わたしの美しい庭 の商品レビュー
断ち物の神様が祀られているという神社は、マンションの屋上にある。 丁寧に手入れされた、美しい庭と共に。 そこにはそれぞれ事情を抱えた人々が自然と集まる。 緩やかに、心に迫る連作短編。 ---------------------- 前妻とその再婚相手が事故死したことにより、身寄...
断ち物の神様が祀られているという神社は、マンションの屋上にある。 丁寧に手入れされた、美しい庭と共に。 そこにはそれぞれ事情を抱えた人々が自然と集まる。 緩やかに、心に迫る連作短編。 ---------------------- 前妻とその再婚相手が事故死したことにより、身寄りのない血のつながらない娘を引き取った統理。 失恋を引きずり、新しい恋に踏み出せないゲイの路有。 40歳を目前に、昔の恋人が忘れられず苦しむ桃子。 仕事のストレスから鬱になり、東京から実家に帰ってきた基。 特に、統理・路有・百音のトリオが普通に好き。 彼らの日常は、ハッとする気づきと 美味しそうな朝ご飯、美しい庭園に彩られており ずっとずっと見守りたい気持ち。 しかし「断ち切りたいもの」がテーマなのでどの話も苦しくて重い。 特に桃子の「あの稲妻」が本当に苦しかった。 世間の目。両親の心配。社会的地位。 そういったものに後ろめたさを感じる必要などなく、自分の信じた道を進もうと決めた桃子がカッコいいと思った。 例え他人から「可哀想だ」と思われても。 悲しくても、寂しくても。 たった一度の稲妻を思い出しながら生きる。 残りの人生が全て報われるようなたった一度の恋。 とても辛い道だけど、 とても真似はできないけど、 忘れられないたった一度の稲妻に出会った 正直に羨ましい気持ちもある。 「桃の浴衣、すげえ楽しみ」 ………………… 断ち切りたいものを形代に書いて 神様に切ってもらう。 気休めにしかならないような行為でも ほんの少し心が救われることもある。 そうしてまた生きていく。 一人一人の生きづらさとほんの少しの希望が詰まった、素敵な物語でした。
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凪良ゆう、3作目。 今までの中ではこれが一番好き。 心が温まる作品でした。 悪気があったりなかったり、いろいろ言う人はいるけれど… みんな同じじゃないんだから、と思わせてくれます。 統理も路有も百音ちゃんも、桃子さんも。 主要キャスト?が全員好きなので、読み終わりたくないくら...
凪良ゆう、3作目。 今までの中ではこれが一番好き。 心が温まる作品でした。 悪気があったりなかったり、いろいろ言う人はいるけれど… みんな同じじゃないんだから、と思わせてくれます。 統理も路有も百音ちゃんも、桃子さんも。 主要キャスト?が全員好きなので、読み終わりたくないくらいでした。 続編、書いてほしいなぁ〜。
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凪良さんの作品はこれで3作読んだが、こちらも心に残る作品。 始まりはどことなく「そしてバトンは渡された」っぽくて苦手な感じがしたけど、読み進めたらとても綺麗な言葉、情景、人がたくさん出てきて引き込まれ、「兄の恋人」のところで泣いてしまった。統理は名前からして松坂桃李さんがずっと頭...
凪良さんの作品はこれで3作読んだが、こちらも心に残る作品。 始まりはどことなく「そしてバトンは渡された」っぽくて苦手な感じがしたけど、読み進めたらとても綺麗な言葉、情景、人がたくさん出てきて引き込まれ、「兄の恋人」のところで泣いてしまった。統理は名前からして松坂桃李さんがずっと頭に出てきて完全に映像化されていた(^_^;)。
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縁切り神社が屋上に設営されているマンション、屋上が緑化されているその庭園が舞台のこの小説、登場人物がそれぞれの事情を抱え、一話ごとに登場人物にスポットを当て、プロローグとエピローグで包み込む。ありがちな構成だ。流行りといえばそれまでなんだけど、どうなんだろう。最近の小説の9割がこ...
縁切り神社が屋上に設営されているマンション、屋上が緑化されているその庭園が舞台のこの小説、登場人物がそれぞれの事情を抱え、一話ごとに登場人物にスポットを当て、プロローグとエピローグで包み込む。ありがちな構成だ。流行りといえばそれまでなんだけど、どうなんだろう。最近の小説の9割がこの構成じゃね?ってちょっと盛り過ぎな表現をあえて言いたいくらいに多い。あと手紙での締めくくりオチ。嫌いじゃないけどせっかくの物語がそのパターンにすべて納められていると読んでいて新鮮味がないし、読まされている感が出てきて素直に評価ができない。まぁこれは目次を見ただけでわかってしまうんだけど、書き手としてはこれほどフォームに沿ったパターンでかけるので商業用小説としては書きやすく売りやすい本として見てしまう。じっくり物語を味わいたい派にはもう飽き飽きの一例だ。 だからと言って決してこの本自体がつまらないということはなく、人気ワードの鬱、LGBTに加え、結婚できない男と女などが盛り込まれており、(自分はこのワードさえ飽き飽きだが)現代人にうけやすい内容だ。 前作からちょっと空けて様子を見て借りた本だが、ああ、やっぱりこうなったかという残念感が後に残る。
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マンションの屋上にある神社を訪れる様々な生きづらさを抱えた人たちの物語。とても優しい。養子、同性愛、独身、鬱など、問題なのはそれら事実ではなく、他人の勝手な解釈によるもの。幸せの形を決めつけていないか。 「流浪の月」の著者らしさが溢れていた。すべては自分次第、こころは自由でありた...
マンションの屋上にある神社を訪れる様々な生きづらさを抱えた人たちの物語。とても優しい。養子、同性愛、独身、鬱など、問題なのはそれら事実ではなく、他人の勝手な解釈によるもの。幸せの形を決めつけていないか。 「流浪の月」の著者らしさが溢れていた。すべては自分次第、こころは自由でありたい。
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この本を読んで救われる人が多くいるといいなぁ。優しい言葉で胸に響くものがあった。自分も余計なおせっかいをしてることあるなぁ。。
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性的指向・病気・家庭環境・死別等、言ってしまえば定番の社会問題を扱っている内容。こういうテーマは各々に考え方があるから、読んでいると少なからず反対の感覚を持つことが多いけれど、この作品はそれが全くなかった。 なぜだろうな〜と考えると、作品中のこの言葉にその理由が表されている気がし...
性的指向・病気・家庭環境・死別等、言ってしまえば定番の社会問題を扱っている内容。こういうテーマは各々に考え方があるから、読んでいると少なからず反対の感覚を持つことが多いけれど、この作品はそれが全くなかった。 なぜだろうな〜と考えると、作品中のこの言葉にその理由が表されている気がした。 "事実というものは存在しません。存在するのは解釈だけです。" 登場人物はそれぞれ普通と違うことへの課題を持っているけれど、それを解決しようとかそれについて周りはこう考えるべき、みたいな言い古された主張をすることがこの作品にはないから読みやすいんだと思った。 それぞれがそれぞれの解釈で折り合いをつけて生活を送っている感じが描かれているので窮屈さがなくて心地が良い。 マイノリティであるお互いをあえて受け入れようとしている雰囲気ではないのがすごく良くて、当たり前にそこにいる人をその人として接しているところは自分も見習いたいと思った。 異なる人を受け入れるとか認めるとかって言葉は、どこか受け入れる側、つまりマジョリティ側に優位性があるようにいつも感じてた。 そういうことではなくて、本当にフラットな関係というのは受け入れようともせず認めようともせずただただその人に純粋に接することなんだと思う。 自分にとっては学びがあったとても良い本でした!
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積読してるうちに文庫になってやっと読んだ。とても優しい人たち。心穏やかに読める。うまくいかないこともあるけどいちいち傷ついていたら世の中生きづらいほど世知辛い。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
寂しいけど綺麗で素敵な話だった。 小学生の百音と統理はふたり暮らし。朝になると同じマンションに住む路有が遊びにきて、三人でご飯を食べる。 百音と統理は血がつながっていない。その生活を“変わっている”という人もいるけれど、日々楽しく過ごしている。 三人が住むマンションの屋上。そこには小さな神社があり、統理が管理をしている。 地元の人からは『屋上神社』とか『縁切りさん』と気安く呼ばれていて、断ち物の神さまが祀られている。 悪癖、気鬱となる悪いご縁、すべてを断ち切ってくれるといい、“いろんなもの”が心に絡んでしまった人がやってくる。 俺にとって女の人は桜みたいなものだから 桜? 綺麗だなあって眺めて、通り過ぎていくんだよ 相手に期待せず依存しない。不測の事態が起きても自分でなんとかする。相手の状況に振り回されない、どんなサイズも受け止めるフリーサイズのシャツにお互いがなる、という恋 どんなものにも賞味期限はある。 浴衣だけではなく、きっと人の心にも。 いまさら昔と同じものを味わうのは無理なのだ。 理解できないならできないでしかたない。 だからみんな黙って通りすぎればいいんだ。 誰かにかけた情けが巡り巡って自らに返ってくるのと同じように、悪しき行いをすればいつかなにかの形で自らに返ってくるのだと。 かけた情けは巡り巡って自らに返ってくる。同じように悪い行いもいつかなにかの形で自分に返ってくる。だから誰かを呪うことで無駄に自分を傷つけるな、 わたしはもらってくれなくていいと答える。誰のお嫁さんになろうと、わたしはわたしのものだ。誰にもあげたくない。
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世間一般から離れた登場人物たちに共感できて 自分好みの素敵なお話でした! 凪良ゆうさんは 2020年本屋大賞の「流浪の月」からの二冊目でしたが すっかりファンになりました。 ▼羨ましい人間関係 「こういう環境で暮らしてみたいな」 「こんな人間関係いいな」 そう思える物語で...
世間一般から離れた登場人物たちに共感できて 自分好みの素敵なお話でした! 凪良ゆうさんは 2020年本屋大賞の「流浪の月」からの二冊目でしたが すっかりファンになりました。 ▼羨ましい人間関係 「こういう環境で暮らしてみたいな」 「こんな人間関係いいな」 そう思える物語でした。 ▼「縁切り」にとてもスッキリ 神社で祈願するとき 「得たい」ことを祈りがちですが 「悪縁を断ち切ること」の大切さを感じました。 神社巡りに関心がなかった人間ですが、 作品を読んで縁切り神社に興味が湧きました。 ▼ニーチェの格言 哲学者ニーチェの言葉が 引用されている箇所があるのですが 物語の中でその部分が最も印象に残りました。
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