わたしの美しい庭 の商品レビュー
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本屋大賞を獲った作品という事で読んでみた。名前にこだわりがあるのか、メイン3名の名前が読み辛く、作品に没入しにくかった。 それでも、やはり本屋大賞と思えるのは、現代から少しはみ出した感情を優しく正しく描いている点。「良心の呵責くらい自分で持て」というセリフに作者は自立した人間なのだと感じた。
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どこかにありそうな日常のようなお話。読み終わった後ほんわかするような優しい内容。 一人では生きていけないけど、人との関わりが面倒な所もあってきっと同じような悩みを持つ人も多いんだろうなと思った。自分の考えや気持ちを大事にしたいなと思えた。
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凪良ゆうさんの作品は「流浪の月」に続いて2作目でした。やはり心の機微や微妙な心理描写を表すのが、とても上手な作家さんですね。 マンションの屋上庭園にある縁切り神社を舞台に、それぞれ「生きづらさ」を抱えた人達の物語が綴られています。 扱う要素がジェンダー問題や、鬱病で休職、亡...
凪良ゆうさんの作品は「流浪の月」に続いて2作目でした。やはり心の機微や微妙な心理描写を表すのが、とても上手な作家さんですね。 マンションの屋上庭園にある縁切り神社を舞台に、それぞれ「生きづらさ」を抱えた人達の物語が綴られています。 扱う要素がジェンダー問題や、鬱病で休職、亡くなった恋人を忘れられない独身女性など、一歩違えば暗くなりそうな要素にも関わらず、実に繊細な言葉選びで、登場人物の個性を生かしたお洒落な作品に仕上がっているなぁと感じました。 (個人的には先ず名前にビックリでしたが…) 各章でそれぞれが抱える「生きづらさ」に、時に共感したり励まされたり… 特に、桃子ちゃんと坂口くんの別れには涙が溢れ、亡くなった人を想い続ける気持ちが、切なくも温かく心に迫りました。水色の浴衣、着ることが出来て良かった… また、基くんの精神状態の心理描写がとてもリアルで、チクチクと胸が締め付けられるように苦しくなりました。 個性溢れる魅力的な登場人物の生き方から「ありのままの自分を受け入れることの大切さ」や「事実よりも解釈の方が意味を持つ事もある」と気付かせてもらいました。 登場人物達の今後が気になるので、是非『続編』を出して欲しいです! 心が弱っている時や、自分を労われない時にオススメしたい作品です。
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凪良ゆうさん初作品。まだ本屋大賞作品までは手が届かず。 すごく読みやすかった。 屋上に神社があるというマンションで暮らしている、また昔暮らしていた人たちが、宮司である統理の家族との交流を通して、「世間体」に縛られていた自分を自由にしていく物語。 10歳の百音(もね)の視点で描かれたプロローグとエピローグ。ここでは、百音と統理が家族になったいきさつ。 「あの稲妻」では、アラフォー独身女性、桃子。病院で受け付け事務をしているが、いつの間にか一番年上のお局さま的存在になっていて、年下の女性たちとの関係に悩んでいる。そんな桃子は母親と2人暮らし。年も年だし・・・とお見合いするものの、桃子にはどうしても忘れられない過去があった。 あー、もうこの桃子さん。私とほぼ同世代なので、めっちゃ感情移入してしまい、桃子が過去と向き合い、その気持ちを自分自身が認め受け入れた瞬間で号泣しました。ううぅ、なぜ私も抱えていた気持ちが分かるの、凪良さん!と思ってしまった。 でもね、桃子みたいな生き方をしたっていいんだよね。誰かと結婚して生きていくことだけが「幸せ」ではない。(でも、「世間」は結婚してない人に対して、『あの子は結婚しないよね。事情があるんかねえ』とか『親もかわいそうにねぇ。親のために安心させてやったらいいのにねぇ』とかね、言うよね。知らんけどね) 「ロンダリング」では、恋愛対象が男性である路有(ろう)。別れた元彼のことがトワウマで新しい恋に一歩踏み出せない。そんなとき、女性と結婚した元彼から一通のハガキが届く・・・。ちゃんとその元彼を立ち直らせて、生きていくって覚悟がいることなんだ、覚悟を決めろ!と背中をバコーン押すのが、爽やかで良い、これも同じく、結婚してもしなくても、子どもができて父親になってもならなくても、どんな道を選んだとして、「覚悟」って必要なのかも。 「兄の恋人」まさか、ここで、この人が出てくんの?!と思った。基くんです、坂口基くん。桃子ちゃんの昔の恋人のおとうと。この基くんが、うつ病で、ご飯を食べるにも、ほんのちょっとした行動が面倒くさいと感じるときの思考回路がさ、凪良さん、うつ病経験者なの? と思ってしまった。いやほんと、うつ病の時って、「お味噌汁」を飲むまでの工程をね、すべて考えてしまうんですよ。私の場合はお風呂入るまでの工程を考えて、あぁ~やること多すぎて無理。ってなってた。この部分だけでもう、すごく感動してもた!!! こんな風にうつ病のしんどさを書いてくれてありがとう!! 基くんのこれからの未来を願わずにはいられない。 さて、ところで、 アラフォーで独身の女性ってマイノリティでしょうか? いまや、珍しくないと思う。 セクシャルマイノリティって、マイノリティでしょうか? 13人に1人くらいいるとのこと。 うつ病患者。年間何人がうつ病で退職・休職してるでしょう。 でも、社会に快く受け入れられていない立場の人間であることは確かで、本人たちは一生懸命生きているのに、なんで、あーだこーだ言われて、その言葉にビクビクしながら生きなきゃいけないんだろう。 実際、やっぱり、今の社会は生きにくい。 このマンションで暮らす統理の家族を通して、そんな生きづらさを抱える人たちが、お互いをそのまま受け止めて大切にしあっている。統理と百音ですら、本当の親子じゃないから。でも、百音は幸せで「へんな思いやり」はいらないのだそう。 「思いやり」ってなんなんやろうね。 悪意はなくて、何気なく言っちゃう言葉、言われた方はそれに傷つく。逆に、自分も傷つけてきたんだと思う。 瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」とのちょっと似たようなテーマを扱いつつ、全然違う。 凪良作品、次はどれを読もうか。
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再読(2023.6.9) 確か,前回読んだ時は「流浪の月」のすぐ後だったので、穏やかなお話だったなーという印象だった。 今回もほぼそんな感じかな。 でも 穏やかに見えて、みんなそれぞれなにか抱えてたりするんだよね。 この「美しい庭」は古いマンションの屋上にある縁切神社の事。ここの宮司の統理は、翻訳家をしつつ別れた奥さんと新しい旦那の間に生まれた子、小学生の百音を育てている。 隣には友人で、ゲイで移動バーを経営している路有が住んでいる。 他にも、39歳独身で周りからお見合いを持ってこられる、職場でもお局様あつかいされる、桃子さん(高校時代の彼氏(事故死)が忘れられない)も住んでいる。 その彼氏の弟はすでにこのマンションにはいないけど、東京で激務の末うつになり実家に帰ってきている。東京には彼女を残して。はやく仕事復帰しないと!早く彼女と結婚しないと、と焦ってる。 みんな,何かをかかえているけど、どうにか生きていかねばならない。 ぐぁーっと大きすぎる出来事なんてなくても、それなりに考えたり,キッカケみたいなものがあったりして,前に進んでいくお話し。 やっぱ,凪良ゆうさんの文章がやわらかいからかなぁ。穏やかに読むことができました
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この庭に集まる人たちは、目に見えない糸でつながっている。 五歳で両親を失った百音。百音の母の元夫であり、百音の母を今も愛している統理。統理と百音は血縁ではない複雑な関係だが、親子として暮らしている。4年前に元カレを女性に取られ死ぬほどショックを受けたゲイの路有。路有は高校時代から...
この庭に集まる人たちは、目に見えない糸でつながっている。 五歳で両親を失った百音。百音の母の元夫であり、百音の母を今も愛している統理。統理と百音は血縁ではない複雑な関係だが、親子として暮らしている。4年前に元カレを女性に取られ死ぬほどショックを受けたゲイの路有。路有は高校時代からの親友である統理に支えられている。それから、高校時代に彼氏を交通事故で失って以来、誰のことも本気で愛せず、40歳手前で独身の桃子。そして桃子の亡くなった彼氏の弟でうつ病のため、仕事とも恋人ととも縁が切れてしまった基。 家族のように暮らす彼らを世間は不思議な目でみたり、勝手に哀れんだりしているが、彼らは幸せだ。なぜなら彼らの一人一人は、“失ったものへの揺るぎない愛”を持っているから。「いつまでも未練がましくするな」という世間の目を気にせず、その失ってしまった人を愛する自分にしっかりとしたアイデンティティを見出しているから。 夫婦や恋人、親子という愛情関係はあまりにもどっぷりと浸かり過ぎていて、お互いの甘えによって破綻することが多い。 しかし、この“庭”に集まる人たちを結ぶ絆は簡単に切れない。なぜかというと、お互いが持っている“心の庭”を尊重しているから。みんな自分の片割れは“自分の心の庭”にしっかり置きながら、もう一方の自分はこの縁切り神社のある庭に集まる“家族”の中にしっかり置いている。マンションの屋上の普通なら植物が根を張ることが難しい場所でしっかりとお互い根っこでつながって支え合っている。これもまた愛。一筋の光のように眩しく、相手の心の氷を溶かす。
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他人のことを自分基準の物差しで測ってはいけない。というのを感じる本でした。 文中に出てきた 「僕たちは違うけど認め合おう それでも認められないときは黙って通り過ぎよう」 という考えが大事だと改めて思った。 苦手なタイプの方に出会ったときに、小学校時代の恩師が言っていたこと「仲良くしなくてもいいから協力しよう」をいつも心に浮かべるけど、加えて先に述べた凪良さんの言葉も思い浮かべようと感じました。
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気づいたらどんどんページをめくっていてあっという間に読み終わった。この本を読むことができてよかった。 それぞれいろんなものを抱えてる人たちがなんともいえない温かさで、支え合っている感じ。 「へんな思いやり」「余計なお世話」わかるなあと思いながらも、ちょっと面白かった。 わたし...
気づいたらどんどんページをめくっていてあっという間に読み終わった。この本を読むことができてよかった。 それぞれいろんなものを抱えてる人たちがなんともいえない温かさで、支え合っている感じ。 「へんな思いやり」「余計なお世話」わかるなあと思いながらも、ちょっと面白かった。 わたしに真面目すぎるところがあるとしたら、焦らずゆっくりでいいんだと思わせてくれる本だった。 百音ちゃん、桃子、統理、路有、縁切り神社に住む4人のお話。短編小説じゃないけど短編小説を読んでる気持ちになる感じの作りも好き。
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マイノリティとマジョリティ、それはただの解釈でしかないのかも、そう思いました。 縁切り神社、美しい庭に行ってみたい。
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統理、百音、路有、桃子、基。血の繋がらない親子だったり、ゲイだったり、両親を事故で亡くしていたり、鬱ニートだったり…訳ありな登場人物それぞれの視点から描かれる五つのストーリー。多様性の話?それだけじゃない、皆んな誰かを受け入れたり、逆に受け入れてもらったり、の繰り返し。社会とはそ...
統理、百音、路有、桃子、基。血の繋がらない親子だったり、ゲイだったり、両親を事故で亡くしていたり、鬱ニートだったり…訳ありな登場人物それぞれの視点から描かれる五つのストーリー。多様性の話?それだけじゃない、皆んな誰かを受け入れたり、逆に受け入れてもらったり、の繰り返し。社会とはそんなもん、でも1人じゃない。そんなことが描かれていた。 「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけ。」ニーチェの言葉らしいが、思わず唸ってしまった。深い。 流浪の月より好きだった。
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