さんかく の商品レビュー
ラムとパクチーの水餃子が食べたい。そして行きつけの居酒屋のつまみの美味しそうなこと。通いたい! さんかく、というタイトルだけど、見栄っ張りとぼんやりのカップルの関係に人生の踊り場にいる年上の女性が巻き込まれて、3人とも自分を見失いそうになる(けどもいちど見つめ直す)話だった。 生...
ラムとパクチーの水餃子が食べたい。そして行きつけの居酒屋のつまみの美味しそうなこと。通いたい! さんかく、というタイトルだけど、見栄っ張りとぼんやりのカップルの関係に人生の踊り場にいる年上の女性が巻き込まれて、3人とも自分を見失いそうになる(けどもいちど見つめ直す)話だった。 生活と恋愛というテーマに、今の自分の状況と共鳴するところがあった。
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三角関係の「さんかく」なんだろうけど、三角関係とも言えない三人の視点で物語が進む。 美味しそうな料理と京都の雰囲気が印象的。ほんわか柔らかい空気感で語られていて、ゆったりした気持ちになれる。 と思いきや、華ちゃん登場の章では、突然動物(しかも大型)の解剖場面となり、若い女の子...
三角関係の「さんかく」なんだろうけど、三角関係とも言えない三人の視点で物語が進む。 美味しそうな料理と京都の雰囲気が印象的。ほんわか柔らかい空気感で語られていて、ゆったりした気持ちになれる。 と思いきや、華ちゃん登場の章では、突然動物(しかも大型)の解剖場面となり、若い女の子が血と死体の匂いまみれで、ヤバイ。四六時中、動物の解体とか内臓とかについて考えている華ちゃんは、やっぱりちょっと普通じゃなく、でも好きなことに打ち込む姿はカッコイイなぁ。 一方で、高村さんの穏やかな暮らしもすごく魅力的で、同居する伊東くん、羨ましいなぁ(ネズミは勘弁)。 古い町屋、実際に住んだら大変そうだけれど。 ちょっとした諍いはあるけれど、読んでいて気持ちのいい話だった。 これからの高村さんが忙しすぎないといいな。
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マジで?こんな終わりなの?ええ? 高村さんとくっつくか、と思う私は今まで安直なハッピーエンドものばかり読んできたからそう思うんだろう。 人の気持ちなんて白か黒かハッキリと分けることなんて出来なくてそれが当たり前。ということに気付かされる。千早茜さんのお話を読むと。 まず華と伊...
マジで?こんな終わりなの?ええ? 高村さんとくっつくか、と思う私は今まで安直なハッピーエンドものばかり読んできたからそう思うんだろう。 人の気持ちなんて白か黒かハッキリと分けることなんて出来なくてそれが当たり前。ということに気付かされる。千早茜さんのお話を読むと。 まず華と伊東くんはモロにコミュニケーションが足りてなさすぎるし、高村さんが不倫していたとは気付かなんだ。そりゃそうか。しかし不倫先ではあんな美味しそうな高級ご飯を食べているのか。羨ましいなあ。 タイトルと表紙の可愛らしさからは想像つかないお話だった。 分かりやすく三角関係のドロドロ場面があるわけでもなし、でもしっかり傷つくことは傷つくし。 華や伊東くんや高村さんが、「そういうことか」と何かが腑に落ちた瞬間は分かれども何がわかったのかは全く分からない。 こういうとこなんだよな、私の幼稚さというか、想像力のなさというか、読解力のなさというか、経験値の低さを痛感するところ。
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生きていると潔白な人間関係ばかりじゃなく白黒つけられないグレーも多くて、そんな曖昧な関係が絶妙に描かれている。 そして、ごはんの描写がリアルで誰かと一緒においしいごはんが食べたくなった。 ☆3.5
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高村さんのお料理が終始美味しそうで、私もこんなふうにお料理を振る舞えるようになりたいな〜と思った。 最後、高村さんが関係を潔く断ち切って、伊東くんと華がもう一度やり直していくが、後味が良かった。自分のやりたいこと、ほしいものに向き合って進んでいってほしい。 以下、印象に残ったフ...
高村さんのお料理が終始美味しそうで、私もこんなふうにお料理を振る舞えるようになりたいな〜と思った。 最後、高村さんが関係を潔く断ち切って、伊東くんと華がもう一度やり直していくが、後味が良かった。自分のやりたいこと、ほしいものに向き合って進んでいってほしい。 以下、印象に残ったフレーズ。 風景を描く言葉の美しさがすごいと思った。 普段自身も目にするような光景、そのすてきさが言葉にしっかり込められていて、あの風景はこんな言葉で表現できるのか、と思った。 「選べる自由って一番を見失うよね」 「見あげると、桜が咲いていた。音もなく降ってくる。枝先にぽんぽんと咲く白い塊はホイップクリームのようで、やわらかい気持ちになった。」 「炊き立てのご飯に目を細める。まぶしい白。光を吸い込んだような米粒が、ぴちぴちとかすかな音をあげている。」
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「雨が降ると、木造の古い町家は濡れた土の匂いでいっぱいになる。」 始めの一文から、いい感じだなあと思った。雨の匂い、コーヒーの香り、坪庭の青もみじの色、そして角のまるい三角の塩むすび。京都の町家の情景や、料理を表現する文章にひきこまれた。それは、読み進めても変わらず、自然描写が...
「雨が降ると、木造の古い町家は濡れた土の匂いでいっぱいになる。」 始めの一文から、いい感じだなあと思った。雨の匂い、コーヒーの香り、坪庭の青もみじの色、そして角のまるい三角の塩むすび。京都の町家の情景や、料理を表現する文章にひきこまれた。それは、読み進めても変わらず、自然描写が素敵で、料理は本当に美味しそうな香りや湯気を感じられるようだった。 その町家に住んでいる高村さんと、学生時代にバイト先が同じだった伊東君は、食の好みが同じという理由で、一緒に住み始める。でも伊東君には、付き合っている華がいる。さんかくとは、この事でもあった。 食はやはり、好みが同じ方が楽だと思う。伊東君が高村さんと日々食事を共にする気持ちもよくわかる。高村さんが、作った料理をおいしいといってくれる人と暮らす楽しさもよくわかる。華さんが、解剖することが大好きで大学での仕事を第一に思う気持ちもよくわかる。三人の気持ちはとてもよくわかるのだけれど、ここに恋愛が絡むと、気持ちの面で受け入れられないことが出てくるなあと思った。 日々暮らしていくうちに、高村さんが気づいたことは、私にも当てはまることかもしれないと思った。居心地のよさを与えることは、自分の居心地がよくなることとは限らない。 最後に高村さんが潔い結論をだしたことで、伊東君が動きだし、華さんと向き合えたことは、よかったと思った。読後感がスッキリしたのは、それが理由だと思った。
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世の中には説明が難しい、割り切れない関係性もあるだなと思いました。 物語に出てくる料理がどれも美味しそうで、自分自身が料理好きだったらよかったなと思いました。
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出てくる。ご飯が美味しそう。私も大切に美味しいご飯を食べたい。 1日2食しか食べない主人公は食事をとても大切にする。そのシーンはかなり印象的だ。 大人なのに、大人だからこそ、上手に出来ない。仕事や恋愛、暮らし。不器用で少しずるい、そんな大人たちの物語。
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食べ物の描写が丁寧な本。恋人ではない同士で一緒に暮らす男女。100年後も読み継がれる普遍性ではないかもしれないとは思うが、現代の隙間に懸命に生きようとする人の感覚には合う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
さんかくのタイトルだから、おにぎり、サンドイッチ…と続いて食べ物関連の話題なのかと思っていたら、さんかく関係だった。 千早さんの作品には一人で自立している女性がよく出てくる。 きれいで料理が上手でお金もそれなりにある、でも恋人がいない、もしくは必要としていない。 三角関係もよくある、二人が一人を好きというのとは違う。 食って生きる上で大切だけど、別に手づくりじゃなくても困らない。 でも食の好みって同じだといろいろ共有できる。 普通、変、自分が求めているのは本当は何なのか、自分が逃げていたことは何なのか、価値観で優先順位をつけたらなにが一番なのか、考えさせられた作品だった。 結局優柔不断だった彼は選ぶことなく、消去法でもう一人の彼女とよりを戻す。 そっちか〜という思いと、それはハッピーエンド…か?という思いが交錯した。
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