巡礼の家 の商品レビュー
プロローグの後、話の始まりでいきなり「殺した。殺してしまった。わたしは人殺しだ。」 という一節で始まる。 一体どういうことなのか。 水害で両親を亡くし、親戚の家に預けられることになった15歳の雛歩。 「人を殺してしまった」雛歩は逃げる途中で道後温泉にある宿「さぎのや」に辿り着...
プロローグの後、話の始まりでいきなり「殺した。殺してしまった。わたしは人殺しだ。」 という一節で始まる。 一体どういうことなのか。 水害で両親を亡くし、親戚の家に預けられることになった15歳の雛歩。 「人を殺してしまった」雛歩は逃げる途中で道後温泉にある宿「さぎのや」に辿り着く。 そこで人々のあたたかさに触れ、大切にされていくなかで、前を向いて生きていく力を取り戻していく。 雛歩を取り巻く人々が本当にあたたかい。「さぎのや」のような場って、本当は誰にも必要なのではないかと思う。 そして、そういう場は本来は想い一つで創りだしていけるものなのかもしれない。覚悟はいるけれど。 「(さぎのやでは)何かで困ってる人がいたら声をかけるし、できることがあれば手を差し伸べる。みんなで一緒に汗をかいて、ご飯を食べて、笑い合って、病気やけがをした人がいたら気づかうし、困ったことがあったら助け合う。・・・・・・この生き方って、すごく楽なんだよ」 と雛歩の思い人、飛朗は言う。 そう、飛朗が言っていることは、やろうと思えばできること。でも、できない。どうしてなんだろう。 そんなことを考えさせられました。
Posted by
道後温泉「さぎのや」は、人生に悩み傷ついた人たちの「帰る場所」となっている。重いお話なのかと読み進めると、時にはユーモラスに展開していく。登場人物の一言一言にジーンときた。
Posted by
現代の小説家のなかで、天童荒太さんはお気に入りのひとり。本書は2019年発表の現時点での最新刊。 著者にとって、故郷の道後温泉を舞台とした特別の一冊ではないかと思います。愛おしいお話。 個人的には、主人公の15歳の少女の視点からの語り口に違和感を。また、登場人物の背景が、登場人物...
現代の小説家のなかで、天童荒太さんはお気に入りのひとり。本書は2019年発表の現時点での最新刊。 著者にとって、故郷の道後温泉を舞台とした特別の一冊ではないかと思います。愛おしいお話。 個人的には、主人公の15歳の少女の視点からの語り口に違和感を。また、登場人物の背景が、登場人物のひとりより語られるのも、説明的な印象を受け、物語にのめり込めない一因と。良い物語なのに残念。
Posted by
生きることに臆病になっている女の子が道後温泉を舞台とした優しい環境で自分を取り戻して行く心温かい物語。とにかく長かった。ギャクにしては寒すぎる、わざとらしいいい間違いがとても鼻について完全にお話の熱量を削がれてしまった。こんなに優しい人達が溢れている世界は有り得ないと思ってしまっ...
生きることに臆病になっている女の子が道後温泉を舞台とした優しい環境で自分を取り戻して行く心温かい物語。とにかく長かった。ギャクにしては寒すぎる、わざとらしいいい間違いがとても鼻について完全にお話の熱量を削がれてしまった。こんなに優しい人達が溢れている世界は有り得ないと思ってしまった辺りが自分の夢のなさに悲しくなってしまう。世界観にどっぷりと浸かることはできなく残念。
Posted by
温かい話。病床で聴くにはちょうどいい温かい話だった。全体的にファンタジーめいている。美しいものだけを描いた感は否めないけどヒロさんの「こういう生き方って楽なんだよ」というのはとてもよくわかる気がした。
Posted by
道後温泉の近くで、昔からお遍路さんや帰るところのない人々を受け入れては癒してきた旅館"さぎのや"。 そこに、水害で家族を亡くし、両親の死という現実を受け入れられずにいる15歳の少女、雛歩がたどり着き、周囲の人の温もりに触れ、親切にされるなかで、生きる力を取り戻...
道後温泉の近くで、昔からお遍路さんや帰るところのない人々を受け入れては癒してきた旅館"さぎのや"。 そこに、水害で家族を亡くし、両親の死という現実を受け入れられずにいる15歳の少女、雛歩がたどり着き、周囲の人の温もりに触れ、親切にされるなかで、生きる力を取り戻していくストーリー。 人に寄り添うことの大切さを思い起こさせられると同時に、自分も含め、余裕のない人の多い今の世の中の生きにくさというものを改めて感じた。 雛歩があまりにモノを知らない設定に初めは呆れたが、そんな雛歩が、本来自分が持っている共感力を発揮し、外からやって来た心に痛みを抱えるお遍路さんを癒す側になっていく様子を見て、人はその時々の表面的な知識や態度だけでなく、その人の本当の姿というか、人が深いところで持っているモノ(うまく言えないけれど)を見なきゃだめだということを作者は伝えたかったのかもしれない。
Posted by
・余りに「良い人」ばかりで嘘っぽい。 ・主人公の少女のアホぶりがわざとらし過ぎる。(作者が慣れぬユーモアを盛り込もうとした?) ・状況を書き込み過ぎ。内容の割りに分量が多く、結果薄まった印象が有る。 欠点を挙げれば幾つも。 でも、基本優しくて暖かく、時に涙を誘うような良い話です。...
・余りに「良い人」ばかりで嘘っぽい。 ・主人公の少女のアホぶりがわざとらし過ぎる。(作者が慣れぬユーモアを盛り込もうとした?) ・状況を書き込み過ぎ。内容の割りに分量が多く、結果薄まった印象が有る。 欠点を挙げれば幾つも。 でも、基本優しくて暖かく、時に涙を誘うような良い話です。 天童さんのテーマは「寄り添う」という事なのかな。 この作品も『悼む人』も『ムーンナイト・ダイバー』も、悲しみや苦しみにある人を救い上げたり背中を押したりするのではなく、ただ寄り添う。そんな形を多く感じます。もっとも寄り添い方がかなり押しつけがましい気もしますが。
Posted by
90本作には辛い思いの登場人物が少なくてほっとしました。でもファンタジーと物語との境目が曖昧で、子供向けの絵本みたいでしたね。でもほっこりしました。温泉だけに♨️
Posted by
安らげる場所、自分の居場所…探そうとして探すものでもなく、タイミングや出会いが大切だったりするのだなと感じた話でした
Posted by
天童作品の初期は冷酷な場面があり、あまり好きになれなかったんですが、「包帯クラブ」くらいから変わってきましたね。この「巡礼の家」も最初は素直じゃない変な女の子がヒロインで入りにくかったんですが、段々と染みてきました。優しさと繋がりがテーマみたいになるかな?主人公以外の登場人物がと...
天童作品の初期は冷酷な場面があり、あまり好きになれなかったんですが、「包帯クラブ」くらいから変わってきましたね。この「巡礼の家」も最初は素直じゃない変な女の子がヒロインで入りにくかったんですが、段々と染みてきました。優しさと繋がりがテーマみたいになるかな?主人公以外の登場人物がとても良い。まぁ、さすがに主人公に対する印象も事情が分かると少し良くなりましたが・・独語での言い間違い等は酷過ぎ(^^; まぁ、将来はヒナとヒロが一緒になって、ヒナは女将になるだろうって予想図ですね~
Posted by