1,800円以上の注文で送料無料

まち の商品レビュー

4.2

188件のお客様レビュー

  1. 5つ

    66

  2. 4つ

    77

  3. 3つ

    36

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/04/06

レモンの風味がついたミネラルウォーターみたいな一冊。よかった。描写が簡潔で純粋ですっきりしてて。何にも染まっていない生い立ちの少年が、まちとひととの関わりの中でほんのり風味がついていく、個性のある未来が少しずつ描かれていく、その過程がとても素敵でした。

Posted byブクログ

2021/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

小野寺史宜作品。2冊目。 高校卒業後、上京して自分探しのアルバイト生活をする主人公・瞬一。 「大学は、行きたいなら行けばいい。行かなくてもいい。専門学校でも。そうしたいなら、働いてもいい」のおじいちゃんの言葉通り、学校も行かず、就職もしないけど、生活のためにコンビニと引越業者で仕事をしている。熱心に。ただ、普通は、「学校に」じゃないかなぁ。アルバイトだけの生活は、よくわからないけど、時間とお金に余裕があるのならば、「大学に」が普通のような気がする。その考え自身がすでに時代遅れかもしれないけど。 「東京で、アルバイト(や派遣)で、朝から晩まで働いて、スーパーの弁当を食べて寝る。5年も」うぅん、判らないわけではないが、なぜか救われない。なぜか、向かうべき方向がない。働いて、働いて、働いて。それ自身が悪いわけではないし、それすらできない人がいるのに、それだけでは充足しない自分がいる。必ずしも、就職がベストではない。ただ、明日に繋がる今日であったらいいな、と。 じいちゃんの死、同級生の就職や結婚、隣人のトラブルなど、日常生活の中で、新しい仕事を目指す。ちょっと意外な職種でしたが、瞬一にとって相応しい、瞬一らしい、ピッタシのお仕事! きっと、立派にやっていけると信じれる。だから、くじけずに頑張って勉強してね。と、応援している自分がいる。 職に就ければ、これまでの人生(東京生活も)は、ムダじゃなかったと思える、と信じて。 印象的なフレーズは: ★おじいちゃんに言わせれば、歩荷は選ばれし人の仕事ではない。ある程度の体力があれば、経験を積むことで誰でもできるようになるそうだ。ただし、山や自然が好きでないと続かない。 ★「ダメだ。この仕事に先はない。」「お前は東京に出ろ。東京に出て、よその世界を知れ。知って、人と交われ」 ★本を読んで走る。いいね。文武両道だ。…。ただやることが大事なんだよ。いちいち理屈をつけたりしないでさ。やっちゃえばいいんだ。そうれば、何だって身にはなるんだから ★頼る側じゃなくて、頼られる側でいろ。いつも頼ったっておれみたいな人間じゃなく、おれに頼られていたヤツみたいな人間になれ ★大事なのは間違いを起こしたあとだね。そのあとにどう動けるか。なかにはきちんとやり直せる人間もいる。でもやっぱりダメな人間もいる ★近くに包丁があったんですよ。…。使われたら、と思ったんじゃなく。自分がいつか衝動的にその包丁を使っちゃうんじゃないかと思って。それで加速した感じです。離婚に ★休養は大事なのだ。日々の労働ですり減った部分を元に戻すためにも。人間は、きちんと休めば回復する。ある程度はもとに戻る。ただし、ある程度。戻らない部分は少しずつ積み重なり、それが老いへと変化していく

Posted byブクログ

2021/02/24

2018年本屋大賞第二位でした前作「ひと」も そうでしたが、日常の人間同士のふれあいを 本当に上手く描いています。 皆、読んでいて優しい気持ちになり、幸せな 気分も味わうことができる小説です。 若者が置かれた境遇にメゲることなく、等身大 で成長していく。そんなストーリーです。...

2018年本屋大賞第二位でした前作「ひと」も そうでしたが、日常の人間同士のふれあいを 本当に上手く描いています。 皆、読んでいて優しい気持ちになり、幸せな 気分も味わうことができる小説です。 若者が置かれた境遇にメゲることなく、等身大 で成長していく。そんなストーリーです。 間違いなくこの作者の次の作品も読んでみたく なる一冊です。

Posted byブクログ

2021/02/21

とっても暖かい話。 急展開はないが、1冊を通して人間のあるべき姿が描かれているのかもしれない。 主人公が過去に囚われることなく、真っ直ぐに生きる姿がとても印象的でした。

Posted byブクログ

2021/02/18

「ひと」があまりにも好きすぎて、 こっちもすぐに読んだ。 同じような感じで、ワンパターンなんだけど、 すごく好き。 この人の本はいつもこんな感じなのかなー?

Posted byブクログ

2021/02/02

じいちゃんがカッコいい。 小学3年生で両親が亡くなり、歩荷のじいちゃんに引き取られた。高校を卒業して一人で東京に出てきた瞬一が周りの人と交流していく話。 「瞬一は、頼る側じゃなく、頼られる側でいろ」このじいちゃんの言葉通り、小さいことだけど頼られる人になっている瞬一はすごい。利他...

じいちゃんがカッコいい。 小学3年生で両親が亡くなり、歩荷のじいちゃんに引き取られた。高校を卒業して一人で東京に出てきた瞬一が周りの人と交流していく話。 「瞬一は、頼る側じゃなく、頼られる側でいろ」このじいちゃんの言葉通り、小さいことだけど頼られる人になっている瞬一はすごい。利他の精神を持つべきだと思っているのだけど、ここぞという時には自分を優先してしまうだろう自分が悲しい。 「人を守れる人間になれ」、これが自然に表に出る瞬一には幸せになって欲しいなと強く願いました。

Posted byブクログ

2021/01/28

近所の人、バイト先の人、家事で小さい時に亡くなった両親、優しく逞しいじいちゃん、主人公の瞬一が周りの人との交流を通して、火を克服したり、日常を送っていく様子が良かった。「まちは変わるけど、人は変わらない」ってなるほどって思った。生まれ育ったまちがあるっていいことよね。

Posted byブクログ

2021/01/15

群馬県の田舎で子供の頃に両親を家事で亡くし祖父に育てられた瞬一。高校卒業後、祖父に一度東京に出てみろ、と言われ、引っ越しのバイトをしながらひとりアパートで暮らす。そんな淡々とした日常の話だが、バイト仲間の万勇やアパートの隣人君島母娘など人との交わりの中、生き方を見いだしていく。祖...

群馬県の田舎で子供の頃に両親を家事で亡くし祖父に育てられた瞬一。高校卒業後、祖父に一度東京に出てみろ、と言われ、引っ越しのバイトをしながらひとりアパートで暮らす。そんな淡々とした日常の話だが、バイト仲間の万勇やアパートの隣人君島母娘など人との交わりの中、生き方を見いだしていく。祖父は瞬一に「頼る側でなく頼れる側でいろ。頼った人はお前を助け、貶めはしない」大都会の中で、人に優しくなおかつ強く生きることを教えたかったのか?「ありがとうを言っちゃいけないときなんてないよ」と田舎の同級生の言葉が印象的。

Posted byブクログ

2022/04/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

江藤舜一(えとう しゅんいち)22歳。 高校を出て、群馬から上京し、江戸川区平井のアパートに一人住む。 就職でも進学でもない。 引っ越し屋でアルバイトをしているのだ。 両親のない彼を育ててくれた祖父に、東京に出て外の世界を見ろ、と言われ、とにかく出てきた。 今は何物でもない。 スカイツリーが見える町で舜一の周りには、つましい暮らしをする人たちが住む。 赤ん坊の頃両親に、パチンコ屋の駐車場の車に置き去りにされた、野崎万勇(のざき まんゆう)。 DV夫から逃れてきた君島敦美と彩美の親娘。 舜一は、彼らの力になりたいと心から思い、手を貸す。 育ててくれたじいちゃんの「人から頼られる人間になれ」という言葉が心に響いているから。 じいちゃんは余計なことは言わないけれど、カッコいいなぁ。 山には登るけど、スカイツリーには登らない。 地に足がついている。 日本とか、東京とか、大風呂敷を広げなくていい。 「まち」でいい。 そこでしっかり生きて、身近な人をきちんと守る。 何物でもなかった舜一は、道を見つけた。 火事で両親を失って、消防士を目指す。 火がトラウマだった舜一だから、ちょっと意表をつかれたが、だからこそという事もあるのだろう。 火の怖さを、大切な人を守りたいという気持ちが超えた。 重い荷を背負って山を登る。 それは人生だと、誰かが言ってたっけ。 いつまで経っても重い荷には慣れない。 それでいい。 慣れることは麻痺すること。 生きることに麻痺してはいけない。 じいちゃんの言葉はいろいろ深い。

Posted byブクログ

2020/12/16

読書メーターオブザイヤー2020を見ていて読み落としに気づいたがそのまま放置。忘却の彼方にすっ飛びそうなところで再度目にして事なきを得た。危ない危ない。これは読まねば損する本だ。小野寺さんは『ライフ』が初読で、なんとなく合わないように感じたが、『ひと』を読んで俄然ファンになった。...

読書メーターオブザイヤー2020を見ていて読み落としに気づいたがそのまま放置。忘却の彼方にすっ飛びそうなところで再度目にして事なきを得た。危ない危ない。これは読まねば損する本だ。小野寺さんは『ライフ』が初読で、なんとなく合わないように感じたが、『ひと』を読んで俄然ファンになった。本作は『ひと』の姉妹編のような作品で、心が温かくなるような読後感だった。

Posted byブクログ