくて温かくて、でも時々思いもよらないことを言うし、イケイケドンドンとみつ子を鼓舞することもあれば、落ち込んで、どこかに引きこもって出て来なくなってしまうこともある。こんなAが私の中にもいたらいいなぁ。 小説の心に残ったフレーズは、 「マウンティングに負けて、人間性で勝つ。つまり、そういうことだ。」 →カフェで女性2人の会話を聴いていた時のみつ子の総括の言葉。マウンティングに負けたくないと思ってしまいがちだが、外から見ている人には、本当の勝者が誰なのかは、分かるのだ。 「誰かをまるごと獲得しようともがくより、自分との接点だけを見つめて、大切にできる人なんだろう。」 →ノゾミさんについての描写。私も人との付き合いは、こうありたい! 「多田さんに優しくして、彼が疲れているときは寄り添い、暗いときは何気ない会話でリラックスさせてあげなさい。彼の喜ぶ顔が見られたらうれしい、そんなささやかな実感が、愛です。相手の心に自分の居場所を作るのは楽しいですよ。」 →この愛の定義好きです。
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脳内会議?は自分もよくやるので分かる 独特な世界観だけど、好きな流れかなぁ 映画もアマプラで観てみます
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おひとりさまのOLの日常を脳内のAと共に物語が進んでいく。わたしにはあまりAの存在が理解できなかった。いや、頭の中にもう1人の自分、みたいな存在はいるのはわかるんだけど、ここまで人格をもったような書き方をされていることに違和感があってあまり楽しんで読めなかった。マイペースにゆるゆ...
おひとりさまのOLの日常を脳内のAと共に物語が進んでいく。わたしにはあまりAの存在が理解できなかった。いや、頭の中にもう1人の自分、みたいな存在はいるのはわかるんだけど、ここまで人格をもったような書き方をされていることに違和感があってあまり楽しんで読めなかった。マイペースにゆるゆると物語は進む、なんてことない恋愛のまとまりに心はほっこりした。
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一人暮らしが長くなってくると、ふと仕事でないプライベートな部分に他人が入り込んでくると一刻も早く一人の空間を取り戻そうと内心必死、みたいなことってあるあるかもしれない。30代で独身のみつ子はそんな一人女子の典型で、ついには頭の中にもう一人に自分(この小説では“A”という名前がつ...
一人暮らしが長くなってくると、ふと仕事でないプライベートな部分に他人が入り込んでくると一刻も早く一人の空間を取り戻そうと内心必死、みたいなことってあるあるかもしれない。30代で独身のみつ子はそんな一人女子の典型で、ついには頭の中にもう一人に自分(この小説では“A”という名前がついているのだが)が住み着いてしまう始末。そして何かあればこの“A”との会話に逃げ込んでしまう。なんてことは現実にはないのかもしれないけど、一見してことさら社交性を欠いているような、いわゆる「変な人」の部類に入らずとも、自分の殻の中に閉じこもってしまっている人(つまりはこのお話のみつ子のような人)って結構いるのでは? 正直言って、この小説を最後の方まで読み進めるまでは、つまりみつ子が多田くんといい感じになる、社内でのちょっとした出来事、友人の住むイタリアに行く、といったところまでは「ちょっとつまらないかも…」と思ってしまったが、でも最後はよかった。彼氏となった多田くんが迫ってきたのを断るシーンの後の複雑な気持ちなんてすごくリアル(恋人の小さな傷つきに敏感になるのも、なられるのも苦手だ。相手の不機嫌に気づけば、ひっやっとして一分でも早く挽回したいのに、大体繕おうとすればするほど墓穴を掘り、逆に自分尾気持ちの変化に敏感な相手に顔色をうかがわれると、当惑する。)。本当になんということもない、でもちょっとこじらせた人の心情描写は一級品だなと思う。 (230608再読) 共感してしまった。ということは、ぼくも彼女と同類なのか…!? 性別は違うけど同年代で独身、1人を満喫してる。1人を満喫できる。1人でどこかに出かけるのだって抵抗がないし、なんならその方が気楽。 それにしても、相変わらず冒頭が秀逸。ロウでできた食品サンプルを作る体験に1人で出かけるという、1人で行く先が映画館でも焼肉でもなく、斜め上の目的地。そんな場所に1人で行く、というのがある意味でこの話の主人公、みつ子の人柄を端的に表していたのかもしれないなと思う。 みつ子は自分の中にAという別人物を住まわせていて、ことあるごとにAに相談を持ちかけるーといっても彼女の頭の中に住まわせている人物だから別人物だけど同一人物というなんだか矛盾をはらんでいるようだが、このAがみつ子とはまた違った視点でモノを言ってくる。今これを書きながら思ったのだが、もしかするもみつ子自身、今の彼女を決してよいとは思ってなくて、そんな潜在的な気持ちが別人格となって自分の中に現れていたのかもしれない。 話は多田くんという、みつ子の勤める会社に時折りやってくる営業マンー彼は出世はしなさそうな、悪くはないけどそんなにもパッともしない感じのようだがーとの関係性が一つの主軸となっている。たまたま近所に住んでいることがわかり、晩御飯のおかずを彼におすそわけする仲になり…そんな中で親友を訪ねてイタリア旅行に出かけ、飛行機で右往左往しながらも無事着いたイタリアで1人で孤軍奮闘する、それでいてイタリア人とも関係性を築く友人の姿を目の当たりにしたり、物語は様々な出来事を経ていく。 彼女は本当にぼっちを望んでいるのか?それが彼女の理想なのか?それはただ自分の殻に閉じこもって積極的に現実逃避をしているだけではないか?多田くんと付き合うことなり、そこで初めて自分は自分以外の人間を必要としていないということに気づくんだけど、だからといって再び自分の殻に閉じこもらず、人間には自分以外の人間が必要だって前に進んで行く、というのが希望があっていい。そのとき、みつ子はもはや頭の中のAに頼る必要もなくなるのだ。 希望のある終わり方だと書いたが、これを読んでるぼくが置いてかれてしまう…そんなことを感じてしまうくらい、この物語に没頭できたし、それくらい面白いテーマだった。間にちょくちょく入るシーンも印象的。たとえばたまに泊まるホテルは非日常が感じられていいけど、同じことを家でする、つまり自分のために掃除をしたり、家をきれいにするのって、この上なく贅沢だ、とか。細部も魅力的だ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一つ前に読んでたSFがちょっと読むのにパワーがいるやつで(面白かったけど)、日常も忙しくてついつい読む時間が本からマンガに置き換わってて、でも本も読みたいな、ってときにちょうどいい、女子マンガの延長の気分で読める、綿矢りさ。 ミキとプッチのやりとりがとってもいい。 どっちかが悪者になりがちな女子マウント合戦のエピソードが、ちょっとダメージを負いつつも楽しかったな、で終わる、わたしが愛してる「友達と会った日」に落ち着いてて、そうそう、そういうのが楽しくて会うんだよね、って思えた。 最後、Aがぜんぜんいけめんじゃないっていうのがみつ子らしい。 わたしもいーっぱい突然自分を助けてくれる誰かを想像してるけど、みんな美形にしちゃうんだなぁ笑
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ちょっとした言葉遣いなんかが、さすが綿矢りさだなあというかんじ。 でもまあ、いつもこんなんだなあとも思う。 2と3の間くらい。
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何かあれば脳内の相談役「A」と会話し、"おひとりさま"を謳歌するみつ子。 みつ子は、おかずをお裾分けしているご近所の多田くんが好きなのかもしれないが、いつもと違う行動をとって現状が変わってしまうのが、怖いと思っている… 誰の脳内にもみつ子ほどではないが、相談...
何かあれば脳内の相談役「A」と会話し、"おひとりさま"を謳歌するみつ子。 みつ子は、おかずをお裾分けしているご近所の多田くんが好きなのかもしれないが、いつもと違う行動をとって現状が変わってしまうのが、怖いと思っている… 誰の脳内にもみつ子ほどではないが、相談役がいる気がする。他者と関わって自分が変化するのが怖いのに、関わりたいと思ってしまう、人間の心を描いた作品。
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綿谷りさの作品は蹴りたい背中以来な気がする。この作者はストーリーではなく文体で読ませる人だと思った。よってストーリー重視な私には少し退屈だった。飛行機やイタリアの細かい描写は不要な気がした。 30代前半は結婚や出産をする人としない人とで生活スタイルが分かれていく年だと思うので、そ...
綿谷りさの作品は蹴りたい背中以来な気がする。この作者はストーリーではなく文体で読ませる人だと思った。よってストーリー重視な私には少し退屈だった。飛行機やイタリアの細かい描写は不要な気がした。 30代前半は結婚や出産をする人としない人とで生活スタイルが分かれていく年だと思うので、その点は共感した。
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