ミ・ト・ン の商品レビュー
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童話のような語り口なので平和がずっと続くような物語かと思ったら、突然氷の帝国の支配が始まり、マリカの夫のヤーニスまでもマリカのそばを離れることになってしまって悲しかった。それでもマリカは一生懸命に生きて、最期まで温かくて素敵な生き方をしていて感動した。ところどころに素敵な挿画があるのも、より物語の世界を知ることができて良かった。最後にルップマイゼ共和国のモデルになったラトビアについてのエッセイもあり、とっても良かったしラトビアという国が気になってきたので自分でも調べてみようと思う。
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ルップマイゼ共和国(ラトビアが舞台)に生まれたマリカの一生の物語。 前半は、マリカが生まれ、成長し、恋をして結婚する…という幸せで暖かな話。 ルップマイゼ共和国の女性は、編んだミトンをながもち一杯にして嫁ぐという慣わしがあり、編み物が苦手で外遊びが大好きなマリカも、おばあさんから...
ルップマイゼ共和国(ラトビアが舞台)に生まれたマリカの一生の物語。 前半は、マリカが生まれ、成長し、恋をして結婚する…という幸せで暖かな話。 ルップマイゼ共和国の女性は、編んだミトンをながもち一杯にして嫁ぐという慣わしがあり、編み物が苦手で外遊びが大好きなマリカも、おばあさんからミトンの編み方を教えてもらって一生懸命ミトンを編む。 マリカも結婚をし、夫婦ふたりで幸せに暮らしていた中戦争の時代へと突入していく。 夫もやがて徴兵され、夫の帰りを待つマリカも少しずつ日々の暮らしの楽しみや喜びをみつけ穏やかに過ごしていく。 途中から厳しい時代へと移っていったけど、それでも暖かな物語でした。
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大人の童話のような淡々とした展開だが、とても悲しい物語だった。 北欧のルップマイゼ共和国(ラトビアがモデル)に生まれた女の子マイカとミトンに纏わる一生を描いている。ミトンとくれば鍋つかみぐらいしかイメージ出来なかったが、調べてみると赤ちゃん用の手袋が多数売られているんですね。 女...
大人の童話のような淡々とした展開だが、とても悲しい物語だった。 北欧のルップマイゼ共和国(ラトビアがモデル)に生まれた女の子マイカとミトンに纏わる一生を描いている。ミトンとくれば鍋つかみぐらいしかイメージ出来なかったが、調べてみると赤ちゃん用の手袋が多数売られているんですね。 女性は12才になると試験があってミトンを自分で編めるようにならないと国を出されてしまうとのこと。結婚式までに長持ち一杯にミトンを詰めるぐらい編んで、お客様に配らなければいけない。夫には5本指のミトンを編んで渡す。 幸せな夫婦生活も他の国の侵略を受けて暗転する。 ラトビアがソ連の侵攻を受けた史実からの物語だが、今のウクライナ侵攻もあり、事実の重さが読んでいて加わって来る。夫が他国に連行され、マリカは30才から77才で亡くなるまで、たった一人でミトンを編み続ける。幸せだった二人の生活を楽しく読んだ後だけに、落差が大きすぎて辛くなる。
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独特な世界観かと思ったら、 ラトビア共和国をモデルにしたお話。 独特なイラストもあり、 想像しやすい世界観だった。 思いを伝える言葉がなくて、 その代わりに思いを込めたミトンや編み物を 贈り合うのがこの世界。 不思議だけど、思いを伝える言葉がなければ 私ならどうするかなと思...
独特な世界観かと思ったら、 ラトビア共和国をモデルにしたお話。 独特なイラストもあり、 想像しやすい世界観だった。 思いを伝える言葉がなくて、 その代わりに思いを込めたミトンや編み物を 贈り合うのがこの世界。 不思議だけど、思いを伝える言葉がなければ 私ならどうするかなと思いながら読んだ。 この国の中での“思いを込めて“は 何よりも大切で、それを込めた編み物は もっともっと大切なんだろうと思う。 思いを口にすれば心に残るかもしれない。 でも、この国は物としても残り続ける。 どちらが良いというのはないけど、 不思議な世界観で小川糸さんらしい 自然や食事の描写がとにかく素敵だった。
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ほっこりファンタジー童話かと思いきや、一人の女性の一生のお話だった。どこぞの国の占領下で、困難に負けずにポジティブに生き、小さな幸せや伝統を大切にする主人公。絵に描いたような丁寧な暮らし。全体を通して非常に切ない。 挿絵がかわいいです。天然生活の読者におすすめしたいです。
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よくも悪くも普通かな。 しかし、このヒロインのように好きな人と生きることと自然のうつろいと共にゆったり過ごすと言うのはまさに丁寧に生きる事であり私の理想でもありました。
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童話のような語り口とひらがなが多い事で、始めは選ぶ本を間違えたかも?と思った。しかし、気がつくと最終章まであっという間だった。 私はこの物語がバッドエンドだとは思わない。戦時中の話で切なくはあるが、心温まるものだった。
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なんと心が安らぐ物語なのだろう… 家族、愛する人、周囲のものや人、そして自分自身を大切にしようと思えた。子どもの頃はわんぱくで、伝統を大事にしていなかったマリカもゆくゆく大切さに気づき成長していく過程が誇らしかった。 ラトビア共和国のイラストエッセイを読んで、今現在でもこのような生活をしている人がいることを想像しながら、いつか行ってみたいと思った。 日々の小さいことを丁寧に行い、どんな状況でも良い面を見出せるようになりたいと感じた。
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童話のような優しさがある物語でした。 読み終えて「月刊MOE」で連載されたものだとわかり、納得。 国名は変えていますが、ラトビアを舞台にしたひとりの女の子が生まれてから亡くなるまでのお話しです。 自然とともに生活している様子が垣間見れて、家で過ごす時間を大切にしていて、それだけ...
童話のような優しさがある物語でした。 読み終えて「月刊MOE」で連載されたものだとわかり、納得。 国名は変えていますが、ラトビアを舞台にしたひとりの女の子が生まれてから亡くなるまでのお話しです。 自然とともに生活している様子が垣間見れて、家で過ごす時間を大切にしていて、それだけで幸せだなと思えます。 ミトンやパンにも使われる紋様の意味も興味深く、平澤まりこさんの挿し絵もその想像を掻き立てられて、素敵でした。 最期に、編んだミトンをほどいて、違うミトンや違う物を編むのですが、それがまた良いなと。 悲しいことに、作中、隣国との戦争で長い年月を「冬の時代」として過ごします。今現在のウクライナ情勢と重なり そこは言い表せない気持ちになりました。 今ここに、生きている身近な場所に楽しみも幸せもあるんだよということを噛み締めて読み終えました。 編み物が得意な友人を思い出し、ラトビアにいても沢山の素敵なミトンを編むだろうなーなんて思っています。
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ジャケ買いに大成功した。 優しい絵本のような文体で 幸せな女の子の一生を。 手仕事と自然と、ていねいな暮らし。 そばにいる沢山の自然の神様。 昨今の情勢を思うと 決して昔話でなく 今まさにマリカの辛い時期と同じ境遇の人が きっと沢山いるんでしょう。 マリカのように大切な人の...
ジャケ買いに大成功した。 優しい絵本のような文体で 幸せな女の子の一生を。 手仕事と自然と、ていねいな暮らし。 そばにいる沢山の自然の神様。 昨今の情勢を思うと 決して昔話でなく 今まさにマリカの辛い時期と同じ境遇の人が きっと沢山いるんでしょう。 マリカのように大切な人の不在を受け止めることができるのも 素晴らしいことですが 出来るなら、それぞれのもとにみんな帰ってこられますように。 はじまりからおわりまで きらきら輝く、優しくてあたたかいお話でした。
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