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罪と祈り の商品レビュー

3.4

91件のお客様レビュー

  1. 5つ

    11

  2. 4つ

    25

  3. 3つ

    39

  4. 2つ

    10

  5. 1つ

    1

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2022/05/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

元警察官の父が他殺され、真相を追う息子が過去に起きた昭和史に残る未解決誘拐事件に辿り着く。親同士、子供同士の視点で時代も行き来しながら話が進むのがめちゃくちゃ面白かった。 運が悪かったで済ませられない程の悪い結果は因果応報かな〜。 俺らの怒りもわかるけど、だからって罪を犯していい理由にはならないし。正しくはないことをしたから償う、償なった所で失われた命は返ってこないなら償いさえも自己満かもしれない。 でも私は、正しくないと思うけど、5人が事件を起こしたその気持ちはすごくわかる。間違ったことをしたとも思う。同じ立場ならしないけど、それは臆病だからか、守るものがあるからなのか。でも彼らにも守るものはあったよなあ…。あー感情がぐちゃぐちゃで、とてもいい本を読んだ。

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2022/05/08

貫井さんの小説は以前読んだ『乱反射』が、読後感が悪かったので、身構えたが、父親たちの過去と息子たちの現在の話が章ごとに繰り返され、後になればなるほど、あの時のあの人のその後はこうなったのかと興味深く読めた。やはり作家さんはすごい‼️ やむにやまれず起こした犯罪…、その気持ちもわ...

貫井さんの小説は以前読んだ『乱反射』が、読後感が悪かったので、身構えたが、父親たちの過去と息子たちの現在の話が章ごとに繰り返され、後になればなるほど、あの時のあの人のその後はこうなったのかと興味深く読めた。やはり作家さんはすごい‼️ やむにやまれず起こした犯罪…、その気持ちもわかるが、悪に悪で返すとやほり不幸しか生じないと思った。切ない展開。 息子たちが10年後にどのような思いを持って再会するのか、知りたい。

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2022/04/29

初読みの作家さんだったけど緊迫感のあるかなり面白いミステリーだった。 現役の時に正義漢で人情に厚い評判の良いお巡りさんだった男が隅田川で溺死体で上がった。ところが側頭部に殴打痕があったことから殺人の疑いが浮上する。 そんな彼に憧れて警察官になった賢剛、父が立派であるが故に疎ましく...

初読みの作家さんだったけど緊迫感のあるかなり面白いミステリーだった。 現役の時に正義漢で人情に厚い評判の良いお巡りさんだった男が隅田川で溺死体で上がった。ところが側頭部に殴打痕があったことから殺人の疑いが浮上する。 そんな彼に憧れて警察官になった賢剛、父が立派であるが故に疎ましくもあり一般社会人の道を歩む息子 亮輔。2人は幼馴染であり兄弟のように育った仲でもある。 と言うのも2人の父親同士がそもそも親友で、賢剛の父 一流料理人を目指す智士が自死して以来 親代わりに面倒見てくれたのが亮輔の父 警察官の辰司だったのだ。 事件を解く為に片や警察官としての賢剛が片や息子としての亮輔が、考えたことも知ろうとしたことも無かった若かりし頃の父たちの実像に迫って行く過程が興味津々で上手い。息子2人と父親2人が交互に章を重ねていく構成は斬新な進め方。 ただ、バブル期の社会の不条理を糺す為に父親達が採った道が如何にも拙くて安易なのが残念過ぎて惜しい。

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2022/06/14

元警察官の父が溺死体となり発見される。その後、何者かに殺された可能性が浮上。正義感が強く誰にでも慕われ、人一倍真面目な父が何故。息子である亮輔は父の本当の姿を知る為に、幼馴染の賢剛は刑事として、彼の死の謎を追う事となる。そして繋がる過去の、昭和の終わりと平成の始まりに西浅草を舞台...

元警察官の父が溺死体となり発見される。その後、何者かに殺された可能性が浮上。正義感が強く誰にでも慕われ、人一倍真面目な父が何故。息子である亮輔は父の本当の姿を知る為に、幼馴染の賢剛は刑事として、彼の死の謎を追う事となる。そして繋がる過去の、昭和の終わりと平成の始まりに西浅草を舞台にした数々の悲劇の物語ーーー。「貫井徳郎史上、最も切なく悲しい事件」 これは誇張では無かった。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 「亮輔と賢剛」とそれらの父親である「辰司と智士」の「現在と過去」で進むのだが、切替と視点がはっきりしているのでとても読み易かった。 語りたい言葉は纏まりもせず脳内で大暴れしているのだが、どう統率をとってもネタバレを回避するのが難しい。と言うのも、本作は事件を大まかに認知した上で犯人を求める王道のミステリーとは違い、過程が枢要となるんだもの。口を開くのが怖いじゃない。ので、以後抽象的な感情を書き連ねる。今回のレビューは感想ではなく2022/4/23 の日記だ。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 4がつ23にち (くもり) わたしは、お母さんも、お父さんも、お友だちも、みんな大すきです。そんなみんなにひみつがあってもかわらず大すきです。でもひみつがあることをしったらどおしてそうなったのかきになる気もちもあります。大すきだからもっともっとしりたいです。きっとしっても大すきはかわりません。 ーーーーーーーーーーーーーーー 父の死により明らかとなる過去の事件。亮輔も賢剛も同じ気持ちで「何故」を追うのに、真相を知った後の彼らに産まれた感情は別の物だった。父親である辰司と智士が繋いだ「親友」という固い絆はとても美しく、そして悲しい物語だ。涙なくして読めない...とまでは言えないあっさりとした読了感なのも事実なのだが、著者の今までと違うベクトルを体験できたのは嬉しく思う。 いやしかし、後半はあっさりしていたなぁ...転機なるものが何度か訪れているはずなのに高揚感はさほど変わらず、常に同じ温度で読み進めていた感じだ。思えば、著者の作品を手に取った時は無意識にえぐさを求めてしまっているのやもしれない。帯文句に煽られしっかり正座してえぐさを待ち構えたのが良くなかったか。こりゃ居住まいを間違えた。

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2022/02/04

読みやすかったけど、ご都合主義すぎるかな。 昭和パートだけにして、もっと深掘りした方が味わい深い話になったと思う。

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2021/11/07

警察署の霊安室で、溺死した父親を見た亮輔。 それは、他殺の疑いがあるとの事、・・・・と、物語が、始まっていく。 久松署管内での出来事であるので、亮輔の幼友達である、警察官の賢剛が、捜査してくれることになった。 この亮輔と賢剛が、自分の親の死について、捜査していくうちに、賢剛の父...

警察署の霊安室で、溺死した父親を見た亮輔。 それは、他殺の疑いがあるとの事、・・・・と、物語が、始まっていく。 久松署管内での出来事であるので、亮輔の幼友達である、警察官の賢剛が、捜査してくれることになった。 この亮輔と賢剛が、自分の親の死について、捜査していくうちに、賢剛の父親が、28年前に自殺した事と関係が、あるのでは、・・・と、調べていく。 そこには 平成になる前のバブル期に 浮かされた不動産にまつわる話が、出て来る。 亮輔 賢剛達の父親の時代である。 ヤクザまがいの者達が、土地の買収に嫌がらせをして行くのである。 高層マンションを建設するにあたって、個人個人の家に、押しかけて見たり、無言電話を掛けたり、と、・・・ 少しづつ、歯が抜けていくように、持ち主は、引越していく。 警察に嫌がらせの実態を報告しても、動いてはくれないから・・・・ 孤独死をした者もいる。 そんな状況に、辟易した住人達が、秘かに考え付いた事、それは不動産会社に勤務する人の子供を誘拐して、身代金を催促して、懲らしめようと。 その中に亮輔と賢剛の父親も加担したのだ。 しかし、誘拐した子供の一人が、アレルギーのアナフィラキシーショックで、亡くなってしまうという惨事になって、誘拐犯たちは、自分のしたことに、反省してしまう。 まして、警察官であった賢剛の父親は、とても悔恨の念で、自殺してしまう。 2人の子どもは、それを知ってしまうのだが、・・・ 悲劇は、その誘拐で、沙織が、カレンに言った言葉が、誤解を生み、次への亮輔の父親への憎しみへ向かい、怒りを爆発させたことで、亮輔の父親は、亡くなったのだ。 少し、話が、複雑であるが、その当時のバブル期に踊らされた者、不動産会社は、ヤクザを雇い地上げし、住人達を追い出した。 土地買取にNOと答えたものには、昼夜嫌がらせ等、、、 そして、バブルで、土地を手放した者は、いとも簡単に、大金を手にして、勤労意欲も無くして、遊ぶ事に夢中になる者もいた。 そんな背景をこの本は、描いているけど、誘拐を警察官迄が、してしまう事に、少し違和感を覚えてしまった。 そして、最後、亮輔と賢剛は、親の罪のを背負って行かなくてはならない。 ふたりは、10年後迄、会わないと、決めて、別れる事にするのだが、・・・・・ この二人は、10年後、どうなっているのだろうか?と、思いながら、ぶ厚い本を閉じた。

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2021/11/06

面白かったです。元警察官の父親はなぜ殺されたのか。父親はどうゆう人だったのか。辿って行くにつれてわかってくる事が知って良かったのか知らない方が良かったのか。

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2021/11/01

ずっと住み続けていたいと思っていたが、街の再開発で出て行く人が増えた。 多額のお金を手に入れて、その人たちの生活が壊れる。 義憤に駆られ、犯罪に手を染めた父親たち。 街を出て行った人たち、嫌がらせに耐えかねて出て行かざるを得なかった人たち。 けれど、罪を犯すには動機が弱すぎる。

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2021/10/28

主人公の父親の他殺死体が見つかり、父親のことをあまり知らなかった主人公が、父親の過去を探り始め、とんでもないことが明らかになります。 主人公は2人。警察官と殺された父親の息子。この2人は小さい頃から一緒にいて親友です。 その2人の話と、2人の父親もまた親友同士で、その父...

主人公の父親の他殺死体が見つかり、父親のことをあまり知らなかった主人公が、父親の過去を探り始め、とんでもないことが明らかになります。 主人公は2人。警察官と殺された父親の息子。この2人は小さい頃から一緒にいて親友です。 その2人の話と、2人の父親もまた親友同士で、その父親の話と交互に進んでいきます。 感想としては、なんでそうなる?という思いが何回もあり。少し納得できないような。 誰か気がついて止めるのかと思いきや、誰も止めず。(そこで止まって終わったら、物語も終わってしまうから?)

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2021/08/30

「罪と祈り」 昭和と平成に跨るある事件。 浅草で暮らし、長年にわたり交番勤務の警察官として地域住民に慕われた濱仲辰司の死体が、隅田川に架かる新大橋の橋脚で発見された。当初は事故死と思われたが、検視で側頭部に殴られた痕が見つかり他殺と断定される。子供の頃に父親が自殺し、親代わり...

「罪と祈り」 昭和と平成に跨るある事件。 浅草で暮らし、長年にわたり交番勤務の警察官として地域住民に慕われた濱仲辰司の死体が、隅田川に架かる新大橋の橋脚で発見された。当初は事故死と思われたが、検視で側頭部に殴られた痕が見つかり他殺と断定される。子供の頃に父親が自殺し、親代わりのような辰司の影響で警察官になった芦原賢剛は、所轄の刑事として辰司を殺した犯人を追う。一方、息子の亮輔も、父に別の顔があるのではないか?と疑っていたことから父の過去を調べ始める。すると賢剛の父・智士が自殺した頃から、辰司が変わったことが分かってくる。 この中編のキーになっているのはバブル期に横行した地上げである。地価が上昇し暴力的な手段を使った地上げにより、結果的に命を落とす人々が出ていた時代だ。地上げは暴力的ではあるが、暴力は振らない。振らないならば警察は動けない。そんなバブル期の時代を生きた昭和末期のパートが、亮輔と賢剛が辰司が殺された事件を追う現代のパートと絡みつつ進んでいく。 タイトルからすると、なんとなくハッピーエンドではないのだろうと推測される。昭和末期の時代に生きた辰司や賢剛の父・智士だけでなく、小室や江藤、彩織は、時代に飲まれたとか、義憤にかられた(一部は除く)とか、安易だとか色んな解釈が出来るだろう。結局は誰もが皆悪い。悪いのだが、すぱっと断罪も出来にくい。 特定の条件を満たす日にしか実行できないミステリの上に、昭和末期には複雑な時代背景と人間模様が加味され、その過去が現代を生きる亮輔と賢剛を揺らしていく。 簡単に答えが出せるものではないことを亮輔と賢剛の衝突が示している。正義の父や誇らしい父の消せない過去を知った二人だが、対照的な捉え方をするのだ。どちらが正解とも、言えない、分からないから、10年後に会おうとなったのだろうか。父の消せない過去の代わりに得た親友と共に、どんな解答を出すのだろうか。

Posted byブクログ