丸の内魔法少女ミラクリーナ の商品レビュー
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村田沙耶香短編作品、同業の作家さんから「クレージー沙耶香」と呼ばれているらしく、内容はぶっ飛んでいます(^^♪リナ魔法のコンパクトで「魔法少女ミラクリーナ」に変身妄想で生きているが、なりゆきで、親友の恋人であるモラハラ男と魔法少女ごっこをする羽目に。ラストは親友のどんでん返し~! 次に、内山は初恋の相手である早川を忘れるために、早川を一週間監禁する。監禁生活はグダグダしたが、ラストは爽快感しかない。早川はPTSDだな~ もう2作品もクレージーワールド!社会への警笛と危うい女性の一面を見ることができた。⑤
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(丸の内魔法少女ミラクリーナー) とにかく笑いをこらえるのに必死。電車の中で読んだら死亡(笑) 小学校3年生のときから始めた魔法少女ごっこを36歳まで続けているリナ。友達から、黒歴史と言われても、辞めず、コンパクトミラーに向かって、変身魔法を唱えているという。彼女からしてみれば、...
(丸の内魔法少女ミラクリーナー) とにかく笑いをこらえるのに必死。電車の中で読んだら死亡(笑) 小学校3年生のときから始めた魔法少女ごっこを36歳まで続けているリナ。友達から、黒歴史と言われても、辞めず、コンパクトミラーに向かって、変身魔法を唱えているという。彼女からしてみれば、ストレスまみれの毎日を、変身したと思って乗り切る方法らしい。レイコの彼氏に、魔法少女になりなさいと言ったときは、そう来たか!(笑)と思ったが、彼氏の方がハマってしまうなんて、、リナ以上にパトロールにハマり、度が過ぎてしまう程に。リナみたいに正義を振りかざすのではなく、自分が正しいと思ったことを貫く姿勢がレイコにも刺さったのではないだろうか。レイコが傘で彼氏を殴り、電車から引きずり下ろす場面は笑いが止まらなかった。 (秘密の花園) 初恋の男の子が忘れられない千佳。何もすることがない夏休みが丁度良い機会だと思い、初恋の早川君を監禁することにした。監禁し、奴隷のように扱うと思ったら、自分が奴隷のようになり、好きなものを書い、お風呂を沸かし、寝かしつけて、Sかと思ったらドMで。小学校の時の早川君が自分の中の理想を高くし、妄想の中の理想も高くなっていく。でも、魔法が解けたように、いざ目の前の男を目にすると、汚く、臭く、全く自分の理想の男ではなかった。忘れられない恋愛も大切だが、忘れることで次にいけるのも事実。美しいところだけ切り取って覚えていられたらいいのに。コンビニの店員さんが女性だと思っていたので、男性で、その人に恋をしていたなんて、どんでん返しのようだった。 (無性教室) 性別が無い生活なんてできるのだろうか?と疑問に思ったが、やはり、無理がある。声や、身体で分かってしまうし、好きという感情が芽生えてしまったら… 恋愛感情を持つと、相手との行為を望む人が多数だと思うが、望まない人もいる。そばに居てくれるだけで、存在自体が好きという感情。友達に抱くような感情を恋人にも抱けるのだろうか。相手の性別を知らないままセックスをする場面の描き方が新感覚で、見えないから、五感が研ぎ澄まされ、そういう感じ方もできるのかと思った。 (変容) 人と人を繋ぐ感情が無くなり、自分だけが怒りという感情に左右されている。自分だけ取り残された感情を持ち、人に話しても??という顔をされる。なんてもどかしい。話の通じない人に話をするなんて、ストレスが溜まるだけであり、余計に怒りが湧いてくると思う。怒りは何も生み出さない、アンガーマネジメントという言葉があるように怒りはあまり良い感情として受け取られていないと思う。しかし、あの人ウザイよねーとか、なんかムカつくという感情は時に共感できる話のタネであったりとか、分かる分かるとあなた同じ気持ちですよということを共有できるので、相手と親密になる感情だったりもする。感情に振り回されて疲れてしまうなんてこともよくあるが、感情がなくなってしまったら、世の中の人間、みな何者になってしまうのだろうレベルで対話をしても意味の無いものになってしまうのでは無いだろうか。最初は五十川さんみたいに、感情を出すことを望んでいた川中さん。しかし、最後には、新しい感情に取り込まれてしまい、五十川さんを自分の側に引きずり込もうとしていた。宗教じみていて、怖いと感じた。
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表題作「丸の内魔法少女ミラクリーナ」、「秘密の花園」「無性教室」「変容」の4作品からなる短編集。 村田さんの作品をいくつか読んできて、全てが好きとは言えないのだけれど、たまにものすごくクリーンヒットする時がある。たとえば今までなら「地球星人」、今作なら「無性教室」。 今回は「無性教室」が刺さりすぎて正直他の作品をあんまり覚えていない…… ユートが最終的に辿り着いた「自分の性別もセナの性別も関係なく、ただ『セナ』が好き」っていう感情が私の恋愛観とすごく近くて、言語化してもらえて嬉しかった。こういう理解されにくい感情を本の中で見つけると自分だけじゃないんだって本当に安心する。本を読むことの醍醐味だと思う。 村田作品は独特の「気持ち悪さ」にウッとなる時も多いけれど、こういう自分の為に書かれたみたいな作品に出会ってしまうと、まだ知らないだけで他にもあるんじゃないかと思って読み漁ってしまう。
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ラストの話は時代の変化と人間の風潮の変化についていけなさすぎてこの先の日本はどうなっていくんだっていう不安があるからわかるってなったしもうずっと平成のまま止まってて欲しい。
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"世にも奇妙な物語 〜村田沙耶香編〜"という副題を勝手につけさせて頂きます(笑)読み始めに感じる違和感が終わり頃にはなくなって新しい価値観を植え付けられている。こちらはマイルドな設定だったので、村田さんの作品を読んだことない方ぜひ!
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表題を含めた4つの短編集。村田さんの本はいつも自分の価値観を問われ、さらに今ある価値観がとても儚いものに感じられる。無性教室と変容はどちらもぞくっと、ある意味ホラーだった。
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村田沙耶香さんのあり得ないはずなのに、実はどこかであり得そうな話が、読んでてざわざわして面白い‥ 冒頭のミラクリーナとマジカルレイミー、外から見たら絶対関わってはいけない人たちだけど、心の中でこのマインドを持っておくことは大事?
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著者の名前は知っていたけれど、今まで食指が動かず今回初読み。 丸の内魔法少女ミラクリーナ、秘密の花園、無性教室、変容の4作品からなる短編集。 どの話もどこか奇妙で違和感を感じつつ、自分の中の正しさの基準が少し揺さぶられる気がした。 魔法少女に変身して日々の嫌な事を和らげることがで...
著者の名前は知っていたけれど、今まで食指が動かず今回初読み。 丸の内魔法少女ミラクリーナ、秘密の花園、無性教室、変容の4作品からなる短編集。 どの話もどこか奇妙で違和感を感じつつ、自分の中の正しさの基準が少し揺さぶられる気がした。 魔法少女に変身して日々の嫌な事を和らげることができるならアリだと思い、初恋の幻想を打ち砕く手段に衝撃を受け、男女格差だなんだと声高に言われていることを思うと無性ってある意味究極かも…と思い、「怒り」という感情がなくなっていっている世界に喜怒哀楽がなくなるなんてもはや人間じゃない気がすると思ったり… 「無性教室」と「変容」が特に印象的だった。 SFとは少し違うけれど、なんだか不思議で奇妙な物語に酔った気分。
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表題作「丸の内魔法少女ミラクリーナ」は、36歳になっても変身コンパクトと相棒のぬいぐるみを持ち歩き、気合を入れるときに魔法少女に変身する(という体の)リナが主人公。 最初は痛い人だと思ったけれど、意外と現実的で、「これはお遊び」だと、周りの迷惑にならないように線を引いて楽しんでい...
表題作「丸の内魔法少女ミラクリーナ」は、36歳になっても変身コンパクトと相棒のぬいぐるみを持ち歩き、気合を入れるときに魔法少女に変身する(という体の)リナが主人公。 最初は痛い人だと思ったけれど、意外と現実的で、「これはお遊び」だと、周りの迷惑にならないように線を引いて楽しんでいる。 でもひょんなことから、友人の彼氏と、魔法少女として東京駅をパトロールすることになってしまう。 この彼氏が本気で魔法少女になりきって行動するので、ドン引きするリナと友人の様子がおかしかった。 「秘密の花園」は初恋の人を監禁する話。性描写が、相手への嫌悪に満ちていて気持ち悪かった。 「無性教室」は、性がなくなっていく世界が舞台。 「変容」は、怒りの感情をなくしてしまった人たちがいる世界の話。 どれも少しだけ奇妙で、「普通」の感覚からはズレていて、おかしい。 でも、本当にそうなの?「普通」って何なの? という問いかけが含まれているような気がするのは、深読みし過ぎだろうか。 「変容」にでてくる「なもむ」「まみまぬんでら」という新しい感情が意味不明で面白かったんだけど、現実で「エモい」が新語として出てきたように、これも全くあり得ないことではないんだよなぁと思えてくる。
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四つの短編集。 「丸の内魔法少女ミラクリーナ」は、コンパクトで変身して校内を巡察し、正義を行う魔法少女ごっこを36歳になっても続けている茅ヶ崎リナの話。魔法少女の相棒をモラハラ彼氏から救おうとして、そのモラハラ彼氏をなんちゃって魔法少女になりゆき上してしまう、というのがメインストーリーだけれど、日常のイラッとすることとかモヤっとすることを笑顔で乗り越える魔法って考えると、そういう魔法少女ごっこだってすこぶる健全な気がしてきた。コンパクトで変身するってこと自体、コンパクトを開いて化粧をしたら別の私、っていう現実世界の女子に通じると思う。 「秘密の花園」は初恋の相手の男の子を監禁する話。結局初恋は片思いで頭の中で完結するから美しいのであって、現実のその男を見たら生々しくてキモいよ、っていう。描き方は気持ち悪いんだけどそれも一面真理が含まれてるよなぁ。初恋を乗り越えるために、とことんその男のキモさを見る話。だから全体的に記述が気持ち悪い。 「無性教室」は校則で性別が禁止された高校の話。男女別学と多少似た感じはあるよなぁと思う。恋した相手の性別なんてどっちでもいい、っていいながら、相手の実際を探ったり暴いたりするのではなく、セクシュアリティがどうであってもあなただから好き、っていう姿勢は好き。 「変容」は、怒りの感情がなくなった最近の若い人たちについていけない話。怒りは古いし、パブリックネクストスピリットプライオリティホームパーティで30年後の人類の流行の性格をディスカッションして精神を向上させるのがステータス、みたいな世の中になっている。怒っていた主人公もそのパブスピホムパに出ているうちに、自分と同じように怒りの感情を持っていた五十川さんに「なもむ」ようになり、「まみまぬんでら」するようになる。なもむ、も、まみまぬんでら、もよくわからないんだけど、「エモい」とか「卍」とか「ぴえんこえてぱおん」みたいな世界と思うと、まさにこの世の中で起こってることだと思う。ジェネレーションギャップでもあり、人間はその社会にいるとどんどん変容していくたやすいものだ、という。ワンピースの上に腹巻きがファッション、は笑うけど、はお腹出してるのがファッション、とかだって同じように別の時代・別の世代から見れば笑止なわけで。
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