深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと の商品レビュー
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深夜高速バスに100回くらい乗ってわかったこと 著者:スズキナオ 発行:2019年11月22日 スタンド・ブックス ビール大瓶の「大瓶」を、大阪では「おおびん」ではなく「だいびん」と読むのが主流、と書かれていた。はっとした。大学生の頃、「だいびん」という言葉は不自然に聞こえたが、そう読むものだと思って40年以上逆らわなかった。大阪に来る以前、名古屋時代は未成年でビールなんか飲まなかったので、だいびん、でも、おおびん、でもなかったし。 日本語的に考えると、「おおびん」が自然。全国的にはどうなんだろう。 この本は、図書館予約でかなり待たされた人気本。きっと売れているのだと思うが、成功の要因はなんといってもタイトルだと思う。しかし、読んでみると深夜高速バスの話は巻頭からわずか15ページ程度。あとは、街に繰り出して飲んだり食べたり、歩いたり見たり、の話。80年代に大はやりだった椎名誠のエッセイに似ているが、あんなにワイルドでユーモアに溢れていなくて、今時の若者ふう、そして、ネット上での文章を書籍化したという作品だけに、当たり障りのない無難な文章。でも、退屈かと言われればそうではなく、それなりに最後まで読ませた。日本語的にも間違いは少なく、確立した文体はないが下手くそな筆致ではない。 著者は、1979年の東京生まれで東京育ち。サラリーマンとバンドをしていて、数年前に大阪に出てきてライターに。バンドは続けているようだ。どうしてこの本を借りたか理由は忘れたが、読んでびっくり。僕が住む西九条、近所にミニコミ書店があって、そこの広報担当で店番もしているらしい。どこに住んでいるかは書いていないけど、この近辺での話が本に結構出てきた。あら、ご近所さん。その書店に入ったことはないが、散歩中に通りがかって「なんだろう、ここ」とは思っていた。 その書店は出版業もしていて、出版している「団地の給水塔大図鑑」という本は読んだことがある。 図書館本なのでついていなかったが、帯には、西九条を愛する小説家で社会学者の岸政彦氏が文章を寄せているらしい。読んで見たい。立ち読みにいこうか・・・ 毒気がないので、誰からも嫌われない内容だけど、それだけにインパクトに欠けた。大阪や、東京の、飲食店などのことが書いてあるが、大阪に出てくる前のサラリーマン時代に書いた散文もある。 なんというか、若いからか、あるいは大阪情報がまだあまり深くないから、かもしれないが、そんなの当たり前、とりたてて本に書くようなことかということがいっぱいあった。しかし、冒頭に書いてあるような「おおびん」「だいびん」みたいな、はっと気づかされることも少しあった。 でも、若さ故かな、という部分も多い。例えば、一章立てている「目的地まで移動している時というのは、人間にとって一番の許された時間なんじゃないかと思う~旅」という主張については、例えば、年を取った今、東京への新幹線の時間は、到着後にすぐしなければいけないプレゼンや打ち合わせのための準備に多忙であるという現実を考えれば、とても同意できる話ではない。 反対に、例えば、多人数で飲み会をして、支払いを割り勘ではなくて、唐揚げいくつ食べた、なにを飲んだ、というのを綿密に計算して配分してみよう、などという試みは実に面白いものがあった。意外にも、酒を飲まずソフトドリンクだけの参加者より、酒飲みの著者の方が安くついたという結果が、興味深かった。 小さな折りたたみ式のチェアを持参し、河原や広場などで、「迷惑行為をしない」「ごみは持ち帰る」「騒がない」というルールを守って友達と缶ビールを飲むという「チェアリング」という提案もなかなか好感が持てた。 ご近所の銭湯「千鳥湯」や近隣スーパーで買った半額商品でつくる肉料理レポ、また、隣区・西淀川区の福町のことが出てきたのも、楽しかった。
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おもしろい。 人生をゆるく楽しむヒントが詰まっている。 幸せは思ったよりも身近に転がっているものなのかもしれない。
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ルポ、体験記、紀行文、インタビューなどを兼ねたエッセイ集。取材地としては大阪・神戸とその周辺が多いが限定しているわけではなく、著者の出身らしい東京をはじめとする他地域も含む。 タイトルの深夜高速バスをはじめ、ラーメン、食堂、昼スナック、たこせんべい、銭湯の鏡広告、スーパーのセー...
ルポ、体験記、紀行文、インタビューなどを兼ねたエッセイ集。取材地としては大阪・神戸とその周辺が多いが限定しているわけではなく、著者の出身らしい東京をはじめとする他地域も含む。 タイトルの深夜高速バスをはじめ、ラーメン、食堂、昼スナック、たこせんべい、銭湯の鏡広告、スーパーのセール肉など、庶民的な題材を多く取り揃える。なかでも食に関する話題の占める割合が高い。調査を通じた市井の人々との触れ合いや聞き取りもポイントで、取材の対象としては働く高齢の方々が主となっている。 ローカルTV局のほのぼの街ブラ番組を個人のライターが手作りした様相の一冊。
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瀬戸内の海小屋で一晩過ごす話が面白かった。小屋に備え付けられている電動の四つ手網を操作してかかった魚をいただく。真似したい。
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高速の深夜バスという乗り物のこと。家系ラーメン。昼スナック。神戸の街の飲み歩き。福岡のハンバーガー店。六甲山系の登山道を自力で整備したモダン焼き店主。厳密に割り勘する飲み会。友人のマイ史跡巡り。など、あたりまえなもの、ひっそりとあるものに焦点。 いろんなところに行って、いろんな...
高速の深夜バスという乗り物のこと。家系ラーメン。昼スナック。神戸の街の飲み歩き。福岡のハンバーガー店。六甲山系の登山道を自力で整備したモダン焼き店主。厳密に割り勘する飲み会。友人のマイ史跡巡り。など、あたりまえなもの、ひっそりとあるものに焦点。 いろんなところに行って、いろんな経験をして、そして何がわかったんだろうって思いましたが、東京大阪の往復だったのでした。でも、知ってる地名もあって、楽しい庶民生活って感じが良かったです。
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バスの本かと思ったら、最初だけ。 でも肩透かしではなく、ずっと街をぶらぶらし続けられるような本。 散歩すら躊躇しがちな今だから、なお貴重な一冊。
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タイトルに惹かれて読んだ。タイトル以外の情報を調べないまま手にとったので 深夜高速バスについての色々が書いてあると期待していた手前 エッセイ集だった点はちょっとがっかりしてしまった。 もう少しバスについてのあれこれも読みたかった。 お風呂の鏡広告で、パソコンを孫に教えてもらって使いこなせるおじいちゃんが 手書きの方がいいと言われて、わからんもんやな、長生きしてみるもんやなと言っているのが なんだかとても良かった。 確かに、パソコンを使えば見やすいし垢抜けるかもしれないが、味はない。 神戸のくだりで、古いお店がなくなって どこにでもある地方都市のひとつになるのは寂しいけど 行政の人が考えることは私たちが望むことと大抵違うからどうしたって消えていく というのが、本当に寂しいけど全くそのとおりで、仕方ないから行ける内に 行っておくしかないのだろう。 ちょっとした旅に出たくなる。
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終点のがしたつもりで始発まで歩くとか、ディズニーランドの周りを散策するとか自由でいいなーと思った。 あと、普段降りない駅で降りてみるとか。 お金がなくても出来るちょっとわくわくすることを見つけるのが凄い人だなぁ。あとそれに付き合ってくれる友達が沢山いるのも羨ましい。友達から〇〇に...
終点のがしたつもりで始発まで歩くとか、ディズニーランドの周りを散策するとか自由でいいなーと思った。 あと、普段降りない駅で降りてみるとか。 お金がなくても出来るちょっとわくわくすることを見つけるのが凄い人だなぁ。あとそれに付き合ってくれる友達が沢山いるのも羨ましい。友達から〇〇に誘われるというのも何個かあって、そういうコミュニティいいなーとまた思った。 お酒飲むってやっぱり楽しいんだろうな、と。
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ある時話題の本として上位にあって気になっていた。タイトルからして、オシャレな内容の少なめな本かと思っていたら、全く違って内容の濃いものだった。 ライターをされているので、色々な記事を書かれていて面白い。思ってもみない企画をやっている。ひとつひとつが面白かった。読んでいると行ってみ...
ある時話題の本として上位にあって気になっていた。タイトルからして、オシャレな内容の少なめな本かと思っていたら、全く違って内容の濃いものだった。 ライターをされているので、色々な記事を書かれていて面白い。思ってもみない企画をやっている。ひとつひとつが面白かった。読んでいると行ってみたい場所がたくさんある。魅力的。
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地元の人に愛されているようなお店だったり,行き当たりばったりに飛び込んだり,お金を使わず(ここがポイント)人生楽しもうという姿勢満載.気になる店もたくさんあり,行ってみたいです.写真もたくさん掲載されていて,わかりやすさアップです.
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