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まち の商品レビュー

4.2

184件のお客様レビュー

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2019/12/09

良い話です 前作『ライフ』の姉妹編の位置付けでしょうか、同じく筧ハイツを舞台にして、総菜屋の田野倉が顔を出したりします。 主要な登場人物は重なりませんが、全体の雰囲気もよく似ています。 アルバイトで生活する大人しく誠実な若者・瞬一が主人公で、彼を取り巻く人々との交流が描かれます。...

良い話です 前作『ライフ』の姉妹編の位置付けでしょうか、同じく筧ハイツを舞台にして、総菜屋の田野倉が顔を出したりします。 主要な登場人物は重なりませんが、全体の雰囲気もよく似ています。 アルバイトで生活する大人しく誠実な若者・瞬一が主人公で、彼を取り巻く人々との交流が描かれます。そういう意味では『ライフ』と同様に『横道世之介』に似た雰囲気が有ります(やっぱり『世之介』の存在感は強く、読んだ順では無く本作が『世之介』に似ていると言わざるを得ず。。)。ただ、この作品では両親を火事で亡くした瞬一を引き取り、尾瀬で歩荷をしながら育てた祖父の紀介の格好良さが特徴的です。 前作『ライフ』で描き切れなかったことをもう一度書き直したのかな。 そう思いたいですね、同じテイストの作品が続いてますので。

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2019/12/07

本屋大賞候補作の「ひと」と似たような要素が満載でした。住む町や環境、そこでの人々とのふれ合いが、人生を決める印象があって、良い街に住んで良かったねと思ってしまいました。「ひと」よりも盛り上がりはない印象があり、のっぺりとしていましたが、内側の心情が繊細で、深く描かれているように感...

本屋大賞候補作の「ひと」と似たような要素が満載でした。住む町や環境、そこでの人々とのふれ合いが、人生を決める印象があって、良い街に住んで良かったねと思ってしまいました。「ひと」よりも盛り上がりはない印象があり、のっぺりとしていましたが、内側の心情が繊細で、深く描かれているように感じました。 小野寺さんの作品は、会話の部分が長いのですが、リズミカルになって進行している印象があり、会話がいつまでも続いてほしいなという思いがあって、今回も発揮されていて、心地が良かったです。 やっぱ、人との繋がり、ふれ合いは大事だなと思いました。最初と最後の主人公を比較すると、見た目は変わっていないものの、心の成長が垣間見れて、ほっこりさせてくれました。後半の方に出てくる「コロッケ」には、なんとなく聞いたことがあるぞと思いましたが、やはりでした。ちょっとした遊び心があって、面白かったです。 たまたま住んだ町、たまたま出会った人たち、現実では、そううまくいくわけではありませんが、他とのつながりや温かみを再認識させられる作品でした。

Posted byブクログ

2019/12/02

両親を亡くした青年の上京物語。 9歳の時に家事で両親を亡くし、祖父に育てられた江藤瞬一。 高校卒業後、祖父の勧めもあり、群馬県片品村から進学でもなく、就職でもなく、人との交わり、世間を求め上京し、引っ越し屋のバイトで生計を立て、もう23歳。 江戸川区平井の荒川のほとりに建つ...

両親を亡くした青年の上京物語。 9歳の時に家事で両親を亡くし、祖父に育てられた江藤瞬一。 高校卒業後、祖父の勧めもあり、群馬県片品村から進学でもなく、就職でもなく、人との交わり、世間を求め上京し、引っ越し屋のバイトで生計を立て、もう23歳。 江戸川区平井の荒川のほとりに建つ筧ハイツで出会った隣人の君島親子と、心温まるお付き合いの末、自分が目指すものが見えてくる。 まちを愛し、ひとを愛し、過去は過去として、人の生きる川は流れていく。 「縁」や「ライフ」、「まち」にでてくるキャラクターも登場し、スピンオフのよう。でもこちらが先でも全然おかしくない。 みつばシリーズというなら、こちらは荒川シリーズか。

Posted byブクログ

2019/11/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前作『ひと』につらなる江戸川沿線に住む普通の人生を歩む「ひと」たちの物語。 なんだろうこの心にともる温かい灯は。 江戸川区平井に住む一人の青年。小学生の時に火事で両親を亡くしてから祖父のもとで育つ。祖父の仕事は歩荷。山に荷物を担いで上がる仕事。自分の身体を使って働く祖父の影響を強く受ける江藤瞬一23歳。高校卒業後祖父の「東京に出てよその世界を知れ。知って、人と交われ」という言葉によって高卒後東京へ。進学でもなく就職でもない。こんな形で東京に出したじいちゃんってすごいと思う。自分なら亡き息子夫婦への責任もあり、大学を出てフツーに就職せよ、と言ってしまいそうだ。 でも、この自分でどこかの町に住み、そこで人と交わって生きて行け、というじいちゃんの教えのおかげで瞬一はとても大きなものを乗り越え、とても大切なことを知ったわけだ。 一冊丸ごとじいちゃんの名言集だ。じいちゃん、かっこいい。かっこよくて大きい。人生の先輩として、祖父として、そしてなにより人として大きい存在。 瞬一は周りの人に恵まれている。バイト先の人たちも、アパートの住人も、みんないい人ばかりだ。優しくて温かくて、あぁ、こんな人たちと一緒に生きていけたら幸せだろうな、としみじみと。

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