Ank:a mirroring ape の商品レビュー
佐藤究さんの著書、自分にとって2作品目。前回読んだ「テスカトリポカ」が最高に面白かったのでこちらの作品も期待していた。 作品は本当に面白く、色んな知識が散りばめられていてそのほぼ全てが新な勉強になる作品だった。作者の膨大な知識と裏付けの為のレファレンスが凄い。執筆の苦労は容易に...
佐藤究さんの著書、自分にとって2作品目。前回読んだ「テスカトリポカ」が最高に面白かったのでこちらの作品も期待していた。 作品は本当に面白く、色んな知識が散りばめられていてそのほぼ全てが新な勉強になる作品だった。作者の膨大な知識と裏付けの為のレファレンスが凄い。執筆の苦労は容易に想像でき、難作だったろうと思わされた。 ヒトと大型類人猿(オランウータン、チンパンジー、ボノボ、ゴリラ) の違い等この本を読むまで考えもしない、知らない事ばかりで理知的な刺激が堪らなく昂らされた。 共通祖先のロストエイプ、「自己鏡像認識」という初めて知る知識だったが、きっとこの作品にあったように反射した自分の姿を自分と認識し、だけど左右が逆転した姿を見て自分じゃないという考え方の発展から脳が発達して言葉も生まれヒトは進化できたような気もする。 メチャクチャ面白い。 この先また何万年後とかどんな生き物がどんな世界を作っていくのか? ヒトは進化したからこそ今があるけれど、この進化は長い月日がたてばもっと進化するかもしれないし、また別の生き物が違う進化をして地球上で新たに席捲するかもしれないと考えさせられる。今生きてる我々の子孫がいつかロストエイプのように何かで生滅してしまうかもしれない。 絶対に知ることはできない遠い未来にワクワクするような興奮を感じさせられる。まるで宇宙論のような未知で不思議な興奮に似ていると感じる。 650頁越えの大作で読みきるのに結構時間がかかった。手を止めて思考に落ち考えていて楽しめる作品だったから。 それが極上の興奮を知的に刺激させられる、自分にとってはとても満足度の高い作品だった。 佐藤究さんの作品はこの先も読んでいきたい。次は「QJKJQ」を。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『テスカトリポカ』から2冊目の佐藤究。相変わらず大迫力。今回は京都が舞台で、なんと拠点が亀岡とか、知った地名がたくさん出てきたのでより臨場感を受けた。いつも小説の舞台は東京だったり海外だったりするので、どこか他人事感があるけど、今回は自分の住んでるところが思いっきり出てた笑。 アンクがひたすら可哀想だな、というのが最初の感想で、あとはこの事件を収集させるには望はやっぱり死ぬしかないんかなって。 出だしからは想像のできないラストで、ネタバレになった後もちょっと難しくてミラーリングの遺伝子配置についてはいまだに????なところも(^^;; でも人が言葉を獲得した考察に太陽光が来るのは納得した。以前ダーウィンの進化論では説明できないところがあるって話を読んだことがあって、紫外線や宇宙光線による突然変異とか、そういう話は大好物です。あとはミノタウルスの考察なんかも。 とにかく著者の知識量はさることながら、前作同様エンターテイメント感がすごい。是非とも映画で見たいと思う作品でした。 追記)今出川御門の戦いは、ネーミングが幕末すぎてちょっと吹いた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
めちゃくちゃ面白かった。 結構難しい内容も書かれてるけど何故かスラスラ読めた。 書いてあることがどこまで真実なのか分からないけど説得力はあった。 鏡像認識について考えたことはなかったけど動物が水に映る自分を見たときにそうなる可能性は0じゃないよなと。 なんとなくこの世の事象はほとんど解明されてる。って思いがちだけど世の中にはいろんな未知が溢れてる事を再認識した。 遺伝子とか宇宙とか活きてる間に色々明らかになるといいな。なんて思った読後でした。
Posted by
読み進める毎にどんどん、この小説に引き込まれて、600ページを一気に読んでしまいました。 こんな小説初めてです。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
佐藤究作品は、『QJKJQ』『テスカトリポカ』を既読。その中では、一番好きでした。 相変わらずの暴力描写が目を惹きますが、科学的な考察、知見、そこから繋がる悲劇のストーリーは一本軸が通っていて、説得力があるように感じました。 中盤〜後半からのパルクールを混じえた追走劇は、とても画面映えしそうで、映画とかで観られたらいいなあと思いました。 せっかく、作中に『猿の惑星』『2001年宇宙の旅』もでてますしね! R18ですら危ういか?……と考えなくもないですが。
Posted by
人間とその他類人猿との違いと鏡の関連はなるほどなるほどと思う反面、最後がすこしだけ尻すぼみした印象。
Posted by
かなりの分厚さなのに一気に読んだ。 DNAが書き換わるとかはさすがにやりすぎだったが、全体的に理系心をくすぐる内容かつずっとワクワクする内容だった。
Posted by
読み応えがあり面白かった。これぞエンターテイメントって感じの小説。 論理的な説明もわかりやすく、専門的な知識もすんなり入ってくる。 描写も詳細でその情景が浮かぶ。
Posted by
SF? かかった時間 細切れなのでわからないが、6〜7時間ではなかろうか 「テスカトリポカ」の佐藤究の作品。京都市で突然発生した原因不明の暴動をめぐる、類人猿研究者と一匹の特別なチンパンジーの話。 凄絶な暴動の描写と並行するように、類人猿と人との比較から、人類の意識や言語の謎...
SF? かかった時間 細切れなのでわからないが、6〜7時間ではなかろうか 「テスカトリポカ」の佐藤究の作品。京都市で突然発生した原因不明の暴動をめぐる、類人猿研究者と一匹の特別なチンパンジーの話。 凄絶な暴動の描写と並行するように、類人猿と人との比較から、人類の意識や言語の謎を解こうとした研究について語られる。キャラクターもそれぞれ魅力的で、文章も本当にうまい。後半に謎が明かされていく部分では、知的な(そしていい意味で厨二病的な)興奮がある。そして、その興奮は「テスカトリポカ」や「QJKJQ」のように、印象的なモチーフに彩られている。 個人的には、最後にすべてが明かされてはいないところも、科学、という気がしてとてもよい。 巻末の参考文献一覧からも、この人が、単なる空想ではなく、きちんとした知見から想像を飛躍させ、物語を創っていることがわかる。ほんとうにすごい作家だと思う。
Posted by