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時間は存在しない の商品レビュー

3.9

118件のお客様レビュー

  1. 5つ

    28

  2. 4つ

    46

  3. 3つ

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  5. 1つ

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2020/02/17

図書館で借りた本。山で過ごす人は平地で過ごす人より時間が早く進む。これは初めて知った事実。著者はループ量子力学理論の人で閉じた曲線で定義されるループ変数が重力を表すそうだ。超ひも理論とは異なる考え。時間や空間が根源的ではない。エッセイなので宇宙物理に興味がある人なら楽しめるかも。

Posted byブクログ

2020/02/02

「一般相対性理論」と「量子力学」は現代物理学の2つの大きな柱だ。 ところが困ったことに、この両者は互いに噛み合わない理論だということが分かってしまった。 ならば、「一般相対性理論」と「量子論」を融合させた理論(量子重力理論)はないかと考えるのは当然だ。 現在最有力視されている理論...

「一般相対性理論」と「量子力学」は現代物理学の2つの大きな柱だ。 ところが困ったことに、この両者は互いに噛み合わない理論だということが分かってしまった。 ならば、「一般相対性理論」と「量子論」を融合させた理論(量子重力理論)はないかと考えるのは当然だ。 現在最有力視されている理論は「超ひも理論」だが「ループ量子重力理論」という有力理論もある。 本書の著者(カルロ・ロヴェッリ)は「ループ量子重力理論」に注力している理論物理学者だ。 「超ひも理論」は物理の根本原理として「時間」と「空間」があることを前提としている。 対して、「ループ量子重力理論」では、何かほかの根本原理(ループ?)から「時間」と「空間」が生じたとする。 つまり「時間は存在しない」という仮説が、「ループ量子重力理論」の根本原理となっている。 こういうわけで、本書は物理学的に「時間は存在しない」ということを解説した本ではなく「ループ量子重力理論」の概念を紹介した本だ。 子どもの頃よく「無とは何か?」と考えていた。(真空とか宇宙のはてとか) 現代物理学では「無」という状態が存在し、「無」から「有」という状態に遷移したりする。 ビックバンはそうして起こったと説明されている。よくわからないが、そういうもんかと無理やり納得している。 「ループ量子重力理論」では、「ループ」という要素が集まることで「時間」と「空間」が生まれるらしい。 ならば宇宙の歴史を逆にたどり最後の1つの「ループ」がなくなったらどうなるか? 本当に時間も空間も何もない、宇宙の仕組みを示す方程式もない、"真の無"になるという恐ろしい結果になる。 「ループ量子重力理論」のアイデアはとても斬新でおもしろいが"真の無"は容認できない。 時間については昔から科学者、哲学者、文学者に限らずあらゆる人達が考察してきた。 時間は次元の一つであり、我々は4次元世界に住んでいると言われれば信じてきた。 時間って毎日普通に感じていて物理的にあると思い込んでいる。 物理の超有名な法則 E=MC² の C って光速度のことだ。 1秒間に光が進む距離。ちゃんと時間が関係している。 時間を巡る微妙な議論に登場するのが「記憶」で、脳は過去の記憶を集め、それを使って絶えず未来を予測しようとする仕組みである。 自分に向かって石が飛んできた(過去の記憶)。このままでは大けがをする(未来の予測)。身を守るためによける(現在の行動)。 過去には戻れないので過去は存在しない。もしくは存在していたが消滅した。記録に残すことができるのだから過去はあった。 未来はまだ観察できていないので存在しない。 いつでも存在していて直接感じることができるのは(過去の記憶を含む)今だけだ。 私の結論:我々が生きている宇宙には「時間は存在する!」

Posted byブクログ

2020/01/30

>高さや速度による時間の遅延、現在が存在しないということ、時間と重力場との関係、異なる時間同士の関係が動的であること、基本方程式では時間の方向が認識されないこと、エントロピーとぼやけの関係、これらはすべてきちんと確認されている。 という、物理の基本法則には時間という物はない、こ...

>高さや速度による時間の遅延、現在が存在しないということ、時間と重力場との関係、異なる時間同士の関係が動的であること、基本方程式では時間の方向が認識されないこと、エントロピーとぼやけの関係、これらはすべてきちんと確認されている。 という、物理の基本法則には時間という物はない、ことを説明する本です。正直難しかった。 相対論的時間の話はまあ大体知ってる範囲のことを説明してくれたけど、そのあとの章は分かったふりして読み進めるのが精いっぱいでしたよ。繰り返し読めば多少は理解が進むのかも知れない。でも少し時間を空けたい・・・。 巻末の解説も助けになる。 ニュートン物理学では絶対時間が想定され、 アインシュタインが時間が相対的で伸び縮みするものであることを見出し、 1960年代以降、量子論的に宇宙を説明しようとして時間を含まない方程式が導き出された。つまり >基礎的な物理現象を記述するためには時間変数が必要 「ではない」、という結果が得られた。 >時間の向きが指定できるのは、エントロピーの増大という統計的な変化を考慮に入れた場合に限られる。 >しかし、人間には、過去から未来に向かう時間の流れが、当たり前の事実のように感じられる。その理由は何か。 >人間は、物理現象の根底にある微細な基礎過程を識別できず、統計的な側面だけをぼんやりした視点から眺めるので、一方的な(エントロピーの)変化を感じることになるのだ。 というあたりから更に難解になり、仮説の範疇に足を踏み入れていくことになる。 ロヴェッリによれば、初期宇宙が低エントロピー状態である理由は、われわれが見ているのが、始まりがたまたま低エントロピー状態だったきわめて特殊な宇宙のごく一部で、そのため生命に適した環境を用意できたからだという。 つまり宇宙のほとんどはエントロピー増大則を満たしておらず時間の向きが存在しないが、このあたりのごく狭い範囲ではたまたまエントロピーが増大方向にのみ進むので、時間に向きがあって、時間を認識する生命がいる。と。 …なるほど(?)。 高度に数学的で多くの研究者がひたすら数式をいじり回すだけで終わってしまう最先端の理論物理学を、最前線の物理学者が一般の人間にもわかりやすく(少なくとも数式を使わずに)説明してくれる本でした。

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2020/01/27

丁寧な口調で、ときに詩的な表現も用いながらわかりやすく、解説書風にならないように努めていることは伝わりますが、肝心なところで説明が端折られていて、消化不全な印象でした。 邦訳の際につけられたタイトル『時間は存在しない』がより一層なじみのない読者の理解を妨げているという指摘も的を...

丁寧な口調で、ときに詩的な表現も用いながらわかりやすく、解説書風にならないように努めていることは伝わりますが、肝心なところで説明が端折られていて、消化不全な印象でした。 邦訳の際につけられたタイトル『時間は存在しない』がより一層なじみのない読者の理解を妨げているという指摘も的を射ているようです。現代は直訳で「時間の順序」とのことです。たしかに、通読した感覚からするとそのほうがしっくりきます。ここに、売るべくして名付けられたインパクト重視の戦略が恨めしいです。

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2020/01/26

単一で唯一無二の「時間」は存在しない 世界を「物」ではなく「出来事」(とそのネットワーク) もっと無機質に見ると,エントロピー増大の流れを時間の経過と解釈している. それではエントロピーが低い状態がなぜ最初にあったのか?という疑問は今いる地球,生活が広大な宇宙のサンプルの一つ...

単一で唯一無二の「時間」は存在しない 世界を「物」ではなく「出来事」(とそのネットワーク) もっと無機質に見ると,エントロピー増大の流れを時間の経過と解釈している. それではエントロピーが低い状態がなぜ最初にあったのか?という疑問は今いる地球,生活が広大な宇宙のサンプルの一つでしかなくて,地球とその周囲の系で閉じた時にたまたまエントロピーは低い状態だったから エネルギーではなくエントロピーが世界を動かす.エネルギーは保存されるが私たちが生活で必要とするエネルギーは「エントロピーが低い」エネルギー じゃあ時間は何か?⇨私たちの精神が構築する今近くしているものと過去の記憶や痕跡をつなげたもの.出来事のネットワーク できればもう一度読み返したい

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2020/01/16

P97 時間は変化を計測したもの P111 現実の構造は、 この語法(「過去」「現在」「未来」)の前提に なっているものと同じではない。 このような語法は自分たちの作っているものが 正確さに欠け、 この世界の豊かな構造を把握しきれないということに 気づく前に作られたのだ P1...

P97 時間は変化を計測したもの P111 現実の構造は、 この語法(「過去」「現在」「未来」)の前提に なっているものと同じではない。 このような語法は自分たちの作っているものが 正確さに欠け、 この世界の豊かな構造を把握しきれないということに 気づく前に作られたのだ P127 存在するのは出来事と関係だけ P201 死に対する恐れは、進化の手違いのように思える。 … 動物は捕食者が近づくとの本能的に恐怖にかられて逃げようとする。 … 一方で人間は自然淘汰の末に未来を予測する能力を過剰に持つに至った。 結果、避けられない死という見通しと直面することになった。 … そしてこの見通しが引き金となり、 怯えて逃げようとする本能のスイッチが入るのだ。 … 要するにわたしたちが死を恐れるのは、 独立した二つの進化の圧力がたまたまぎこちなく干渉しあっているからなのだ。 これは脳が自動的に誤接続するせいで生じた恐怖であって、 わたしたちの役にも立たず、意味もない。

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2020/01/14

現代物理学と哲学とを交えて、とても丁寧かつ論理的に展開してくれるおかげで量子力学などに疎いわたしにもある程度理解しながらついていくことができた。 1回目の読了で3割程度、2回目の読了で7割程度は分かったような気がする(あくまで気がする)。 普遍的な絶対時間なるものは存在しないが...

現代物理学と哲学とを交えて、とても丁寧かつ論理的に展開してくれるおかげで量子力学などに疎いわたしにもある程度理解しながらついていくことができた。 1回目の読了で3割程度、2回目の読了で7割程度は分かったような気がする(あくまで気がする)。 普遍的な絶対時間なるものは存在しないが、日常では記憶と連続的な予測のつながりの中で、過去から未来への流れを感じる。それが、(その人においてのみ存在する)時間ということか。

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2020/01/06

「時間は存在しない」という刺激的なタイトルだが、ここで 言う存在しない時間とは、いつでもどこでも均質で直線的に 絶対的に流れていると我々が普段考えているような時間の ことであり、時間とはもっと複雑で重層的な概念だという のがこの本の結論である。充実し、示唆に富む内容の本では あっ...

「時間は存在しない」という刺激的なタイトルだが、ここで 言う存在しない時間とは、いつでもどこでも均質で直線的に 絶対的に流れていると我々が普段考えているような時間の ことであり、時間とはもっと複雑で重層的な概念だという のがこの本の結論である。充実し、示唆に富む内容の本では あったが、その意味では少し肩すかしを食らったような印象 が残ったな。 時間と熱あるいはエントロピーの増大との関係という視点は 今後出会うことが多くなるかも知れない。

Posted byブクログ

2020/01/03

カルロ・ロヴェッリ(1956年~)は、イタリアのヴェローナ生まれの理論物理学者。現在、世界中の物理学者が構築を目標としている量子論と重力理論を統合した「量子重力理論」において、「超ひも理論」と並ぶ有力候補といわれる「ループ量子重力理論」を主導する一人である。 本書は一般向けの4冊...

カルロ・ロヴェッリ(1956年~)は、イタリアのヴェローナ生まれの理論物理学者。現在、世界中の物理学者が構築を目標としている量子論と重力理論を統合した「量子重力理論」において、「超ひも理論」と並ぶ有力候補といわれる「ループ量子重力理論」を主導する一人である。 本書は一般向けの4冊目(邦訳では3冊目)の著作であるが、前著『世の中ががらりと変わって見える物理の本』は物理学書としては異例の世界で100万部超を売り上げ、本書も2017~18年に原書・英訳が刊行されると、2018年のタイム誌のベスト10ノンフィクションに選ばれるなど、主要な新聞の書評で絶賛され、35ヶ国で刊行が予定されているという。 本書は、大きく3つのパートからなっている。第一部では、現代物理学が「時間」について知り得たことを明らかにし、第二部では、第一部で明らかになった「根源的な時間のない世界」はいかに記述されうるのかが探求され、第三部では、「根源的な時間のない世界」に生きる我々にとって、時間の流れが当たり前の事実のように感じられるのはなぜなのかが論じられている。 私は典型的な文系キャリアの人間で、前半のアインシュタインによる重力場の解明あたりまでは、(以前に他の本から得た知識もあり)イメージできたものの、量子論の世界はやはり難解で、付いて行くことが難しかったのだが、著者は、「時の流れは存在しない」という物理学的な結論を示したあとも、物理学の範疇に留まらず、脳科学や近代哲学の分野に踏み込んで、我々の感じる時間とは何なのかを追求しており、その姿勢に引っ張られて、最後まで読み切ることができた。 そして、印象に残ったのは、「この世界は、物ではなく出来事でできている」ということである。時間は、一つでもなく、方向もなく、事物と切っても切り離せず、「今」もなく、連続でもない。しかし、この世界が出来事のネットワークであるという事実に揺らぎはない。時間に様々な限定がある一方で、ひとつだけある明確な事実は、事物は「存在しない」、事物は「起きる」ということである。この極めて難解な学術的帰結と単純に結びつけることが適当とは思えないのだが、我々人間が近年、「モノ」ではなく「コト」に価値を見出すようになりつつあるのは、我々が無意識に「時間」の本質を感じ始めたからなのだろうか。。。? 高度化した科学により「時の流れは存在しない」という物理学的事実が明らかになったとしても、我々の持つ素朴な時間のイメージは、日常の生活には適しているし、我々の生活に影響を与えるのは遠い先のことなのだろう。 しかし、我々が「時の流れ」を感じるという謎が、個人のアイデンティティの謎、意識の謎に交わっているのだとすれば、それはおそらく、物理学、脳科学、哲学に留まらないあらゆる学術分野が交わる、人間にとっての究極の問いになる。 難解ではあるが、関心を持ち続けないわけにはいかない世界である。 (2020年1月了)

Posted byブクログ

2019/12/29

レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12562962809.html

Posted byブクログ