息吹 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
途中ですが書きます。 「偽りのない気持ち、偽りのない真実」という話が一番面白かった。 真実にはミミ(主観的真実)とヴォヴ(客観的真実)がある。口承文化から記述文化に移行するに従って社会全体としてミミよりヴォヴが重視されるようになったことをアナロジーとして、リメン(自分の体験の全てを録画しそれを再生したり、他人に共有するテクノロジー、完全な客観的事実)によって、自分自身に関してもミミよりヴォヴが重視されるようになって行く話。 最後には主人公はミミをほとんど放棄し、ヴォヴにより自身の人格を再形成しようとする。ミミによって人格を形成している私には、当然それがどこか恐ろしく感じられたが、とても示唆に富んだ物語でした。 いつかの未来にリメンが開発され、人々がリメンに基づいて自身の人格を形成するようになったとき、人々の在り方、人間関係の在り方はどのように変容していくのでしょうか。
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SFはあまり読んだことがないので新鮮な読書体験でした。 世界観にハマれなかったり、よくわからないまま読み終えた話もあるので星3つにしたけれど、下記4遍は引き込まれて面白かったので★4つです。 ・商人と錬金術師の門 ・息吹 ・偽りのない事実、偽りのない気持ち ・不安は自由のめまい...
SFはあまり読んだことがないので新鮮な読書体験でした。 世界観にハマれなかったり、よくわからないまま読み終えた話もあるので星3つにしたけれど、下記4遍は引き込まれて面白かったので★4つです。 ・商人と錬金術師の門 ・息吹 ・偽りのない事実、偽りのない気持ち ・不安は自由のめまい 「偽りのない〜」が一番好きでした。 二つの物語の対比も面白かったし、書くことは考えることを助けてくれる。人間は物語でできている。という部分に特にグッときた。 「不安は自由のめまい」を読んでからパラレルワールドのことをよく考えてしまう。 最近は嫌なことがあった時などパラレルワールドにいる自分を想像して冷静さを取り戻してます。 ナットの粋な贈り物のおかげで、この本を気持ちよく読み終えることができました。
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本書を含めて著書が2冊しかない著者の17年ぶりの新作SF短編集らしい。 アメトークで紹介されていたので読んだ。 全部で9つのSF短編が収録されている。 巻末には、それぞれの短編がどのようにして構想されたのか等の背景が書かれているのが良かった。 自分的に好きだった短編は以下 ...
本書を含めて著書が2冊しかない著者の17年ぶりの新作SF短編集らしい。 アメトークで紹介されていたので読んだ。 全部で9つのSF短編が収録されている。 巻末には、それぞれの短編がどのようにして構想されたのか等の背景が書かれているのが良かった。 自分的に好きだった短編は以下 ・商人と錬金術師の門 タイムマシンの話。数人のタイムトラベラーがタイムラインを行ったり来たりし、互いに影響を及ぼしたり及さなかったりする。 このタイムマシンでは過去や未来は変えられず、タイムトラベルによって矛盾は生じない。 この人が過去や未来に行くことによって、こうなるはず、といった予測や疑問は全て解決され、全ての伏線が回収される。 タイムトラベルものは設定自体が大好きなのだが、この類に多い読後のモヤモヤがなく面白かった。 ・息吹 空気で満たしたアルミニウム製の肺を、空気がなくなる度に自分で付け替えることで生きるアンドロイド的な生命体の話。 主人公の解剖学者アンドロイドが、自分達と世界の隠された秘密を知る。 どこからこんな設定が生まれるのか不思議なくらい独創性のある設定、なおかつ自分達の地球で今起こっていることにも通ずるような話で面白かった。 ・偽りのない事実、偽りのない気持ち 口承文化に、文字のイノベーションが入って来た時の考え方の変化。 ほぼ文字文化の現代に、網膜カメラによって全ての記憶が完全な映像として記録されるイノベーションが入って来た時の考え方の変化。 これら2つの対比を描いた物語。 いつか来るかもしれない後者のイノベーションによって人々にどのような変化が訪れるのか、深い洞察が得られて面白かった。 ・不安は自由のめまい 起動した時点で時間軸に分岐が発生し、パラレルワールドにいる自分とコミュニケーションが取れる装置が発明された世界の話。 このような設定の話では、いろいろと矛盾が起きそうなものだが、この作品では(自分の見解では)それは無く、すっきりと読めた。 全ての作品に言えることだが、このような装置が実際にあったときに人間がどのように使い、どのように振る舞うかがかなりリアルに書かれている。 こう使えばかなり利益を得れるのに、とか、普通はこう使う、といった疑問は大体解消されているし、自分が思いつくようなことはストーリーに盛り込まれている。面白かった。
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凝ったタイムトラベルもの。しかも舞台がアラブ世界。ウーンイイ!矛盾しない設定に頭の良さを感じる。SFってこれだからやめられない!
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この世界と違う世界を設定することで、この世界の意味を考えさせてくれることにSFの真骨頂がある。短編集。 - 商人と錬金術師の門: タイムマシンと宗教性。 - 息吹: 平衡状態に向かうという物理法則の威力が印象的。 - 予期される未来: 自由意志を失うという自由意志。 ...
この世界と違う世界を設定することで、この世界の意味を考えさせてくれることにSFの真骨頂がある。短編集。 - 商人と錬金術師の門: タイムマシンと宗教性。 - 息吹: 平衡状態に向かうという物理法則の威力が印象的。 - 予期される未来: 自由意志を失うという自由意志。 - ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル: 中編。人工生物。生命とは何か。 - デイシー式全自動ナニー: 子育てをロボットができるか。 - 偽りのない事実、偽りのない気持ち: 完璧な記憶。書き言葉と話し言葉。父と娘のギャップが深く刺さった。 - 大いなる沈黙: オウム - オムファロス: 宗教のない人生を1人の考古学者の思索から探る。 - 不安は自由のめまい: 量子力学が提示する複数の世界線。2人の関係をめぐって、最後は胸にずっしりとくる。
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とてもとても面白かった。 SFなので読み始めるまでは躊躇うけど、その世界に入れば一気に読み終えちゃう。 タイムトラベルの話、子育ての話、自由意志の話。どれもこの世界とは違うのにありありと想像できるリアリティがあった。にわかSF読みなのであまり内容を理解できてないものもあるため、時...
とてもとても面白かった。 SFなので読み始めるまでは躊躇うけど、その世界に入れば一気に読み終えちゃう。 タイムトラベルの話、子育ての話、自由意志の話。どれもこの世界とは違うのにありありと想像できるリアリティがあった。にわかSF読みなのであまり内容を理解できてないものもあるため、時間を置いてまた読みたい名作だった。
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表題作の「息吹」が抜群に面白かった。世界の謎を解き明かす系SFとして最高傑作ではなかろうか。自分の好みに合わない作品もあったけど全体的にハイレベル。
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海外の作家のSFは、読んだことがなく、戴いてから、漸く読み始めました。途中ですが、とても興味深く、ハッとさせられたり、面白いです。
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なかなかに手強い作品でした。 ある程度の知識や理解力がないと難しい感じでした。 ただこういう未来がやってくるんだろうなぁ〜と思うようなリアリティがありました‼︎ 色んな可能性を見れて面白かったです。
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読みごたえのある短編集。 記憶が確実に残る世界の話や過去や未来を見ることが出来るが変えることは出来ない話。解剖学に傾倒するあまりにしてしまった実験に基づく理論の話など。あまりない切り口で話が進むので面白かった。最後に収録されてる話が印象に残った。
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