夜行 の商品レビュー
【ようこそ、、、】 こんなに不気味な森見先生は初めてだ。 読むまでは、「そうはいってもモリミーだから面白く読めるだろう」と思っていたんです。 それでも、読み始めると、こう、文と目の間で自分の後頭部を見ているような、自分でもよくわからない感覚に陥ってくるんです。不気味で不穏で。 文...
【ようこそ、、、】 こんなに不気味な森見先生は初めてだ。 読むまでは、「そうはいってもモリミーだから面白く読めるだろう」と思っていたんです。 それでも、読み始めると、こう、文と目の間で自分の後頭部を見ているような、自分でもよくわからない感覚に陥ってくるんです。不気味で不穏で。 文章を追う目はとまらないのに、次のページに行きたいのにページをめくるのが怖くて。 どうなんでしょう。ここまでくると「夜行」という文字すら怖くなってきました。ところで、あなたはいま、どこまで「来ま」したか。「行き」ましたか。
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同じ英会話スクールに通っていた仲間と、10年ぶりに鞍馬の火祭を見物に行く。 10年前の火祭見物の時、仲間のひとり長谷川さんが謎の失踪をした。 そして、全員が何故か係わりを持つ、岸田道生という画家の描いた「夜行」という連作の銅版画。 いくつもの謎を抱えながら進む物語はミステリともいえるけど、静謐な中にも不穏な気配の漂う世界はいつもの森見節ではなく、読みながらときどき作者を確認してしまうほど。 尾道の、急坂を上る細い路地を思い出して、夜にも訪れてみたかったと思うほど、作者の描く尾道の光と闇には惹かれるものがあった。 ただ、森見登美彦が作り出したこの世界には、あと一つ説得力が欠けていると感じた。 論理的な説明が必要と言うのではなくて、なんだろう、決してあるはずのないその世界は確かに存在するのだと感じられるような説得力。 最近恒川光太郎を読んだせいか、この欠落が結構大きく感じられたのだった。
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森見登美彦っぽい不思議ストーリー。読みやすかったけど、自分にはやや不思議過ぎてピンとこなかった……。出てくるそれぞれの場所に行ったことあると、もっとイメージ湧いたかもしれないけど。
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人生の岐路に立ったとき。 もし今居る世界を選択しなかったら、と考えると平行世界のパラレルワールドは誰もが持っているもの。 夜の世界と朝の世界が交わるとき、何が消えて何が残るのか。 不思議な様で、どこかノスタルジックな雰囲気のある物語。 幼い頃に思い描いた世界がそのまま読めたような...
人生の岐路に立ったとき。 もし今居る世界を選択しなかったら、と考えると平行世界のパラレルワールドは誰もが持っているもの。 夜の世界と朝の世界が交わるとき、何が消えて何が残るのか。 不思議な様で、どこかノスタルジックな雰囲気のある物語。 幼い頃に思い描いた世界がそのまま読めたような気がした。 面白かった。
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読み終わった瞬間、ほうっと大きく息をついた。 読み始めは、不思議さと怖さが入り混じった気持ちになって、正直想像していた内容と違っていたので驚いた。 パラレルワールドの話だと思うけど、パラレルワールド=平行世界というより、世界が時々遠のいたり、近づいて交差したり、夜行列車のように...
読み終わった瞬間、ほうっと大きく息をついた。 読み始めは、不思議さと怖さが入り混じった気持ちになって、正直想像していた内容と違っていたので驚いた。 パラレルワールドの話だと思うけど、パラレルワールド=平行世界というより、世界が時々遠のいたり、近づいて交差したり、夜行列車のように揺れながら動いているのかなと感じた。まさに表裏一体。 今見ているものが、ホンモノなのか、そうではないのか。 そもそもホンモノもニセモノもない。 自分が目をつぶった瞬間、世界が全て消えて、無になっているのかもしれないと、子どもの時に想像したことを思い出しました。 とりとめのない感想だけど、わたしはおもしろかった! やっぱり森見さんの作品が好きです。 「真実の世界なんていうものはどこにもない。世界はとらえようもなく無限に広がり続ける魔境の総体だと思う。」
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森見登美彦の真面目バージョンだが、読みやすさは変わらずでスラッと気軽に読めた。エンタメ小説とはこうあるべきと思う。物語はミステリアスな雰囲気の中、怖さよりも淋しさを感じさせて不思議な読み心地でそれが良かった。 途中で偽坊主が語る、人は相手にレッテルのようなものを貼り、そのレッテル...
森見登美彦の真面目バージョンだが、読みやすさは変わらずでスラッと気軽に読めた。エンタメ小説とはこうあるべきと思う。物語はミステリアスな雰囲気の中、怖さよりも淋しさを感じさせて不思議な読み心地でそれが良かった。 途中で偽坊主が語る、人は相手にレッテルのようなものを貼り、そのレッテルの言葉を見ていて本当は相手の顔を見ていない、というのが印象に残った。風景は奥深く言葉がなくともスッと入ってくる、そんな風に人を見る、、なるほど
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単行本で読んだときよりも圧倒的に面白かった。 文庫になったのでちゃんと買えたぜ。 作者が講演会で「不思議な出来事に対して、向き合う人物のエネルギーが勝っていればコメディになり、不思議に負けてしまうとホラーになる。夜行は登場人物が不思議に負けて順にあちら側へ行ってしまう話」というようなことを語っていた。 例えば矢三郎ならどっちの世界も楽しく行き来するんだろうなあ、などと考えながら楽しく読ませてもらった。 最後の天竜峡の話が特に面白かった気がするが、今パラパラとめくり返してみると、どの話も面白かったのだった。
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不思議な物語。 結局本当はどれ? なんて考えたりしちゃったりするときもありますけれど、本当なんて考えなくてもいいことだってあるような気もしてきますね?? また、途中の行きたいなぁ。。。とか思い描いたり考えたりするところは必ず人って行くもんだよね。 なんていうニュアンスがあるセリフ...
不思議な物語。 結局本当はどれ? なんて考えたりしちゃったりするときもありますけれど、本当なんて考えなくてもいいことだってあるような気もしてきますね?? また、途中の行きたいなぁ。。。とか思い描いたり考えたりするところは必ず人って行くもんだよね。 なんていうニュアンスがあるセリフがあるのですが、もしかしたらそれは不思議な真実になるのかなぁ。。。なんて考えてみたり。 好きな人にはたまらない世界感だし、一度読んでみても面白いかもしれませんね。
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十年前、鞍馬の火祭見物で姿を消した長谷川さん。彼女を忘れなかった仲間が集まり、それぞれが夜と旅にまつわる思い出を語る。 ぐらりぐらりと揺さぶられるように不気味さ、不思議さが募り、それぞれの夜が深まり絡んだ末に“ただ一度の”光が広がる。心地良い夜の物語。
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宵山万華鏡を思い出させる作風でした。 ホラーはそんなに得意ではないはずが 気付けばどんどん夜行の世界観に引き込まれていました。 「夜行」と「曙光」、どこかでつながっている世界があるかもしれないと思わされる作品でした。 おもしろかったです。
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