ボクはやっと認知症のことがわかった の商品レビュー
認知症診断の礎「長谷川式簡易知能評価スケール」の長谷川先生である。「痴呆」という表現を侮蔑的として、「認知症」に変えるときにも活躍した、いわば認知症界の長嶋茂雄である。 その長谷川先生が御年91歳で、認知症を患っていらっしゃるとのこと。 自身が認知症だという事実は、スティグマと...
認知症診断の礎「長谷川式簡易知能評価スケール」の長谷川先生である。「痴呆」という表現を侮蔑的として、「認知症」に変えるときにも活躍した、いわば認知症界の長嶋茂雄である。 その長谷川先生が御年91歳で、認知症を患っていらっしゃるとのこと。 自身が認知症だという事実は、スティグマという意識が一般的なため公表しないことが多い。しかし、長谷川先生は、認知症の理解普及促進のため公表された。 本書は認知症医療の権威が、認知症の当事者になって、思ってること、感じたこと、わかったことを伝えている。日本における認知症の歴史も理解できる。 認知症の人を見ると、どうしてもその症状に目が行きがちで、その人本人を見ることを忘れがちである。 そして、認知症の人を何もわからなくなり、何もできない人、奇妙なことをする人と考えがちだ。 しかし、それは誤解であり、認知症の人は、自分がうまく表現できないだけなのだ。 だからこそ「人」として尊重し、その人の立場に立った「パーソン・センタード・ケア」が重要だ。 長谷川先生はそのことを、ずっと訴え続けてきた。 認知症は治らない。医師は治してなんぼの世界。だから認知症を医師として専門にすることは、かなり変わり者だと言える。 しかし、そんな長谷川先生のような医師がいるからこそ、日本における認知症治療やケアの質は向上してきたのだと考える。 我々もその意思を引き継ぎ、認知症の人が安心して過ごせる社会を築くためにできることをしなければならない。 きっとそのことが、誰もが住みやすい社会を実現することに繋がるのだ。
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☑︎"聴く"というのは"待つ"ということ。そして"待つ"というのは、その人に自分の"時間を差し上げる"こと。 ☑︎"私たちのことを私たち抜きで決めないで" ☑︎"the ...
☑︎"聴く"というのは"待つ"ということ。そして"待つ"というのは、その人に自分の"時間を差し上げる"こと。 ☑︎"私たちのことを私たち抜きで決めないで" ☑︎"the person comes first"
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認知症の診断ツールの一つである長谷川式テストを作った長谷川先生ご自身が認知症になったあとに書かれた本。日本ではまだまだ誤解も多く、専門家であり患者である方のお話しというのは、より深みがあるなと思った。認知症の方と話す機会は今のところないが、家族がなったときに、また読みたいと思った...
認知症の診断ツールの一つである長谷川式テストを作った長谷川先生ご自身が認知症になったあとに書かれた本。日本ではまだまだ誤解も多く、専門家であり患者である方のお話しというのは、より深みがあるなと思った。認知症の方と話す機会は今のところないが、家族がなったときに、また読みたいと思った。
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出来ればそうならないでほしい、でくわしたくない出来事というのはあって、老いや病気、介護というのはその最たるものだと思う。しかし全てのものは老い朽ちていき、やがてなくなる。いつかは向き合わなければならないことだけど、人間経験したことがないことを想像するのは難しい。だからこそ当事者の...
出来ればそうならないでほしい、でくわしたくない出来事というのはあって、老いや病気、介護というのはその最たるものだと思う。しかし全てのものは老い朽ちていき、やがてなくなる。いつかは向き合わなければならないことだけど、人間経験したことがないことを想像するのは難しい。だからこそ当事者の言葉というのは価値のあるものだと思う。医者として客観的に認知症と関わってきた著者が、実際に当事者として現在進行形で感じていることをまとめた一冊。認知症という言葉のイメージに恐れず、何がどう変化していくのかを観察し、個人に合ったケアや付き合い方を模索する大切さを感じた。今から準備できることを少しずつでも始めようと思う。
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認知症の第一人者であり、専門医である著者が認知症になりました…。 認知症になったら周りも自分もわからなくなる、そう思っていたが、 「認知症の本質は、暮らしの障害なんだよ」 という著者の言葉に、認知症の方への見方が変わったように思えます。 認知症患者が社会で生きるには、勿論周りの協力が不可欠かと思います。 ただ、決して子供扱いするのではなく、又あれこれ世話を焼いたりするのは、認知症の人からすると、さぞ迷惑な話なのであろう。その方の心は生きています。 人生100年時代を生きる高齢化社会の今、みなさんに読んで欲しい一冊です。
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自分自身も認知症になった認知症専門医の長谷川さんの本。 脳がなんらかの影響で萎縮したりダメージを負うことで認知症になる。加齢に伴う影響が大きいため、人生100年時代では多くの高齢者が認知症になる。 認知症になっても、常に症状が出ているわけではなく、はっきりと思考できることもある。認知症患者を周りの人たちが心ない言葉や態度で傷つけることがあるが、きちんと一人の人間として扱うべき 相手が認知症の人であっても、きちんと待って聞いてあげれば分かり合える。待つということは相手に時間を差し上げるということ。
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認知症に実際なったお医者様が実体験を描かれた本。 認知症になると生活がどう変わるかが書かれているとともに、認知症が「痴呆症」と呼ばれた時代から、著者が医師として関わっていた歴史が興味深い。 これがKindleUnlimitedで読めて幸いでした。
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とてもいい本だった。親が認知症になったら…、自分が認知症になったら…介護する側、当事者の側、どちらの側からも参考になる。 P44 「最も重要なのは、周囲が、認知症の人をそのままの状態で受け入れてくれることです。「認知症です」といわれたら、「そうですか。でも、大丈夫ですよ。こちら...
とてもいい本だった。親が認知症になったら…、自分が認知症になったら…介護する側、当事者の側、どちらの側からも参考になる。 P44 「最も重要なのは、周囲が、認知症の人をそのままの状態で受け入れてくれることです。「認知症です」といわれたら、「そうですか。でも、大丈夫ですよ。こちらでもちゃんと考えますから、心配ありませんよ」といって、いろいろな工夫をしてあげることです。 どういう工夫をするか。その人との接し方を、それまでと同じようにすることです。それまでと同じというのは、自分と同じ「人」であるということを、第一に考えるということです。 周囲の人がいろいろ手助けしてくれても、その人本位でなければ意味がありません。工夫している人の自分勝手な都合を押し付けるのではなくて、その人の立場に立って、さりげなく支援の手を差し伸べてあげる――。」 なるほどなあ。「OK、それでいいのよ」と受け入れることは確かに何より重要なことで、障害のある人に対して、あるいは外国人に対して対応するときも同じじゃないかなと思う。 P59 認知症を疑った場合は、かかりつけの医師にまず相談するとよい。日本老年精神医学会では、学会が認定した「こころと認知症を診断できる病院&施設」をホームページ上で掲載。日本認知症学会も、学会が認定した全国の認知症専門医リストをホームページ上で掲載している。また、日本認知症ケア学会では、学会が認定した認知症ケア専門士のいる施設・団体をホームページ上に載せている。「認知症と家族の会」では、電話相談も行っている。 P170 脳血管性認知症を除くと、アルツハイマー型認知症を代表とする認知症の大部分は、「アミロイドβ」や「タウ」などと呼ばれる特定のたんぱく質が脳内に異常に蓄積し、神経細胞が死滅することで発症すると見られている。そのため、この特定のたんぱく質が脳に蓄積しないようにする薬剤の開発が行われ、有望な薬もあったが、効果が明らかにできず、これまでのところは開発中止が相次いでいる。 アルツハイマー型認知症を発症した時点では、すでにたんぱく質の蓄積による脳のダメージは進んでおり、多くの神経細胞が死滅してから原因物質に働きかけても手遅れではないかとの見方が広がり、発症前の人への投与で効果が出るのかどうかが焦点となっている。また、根本治療薬の開発が難しい原因として、上記のような発症原因に関する仮説がほんとうに正しいのかといった疑義や、効果の評価に時間がかかること、治験には被験者がたくさん必要なことなども指摘されている。
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認知症についての本かとか思って 読んだけれど、それよりはご自身の経歴 みたいな内容だった。 とはいえ、読んでよかったなと思えた。 何度かでてきた 「生きているうちが花」という言葉が 印象に残った。
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先生とお話してるように伝わってくる本。 認知症患者さんも、あらためて1人の人間だと痛感した。もっとネガティブな本だと思ったけどここまでポジティブなのは、先生が達観しておられるからか、それとも「認知症は悪い病気じゃない」というメッセージなのか…。
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