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21世紀の啓蒙(上) の商品レビュー

4.1

26件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2024/06/23

人間の社会活動や経済活動などの全般を「エントロピーを減少させる活動」と扱っている第二章がおもしろい。 人間社会は放っておけばエントロピーが増大して散らかってしまう危ういバランスで成り立っており、法、科学技術、経済活動などは、すべて秩序を形成または維持するものとも考えられる。 その...

人間の社会活動や経済活動などの全般を「エントロピーを減少させる活動」と扱っている第二章がおもしろい。 人間社会は放っておけばエントロピーが増大して散らかってしまう危ういバランスで成り立っており、法、科学技術、経済活動などは、すべて秩序を形成または維持するものとも考えられる。 そのベースにあるのは進化と情報。

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2024/04/28

まじおもろ ニュースなどの利用可能性バイアス、ネガティビティバイアスに惑わされずに、データで現状の認識を改めることが大事 科学の進歩が世界にどれだけ利益をもたらしているのか少し理解できた。(マイナスも多少はあるだろうけど)

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2024/02/18

分母の大きなタイトルに違わず分母の大きな内容。 内容をまとめると世の中は悪い方向に向かっているように見えて実はだんだん良くなってるというもの。飢餓、貧困、犯罪、暴力、経済などデータを示して論じている。↓引用 「進歩というのはその足跡が見えにくい。〜基準が高まるにつれ、過去には見過...

分母の大きなタイトルに違わず分母の大きな内容。 内容をまとめると世の中は悪い方向に向かっているように見えて実はだんだん良くなってるというもの。飢餓、貧困、犯罪、暴力、経済などデータを示して論じている。↓引用 「進歩というのはその足跡が見えにくい。〜基準が高まるにつれ、過去には見過ごしていたはずの行為にも敏感になったからである。」 本書の現状で十分良い方向に向かっているという認識や、原子力発電の推進などは、政治的な指示基盤でいうと「保守」の容認に繋がりリベラル指示層、宗教家などは居心地が悪くなってしまいそうな気がする。日本国内に於いても政権与党が環境問題やマイノリティへ配慮した政策を始めたせいで、野党は、より過激な主張をせざるを得なくなり広い支持を受けづらくなっているように見える。 本文中で紹介されているフランス・フクヤマの「歴史の終わり」も気になったので今度読んでみることにする。

Posted byブクログ

2024/01/02

マルコム・グラッドウェルやマット・リドレーとの討論本『人類は絶滅を逃れられるのか』でも、豊富な知識やデータを武器に楽観論的立場で論戦していたスティーブン・ピンカー。本書はその主張を更に補強し、更に悲観論とのバランスを取りながら解説する。人類の生活は日に日に良くなっている。当たり前...

マルコム・グラッドウェルやマット・リドレーとの討論本『人類は絶滅を逃れられるのか』でも、豊富な知識やデータを武器に楽観論的立場で論戦していたスティーブン・ピンカー。本書はその主張を更に補強し、更に悲観論とのバランスを取りながら解説する。人類の生活は日に日に良くなっている。当たり前じゃないか。それは、何故か。啓蒙主義によるものなんだ、と。知の大家。世界のを俯瞰する神の視点にも感じる程、課題と状況が見抜かれいる。 啓蒙とは。イマヌエル・カントはこう答えている。人間が自ら招いた未成年状態から抜け出ること。啓蒙のモットーは、知る勇気を持て。カント、スピノザ、トマスホッブズ、ヒューム、アダムスミスといった啓蒙思想家たちは、人間が非合理な感情や弱点を持つことを承知していた。逆に、反啓蒙主義とは。ナショナリズム、衰退主義、歴史悲観論者、科学批判。 中国の道教と儒教、インドのヒンドゥー教と仏教とジャイナ教、古代ペルシアのゾロアスター教、ユダヤ教、古代ギリシャの哲学。孔子、ブッダ、ピタゴラス、アイスキュロス、ヘブライの預言者は同時代に生きていた。こうした「枢軸時代」は、何か霊的なものが地上に降りてきたと言うわけではなく、農業の進歩と経済の発達によって獲得エネルギーが急増し、短期的生存から長期的調和への優先順位の変更がなされたために、学者、聖職者階級が生まれたことによる。こうした「教え」のように、普遍的利益をもたらす規範と制度を生み出していける限りにおいて、人間社会は改善し続ける。生活水準の向上こそが究極の目的であるというような価値観に結びつく。 それでも不安、不幸を感じる。これは、利用可能性バイアスが一因だとピンカーは言う。飛行機事故が自動車事故よりも深刻だと勘違いしたり、ジョーズを見た後に海に入りたがらない。リスクでないものをリスクと認識し、不安、気分の低下、学習性無力感、他人に対する軽蔑、敵意、感覚の鈍麻、極端な報道アレルギーが見られるやがて運命論者になる。嫌なニュースを見て、それで憂鬱になるが、そんなものは80億人いれば日常的に発生していて当然なものであり、自らネガティブな物語を増幅し、惑わされているに過ぎない。また、我々は、絶対的な貧しさよりも、相対的な貧しさの方が例え裕福であっても不幸を感じる。この事は社会的比較理論、準拠集団、状態不安、相対的剥奪など様々な概念で説明される。 戦争や民族文化、虐殺は悲惨だが、それでも数は減っている。それは、戦争を美化したり、利他的な行為だと言う価値観が変わり、戦争が犯罪だとする考えが浸透したこと。確かに、兵士や軍機がカッコいいとか異教徒や他国と戦う事は悪くないような価値観は一定程度修正されてきた。 これは上巻だが、前半だけでも見所、学びが多く、知識や知性のシャワーを浴びているような、それを幸せと感じられる心地良さがある。この幸福感は、単に学ぶ楽しさだけではなく、「人類は良い方向に歩んでいる」という説得が、前向きに心に響いているからかも知れない。

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2023/09/08

物事を客観的にとらえるためのグラフが豊富に掲載されていて有用。 また、ピンカー氏の流麗な語り口はいつも楽しい。 「木に登って足を滑らせれば、ニュートンの万有引力の法則にしたがい、9.8m毎秒毎秒の重力加速度で加速されて、地面に衝突したりした。」 木から落ちたらケガすると言うために...

物事を客観的にとらえるためのグラフが豊富に掲載されていて有用。 また、ピンカー氏の流麗な語り口はいつも楽しい。 「木に登って足を滑らせれば、ニュートンの万有引力の法則にしたがい、9.8m毎秒毎秒の重力加速度で加速されて、地面に衝突したりした。」 木から落ちたらケガすると言うために9.8m毎秒毎秒とか言いたくなってしまうあたり、親近感を覚える。学びが楽しくて仕方ない人々の病だ。とても共感できる。しかし、こういった語りを好まない人々も多くいるし、むしろそのほうが一般的だろう。ということは、本書の想定読者は私のような好奇心の奴隷であって、それを忌避するような一般の人ではないということになる。本書の内容は一般の人に理解されてこそ意味があるのだが。 神・奇跡・聖典などキリスト教世界の「真実」をさっぱりと切り捨てていて、信仰のない私からは違和感がないが、この姿勢が信仰を持つ人にどのように受け入れられるのかは心配になる。 内容が多岐にわたり示唆に富むので、すぐ関連情報を調べたくなってしまい、なかなかページが進まない。

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2022/12/13

希望はもてるのだ。 世界は終わったなどと簡単に嘆いてはいけないのだ。 数字を見よう。 極端は避けよう。 マスメディアに対する警告はよくあるが、人権監視団体への言及は新鮮だった。

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2022/09/02

差別や貧困、テロリズムに社会の分断など、現代は最悪の時代だと思わせる情報には事欠かないが、現実には人類社会は確実に良い方向へと向かっているとの立場から、真に解決すべき問題の理解へ意識を向けるべきとの著者の意見には賛成できる。 ただ温暖化の唯一の現実的解決策とされる原子力に触れなが...

差別や貧困、テロリズムに社会の分断など、現代は最悪の時代だと思わせる情報には事欠かないが、現実には人類社会は確実に良い方向へと向かっているとの立場から、真に解決すべき問題の理解へ意識を向けるべきとの著者の意見には賛成できる。 ただ温暖化の唯一の現実的解決策とされる原子力に触れながら、その廃棄物の処理については何も語られないなど、本来無視できないはずの問題が等閑視されているところも多いのが気にかかる。

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2022/04/18

後巻未読。 ここ数年の激動の時代(と捉えうること自体も各人の認識が基底にされる)において 改めて世界の来し方行く末を捉えようとする際に 悲観の坂を転がり落ちるばかりでも良くはないだろうと。

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2021/12/22

難敵 哲学と、自然科学が入り混じっていて、量も多くなかなか読み進めません。 全体で3部構成になっていて、上巻は、第1部と第2部の途中まで 第1部 啓蒙主義とは何か 第2部 進歩 第3部 理性、科学、ヒューマニズム 第1部 啓蒙主義とは何か 啓蒙主義とは、次の4つ  ・理性・科学...

難敵 哲学と、自然科学が入り混じっていて、量も多くなかなか読み進めません。 全体で3部構成になっていて、上巻は、第1部と第2部の途中まで 第1部 啓蒙主義とは何か 第2部 進歩 第3部 理性、科学、ヒューマニズム 第1部 啓蒙主義とは何か 啓蒙主義とは、次の4つ  ・理性・科学・ヒューマニズム・進歩 人間を理解する鍵とは次の3つ  ・エントロピー・進化・情報  人間を理解する3つの鍵で人類の進歩の過程を明らかにしよう。それによって、反啓蒙主義に抵抗しよう  が第1部の概要 第2部 進歩  一転、さまざまなデータをつかって、これまで悲観的であった世界は実は進歩の結果改善されていることを、数字で説明するもの。  また逆に、数値の変化について、その原因を推論 するもどりもあります。さながら、統計学のようです。  たくさんの指標・法則ががでてきます。いくつか ご紹介すると  ・乳幼児死亡率 ・識字率  ・ジニ係数(経済的不平等を表す数値)  ・ワーグナーの法則 豊かになるにつれ社会保障費率が25%に近づいていく  ・価値のパラドクス 普及すると価格が下がる現象  ・コホート効果 世代交代に伴う母集団の変化  ・世銀の知識指数 識字能力 高校大学、進学率の評価 イメージしにくい用語に加えて、年表と数字に覆われている 部 です。 偏見と差別の減少と平等の権利という、児童労働の比率のグラフで終わる 章までが、上巻です。  

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2021/11/08

【推薦者】 スポーツ文化学部 スポーツ国際学科教員 山口 和之  【学生へのメッセージ】 ピンカーは、米国(カナダ出身)の著名な心理学者です。本書は2冊の大書で、読了するのに時間を要しますが、それに値する良書です。どこを切り取っても「世界は間違いなく良くなっている」との著者...

【推薦者】 スポーツ文化学部 スポーツ国際学科教員 山口 和之  【学生へのメッセージ】 ピンカーは、米国(カナダ出身)の著名な心理学者です。本書は2冊の大書で、読了するのに時間を要しますが、それに値する良書です。どこを切り取っても「世界は間違いなく良くなっている」との著者の声が聞こえ、その根拠となるデーターを多く示しています。フェイクニュースが蔓延し、エビデンスなしの主観的な考えがまかり通る現在、エビデンスに基づく「事実」のみを受け入れよ、と主張する著者はあたかも旧約聖書の指導者のような存在かもしれません。 ▼配架・貸出状況 https://opac.nittai.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&AL=9784794224217&EXIT=2&i=1636338108464

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