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戦争は女の顔をしていない(1) の商品レビュー

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87件のお客様レビュー

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2021/01/29

女性の視点の「戦場」を、今風のやさしいかわいい絵柄で描いている点が新鮮。本来生々しくなる部分も絵柄のおかげで、和らいでいる。この表現に対して、賛否両論あるだろうが、戦争の記憶を若い世代に伝えて、考えるきっかけになるだろうと思う。

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2021/01/17

原作者は、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさん。第二次世界大戦にソ連の軍隊に所属した女性たちの物語だ。ソビエト連邦とナチス・ドイツとの戦いの日常を漫画というカタチで表現している。極寒の土地であるがゆえの厳しさも、細部を描写することで伝わってくる。雪の残る春先、スナイパーは12時...

原作者は、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチさん。第二次世界大戦にソ連の軍隊に所属した女性たちの物語だ。ソビエト連邦とナチス・ドイツとの戦いの日常を漫画というカタチで表現している。極寒の土地であるがゆえの厳しさも、細部を描写することで伝わってくる。雪の残る春先、スナイパーは12時間腹ばいのママ過ごす。体温で雪が溶け水になる。ずーっと水に浸かった状態で過ごす。ときに、その水がまた凍るときもある。戦争の不条理、生死の狭間の心境、人を殺めることが日常になる異常さが伝わってくる作品。そして、生き抜いてきた彼女たちの強さを感じる。 ロシアの戦争を日本人が漫画として表現するのも、その地域の時代背景を知らないとできないことであり、相当な困難もあったのだと推察される。当時の様子を後世に伝えることの意義があり、本書に出会えたことを大切にしたい。

Posted byブクログ

2021/01/10

ソ連軍の女性兵士の回想本を漫画化したもの。 第二次大戦時における日ソ間の戦いを思えば、ソ連兵に良い印象が有るはずがないし、独ソ戦のシミュレーションゲームでもモスクワを陥落させられれば最高の気分だ。 しかし、あの戦争における死者数はソ連が2500万人と断トツ。因みにドイツは800万...

ソ連軍の女性兵士の回想本を漫画化したもの。 第二次大戦時における日ソ間の戦いを思えば、ソ連兵に良い印象が有るはずがないし、独ソ戦のシミュレーションゲームでもモスクワを陥落させられれば最高の気分だ。 しかし、あの戦争における死者数はソ連が2500万人と断トツ。因みにドイツは800万人。日本は300万人である。 それを念頭に読むと少し違った感情が湧くのではないだろうか。 日本軍と大きく異なるのが、ソ連軍には普通に女性兵士がいることだ。(出てくるドイツ軍将校の言葉通り、原作の表紙を見れば美人さんぞろいだ)その数100万人を超える。それも軍医や衛生兵だけでなく、戦闘機パイロットや戦車兵(プラウダ高校生ではない)、高射砲部隊とか、さらには女性だけの狙撃兵部隊すらある。 彼女たちの回想は必ずしも事実であるとは言い切れないとは言え、実に興味深いものであった。 ドイツ軍捕虜に食料を分け与えるとか、狙撃手としてドイツ兵を倒し当初は良心の呵責にさいなまれるが、その後の心の変化のエピソード。生理の出血で軍服、さらには道に血を滴らせながら行軍し、男性は見ないふり、そして爆撃の最中でも皆川に下半身を浸け洗い、そこを撃たれ戦死者も出る。ドイツ領土に侵攻し、そこで立派な工場やドイツ人の豊かな生活を見て、こんなに豊かな国が何故貧しいソ連を侵略するのか理解に苦しめられたりと、女性兵士ならではの視点に心を打たれる。 全体を通して、男性の徴兵と違い、女性は志願であるが随分と立派なものだと感じた。戦争さえ無ければと言うは簡単なれど…

Posted byブクログ

2021/01/03

帯に「漫画化した作者の蛮勇」と評されていたが、想像以上に面白かった!独ソ戦で従軍し、生き残った女性兵士の視点から描かれる戦争の壮絶さ。インタビュー形式で語られるエピソードは、あまりにも生々しく凄惨。可愛らしい絵柄でカモフラージュされていなければ、とても読めなかったかもしれない。 ...

帯に「漫画化した作者の蛮勇」と評されていたが、想像以上に面白かった!独ソ戦で従軍し、生き残った女性兵士の視点から描かれる戦争の壮絶さ。インタビュー形式で語られるエピソードは、あまりにも生々しく凄惨。可愛らしい絵柄でカモフラージュされていなければ、とても読めなかったかもしれない。 洗濯兵(こういう兵士がいたことすら初めて知った)、狙撃兵、飛行士などさまざまな女性兵士の視点から語られていくものの、女性ならではの悩みが多々あり、今までは戦争の表側しか見ていなかったことを思い知らされました。原作もぜひ読んでみたい!

Posted byブクログ

2021/01/23

生まれて初めて、「女性が兵士として戦場に赴いた」体験談を読んだ(漫画版だけど)。一人一人の「辛かったこと」を知ることで、戦争の過酷さがリアルに感じられた。犠牲者それぞれに過酷なストーリーがあるのだと思うと、「ソ連死者数2700万人」という数字が、改めて、とてつもなく重い。

Posted byブクログ

2020/12/19

1冊1100円。少し高いな、と思ったけど読む価値はあった。女性が従軍したの?それも、従軍の看護婦とかではなく、兵士として。 男物の下着を付けたままでは死ねない、というお話もありました。 語るのは難しい。 #本 #漫画 #戦争は女の顔をしていない

Posted byブクログ

2020/10/29

まだ1巻なので、タイトルの意味にまで行きついていない感じ。独ソ戦は最近話題になっているが、なぜ、女性がこんなに多く前線に投入されていたか、監修者による後書きでわかる。 また、女性ならではの生理の苦労なども赤裸々に綴られており、生々しい。この時代に生きていた人だからこそわかることで...

まだ1巻なので、タイトルの意味にまで行きついていない感じ。独ソ戦は最近話題になっているが、なぜ、女性がこんなに多く前線に投入されていたか、監修者による後書きでわかる。 また、女性ならではの生理の苦労なども赤裸々に綴られており、生々しい。この時代に生きていた人だからこそわかることであろう。生理のことや下着のことなどは歴史に残りにくいことである。こういう視点で取材もされている原作にも興味が湧くと同時に漫画だからこそわかる視覚的なものも細部まで描かれている。貴重な体験をしっかりとした筆致で漫画化している。 続きにも期待する。

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2020/08/30

第二次世界大戦を他国の視点で考えたことがなかったし、女性が銃を持って当たり前のように戦うということにもハッとさせられた。

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2020/08/22

女が戦場で戦うということはどういうことか。戦争の被害者として語られる女性ではなく、兵士として戦う女性の苦しみ、悲しみが描かれて壮絶である。戦場で最もつらかったのは男物のパンツをはくこと、など思いもよらない話があふれる。

Posted byブクログ

2020/08/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 原書訳書(三浦みどり訳)読了後に、こちらも見てみた。  いきなり文章からが、とっつき悪ければこちらを導入とするのはありとは思うが、心配していた点があった。  綾波レイ、セイラ・マスではないが、強く毅然とした女戦士の偶像化、英雄視がより強調されないだろうか? この懸念は、やはり残る。  原書の順を追ってエピソードは並べられていない。数あるエピソードから取捨選択されている。その基準の第一は、「絵になる」ではないだろうか。絵にならない、女性たちの内面的な思い、葛藤は取り上げられにくい。  そもそも、著者である、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの姿が薄い。これは残念というより、驚いた部分だ。  第1話はそこから始まるのかと思ったら、いきなりインタビュー内容だ。連載のスタートダッシュには、やはり刺激的な戦場の想い出語りが必要なのだろうが、では、数話こなした後に、著者の思いや、懸念には触れておかないと。 「回顧とは、起きたことを、そしてあとかたもなく消えた現実を冷静に語り直すということではなく、時間を戻して、過去を新たに生み直すこと。語る人たちは、同時に創造し、自分の人生を「書いて」いる。「書き加え」たり「書き直し」たりもする。そこを注意しなければならない。」 「この人たちは自分が経験したそのことに惚れ込んでいる。というのも、これは単に戦争というだけでなく、彼らの青春でもあったのだから。」  こうした注釈もなく、戦時下のエピソードへ突入していく危険性はある。語り部が「惚れ込んだ」「青春」が列挙されている点は、よく認識しながら読み進むべきだろう。まだ第1巻(続巻もあるのかな?)、そのあたりは補完されることを願うところ。  文章で読んで印象的なシーンは小梅氏がピックアップしているエピソードとも重複はするが、原書訳書で読むより、女性の「生理」がいっそう強調されている印象を受けるのは、やはりビジュアルの成せる業か。男として想像でしか思い描けないものが視覚として提示される生々しさはある。

Posted byブクログ