さんかく の商品レビュー
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アラフォーの料理上手のデザイナー・夕香 夕香の作るまかないが忘れられず夕香の家に転がり込んだ正和 研究一筋の正和の恋人・華 この奇妙な三人の関係を各々の視点から追っていく連作短編集。 ひとつ屋根の下で暮らす夕香と正和は、食の趣味が合い「おいしい」を共有できる二人。 食の好みが合うことって血の繋がった家族でさえなかなかない。 共に生活する上で大事な要素であり貴重な相手だとは思う。 二人の間で恋愛感情が曖昧なところも見ている分にはいいけれど、正和の恋人・華にしてみたらとんでもない。 下手な浮気より厄介だ。 近づきそうになると距離をとる夕香と正和の付かず離れずの距離感は、私が華の立場ならはっきり言って嫌だ。 そんな風に思う私は考えが古いのだろうか。 夕香が最後に正和に対して言った「選べる自由って一番を見失うよね」は的を得たもので共感した。 短編の各章ごとに出てくる料理が美味しそうだった。 特にあけぼのご飯(すりおろした人参を入れた炊き込みご飯)、塩豚、パクチーとラムの水餃子、お餅入りの豚汁が食べたい。 そして西淑さんの装画はやっぱりいいな。 夕香の言う 「欲しいものに手を伸ばすより、手の中にあるものをなぞるようになったのはいつからだろう」 これ分かる。私もアラサー辺りからそうなった気がする。 人はそれを保守的とマイナスイメージで捉えるかもしれないけれど、彼女の生き方は日常を丁寧に過ごす美徳のように思える。とても好ましい。 日々をあくせく過ごし時間に追われている私にはとてもできない生き方だ。 華の友達・ともちゃんが華に言った 「へとへとになって家に帰ってさ、あったかいごはんがあったら、そりゃずるずるとしちゃうよね。しかも、恋人でも家族でもない責任のない関係だったら楽でたまんないわ」 に激しく同意。 確かにそんな相手と居場所があったら、ついずるずるしちゃうよね。 けれどそれも、恋人がいなければ、の話。
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とても良かった。 伊東くんと高村さんは、恋愛関係にはならなかったのかぁ。 そこに関しては残念だけど、高村さんと年が近いせいか考え方はわかる気がする。 華ちゃんの素直さはまぶしかったし、伊東くんのちょっと優しさ故のずるさも全部含めて、良かった。
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古い京町家で暮らす夕香と同居することになった 正和。理由は”食の趣味”が合うから。けれど 恋人の華には言えなくて…。三角関係未満の 揺れ動く女、男、女の物語。
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