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御社のチャラ男 の商品レビュー

3.2

102件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    30

  3. 3つ

    42

  4. 2つ

    10

  5. 1つ

    4

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2020/05/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「御社のチャラ男」三芳部長が色んな人たちの目線から語られる。その人によって見え方がこうも違うかと驚かされるお仕事小説。チャラ男の事を語る同僚たちもそれぞれ個性があって、これがまた実際に居そうで、自分はこのタイプかもしれない、と考えながら読んでしまう。なんて恐ろしい小説なんだ(笑)会社、働く人々、チャラ男の行く末にどこかスッキリした。

Posted byブクログ

2020/05/06

恐ろしい小説である。章の初めからその終わりの一手前まで一人称のモノローグ的に物語は展開される。其れら語り部から発せられる人間の洞察に付いて、ほぼ全てのタイプの人としての在り方がまな板に挙げられているかのように峻別され、その業が語られていく。優れた小説(ドストエフスキーやガルシアマ...

恐ろしい小説である。章の初めからその終わりの一手前まで一人称のモノローグ的に物語は展開される。其れら語り部から発せられる人間の洞察に付いて、ほぼ全てのタイプの人としての在り方がまな板に挙げられているかのように峻別され、その業が語られていく。優れた小説(ドストエフスキーやガルシアマルケスなど)はこのように人間の業を全てまな板に上げてしまい、僕たちを身震いさせる。「これは僕のことじゃないか!」その有り様が極めてこの小説では現代的に成されるので誰もまな板の上からは逃げられない。「会社」という近現代の単位に於いて語ることにより其の舞台で作者は全ての人間を包括し、「すべてのあなた」は逃げられない。さて、あなたはどのように語られるかわかりませんが。ボクはちなみにチャラ男こと三芳だなーって思った。怖いなー。

Posted byブクログ

2020/05/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

天下の芥川賞作家、絲山秋子センセイがついにエンタメ?! いえいえ、さすがのりっぱなお仕事小説。 今の時代の『悪女について』有吉先生の名作を彷彿とさせる構成。 最後、会社はノアの方舟?となり崩壊してしまうが現代社会のブラックな企業の有様がまざまざと。こんな会社アルアルになってフィクションと言うよりもノンフィクションかとも。 エンタメ小説にしがみつかない、奥の深い楽しめた小説でした。 尻切れトンボみたいだったので徹底的に女子目線で男どもをぶったぎれても良かったかな。

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2020/04/27

ひとつの会社を舞台にした群像劇。 軸にはチャラ男がいるわけですが、いち社員、総務の子、鬱で休職したら社員、社長、家族など、それぞれの立場からのものの見方や書き分けがホント凄い。 それぞれの人たちのダメな部分や小狡い部分は、自分にも少なからず当てはまる部分がありグサッときました。 ...

ひとつの会社を舞台にした群像劇。 軸にはチャラ男がいるわけですが、いち社員、総務の子、鬱で休職したら社員、社長、家族など、それぞれの立場からのものの見方や書き分けがホント凄い。 それぞれの人たちのダメな部分や小狡い部分は、自分にも少なからず当てはまる部分がありグサッときました。 チャラ男、最後までキャラが掴めませんでしたが、こういう人ってどの組織にも必ずいるタイプだなあ……

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2020/04/22

久々に好きな紙質。パリッとして気持ち良い。 たまに巡り合う生本。電子書籍では出会えない贅沢。 さて、チャラ男。 人の見方、とらえ方で、人間は一辺倒ではないことがこの会社の人たちの登場で浮き彫りに。 自分が考えている人の評価や自分自身なんて、ちっぽけなのです。いろんな人がいて面...

久々に好きな紙質。パリッとして気持ち良い。 たまに巡り合う生本。電子書籍では出会えない贅沢。 さて、チャラ男。 人の見方、とらえ方で、人間は一辺倒ではないことがこの会社の人たちの登場で浮き彫りに。 自分が考えている人の評価や自分自身なんて、ちっぽけなのです。いろんな人がいて面白いのです。

Posted byブクログ

2020/04/21

"人に対する共感が薄い自分にとって、がんばるという姿勢は唯一、いつでもどこでも誰にでも通用する表現だと思っていた。それが唯一の通貨だったのに、がんばれなくなった。病気が私を一文無しにしてしまった。そして、これからも負債を返すがんばりなんてできないのだ。"(p....

"人に対する共感が薄い自分にとって、がんばるという姿勢は唯一、いつでもどこでも誰にでも通用する表現だと思っていた。それが唯一の通貨だったのに、がんばれなくなった。病気が私を一文無しにしてしまった。そして、これからも負債を返すがんばりなんてできないのだ。"(p.204) "私は努力をしないひとが嫌いだった。なんでも楽々とこなしてしまうひと、勘でものを言うようなタイプ、サボっていても帳尻だけ合わせる輩。いい加減にやって上手くできてしまうひとも、物事をほったらかして平気なひとも。 つまりチャラ男である。 だがほんとうは、そのかろやかさが羨ましく、心は楽をしたいと叫んでいたのかもしれない。"(p.209) "ほくは心の底から「自己責任」って言葉が嫌いだ。自分で責任をとったつもりでも、大したことじゃなかったりする。責任を果たすためのエネルギーは、そのひとが恵まれた境遇にいるかどうかで全く違ってくる。"(p.101) "私は腹を立てない。おばさんだからだ。かわいいなんて一瞬のもので結局は使えないことをよく知っているからだ。"(p.172)

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2020/04/10

「チャラ男」をキーワードに16のストーリーが語られます。言葉もテンポよく、結構スルドイ内容がでてきて、納得したり苦笑したりと読みました。「チャラ男」の規定が人によって捉え方がいろいろで最後まで曖昧で、部長の功罪がはっきりわかりませんでしたが。

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2020/04/04

こんなに大勢の人たちをそれぞれの立場で書けるのが絲山さんのすごいところ。 みんなそれぞれ自分のことは自分が一番よくわかっていて、相応に前を向いて生きている。

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2020/03/25

変わった試みだけど、登場人物の関係性に頭が行ってしまい小説として楽しめなかった。会社内の人間を理解するには良い教科書。パンデミックの予言書としても。結局、チャラ男はいいヤツなんだろう。

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2020/03/21

タイトルから「チャラい若手社員を描いたちょっとコミカルなお仕事小説」くらいのイメージで読んだらなんとなんと!一筋縄ではいかない、なかなか骨のある作品でした。 主人公のチャラ男はジョルジュ食品という旧態依然とした会社に中途採用された営業統括部長。そんな彼について、同じ会社の様々な...

タイトルから「チャラい若手社員を描いたちょっとコミカルなお仕事小説」くらいのイメージで読んだらなんとなんと!一筋縄ではいかない、なかなか骨のある作品でした。 主人公のチャラ男はジョルジュ食品という旧態依然とした会社に中途採用された営業統括部長。そんな彼について、同じ会社の様々な立場の社員が語りつくす18の章からなる小説は、チャラ男の輪郭を浮き彫りにするだけではなく、語り手の人物像をも明らかにしていく。 やる気もないけどやめる勇気もない臆病な営業社員、イケメンだけど酔うと下ネタ連発のうんこマン、窃盗症で退社することになる熟年社員、うつ病による病休から復職した女性社員、政治家になる野心を持つ若手女性社員、チャラ男と不倫する女性社員・・・などなど18の章はどれも軽妙だけど重みがあって読み応え抜群。 絲山さんの文章は平易で心地よい。特長的なのは独特の比喩表現で、そのうまさには思わず唸る。 例えば、 「難しい時代だ。人々の心に余裕がないから、自由な意見が言いにくい。何かを言えばそうでない人から叱られる。気遣いがない、例外が見えてない、引っ込んでいろ、黙っていろと言われてしまう。私たちが真面目に働く世の中は、(略)ヤクザが仕切っていたころの方が今より良かったと嘆いている歓楽街のような場所になってしまった。」 という比喩。 わかったようなわからないような(笑)、でもよく考えるとものすごくわかる。胸にストンと落ちる。こういうところが凄くいい。すごく好き。 いじめ、うつ、理解されない病気など、豊かさと引き換えに置き去りになった人間や、今の世の中のいや~な雰囲気をズバリと言い当てながらもラストはどこかスッキリと爽快な気分になるこの作品、面白かったの一言では片付けられない、何度も読みたくなる良作でした。

Posted byブクログ