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戦争は女の顔をしていない(1) の商品レビュー

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86件のお客様レビュー

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2020/07/23

後方支援だけでなく、前線まで―― WWⅡの戦いのひとつ、独ソ間で行われた大祖国戦争で活躍した女性たちの証言をまとめたもの。そのコミカライズ版。 日本では聞いたことが無い、女性戦闘員の活躍。 既に前世紀の大戦で活躍していた事に驚きを隠せない。 表彰されず、表立って語られることがな...

後方支援だけでなく、前線まで―― WWⅡの戦いのひとつ、独ソ間で行われた大祖国戦争で活躍した女性たちの証言をまとめたもの。そのコミカライズ版。 日本では聞いたことが無い、女性戦闘員の活躍。 既に前世紀の大戦で活躍していた事に驚きを隠せない。 表彰されず、表立って語られることがなかった女性たちの、生き生きとした姿が描かれている。 兵器が発達し、僅かな力で――引き金を引けば人を殺せる――ようになり、遂に国を挙げての総力戦となった大戦。 戦場において彼女たちは活躍する。女性達のしたたかさ、時にその繊細さを活かし、機転を利かせる。 その姿のどこが、男に劣っているのだろうか? 男性とは異なる困難……支給された服や装備――とくに下着――が男物であることの違和感を乗り越えて、男たちと同様に戦っている。 証言の中にはトラウマ、PDSDなどの後遺症問題もあった。 これらを含めて、女性の社会進出の一端を垣間見ている。 日本の戦時中の証言では全く聞かれない視点だった。 彼女たちは戦争を悲観して打ちひしがれず、その中で懸命に生きていた。(日本の場合、敗戦したことも要因としてあるだろうけれど) 人を殺すことが解禁される戦場の中で、その苦悩も、無心になってしまうことも、それでも「女の子」である繊細さも含めて、赤裸々に証言していた。

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2020/05/27

漫画の持つ圧倒的な力が出てる、一冊でした。 戦争の悲劇が書いてあるのかと思ってたら、女性の生き様が所狭しと描かれていて衝撃でした。 実写フィルムでも、再現映画でも、ノンフィクション小説でも、語り部の話でも。 それぞれの良さとは別の意味で、これをマンガで表現する意義は、破壊的に...

漫画の持つ圧倒的な力が出てる、一冊でした。 戦争の悲劇が書いてあるのかと思ってたら、女性の生き様が所狭しと描かれていて衝撃でした。 実写フィルムでも、再現映画でも、ノンフィクション小説でも、語り部の話でも。 それぞれの良さとは別の意味で、これをマンガで表現する意義は、破壊的にスゴイと感じました。 小説も読みたくなりましたが、あえてマンガで読むべきなのかもしれない、と思わされた。 とにかく。 一ページ一ページが、衝撃的でした。 戦争の本でなく、人間の尊厳の話。 究極の状態で、自分自身はどんな言葉を発する事が出来るのか? 全く自信がなくなりそうですが、それでも何かを疑似体験でき、何かを得れる読書時間になります。 読めて、出会えて、良かった。

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2020/05/24

>「幸せって何か」と訊かれるんですか?私はこう答えるの。殺された人ばっかりが横たわっている中に生きている人が見つかること……。 >「こんな泥まみれで死にたくない」と思った。 >飛ぶだけではなく、女の子たちは敵機を撃墜しました。私たちを見て男たちは驚いていました >戦争で一番...

>「幸せって何か」と訊かれるんですか?私はこう答えるの。殺された人ばっかりが横たわっている中に生きている人が見つかること……。 >「こんな泥まみれで死にたくない」と思った。 >飛ぶだけではなく、女の子たちは敵機を撃墜しました。私たちを見て男たちは驚いていました >戦争で一番恐ろしかったのは……男物のパンツを穿いていることだよ 独ソ戦争(第二次世界大戦のうちドイツとソ連の間で展開された「史上最も凄惨」と言われる戦争、1941-1945)に従軍したソ連の女性たちに後年インタビューした本、の漫画化です。 20世紀の究極の男社会である戦場で、死に慣れ、恐怖に慣れ、殺人に慣れ、あるいは戦争が終わった後に日常にもういちど慣れなおし、生きたり死んだり負傷したりする。 小梅けいとにこれを書かせた人は凄い。 監修の速水螺旋人は戦争モノの大家だと思うけどこのようには描けなかっただろう。 この本は語り継がれる一冊になるだろう。

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2020/05/03

独ソ戦に従軍したソ連女性兵インタビューの漫画化。 洗濯兵や狙撃兵、衛生兵として前線に行っていたとは。 極限状態から解放された彼女たちの涙が印象的。

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2023/05/06

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』のコミック化である。『戦争は女の顔をしていない』がコミックになると聞いたときはどういうものになるのか想像しづらいものがあったが、こうやって絵にして読んでみると、その意義も十分にあると思えた。時代考証をかなりしっかりと...

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』のコミック化である。『戦争は女の顔をしていない』がコミックになると聞いたときはどういうものになるのか想像しづらいものがあったが、こうやって絵にして読んでみると、その意義も十分にあると思えた。時代考証をかなりしっかりとやったということだが、文字で読むよりもビジュアルが付いてくることで、よりイメージが伝わるところもある。もちろん文字で読めばこそ伝わるものもある。しかし何より、このコミックを読んだことで、より多くの人が『戦争は女の顔をしていない』を手に取ってくれるのであれば、素敵なことだと思う。旧ソ連では200万部が売れたというが、このコミックのロシア語版を出せば、相当かの地で売れるのではないだろうか。 コミック第一巻の中には全部で7話が収録されていて、14人の話を元にしたエピソードが綴られている。どれも印象的なエピソードだ。それでも、『戦争は女の顔をしていない』が取り上げた大きなテーマである、戦争の後、男に対してと同じように与えられるべきであった女たちの勝利がその手からある種の偏見と悪意をもって取り上げられてしまったことについては表現しきれていないことは気にかかる。コミックにはしづらいテーマではあるかもしれない。その意味で、やはり『戦争は女の顔をしていない』は読んでほしいし、第二巻以降でより重いテーマにも触れられることを期待もするのである。 ---- 『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)のレビュー https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4006032951

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2020/04/22

池上さんの紹介文を読んでずっと気になっていて、やっと読めた。 「命を生み、育てる女性が、人を殺さざるを得なかった。それがいかに悲惨で、精神を病んでいくことになるのか。そして、戦争は勝とうが負けようが人を幸せにすることはないーー」 銃後の女性が描かれた作品に触れたことはあっても...

池上さんの紹介文を読んでずっと気になっていて、やっと読めた。 「命を生み、育てる女性が、人を殺さざるを得なかった。それがいかに悲惨で、精神を病んでいくことになるのか。そして、戦争は勝とうが負けようが人を幸せにすることはないーー」 銃後の女性が描かれた作品に触れたことはあっても、前線で戦っていた女性については、そんな女性がいたことすら知らなかった。 生理で血を垂らしながら歩く恥ずかしさ、命が危険と分かっていても河に入って血を洗いその中で爆撃によって死んでいく仲間たち、、 女であるということについて、これからも考え続けていきたい。

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2020/04/05

原作は読まなさそうな気がするから、マンガで読めてよかった。こういうのが手に届くところに配置してある街の老舗本屋さんはありがたい。でも2巻はないかな。。

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2020/05/28

これには原作がある。 戦争中、優秀な狙撃兵だった女の子たち(本当に若い)の戦争がどのようなものであったか、を描いたもので、みなさんいってるように、まさか、これをマンガ化しようなんて人がいるとは思わなかった、である。 コミック版もとてもうまい。 最近、新しい世代による新しい戦争を描...

これには原作がある。 戦争中、優秀な狙撃兵だった女の子たち(本当に若い)の戦争がどのようなものであったか、を描いたもので、みなさんいってるように、まさか、これをマンガ化しようなんて人がいるとは思わなかった、である。 コミック版もとてもうまい。 最近、新しい世代による新しい戦争を描いたマンガが続いている。 新しい、というのは、どれもいままでの日本の子どもの戦争もののように、自分は被害者だという立場にはいないからである(すでに当事者の孫の世代なのだから)。 冷静で、その分逆に悲惨さが伝わってくる。 2020/05/29 更新 ※こちらの本は3月にもご紹介しました。 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 最近、若い世代が新しい感覚で新しい戦争マンガを描き始めてびっくり。 誰もが言うことだろうけど、これをマンガにするなんて思いつかなかったよ。 2020/03/27 更新

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2020/03/21

戦争の記録でなく、記憶。 巻末の螺旋人さんのコメントが、この本の、原作の読み手として大事なことではないのかな、と思います。 「あたしは夫を葬るんじゃありません 恋を葬るんです」 「幸せはなにかと聞かれるんですか?私はこう答えます。『殺された人ばっかりが横たわっている中に生きてい...

戦争の記録でなく、記憶。 巻末の螺旋人さんのコメントが、この本の、原作の読み手として大事なことではないのかな、と思います。 「あたしは夫を葬るんじゃありません 恋を葬るんです」 「幸せはなにかと聞かれるんですか?私はこう答えます。『殺された人ばっかりが横たわっている中に生きている人が見つかること……』」 「涙を拭きなさい最初の犠牲者です。犠牲者はもっと出ます、気をしっかりもって」 いろいろと心に残った言葉。記録として残されてゆくことも大事であるけれど、記憶を語り継いでゆくというのも、とても大事なことだと思います。 記録はいやでも残るけど、記憶は忘れられていってしまうもの。 数字では、感情は伝わらない。

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2020/03/14

 衝撃を受けた。読むのを一時中断、深呼吸。コミックと侮ってはいけない。実は書店で買おうか買うまいか散々迷ったあげくに購入した本。この中身で、よくコミック化したものだ。帯にある富野由悠季氏の言葉ではないが、まさに「瞠目」と「脱帽」。  原作者スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ氏は...

 衝撃を受けた。読むのを一時中断、深呼吸。コミックと侮ってはいけない。実は書店で買おうか買うまいか散々迷ったあげくに購入した本。この中身で、よくコミック化したものだ。帯にある富野由悠季氏の言葉ではないが、まさに「瞠目」と「脱帽」。  原作者スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ氏は、ベラルーシの女性ジャーナリスト。2015年にジャーナリストとして初めて、ノーベル文学賞を受賞している。原作は彼女のデビュー作であり、独ソ戦に参加した女性(兵士、将校、軍属)500人以上に取材したインタビュー集とのこと(原作購入済だが未読)。その内容から出版を拒否され続けた作品でもある。ちなみに、日本語訳も出版してくれるところがなかなか見つからなかったらしい。  ソ連では第二次世界大戦で女性が従軍し、狙撃兵や戦闘機パイロットもいたことは承知していた。ただその数が百万人をこえること。軍人及び民間人の死者が二千万人を越えていること(当時ソ連の人口は約一億九千万人)は知らなかった。戦時下の女性を描いたコミックとして、こうの史代氏の「この世界の片隅に」が有名であるが、描かてれいるのは「銃後」。本書は砲弾飛び交う「前線」で戦う女たちを描いているのだ。おそらく原作以上のインパクトがあると思う、なぜなら「絵」があるから。

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